ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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念の為に、細部は改編の賜物とかで。


黄金の試練

 リアスは、あのマンションでの戦いで以前までの自分ならば到底敵わなかった五名を倒した後に悪そのものな形で得た力と向き合わなければならない必要が出来た。

 

 シオンに促された事をやる為に、自分を鼓舞する為でもあるが故に意識を改革しようとしても精々が並大抵くらいなら何とかなるかもしれない程度で、それすら強がりの域を出ないと卑下していた。

 

 それは決して間違った事ではいない。

 

 本当の意味で向き合って使いこなそうとしたところで使いこなせる保証は無い、そもそも3日も眠って目覚めたばかりだ。生半可ではコカビエルをビナーに任せっきりにした時にさえ及ばないであろう為に現状を比較的把握出来てはいる。

 

 しかし、並大抵くらいなら何とかなるかもしれないという考えを僅かにでもしたのは間違いだった。そもそもリアスは自分が他勢力からは決して低くは見られてはいない現実が理解出来ていなかったのだ。従って並大抵な手段は最早来ない。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 

 リアスは落ち着いた小猫と一緒に部室に戻るべく歩いていた・・・・その途中、あの桜の木を見た・・・・やはり気にしてしまう場だからとしか考えてなかったからアーシアがいたのは驚いてしまった・・・・アーシアが、何故か立ちずさんでいたので何事かと近寄ったが、近付いたら言葉を失ってしまった。

 

 ただ生気を失ったような顔色で目は虚ろで、良く見ると頬には涙が流れた跡もある・・・・ディオドラの事を調べた時でもここまでひどくはなかった・・・・何が起きたのかを聞こうとして、近付いたが?

 

バシュッ

 

 小さいが、強力なオーラに弾き飛ばしされたリアスを小猫が受け止めてくれた。それでも十メートルは後方に飛ばされ、受け止めてくれたのか小猫クラスのパワーがなければ、その程度では無かった弾かれ方だから直ぐには動けないダメージがあった。

 

「こ、これは?」

 

 黄金のオーラがアーシアから発せられた。

 

 アレは、夕方にドロップ缶に偽装された爆弾が移送されて来た時に外に飛ばし、花火に見せかけて爆発させてくれた時と同じ気配を感じたが、その内にオーラは龍を象った。翼の無い金色の鱗の龍、その龍はリアスを見据えて怒りとも悲しみとも取れる色をした目を向けた。

 

「ぶ、部長?周りが何か結界が張られたようになっています」

 

 小猫が言うように、周囲にはこの辺りを中心に結界が張られている。ビナーが校内で悪魔爆弾にされた者達と戦った時のようなものだが種類が違うとした時に、龍が語りかけて来た。

 

「お前が、リアス・グレモリーか?」

 

「そうよ、貴方は?」

 

「俺様・・・・ファーブニル・・・・黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)ファーブニル・・・・」

 

「っ、何です・・・・ってっ!?」

 

 重々しい声で何故か名指しで呼ばれたリアスは思わず正直に答えるくらいに戦慄していた。

 

『ファーブニル』

 

 五大龍王の一角・・・・宝を集めるコレクターのような趣味を持つ龍・・・・北欧の魔剣において特に有名なグラムで滅ぼされたと聞いているが、何故そのような存在が?と。

 

「俺様、仲介?をされて・・・・そこの・・・・アーシアのところに来た」

 

 ファーブニルの言葉とオーラに心当たりが浮かんだ。まさか、あの箱の中身?赤龍帝の籠手のように何かの神器となってと。

 

「アーシア、良い子・・・・とても暖かくて優しい魔力で・・・・俺様、気に入った」

 

「気に入った?・・・・いえ、それよりもアーシアは・・・・アーシアはどうしたの?何があったか教えて!・・・・っ、お願いだから・・・・」

 

 ファーブニルと小猫はリアスの目に涙が滲んでいるのを見た。

 

 アーシアはリアスにとっては、シオンに勝るとも劣らない心の支えである。お互いの心情を幾らか打ち明けてから短期間だが、何かに縋らなければ悪夢を見る夜が怖くて壊れてしまいそうだった自分を受け止めてくれたからだ。そのアーシアがあんな状態になっているのが耐えられないのだ。

 

「アーシア、壊れそうになってる」

 

『壊れそうに』?

 

 何故?・・・・何故なの?と問おうとしたリアスにファーブニルは無慈悲に告げた。

 

「・・・・アーシア、怖いものを見た。見せたのは誰かは教えられない・・・・」

 

「何ですって・・・・?

 

『怖いもの』

 

何を見たと言うの?

 

誰が見せたかを教えられないですって!?」

 

 先ずはアーシアが何を見たのか問い質したリアスだが、そして、周囲の景色が歪んで落ち着いたと思ったら?周りは何も無い空間となり、アーシアのいた辺りから数メートル先からは何か荘厳なオーラが立ち上っていた。

 

「このオーラは、部長・・・・部、長?」

 

 小猫はこのオーラに何となく覚えがあった。そして、リアスにとっては忘れようが無いものである。

 

 身体をガクガク震わせ、膝から崩れ落ちて頭を抱えてしまうリアス、小猫も屈んでリアスの表情を見たが、言葉を失った。

 

 怯えている。

 

 何かを悟り、涙をポロポロと流して、それを受け入れまいとしている・・・・小猫には、まるで先程の自分・・・・いや、姉に捨てられた時の自分が現実を受け入れられてなかった段階の自分を彷彿させるものだと見えた。

 

 リアスは悟っていた。

 

『怖いもの』

 

『自分が良く覚えているオーラ』

 

 答えは出た。アーシアの見たものとは?

 

 此処には小猫もいる。知られてしまう、アーシアだけではなく小猫にも、と。だが、その絶望は杞憂に終わる。

 

 周りは元に戻り、ファーブニルはあるがままを伝えた。

 

「俺様・・・・赤龍帝があのオーラを出した後の事は見れなかった。お前は何か知ってるか?」

 

『見られてはいない』

 

 ファーブニルに見られてはいないのが、リアスには皮肉にしか感じられなかった。アーシアに知られただけでも死にたくなってしまうとした時?

 

 

『俺も共犯です』

 

『それなりにやって下さい?』

 

 

(・・・・違う!絶対に違う!それでは以前と変わらないわ!)

 

 シオンの言葉を思い出したリアスは、立ち上がってファーブニルを見据えた。気圧されている暇すら無いのだからと、必死に睨み付ける。

 

「貴方があのオーラを見たところまでは理解したわ!貴方は私に何を要求するの?」

 

「俺様はあのオーラの正体を知ってる・・・・だけど、今の俺様では丁度お前と一緒に歩いていたのが猫又だったから、その娘を頼るしか手が無い・・・・」

 

「・・・・っ!」

 

 リアスは、シオンのオーラの事を知っているのも驚いたが。

 

『猫又』

 

 その言葉で小猫の事をわかっていると理解しているのも驚かされた。五大龍王の一角なだけはあり、看破しているようだと。

 

 しかし、小猫はまだ力を使う以前の問題だ。皮肉な事にシオンとの一件で得た力を使いこなす自信が無いせいで以前よりわかるようになった事だが、今は関係無かった。

 

「貴方の意図は後で良いわ!アーシアを目覚めさせる手段は無いの?」

 

 そう、アーシアを目覚めさせなければならないのだ。自分をどう罵ってくれても良いけど、あのままにするワケにはいかないとするリアスをファーブニルはジッとリアスを見据えた。彼は真相をある程度推測は出来ていたのだ。だから?

 

「では、戦え」

 

 そう言って、ファーブニルから新たに飛び出した黄金のオーラが二者の間に集まり、凝縮されて現れたのは?

 

「・・・・リアス・グレモリー・・・・っ!」

 

 黄金の鎧・・・・仮にファーブニルと契約し、鍛練と『徳』を積んだ末に禁手で至るであろう域・・・・それだけではなく神でもなければ出来ない偉業によりドラゴン達の間で『龍の巫女』とまで唄われた世界線なアーシアを擬似的に、今のリアスには最悪の形で再現した姿であった。




リアス嬢は強くなる者の目にはまだなれてない。

時間がまだ足りてないしな、つか性格どころか声すら変わるのと一緒にすんな。
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