ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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途中の詩音の台詞がアレなのは、元ネタのネタバレ防止の仕様です。



禍根

「改めて最低だ・・・・」

 

 しかし、止めるのが先決だ。先程の一撃ですら本来の威力でも止められなかったかもしれない強敵が顔見知り達やアーシア、木場のように暴走して傷つけられても主を気遣う者達を害する事態は避けなければならない・・・・とにかく、止めねばと思って周りに促されつつ全裸のリアスと向き合った時である。

 

「っ!?不味い・・・・」

 

 リアスは最大級の魔力弾を放とうとしていたが・・・・僅かに、数ミリ程だが身体の一部からは亀裂が走り、そこから魔力が洩れ始めていた。見立てた通りに、今のリアスでは扱いきれない力を振り絞っているのだ。このままではリアスの身体が崩壊してしまう。

 

(亀裂が出来たのは左の脇腹辺りかっ、恐らく服の上からだと判断出来なかったかな、こんな形で『全裸』なのが幸いになる。運が良いのか悪いのか・・・・)

 

(相棒よ、お前はいつもそんなだなあ)

 

(言うな・・・・これで締め!アーシアを都合良く頼るのは流れ的にしゃくだが?あの攻撃が来た時が、逆にチャンスだ!)

 

 シオンは『ダメージ』についてはアーシアに回復してもらおうとするまでの計算を組み上げて勝負を掛ける気になった。

 

 

 

 

 

「い、いけない・・・・あの威力は知る限り姉様でもない限り」

 

 離れて見守っていた全員、アーシアすらリアスが放とうとしている魔力弾の圧力に戦慄していた。アレが直撃してしまったら・・・・。

 

「詩音さん!逃げて下さい!」

 

 アーシアの悲鳴が響いた瞬間に魔力弾が放たれたが、詩音が予想外の行動に出たのだ。

 

 あろうことか、詩音は魔力弾に正面から突っ込んだ。それは理性をほぼ無くしたリアスでさえ驚愕させたのだ。

 

「パワー・・・・全開!」

 

 バリアと言うべきオーラを全開にし、自らを弾丸のようにして突っ込んだ詩音は鎧を砕かれながら魔力弾をかき消しつつ突き破った。

 

 これが、考えの第一の段階、避けようにも流れ弾がどこかに直撃したら、この場にいないシトリー眷属の結界など一溜まりもなく学校の外に出る被害が悪夢的になるであろう。

 

 驚愕するリアスの喉を左手で掴み、その勢いのまま後方の校舎をぶち抜きつつ裏にあった桜の木に叩き付けた。苦痛に呻くリアス・・・・これが、第二の段階。僅かに残ってる理性と最大級の攻撃の両方の隙を突きつつ、少々のダメージを与えて動きを止める。

 

 そして、最後。

 

 片手でリアスを取り抑えたつつ、もう片方の手で腹部にすかさず次々と指突を打ち込む、その跡は死を司ると言われた七星の形となる。

 

 我流だらけだが、この点から悪い気を残らず出して無力化する術式、最後に第八の蒼星の位置に最後の仕上げを撃ち込む瞬間だった。

 

「・・・・!・・・・ぃっ・・・・ンっ」

 

 ある世界において『調和』を司る神を始めとした一部のみの特別な真言のアレンジ、これでリアスを内部から蝕む気を浄化する。詩音から放たれた荘厳なオーラに二人は包まれる。

 

「今、元に戻します・・・・先ずは、自分の眷属に詫びて来て下さい!」

 

 最後の仕上げを撃ち込もうとした瞬間。詩音の左手を掴むリアスの両腕と目が妖しく光る。

 

 そして、リアスは後々の禍根であり悲劇の幕を上げてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 衝動のまま正気を無くしかけて暴走するリアス・グレモリーは朧気な意識の中で思い続けていた。

 

(・・・・強い)

 

 初めて見た時に感じたように、やはり、あまりにも強いとリアスは思った。

 

 身体の底から溢れる力のままに襲い掛かって歯牙にも掛けられず。何故か歯痒く戦っていたが、その気になったら到底敵わないと思っていた。

 

 悔しいが、最初に感じた『差』を埋められてはいた。それだけで満足感があったと、喉元を掴まれて桜の木に叩き付けられて取り抑えられながら思ってしまった。何かの術を自分に掛けようとしているのを感じた。

 

 荘厳な気が立ち上ぼり、目の前には仮面が壊れて素顔を晒した詩音がいた。慈愛すら感じる気に導かれるままに、全てを委ねてしまおうとも思った。

 

(・・・・嫌、ね)

 

 そう、リアスは『嫌』と思った。

 

 リアスは欲しがっている。

 

 どんな形でも・・・・自分が見初めた存在が欲しいと。

 

 しかし?出来れば自分が手に入れたいと、だから、このままでは終われないと。

 

 そうして、闇に染まった思考でリアスは最悪の選択をしてしまったのだ。

 

 詩音の手を掴み、がむしゃらに身内との差を自分なりに埋めるべく学んだ術の中で、自分なりにこの場で最適と思った術を・・・・知識だけはあった術を本能のまま無我夢中で発動させてしまったのだ。

 

 

 

 

 

(・・・・な、何だとっ!?何だとぉぉっ・・・・!?

 ドライグは驚愕した。

 

『封印を一時的に解かれた』 

 

 詩音は前世の記憶に完全に思い出してはいなかった。但し、いずれ戻る類いではある。

 

 ドライグがそう理解した時、躊躇したが、それに乗じて完全に戻らないよう封印を掛けていた。理由の一つに今の段階で発動させてはならない力が多々ある。丁度、今の自壊しかけなリアスがそれに近い・・・・せめて身体が成人するまでは使わない方が良い、出来れば生涯と思っていたのが裏目に出た。

 

 それに気を取られただけではない、自分の頭に流れて来た詩音の記憶、その内容が問題だった。

 

『自分ですら把握出来てなかった』

 

 最初から知っていても平静さを保てなかった内容がリアスの術の影響で更に流れ込んだ・・・・ドライグが更に驚愕させられた隙に加えて封印が一時的に解かれて出来た詩音自身の隙・・・・それが詩音の運命を決定づけてしまった。




 今更ながら、何にアンチしてるかと言うと、肝心な時に私心を優先しがちなリアスとかに。

そして、初回でドライグの何が裏目に出てたのかな一幕な回。
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