ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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 情報絡みな回。


夕焼け小焼けの赤

 情報はどこから漏れるかはわからないが、それを狙うにも一番厄介な者が居ては寧ろ危険。

 

 だが、一番厄介な者が去った後はどうか?

 

 例えば、何かの品を買ったり持ち歩いていたりした場合は?

 

 オーディンが日本に出向いた際に立ち寄った店を徹底的に調べ、ありふれた物を購入しただけでも突破口にはなると思った結論が学園に移送させたものと、近くに構えた自分達であったのだが移送したドロップ缶に仕込んだ爆弾は何故か外で花火みたいに爆発した。

 

 次に窓から見えた現魔王の妹達を長距離から狙撃組が攻撃したが、いつの間にか彼女達は消えた。違和感と情報からギャスパー・ヴラディが時間を停めたのか?と思った。狙撃組からしたら、ギャスパーがある程度神器を使う覚悟をした情報は無かったのでやむ無しと言えるが、揺さぶりには成功したハズで、一旦は撤収を決めた直後に狙撃組との連絡は途絶えた。姿を確認したロイガンの眷属達に捕らえられた事はまだ知る由が無かった。

 

「おのれ、想像以上だというのかっ?」

 

 状況を遠く離れた場で観察していた者は悪態を付く他は無かった。今は小技を仕掛けるしかないのだがグレモリー眷属の何名かだけでも連携が取れてないが個々の能力が上がってはいる。

 

「オーディンめっ!何故ロスヴァイセを赤龍帝に遠回しに近付けたかは知らぬがっ、いずれ目にものを見せてくれるっ」

 

 流石にロスヴァイセの論文の一部を回したまでは知らない以上はどうにもならない、知っていたしても何故シオン相手にそうしたかまでは見抜きようもない。

 

 オーディンが知れば視野狭窄に陥った者が私怨を優先させていると気付かないままに動いていたら真実に辿り着くような結果に繋がるには誉められた形ではないが突破力が余りにも足らないのだと嘆息したであろう。

 

 シオンに言わせたら、倒したい相手は名前は同じでも世界を焼き付くす力を秘めた宝玉に目が眩み、それと同じ四宝の一角であると同時に自分の愛用する武器を御する力すら鈍らせた愚神とは違うだろと呆れるだろう。

 

 『悪神ロキ』はキッカケが掴めずに迷走の一歩目を踏み出したのだ。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 夕暮れの中、校舎裏に既存メンバーが集まっていた。

 

『直接行くしかない』

 

 謎の爆弾移送から狙撃の次を警戒していたリアス達だが、一向に来ない。そして、固定電話もやはり通じない。

 

 一般生徒へは被害は出てないし、自分達以外に事情を知る関係者に任せるとして、ロスヴァイセの仕業ではない場合、そう確認出来た後にシオンと連絡が取れるかを相談するのを決めた。

 

 自分と眷属がシオンのマンションに向かって、ソーナ達とレイヴェルには万一に備えて学園に残ってもらおうと提案したリアスだが?

 

「私は反対ですわ」

 

 レイヴェルが待ったを掛けた。

 

 理由を聞こうとしたリアスではあるが、レイヴェルの目は厳しいものがあった。

 

「率直に言いますわ、リアス様がシオン様に関わるのは危険です」

 

 驚きの色が周囲に広がり、反論しようとしたが朱乃に止められたアーシア以外は誰も即座に否定は出来なかった。シオンと関わり出してからのリアスは秘密を抱える以上に危険とすべきな形で力を増大しているし、木場やギャスパーを始めとして『目撃』している者達からしたら明らかにシオンに何かの影響を出している。

 

「言われても仕方無いけど、今は非常時のハズよ?私をシオンに近付かせない事がそれより重要な事だとでも?」

 

「はい」

 

 即答だ。そして、レイヴェルは何かの手紙かメモらしき物をリアスに差し出す。

 

「何、これ?・・・・っ!?」

 

 リアスはレイヴェルの差し出したものに書いてあった内容に顔を青くしたが、それは燃えてしまった。そういう仕掛けをしたものだ。

 

 何事かと周りの目が向くが、レイヴェルは気にせずにリアスを見据えている図で、小猫は察した。レイヴェルは恐らく真相に近付いたて、燃えたメモに書いてリアスにだけ告げたのだ。

 

「リアス様・・・・恐らく、冥界でシオン様は何らかの手段は講じられてくる。尤も、本人ではなく周りがキッカケでしょう・・・・だから、今は駄目です」

 

 自分が見抜けたからには例えば自分の母やそれなりの者がシオンと対面したらどうなるかと先日のサイラオーグの時に感じられなかった未熟さを悔やんでいたからこその言い方、只し、セラフォルーとドライグが知ったらレイヴェルを歓迎してくれるだろう域に入れた事は知りようがないだけだ。

 

「ですからっ・・・・私はっ!」

 

「黙れ焼き鳥」

 

「や、焼き鳥?」

 

「部長を悪く言うのはわかるけど、それは私心だ」

 

『私心』

 

 小猫からのあんまりな言い方に頭に血が昇るレイヴェルはそれである程度は調子を戻した。言われたようにシオンにした仕打ちをある程度把握した事への『怒り』でリアスを咎めたい部分があるのは事実だ。

 

「それに、シオン先輩にはまだ大きな問題がある・・・・っ、先輩は・・・・近い内に『白龍皇』と本格的に関わる事になる」

 

『白龍皇』

 

 言わずと知れた赤龍帝の宿敵だ。だが、今代のは確認されてはいない・・・・そもそも、神滅具にされて以来の歴代の二天龍は宿主を介した戦いを繰り広げてはいるが、出会わずに終わる例があるのはある程度知られているが、何故唐突にそう言い出したか?

 

 聞き出そうにも、周りは気付かない内に『本来の力が漏れていた』小猫の異様な迫力に気圧されていた。小猫にすれば姉に忠告された事が根拠ではあるのだが、レイヴェルも引けない理由がある。

 

「何か知ったようですわね?わざわざ白龍皇の名を出すとは・・・・けど、リアス様を不用意にシオン様に近付けてはならない事に異を唱える理由にはなるのですか?白龍皇は今世では未確認ですが、もしも存在した場合の可能性を考えて・・・・安易な考えですが、シオン様と互角の強さとした場合は・・・・ビナー様とコカビエルの戦いのように少なくともこの場にいる全員は最初から距離を置くようにするのが正解ですわよ?」

 

 そう、リアスをシオンから引き離すのは一理ある手段だが、レイヴェルが述べるような事に対してまでに反論する理由になるのだろうか?と、言う流れになった。シオンとまだ見ぬ白龍皇の戦いが言うようにレベルが違う戦いになり、リアス達が傍にいただけで味方側の邪魔になる可能性があるのだ。だとしたらと言う意見には小猫も即座に反論は出来なかった。

 

 只し、小猫が知った事を信じる場合は?仮に戦うとしたら今のどこかおかしくなる前のシオンですら到底勝ち目は無く、全力で逃げるべきとした際に足並みが揃わないだろうから二名が距離を取る案には戦う以前の問題として否定が出来ないと言う類いからのものだが。

 

 取り敢えずペースを握ったレイヴェルは、問うべき事を問うた。

 

「そうですわ、搭城小猫さん?貴女わざわざ白龍皇の名を出したと言う事は白龍皇について、何か知ったのではないのですか?」

 

 確信を突いたレイヴェルに対して小猫は、周りを見渡した。

 

 リアスを除けば、サイラオーグ達程に確信に近付いていないし『総合的』に劣る者達ばかりならば、問題は無いかもしれない、悔しい事だが?『知られても相手はにされない』・・・・ならばとして。

 

「はい、私は・・・・『白龍皇が誰かを教えてもらいました』」

 

 全員が驚愕の表情を浮かべた。小猫は周りを見渡して『敵側』の目と耳が無いのを確認してその名を告げるべく口を開いた・・・・その時。

 

 

 ブシャッ!

 

 

 嫌な音が『小猫の内部から』響いた。

 

 小猫の身体は服の下の胸部から腹部辺りの数ヶ所から血が吹き出して服と身体中を赤く染めていた。当人とそれ以外も悲鳴すらあげられずにいる中で小猫が夕焼けの中に倒れ伏して血の海が広がっていった。




 次回、ラスボスに血涙の?

 人を縛り付けてまで適当な事言ってんじゃねえ!まだラスボスじゃねえよ!

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