ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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試練開始です。


善意

『携帯とパソコン』

 

 今の人間社会では、それがいきなり使えなくなる事態は深刻である。

 

 悪魔である自分達も活用しているからわかる。

 

 問題は、転送系の手段が不安定にされている最近では携帯を使えなくなると冥界へはともかく今の自分達で言えば、ロスヴァイセやロイガンにビナーとの連絡手段がほぼ封じられた事だ。シオンがいれば状況を感知してくれるかもしれないが・・・・と考えてしまって、ソーナは真っ先に否定した。非常時には無い物ねだりよりも自分達の現状でどう打開策を練るかをやらなければならない。

 

 これは、セラフォルーと知らない契約者がシオンを介してソーナに叩き込んだ事だ。

 

 リアスと朱乃がゴシップ記事の動揺が取れてない今はソーナが場を仕切る流れであった。

 

「状況をまとめます。携帯やネットが使えなくなっているのは、人間側だけのトラブルではなく、また何処かの勢力が動き出したとしのなら?狙いは私達かもしれません、丁度私達の中において戦闘力で上から三名が不在ですから絶好の機会でもあります」

 

 そう、確かに何かをするなら絶好の機会であるが狙いがわからない、かと言ってこの場に留まるだけでは・・・・と、思った時である。

 

 カランと、後ろから音がして皆が振り返ったら其処にはドロップ缶が転がっていた。何故このような場に?と疑問に思ったが、このドロップ缶に覚えがある者が反応した。

 

「これ・・・・ロスヴァイセさんのですっ」

 

「小猫?・・・・どういう事?何故、わかるの?」

 

「え・・・・と」

 

 リアスの意見は尤もだ。転がったドロップ缶は人間界では有名なメーカーのもので何故ロスヴァイセのとわかるのかと。

 

 小猫はそれを全て明かすのは勿論止めた。ロスヴァイセがシオンの部屋を訪ねた理由は彼女がオーディンに誘導されたのだと聞いた事まではともかく、次からの事は話さないようにと。

 

 ドロップ缶の中にロスヴァイセが以前書いた論文の一部をドロップ大のサイズの宝玉にコピーした物を紛れ込ませてシオンに見せようとしたのが目的だった事。

 

 それの重要さはイングヴィルドを旧魔王派の血を引いていて一年も自分が保護していた事を明かしながら紹介してしまう程のものだと目の当たりにした事。

 

 それらを除けば、どう言えば良いのか?

 

 そして、ロスヴァイセが怨恨を込めつつ酔っぱらってグダを巻いた時に喚いていた事に抜けてた部分があるのを思い出したので、その辺りを使って答えた。小猫が話さないでいる事まで漏らさなかったのは仮にも北欧のヴァルキリーは伊達ではないとでも言うべきとして?

 

 

 

 

ロスヴァイセが日本に置き去りにされたのは、オーディンがあの缶を購入して中身を一つ分けてもらって感激してた隙を突かれてからの流れだった辺りだけを話して周りは納得してくれたが暗い空気になってしまう、不遇振りにやるせなくなった。思えばリアスやソーナは上司としてはオーディンや教会側の下っ端が羨む要素が多いのだと小猫は再認識した。

 

 

 

 

 そして、ドロップ缶だけこの場に移送されたのは何故なのか?と皆が考え始めた時である。

 

 アーシアの持っていた箱から黄金のオーラが立ち登って、ドロップ缶を包んだ。何事か?と全員が思ったら、ドロップ缶が転移して窓の外で花火となった。先週末の戦いでビナーと一緒に学園に残っていた側は思い当たった・・・・あのドロップ缶は恐らくディオドラの歯に仕込まれたのと同じ爆弾である。それがビナーがやったように処理されたのだ。

 

「アーシア・・・・それは、何?」

 

「わ、わかりません・・・・桐生さんから頂いたのですが」

 

「桐生?確かアーシアちゃんの・・・・クラ、スメートですわね・・それが何故?」

 

「はい、桐生さ・・・・んっ・・・・!」

 

 朱乃の少し仕方無い娘相手への感情を含めてしまった声色に少し遅れで気付いたアーシアは青ざめた。

 

 言ってしまった・・・・藍華からは自分の事を黙っていて欲しい等とは頼まれていない、だが不用意に言って良いのかという問題があった。下手をしたら、藍華が後で何かの危険に巻き込まれるキッカケとなりかねない。

 

 これでは、シオンに釘を刺された時と同じだと気付いたが、そんなアーシアの心情を察したのはリアスであった。

 

「アーシア・・・・桐生さんの名を出しちゃった事は確かに失敗だけど、今はドロップ缶を爆弾みたいにして移送して来たのは誰かを考えるのとその箱の中身を考えるのが先決よ?」

 

「は、はいっ・・・・」

 

 目を見てわかった。リアスも不用意に何かに手を出したのがシオンにした事に繋がったのを気にし続けていたのも本人から聞かされていた。そんな二名の内心を察したソーナが話題を移してくれた。

 

「ロスヴァイセさんがやったとは思いたくないけど、確認は必要ですね・・・・匙?学校の固定電話でシオン君の部屋に繋がるかを確認して来て下さい、それから残っている一般生徒の確認を誰かに・・・・」

 

「そうね、佑斗?そっちは頼むわ・・・・念の為に何名か付いてって」

 

 匙が職員室に向かい、木場と真羅が一般生徒への対処を任されシトリー眷属が分散して各組に同行・・・・生徒会室に残ったのは木場を除いたグレモリー眷属とソーナにレイヴェルのみになった。これからどうなるのかの不安で汗が滲む程だが、そのせいでアーシアは『ある事』に気付いた・・・・が?

 

(な・・・・何で?わ、私・・・・え、えええ?)

 

 周りを見渡すと、ギャスパーがいるのが問題である。仮にも男性なのだからとして、アーシアは涙目になる。

 

(私・・・・どう、したら・・はうう・・・・シオンさああん・・・・)

 

 その時である。

 

(・・・・?)

 

 違和感があったと思ったら、リアスとギャスパーが危機感を出した表情で窓を見据えているだけではなく、全員が部屋の隅に移動していたと認識した。何事かと思ったら、部屋の中央、自分達のいた辺りと窓に無数の小さな穴が空いていた。

 

「リアス?これは・・・・」

 

「説明は後よ!待避するの!」

 

 そう言って、リアスは滅びの力を込めた手を壁に当てて穴を開け、隣の部屋に続く通路を作った。普通に生徒会室の外に出るのは危険とした判断だ。

 

「外からの狙撃ね、ギャスパーが咄嗟に時間を停めてくれたのよ・・・・何かの呪いか魔力が込められた弾丸だったから気付いたみたいね」

 

 避難しながら状況を説明され、事態を察した朱乃にソーナが周りを確認して逃走経路を探し始め、ギャスパーも周りを警戒し始めた・・・・ここにいては危険だ。

 

 そして、皆が少し自分達から離れた時である。

 

「アーシア?」

 

 リアスがアーシアの耳元で他に聞こえないように囁いて確認し始めた。

 

「私・・・・事情は知らないけど、もしかしてさっきの箱のせい?」

 

「~~っ!」

 

 アーシアは涙目になりながら素直に頷くしかなかった。そう、ギャスパーが時間を停めた間に他を隅に動かす時にアーシアを引っ張りながら移動したギャスパーの方を向いた時に、体勢が傾いていたせいで・・・・見えてしまった。

 

『スカートの中に?本来、あるべきものが無い』

 

 アーシアはそういう趣味は無いハズだし、着替えを忘れとかはあるだろうが・・・・と考えても出た結論はそれである。

 

「リアス・・・・お姉、さまぁぁ・・・・」

 

「だ、大丈夫よっ!私が守るから!」

 

 真相はともかく、アーシアは何故か消えたそれのせいで生じる心配と言う場違いな危険が発生していた。

 

 そう、今のアーシアは・・・・?

 

 何故か『ノーパン』となっていたのだ。

 

 

『ノーパン』

 

 

『ノーパン』

 

 

『ノーパン』

 

 

 重要な事が繰り返し響く中、必死に当面の襲撃の方の危機に向き合うべく頭を切り替えようとしたアーシアである。

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 

 所変わって、堕天使総督府。

 

 レイナーレ達を出迎えたアザゼルは最初の確認を取っていた。

 

「はい、例のものは桐生藍華に託しました。恐らく既に高確率でアーシア・アルジェントに渡しているハズです」

 

「ご苦労さん、アレは使いどこが難しくなっちまってるけど?アーシア・アルジェントなら何とか使いこなせるかもしれねえしな」

 

 アザゼルなりに自分達の不祥事の穴埋めの為に動いて『善意』での横流し品を提供したが、あまりにも相性が良すぎたという結果が早速出ていたとは知る術は無かった。




因みにアーシアは暫くノーパンです。

んなわけねえ・・・・っ・・・・ハズだよな?

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