ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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何かが始まる回。


真相の一旦

「千の強さに続くのは優しさ~~♪♪でしたっけねえ?現実はどうなるかは知りません」

 

 ぼやきのような歌?を口ずさみ、吹雪の止まない山中を歩くのは南極や北極の魔境を旅する典型姿なビナー・レスザン、最近は都合上で人間界での学校付近にばかり滞在したものだから以前のように東奔西走が懐かしく思っていたのだ。

 

『知人の墓参り』

 

 それくらいはしたいとして外に出たが、墓場に秘密を持って行った相手では文句言いに行くが正しいだろう・・・・知る手段はまだ整っていないのだ。

 

「何やら、今回のと似たようなのだと?吹雪とは無縁な山中深くですが・・・・ここは凍ってますがね」

 

 ぼやくビナーの周りには、はぐれと思わしき悪魔が三体集まっていた。顔を見て無反応は自分か姉を知らないのか?と思ったが、それも新鮮と呑気に構えていたが。

 

「娘さん?ここをどこか知らんのかね?」

 

「ノー・コメントで、通して頂けません?」

 

「ここは何代か前の二天龍の縁の地でね、物騒な悪霊とかが集まって厄介なのさ、娘さんみたいのを行かせるわけにはいかんな」

 

「心配してくれますか?心苦しいですが、行かなくてはなりません、何かあっても自分の責任ですから」

 

「それは、ご立派・・・・ですが、そうはいかんなあ?久方ぶりの女の肉だ・・・・鍋にして楽しい一時を過ごしてやるぜ!お前が行くのは俺様達の腹の中だっ!」

 

 ビナーは、くすっと笑ってしまう、同族喰いと対面は久し振りだが、殺気すら隠さないままでは騙し討ちも不可能だ。美味しい食事は皆で楽しくをモットーにすれば良いワケではない。

 

「生憎、消化に悪い身です」

 

 そう呟きながらビナーの身体が微かに光ったと思った瞬間、ビナーを包囲する悪魔達の身体には凄まじい負荷が掛かり、理解できないままビナーの肩辺りが動いたと思ったら、はぐれ達は身体中が全身がズタズタにされて、息をしているのは辛うじて繋がった箇所だらけになった一名だけであった。

 

「ふふ・・・・隠れ蓑に自分達の目までが眩み、本来は?それにとって一番恐ろしい私を知らないか忘れるかだったようですね」

 

 フードの中から見えたビナーの眼光から、突然自分達の身体の掛かった負荷の真相に思い当たるところがあったのか、見下ろされた者の目には絶望しかなかった。

 

「なっ・・・・ま、さか・・・・お、前・・・・」

 

グジャッ!

 

 嫌な音が吹雪の中に響いて、はぐれ悪魔の頭はビナーの右足に踏み潰された。久々の対面に無断はご免であったのだ。

 

「・・・・ふむ、無駄足にはなりませんが・・・・足技の無駄は縁起が悪いか否かですね」

 

 彼女を知る者からしたら、相変わらず微妙にズレた思考をしたがる傾向としか言いようは無いであろうが、目的を知っていたら止めるべきであったのだ。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 駒王学園生徒会室。

 

 戻って来た木場佑斗と搭城小猫には待ち構えていた皆からの視線が集まっていた。

 

 ロスヴァイセに連絡は取れたが、イザベラは訪ねて来てはいないと返されたので次の疑問に取り掛かった。

 

 シオンとイングヴィルドの関係を取り上げたゴシップ記事の真相、内容はサイラオーグの滞在場付近での戦闘開始前に旧魔王派の中に眠りの病に掛かる前のイングヴィルドを知っていた者達が驚愕して歩み寄ってからのやり取りであり実際にそれがあったのは居合わせた二名が真実と答えたが、次はそれ等を黙っていた事についてだ。

 

 木場は、サイラオーグが悪く言えば病床の身内を引き合いにした取り引きを多少警戒する程度で引き受けたのはシオンから渡されたものを見たのが理由としていた。

 

 生い立ちからして裏ではどうなっているかにしても?仮にも72柱の序列1位たるバアル家の党首をそうできるものがシオンに渡されていた事と、自分達と同じくイングヴィルドの素性を聞いたサイラオーグが口を挟まなかった真相を警戒して先送りにしていたとした。

 

 次にイングヴィルドを迂闊に刺激して彼女の力を暴走させでもしたらシオンが危険だったと釈明した・・・・これはサイラオーグの執事からの提案である・・・・詳細をどれだけ把握しているかは知らないが、リアスに対してはそれで通用してしまうだろうとしての案だ。

 

 

『懐疑的なのでしょう?』

 

 

 そう、イングヴィルドの力すらシオンには通用しないのは目の当たりにしているが・・・・自分達が目の当たりにした違和感はそれすら疑って掛かるべきと判断している。

 

 血筋だけでなく、素で魔王級と推測される魔力を秘めている存在の力・・・・聞いた限りで能力が海を操る特徴を持つだけでも驚異だが、龍に影響を多大に与えられる等、今のどこかおかしいシオンには注意が必要だからとして・・・・それにはヴリトラを宿す匙を眷属にしているソーナも他人事ではない。

 

「確かに、注意が必要ですね・・・・シオン君がどうやってイングヴィルドさんを最低で3ヶ月も匿ってられたかと考えたら、それだけで只事ではありません」

 

 実際は約一年であるが、それを知るのは生徒会室に集まった者達の中では小猫のみだ。その小猫は黒歌から聞いた事が原因で俯いたままであるが、ただ黙っているだけではいけない・・・・かといって取り返しが付かなくなってはと頭を悩ませていたが?

 

「とにかく、旧魔王派に属する者達からしたイングヴィルドさんは自分達が担ぎ上げるのに都合が良いでしょうね正当なレヴィアタンの血筋の女性悪魔なのですから」

 

「待って下さい!」

 

 ハッとした小猫が思わず声をあげた。少し記事を読んだだけの木場と小猫は何か引っ掛かるものがあったが、頭を悩ませていた小猫が先に気付いた。

 

 そう、血統と純血悪魔至上主義としてだけで今の政権とは相容れない旧魔王派からしたらイングヴィルドは神輿としては申し分ないとされて話が進もうとした時だ。

 

「雑誌には書いてないのですか?イングヴィルドさんは確かに、レヴィアタンの血を引いていると本人も言ってましたが?純血ではなく人間との混血です」

 

 木場は思い出したように、それ以外は話題にしようとした前提が崩れて目を丸くした。

 

 そして、小猫は話した。内容はシオンがサイラオーグの滞在場に向かう時に何処からか連れて来たとしたものから始めた。一年も同棲した事を隠すものとしての考えを入れてからのだものだが、レヴィアタンの血筋云々に関してはイングヴィルドに歩み寄った旧魔王派が喋り出した時に初めて聞いたとしている。

 

 それによると人間との混血であるとして、眠りの病に掛かる前はかなりの迫害を受けていたとされるもの・・・・思い返せば、あの者達は血統主義には違いないがイングヴィルドを人間との混血関係無くどころか、彼女の境遇を救えなかった自分達を恥じるような人格であり、シオンですらコメントに困る在り方をしていた。これにはリアスにソーナすら言葉が無い、だからこそイングヴィルドは水と氷の魔力で作った弾丸で彼等の手足を撃ち抜くだけに留めたのかもしれない。

 

「つまり、状況を整理すると?この雑誌に書いてある事がどう漏れたか確定はしてないけど、『意図的』にそれを削った可能性がある?」

 

「確かに、単なるスクープではなく何か策謀がありそうっすね?第一、こんな記事載せたら雑誌出版してる側に対して冥界の上層部が只じゃ済まさないハズだぜ」

 

「これは危険ですね?シオン君の契約者を頼るかはさておき?この件をシオン君に相談する必要は出来ましたね、とにかく連絡を取れるかを確認したいから、先ずロスヴァイセさんに連絡をするべきです」

 

 真羅の提案にソーナが再度スマホで連絡を取ろうとしたが?

 

「え?通信障害・・・・」

 

「此方もです」

 

「あら、私のも?」

 

 全員である。そして扉が開いて?皆の注目が集まった。

 

「ぶ、部長~~っ」

 

 入って来たのは、ギャスパーであった。アーシアも同行している。

 

 改めて、以前に何かのサイバーテロらしき事を仕掛けられたりを含めてパソコンで情報を整理しようとしたギャスパーであるが、数分前から全国規模で携帯やネットの障害が出始めているとテレビではニュースが始まっていた。通常のとは違う自分達のもと考えたら何かの策謀か?と全員が思い始めていた。

 

 これが、黒歌の言った事・・・・間が悪くて役に立てるチャンスを逃した云々の『真相の一旦』であった。仮に小猫か木場が仕事に出向かずに真っ先にゴシップ記事を読めば行動が遅れる事は無かったであろうが、後の祭りであった。




こういう場合?誰かがやったとか言い出したら、誰かって誰?とか言い出すのがいるが?それがわからないから誰かとか言ってるハズだがのう?

お前にそう言われなかったのは、俺らの作者のミスだとしても幸運として良いかどうかわかんねえよ
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