ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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とにかく状況を整理したい連中と?な回。


騒乱の予兆

『恐るべき力を持つ今代の赤龍帝』

 

『謎の契約者が背後にいて、慈善事業のようにはぐれ勢力等と戦っている』

 

『何故かシトリー眷属に近付いて、それなりに交遊関係を築いていた・・・・尚、その経緯はソーナと契約者の許可を取らねば明かない決まりであり、破った際は契約者からの厳罰が下る』

 

『女性そのものな容姿と声』

 

『冷徹なようで割りと人が良い』

 

『リアスとの一件で女に弱いと判明』

 

『自分が暴走した末に何故か眷属にしたリアスしか知らない秘密がある』

 

 最後は特に禁忌扱いだが、シオンを知る者からしたら大まかに言えば彼のイメージはそんなところだ。

 

 ストイックで私生活には謎は多いが揺らぎが無いとしていたのだが?

 

「ソ、ソーナ・・・・っ、シオンは今、冥界よ・・・・ね?」

 

「えぇ、イングヴィルドさんと一緒にシトリー領のミスラ様の元に」

 

『ミスラ』

 

 サイラオーグの母だ。リアスは、来る前に朱乃に聞いたが用件としては真っ当、サイラオーグが協力してくれた見返りを早期に払う機会が出来たので直ぐ様にと、だが?今頃は冥界でどうなっているのか?

 

 そもそもどこからこの情報が・・・・旧魔王派の崇める血筋に当たる娘と同棲していた等と漏れたのか?

 

 何故、簡単にゴシップ記事に載せられたか?

 

 現魔王派、つまりリアスやソーナの身内から冥界上層部がどう動く?

 

 自分はどう動くべきかなのかと自問するリアスは、せめてシオンには自分の近くから離れないとする程度に行動の制限を掛けとくべきだったのか?

 

 だが、それではサイラオーグと連帯出来ずに先週末の戦いは負けはしなくても今頃は違った形に繋がっていたのかもしれない。

 

 サイラオーグの滞在場付近では千に近い数の旧魔王派の部隊が来ていたと聞いた。結果的にその部隊が早期に壊滅させられなければどうなっていたかとリアスは考えてしまう。

 

 リアスはまだ知らないが、仮にシオンがイングヴィルドを連れて行ってなければあの辺りの被害はかなりのものだったであろう、ただ件の老練執事がいる以上は森林の被害が大きかったくらいとするのがアザゼルを始めとした知っている者達の見識だった。

 

 だからこそサイラオーグは『事前に見せられたもの』の事があるにせよ、恩義を感じてイングヴィルドの件をシオンの都合に合わせる対処をしたのだ。

 

「リアス?貴女はどうしたいのかは知りませんが・・・・『帰る気』ですか?」

 

『帰る』

 

 冥界に?・・・・人間界に逃げ出した自分が?とリアスは考え始めてしまう。

 

『不用意に冥界に帰ってシオンとの秘密を探られたら?』

 

『シオンと離れている状況では『最後の手段とその手前になる事の数々』は使えない』

 

 只でさえ薄氷を踏む思いで過ごし、ギャスパーがシオンに止めさせなければ全てを空かそうとまでしていたリアスは即座に答えられなかった。

 

 リアスの苦悩を見て取ったソーナはある考えを述べた。多分それしかない。

 

「リアス?ビナー様かロイガン様に相談するべきですが、お二方は一旦外に出てます。もしもの時には、私は『シオン君の契約者』を頼るしかないと思います」

 

『契約者』

 

 リアスはハッとなった。そもそもソーナ達に近付いたのもその契約者の縁だと聞いている。現魔王の一角の妹であるソーナに近付けられるからには余程の大物であろう。

 

「でも、どうやってっすか?」

 

 匙が当面の疑問を問うが、確かにどうやって名前すら明かされない契約者を頼るのか?

 

「マンションに行くのですよ、あのマンションはシオン君が契約者に薦められて様々な仕掛けを施してあるのは、先週末に直接見て知ったでしょう?そして、今回シオン君が冥界に行く際に伝えられた事があります。留守中に何かあったらロスヴァイセさんが滞在しているから訪ねるように、そうすれば連絡は付くと」

 

「流石にただ出向いただけではなく、非常時の事も考えていたのですね」

 

「そうね、けど・・・・確実に何か私達が知らない真相に近付く事になりかねません・・・・それと、つまらない要件でそうするなら死を覚悟するようにと忠告もされています」

 

 生徒会室にいる皆はゾクッとした。確かに守秘義務とされている部分に触れるには覚悟がいるだろう、リアスはシオンを眷属にした経緯が経緯だからその辺りは未だに触れられないままなのだ。

 

 実際はソーナに自分が契約者の正体と見抜かれない為のセラフォルーの建前でもある。短絡的だが、セラフォルーが自分を殺すワケがないと無意識に思っているソーナへの策だ・・・・辟易する事はあるがソーナは姉が自分を愛している事は疑ってはいない・・・・但し、最近ではリアスが不用意に自分の前に現れないようにする為にもなっているのだが。

 

「会長?物騒な話はさておいて、イングヴィルドさんの情報がどこから漏れたか?って疑問はどうします?」

 

「そうですね、私達が会う前にイングヴィルドさんと会った側に何か心当たりはあるか聞いてみるべきでしょう・・・・木場君と搭城さんはもうすぐ戻って来るハズです」

 

 結論は出た。先ずは祐斗と小猫が帰って来たら話を聞いてみる事、仮に知っていて黙っていたのとしても?旧魔王派の崇める正当なレヴィアタンの血筋の娘への対応は慎重を期すべきだから責めはしないとリアスは思っていたが、直ぐにあのマンションに行く事には躊躇した自分を恥じていた。

 

(・・・・覚悟をしたハズなのに)

 

 リアスはあのマンション内で自分が惨殺した五名の事を思い出して及び腰になっていた。

 

 根気のみで、結界が作動したあのマンションの四階までたどり着く等、他に言えない恩恵を手に入れてなければ自分には到底不可能、特にあのリーダーの冷静さには特に敬意を抱いた。

 

 その者達を感情任せに殺した。

 

 手足等の一部しか残らないように消滅させ、最後に残ったのは両腕を掴んだ際にそのまま握り潰して喉を掴み、勢い余って外に落下してそのまま無惨に殺す姿をアーシアにすら見せた。

 

 あの横流し品を破ったキッカケを思い出すと死にたくなってしまう・・・・あの疑似世界で自分はシオンを?と、思ってしまった時だった。

 

「失礼します!」

 

 ドアがいきなり開いて、入って来たのは一旦冥界に戻ったハズのレイヴェルであった。嫌な思考を中断させてくれた事で反応が遅れたリアスだが、他もレイヴェルが唐突に現れた事に驚いていた。

 

「イザベラは?イザベラは此方に来てはいませんか!?」

 

『イザベラ』

 

 見ていた者はハッとなった。先週末の戦いで異常な程に力を増していた女性悪魔。

 

「レ、レイヴェル様?落ち着いて下さい。イザベラさんがどうしたのです?」

 

「は、はい・・・・状況を話しますわ!イザベラの部屋で何か移送系の魔力が働いたのを感知したのですが、私達が部屋に入った時には既に姿が消えていて、部屋の中央には・・・・こ、これが」

 

「えっ・・・・まさか、その記事を読んで頭に来たとか?」

 

「それは、否定・・・・いえどちらかわかりませんが?問題は何の魔方陣の準備もしてないのに唐突にやったとしか思えない事です!」

 

 その場にいる者達は理解した。

 

 レイヴェルが出したのは自分達も驚かされたゴシップ記事。

 

 見ていた者の大半は理解している。

 

 イザベラのシオンへの想いはかなりの度合いで、言ったような流れで飛び出す可能性はあるのだが、何の準備も無しで自力でいきなり?イザベラはそんな器用な事は出来ないハズと考えた瞬間にシトリー眷属側は思い当たる事があった。イザベラの異常なレベルアップは唐突な類いで、自分ですら何故そうなれたか理解出来ていなそうに見えた。つまり、また何かがイザベラに起きた可能性があると考えてしまったのだ。

 

「とにかく、落ち着いてイザベラさんが向かった場所を探しましょう・・・・貴女がここに来たと言う事は、貴女はシオン君とイングヴィルドさんが冥界に行った事は知らないようですね?」

 

「冥界に?は、はい・・・・」

 

「と言う事はイザベラさんは・・人間界に来てるとしたら学園に来てはいないから・・・・他に候補地は・・・・っ、シオン君のマンション?ロスヴァイセさんに連絡をしてみましょう」

 

 ソーナはスマホでロスヴァイセに連絡を取り始めた。次の騒乱が始まったのかと皆が緊張感を増していた。

 

 

 

 

 

 のだが?

 

 

 

 

 

冥界。

 

 ヴェネラナから渡されたメモを頼りに目的地に向かったシオンとイングヴィルドではあるが?

 

「ふむ、この山か?」

 

「はい、書かれてるように登山にもならないのどかなものですね?」

 

「うん、これじゃウォーキング?でやれる範囲だよ」

 

 二名には唐突に現れたイザベラがそのまま同行していた。事情を聞いて、丁度良いからとの案である・・・・特にイングヴィルドは自分より早くイザベラが『アレ』を見た事を本能で悟っていたのだ。

 

 そのまま、田舎にあるような緑の多い場の山とも言えない場所の道に三名で入って行った。

 

 イザベラは何故か転移してしまったので、帰るべきかと考えたが、自分自身も先週末の自分の異常なレベルアップの真相を気にして、フェニックス家の方々には申し訳ないが後回しにした方が良いと判断していた。脳筋に分類されるのは良いが世間の事くらいは知るべきと読んでいたゴシップ記事に載っていた事について、先日同様に読んでいただけで二名にはやましい事は無いとしてしまえる自分に起きた事を知りたかったからだ。

 

(・・・・それに、イングヴィルド嬢と共闘した私は記事に書いてある事を聞いていると判断されるだろう、事実だがはともかく?何故か転送してしまった事の説明は出来ないから今は打算的な事を含めてこのままが良い)

 

出来ればイングヴィルドと同じ者を・・・・現在唯一の存在であるイザベラを二名に同行させてあげたかったヴェネラナの願望は思わぬ形で、他の事はどこ吹く風に実現したのであるが、それを知れなかったのは幸運か否かだった。




よしよし、落ち着いて相手に何をして欲しいか言ってみ?と、誰かリアス嬢に言ってやれんものかのう?

何かとんでもねえ答えが出る展開はねえハズだしな・・・・多分。
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