ゆるふわ系美少女はGBNで闇のトップに伸し上がる 作:ナナシのG愛好家
自分のガンプラを読み込み、オンライン仮想区間内でそれを使って勝負する。
そんなVRゲームガンプラバトルネクサスオンライン。通称GBNのステージの草原で、二基のモビルスーツが飛び回いた。いや、空中戦を繰り広げていた。
「やるなぁ、音久叉洲のリーダーは伊達じぇねぇってか!?」
そうほえる、鬼のような牙と角の生えたアバターの機体は、GP-02サイサリスをモデルにした、疑似太陽炉搭載型のモビルスーツ。実力の高い最強クラスのフォース【百鬼】のリーダー、オーガの駆る、GP-羅刹だ。羅刹のヒートサーベルと、両刃の大鎌をぶつけあう黒とワインレッドのモビルスーツ。ネクストリームガンダムヴィシャスを改修したN-EXAS ガンダム・バハムート。それを駆るのは、ヴィシャスのパイロット、バルカ・ニルそっくりのアバター。
「そっちこそ、俺の料理がお気に召すようだな、グルメ野郎!!」
そう叫ぶ男の名は、ドラゴ。半グレフォースとも呼ばれる他フォースへの戦力貸し出しや護衛などを行うフォース、【
戦闘は終盤。お互いの機体にはところどころに傷がついている。
「そろそろ決めるかァ、鬼トランザム!!」
GP-羅刹が赤く輝く。
「面白れぇ。吼えろ、バハムート!!」
バハムートのワインレッドのパーツも、淡い光を帯びた。二本ヒートソードと双刃の大鎌がぶつかり合う。
それぞれの獲物をぶつけあいながら宙をかける二体のモビルスーツいや、そこには、鬼と竜がいた。そう表現するにふさわしいほどふさわしい、超高速の肉弾戦。
「取った!!」
「甘ェ!!」
すかさず背後を取った羅刹。だが、バハムートを竜型の【ドラゴンモード】に変形させていたドラゴは、とあるコマンドを選択する。その瞬間、バハムートが
「ぐおっ!?」
「そこだっ!!」
そのまま体勢を崩した羅刹から距離を取り、炎を放つ。
「チッ!!」
それを回避したオーガは、羅刹を地面に一旦着地させる。
「ウラァ!!」
「そらよっ!!」
着地ざまに放たれた羅刹のビームを、ドラゴはテイルロッドから放たれるビームで相殺する。
「これで、終わりにするぞ!!」
美しかった草原は、いつの間にかマグマの吹き出す地獄へと変貌していた。そして、羅刹は、そのマグマの中に、右腕を突っ込んでいる。オーガは笑みを浮かべ、右手を引き抜いた。そこから出てきたのは、両の刃が燃え盛る両刃の剣。それを両手で持ち、柄を持ちやすい長さまで引き延ばし、構える。
「ハッ!! いいだろう!!」
そう言うと、バハムートを、ドラゴンモードのまま地面に。その両足の爪を食い込ませている。バハムートの赤いパーツは、赤から闇のような紫に変貌しており、その口からは光が漏れ出ている。
「行くぞオオォォォ!!」
羅刹が、まっすぐ突っ込んでくる。
「終わらせてやる、
その羅刹に、紫の光線を中心に炎の螺旋を描くレーザーが飛んだ。
オーガは、羅刹の炎剣を正面に、そのレーザーを正面突破してくる。
「オオォォォ!!」
「ハアァァァ!!」
そして、すさまじい爆発が起こった。爆炎が晴れ、見えたのは…………地面に両膝を突き、サイサリスの大型の右腕を炎剣もろとも吹き飛ばされ、メインカメラも大きく壊れたGP-羅刹と、まっすぐたたずみ、羅刹に双刃の鎌、ビームバトルザイスを向けた、ドラゴだった。
「……流石は、音久叉洲の……首領だぜ。」
そうこぼすオーガ。それに対しドラゴは、
「いいバトルだったぜ。久しぶりに全身を血が駆け巡った。」
そう言い、大鎌を担ぐ。
「テメェに免じて命だけは取らねぇでやる。」
そう言い、去っていこうとしたドラゴに、
「待て。」
と、オーガは声をかけた。
「あん? なんだ?」
「テメェは……あんな実力があんのになんで、あんな奴らのケツ持ちなんかやってんだ?」
「ああ、そういうことか。」
そう、この戦闘は、詐欺まがいのぼったくりバーを経営するフォースの船を、オーガからドラゴが庇った事で発展したんだ。
「そんなの決まってんだろ? そういうのが、好きだからだよ。」
そう言うと、高速変形して去っていった。
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『ありがとうドラゴ君、助かったよ。次回もまた、頼みたい。』
通信越しに言ってくる、初老のアバター。それに、タバコに火をつけ、吸い出したドラゴは、フーッ、と煙を吐き、
「オイ、わかってんだろうな?」
と、画面越しの相手を睨んだ。
『ああ、わかっているとも。ちゃんと依頼料は払うよ。』
という言葉とともに、相手がメニューを操作すると、フォースの口座に依頼料が振り込まれた通知が来る。
「わかってりゃいい。もういいな?」
『ああ。ありがとう。』
そう言うと、通信が終了した。また煙を吐き、
「さてと、帰るか。」
そうつぶやいたドラゴは、バハムートを拠点へ飛び立たせた。
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「「「ボス、お疲れ様です!!」」」
「おう、わざわざごくろーさん。」
「お疲れ様です、ボス。」
そう言い、近づいてきた右の目元にタトゥーを入れた青い髪の青年のアバター。音久叉洲の幹部で、情報収集のスペシャリスト、【イーグルアイ】だ。
「おう。こっちの仕事は終わったぞ。
「ええ。こちらが、本日のアガリになります。お納めください。」
「ごくろーさん。」
ウィンドウの帳簿を、イーグルアイがドラゴに見せる。
「ボス、火は?」
イーグルアイはそう言いライターを差し出すが、
「いや、いい。今日はもう上がる。」
「かしこまりました。」
と、それを手で制したドラゴは、二本目のたばこに手を付けることなく、すい終わった煙草を地面に捨て、吸い殻の火を踏んで消し、メニューを開いて、ログアウトを選択した。
その様子を、彼が無数のポリゴンとなって消えていき《Rog out him》の表示が出るまで頭を下げた状態で、イーグルアイは見守っていた。
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《香山家 お屋敷》
「ふ~、つかれた~。」
家庭用ダイバーギアを取ったのは、白く、軽くウェーブのかかった、先端が桃色の髪の少女。カヤマ・サクラだ。
「お疲れ様、バハムート。」
ダイバーギアに乗っている自分のガンプラ、N-EXAS ガンダム・バハムートに声をかける。
そう、このゆるふわ美少女お嬢様こそが、あの凶悪フォース【音久叉洲】のリーダー。ドラゴなのだ。
「百鬼のオーガに勝っちゃった♪ 記録しとこー。」
と、ルンルン気分でバハムートを棚に置き、日記をつけ始めるのだった。
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《私立 鳴神学園》
小中高大。すべてがそろっていて、エスカレーター式に上がっていける私立の学園だ。サクラは、その学園の高校一年生だ。
「今日も帰って、GBNに」
「ふざっけんなよ!!」
「ん?」
勉学を終え、帰ろうとしたサクラは、そんな怒号をききつけた。
「なんでだよ、アンタ部長だろ!!」
「何度も言っている。僕はそんな下らないことをするつもりは一切ない。」
メガネを直し、そう言う黒い髪の青年。キリヒト・レイヤだ。
成績優秀、スポーツ万能。テストは加点により何時も100点越えを誇る、鳴神学園の天才児だ。頭脳明晰なお嬢様であるサクラが唯一テストで勝てない相手でもあり、模型部の部長を実力で倒して部長の座を獲得した人だが…………なにやら一つ上の先輩ともめているようだ。
「下らない…………下らないってなんだよ!! 先輩たちには最後の大会なんだぞ!?」
「だから僕に参加しろって? ハッ、後輩に頼らないとロクに戦えもしないなんて、先輩たちがそれまでだった。ってことだろう?」
「ッ!! なんだと!?」
「本当に君が先輩のためを思うんだったら、僕の説得なんて言う無駄で下らない行動より、先輩たちの練習相手にでもなってあげればいい。もっとも、それで勝てるのなら、苦労はしないだろうがね。」
「オマエッ!!」
その言葉に激高した彼は、キリヒトに殴り掛かった。しかし、それを躱して、その腕をキリヒトはねじり上げる。
「い、痛たたた!!」
「止めてくれよ。天才の僕に君が敵うわけがないだろう。」
そう言い、その手を放して、服を払ってからメガネを直す。
「何でだよっ!! アンタ、フォース【ゾディアクス】の
ゾディアクス。かつて三年前、目指せ12人!!というのを掲げていた新進気鋭のフォースだった。メンバーだった三人はみんな、星座の名前をプレイヤーネームにしていた。
∞ジャスティスガンダムのカスタム機で近接を担当していた【タウルス】
ストライクフリーダムガンダムのカスタム機で遠距離を担当していた【リブラ】
そして、ディスティニーガンダムのカスタム機で、その二人の援護をしていた、ゾディアクスきっての実力者、オールラウンダーの【スコーピオ】。三人の見事な連携から、GBN内で
「僕の前で、二度とその名を口にするな。」
とだけ言って、彼に背を向ける。
「あ、オイ!!」
怒鳴る二年生に、彼は最後に背中を向けて歩きながらこう言った。
「ボクは二度とプレイする気はないよ。ガンプラバトルも、あの下らないGBNなんてゲームも。」
ピキッ
そして、その言葉が、耳を側立てていたサクラに聞こえてしまった。
「下らなくなんかない!!」
そう、彼女が声を張る。
「君は……サクラさんか。君がどう思おうと勝手だけどね、僕の言論の自由を否定しないでもらいたいな。」
「だとしても、下らなくなんかないよ!! だって、貴方は、バトルが好きなんでしょ!?」
「バトルが好きだって?」
そう言い、彼はメガネを直して
「先ほども言ったが、バトルなんて下らない。僕はそう思っているよ。」
「そんなことない!! だって、貴方はビルダーで、ファイターだったんでしょ? そう雨いう人は、バトルを楽しいって感じてる人のはずだよ!!」
「君はニュータイプなのかい? 僕の心が分かるのかい? わかってないからこそそんな妄言が言えるんだろうね。」
そう言い、歩いていこうとすると、
「だったら、私と勝負して!!」
と、サクラが彼の前に立ちふさがった。
「…………言ったはずだよ、バトルなんて下らない。って。下らないことをするつもりは」
「模型部部長のくせに逃げる気?」
「何だと?」
その言葉に、彼が反応した。
「模型部部長で、
「…………。」
その言葉に、グッ、とキリヒトは拳を握る。
「そこまで言うならいいだろう。天才であるこの僕が、叩き潰してあげるよ。」
額に青筋を浮かべ、そう宣言する。
「だったら、明日の午後五時から九頭竜街で待ってるから。」
「あそこで? 君は音久叉洲の人間なのかい?」
「来ればわかるよ。」
「…………いいだろう。」
そう言うと、去っていった。
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《GBN 九頭竜街》
「ボス、何やら今日は、怒り心頭ですね。」
外をぶらつくドラゴに付いてきたイーグルアイが、そう声をかける。
「別に、大した問題じゃねぇだろ。あと、明日の午後五時から、予定あったっけ?」
「ハッ、一見、ケツ持ちしているフォースから護衛依頼が来ています。」
「イーグル、テメェに任せる。」
「は?」
「午後五時は用事ができた。近くの荒原で戦闘があるって、シマの奴らに伝えとけ。」
「かしこまりました。」
そう言い一礼するイーグルアイに
「ホンっと、頼りになる右腕だぜ。」
「光栄です。」
と、声をかけた。帰ってきたのは、抑揚のない返事だった。
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《現実 某アパート》
アパートの中では、キリヒトがガンプラをいじくっていた。
『逃げる気?』
サクラの声が、耳元のこだまする。
「…………逃げているさ。確かにね。」
そうつぶやいて、棚にふと、目をやった。
「ディスティニーアルタレイションガンダム…………悪いね。今の僕に…………あの二人を奪ったあの場所で…………こんな気持ちで搭乗するなんて、許せないのさ。」
そう言い、自信が作っている灰色ベースのガンプラを見る。
「だから頼むよ。エンシェントガンダム。」
そう言うキリヒトを眺めるディスティニーアルタレイションガンダムは、その血の涙のペイントからか、悲しそうな表情をして見えた。
性懲りもなくまた新作を書いてしまった。伸びますように。