ゆるふわ系美少女はGBNで闇のトップに伸し上がる   作:ナナシのG愛好家

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 二話目にして初戦闘 最後はおまけの機体解説もあります。

 戦闘推奨BGMは、スコーピオことレイヤのシーンあたりから、【アンドロイドガール】をお勧めします。
 歌い手はお好みでどうぞ!!


GBNを憎むもの

「また…………この場所に戻ってくることになるとはな。」

 

 リアルそっくりな、端正な顔立ちに、右手の甲にはサソリの入れ墨。ブルーを基調にしたコートを着たキリヒトもとい、元GBNランク15位【スコーピオ】は、離れた時から変わっていない、GBNのロビータワーで、ため息を付いた。

 

「あんな下らない誘いに乗ってしまうだなんて…………本当に下らない。」

 

 吐き捨てるように言い、コンソールを操作する。MSデッキに転移した彼は、そこに立つ機体を見上げて、

 

「……こんなことに使ってしまって、すまないな。」

 

 と、己の作ったガンプラを目にして、そう呟いてから、カタパルトへと向かった。

 

「キリヒト・レイヤ。エンシェントガンダム。行く。」

 

 そう言って、発信していった。

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《音久叉洲 毒蛇の巣穴》

 

 音久叉洲は、複数の、魔物や生き物の名前が記されたチームに分かれている。サクラことドラゴは、そんなチームの一つ、チーム・ヨルムンガンドのルーム《毒蛇の巣穴》にやってきていた。

 

「邪魔するぞ。」

 

 扉を開けて入ってきたドラゴを歓迎したのは、

 

「おやおや? ボス、今日は戦闘があるとかいう日じゃなかったかい?」

 

 と、陽気な声を出すのは、空中に浮遊する椅子に座り、おでこまで上げたゴーグルを付け、丈の短いベルトのついたホットパンツにパープルとイエローの胸元を隠すだけの露出の多い衣服。その上に白衣をまとった少女だ。

 ダイバーズネームは【EVI】と書いて、エヴィ、と読むらしい。情報収集に長けた、三人チーム・ヨルムンガンドのリーダーだ。

 

「情報が欲しい。【スコーピオ】に関する、だ。」

「スコーピオ? また珍しい名前が出てきたねぇ。」

 

 と、呟いてから、指をササッ、と動かすと、彼女の周囲に複数種類のコンソールが現れる。空中のキーボードや複雑そうな画面を、両手だけではなく、両足の指までを使って操作する。

「十本の指で操作するより二十本の指で操作した方が早い。と言うのは彼女の持論だ。

 

「プレイヤーネーム、スコーピオ。小規模フォース【ゾディアクス】に所属していて、フォースランキングは小規模限定のランクならトップクラス。【大三角形(デルタ)】と呼ばれる三人組の一人で、彼らの連携はトップクラスだった。

 だが二年程前に、全員が姿を消したのさ。」

「ああ。有名だな。」

「その後のことだけど……申し訳ないがこれ以上は言えないな。」

「どういうことだ?」

「守秘義務ってやつだよ。ボスも、私の職業は知っているだろう?」

「……ホワイトハッカーは職業っていうのかよ。」

 

 と、苦笑するドラゴに、失敬な、立派な職業だよ? と、笑顔で言うエヴィ。

 

「ありがとな。俺はもう行く。」

「もしかして、今回の勝負の相手は【スコーピオ】なのかい?」

「ああ。情報、助かった。」

「また贔屓にしてくれたまえ、我らがボス。」

 

 そう言うって、エヴィはドラゴを見送った。

 

「アイツがGBNにあんな言葉を吐きかけるのは、何か過去があるのかもな。」

 

 と、いうドラゴのつぶやきを残して。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《九頭竜街近郊 青龍平野》

 

 九頭竜街を中心とした地形には、それぞれ竜の名前が付いた気候の違う世界がある。

 今回、イーグルアイがスコーピオへ試合会場と銘打ったのは、川と、空中に浮遊する複数の島から下の湖まで流れる滝のある平原。【青龍平野】だ。

 

『…………まさか、君が出てくるとはね、音久叉洲首領、ドラゴ。』

「予想外ってか? スコーピオ。」

 

 平原の中央に立つN-EXASガンダム・バハムートに入ってきた通信に、そう言うドラゴ。

 

『僕は、カヤマさんとの勝負を言い渡されたんだけどね。君がカヤマさんだとでも言うつもりかい?』

「そうだ。と言ったらどうする?」

 

 スコーピオからの問いに、そう答えるドラゴ。すると、

 

『下らない嘘で、僕をコケにした報いを受けてもらおう!!』

 

 と言う声と共に、緑色の太いビームが飛んできた。

 

「ッ!!」

 

 それを回避し、ドラゴンフォームへと変形するバハムート。

 

「狙撃地点……そこか。」

 

 そこに映し出された灰色のモビルスーツ。特徴的な、天輪を背負ったモビルスーツ。

 

「レジェンドベース……いや、あのドラグーンの配置はプロヴィデンスか!!」

『正解。と言っておこうか。まずはこのエンシェントガンダムのユーディキウム・シェキナーで様子見とさせてもらうぞ!!』

 

 そう言い、スコーピオは通信を切断した。

 プロヴィデンスガンダムがメインアームにしていた大型ビームライフル、【MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル】スコーピオことレイヤは、それを宇宙世紀に登場する複合武装システム、【シェキナー】とのミキシングビルドを行っていた。

 今はそれのキャノンモードを利用して、連続で遠距離からの射撃を飛ばしてくる!!

 

「チッ!! うぜぇな!!」

 

 ドラゴンモードゆえの機動力で着実にそれを回避していく。だが、このままでは距離が縮まらない。

 そう考えたドラゴは、バハムートを島陰に隠れさせる。

 

「島陰に隠れたか…………なら!!」

 

 ユーキディウム・シェキナーの装甲がスライドして、弓矢のような形の排熱版が展開され、銃身も伸びる。

 銃口に、緑色の光が収束されていった。

 

「メガビームモードで島ごと打ち抜いてやる!!」

 

 フルチャージの表示が出ると同時に、一切の容赦なく引き金を引く。しかし、

 

「何っ!?」

 

 メガビームが島を貫く前に、一直線に進むビームを中心に螺旋を描くようなエフェクトのレーザーが、島を貫き飛び出してきたのだ。

 N-EXASガンダム・バハムートのとっておき、魔王龍ノ咆哮(カース・ドラゴニック・ストリーム)だ。ユニットを数秒間だけ起動させ、それを放った。それは一直線にメガビームとぶつかり、互いに互いを相殺しあい大爆発を起こす。

 崩れ落ちていく島を飛び越え、バハムートが突っ込んでくる。

 

「チッ!!」

 

 ユーキディウム・シェキナーが白煙を上げて、弓のような形をした放熱板から放熱する。

 

「そうして突っ込んでくるわけか!! だが!!」

 

 再びユーキディウム・シェキナーの装甲がスライド。ガトリングのような砲身が顔を出した。

 

「シェキナーメガビームは数ある手札の一つに過ぎないんだよ!!」

「チッ!!」

 

 複雑な軌道変換が苦手なドラゴンモードからMSモードに変形し、シェキナーガトリングを回避していく。

 お返しとばかりにビームマシンキャノンを利用して反撃するが、もともと格闘戦を重視したモビルスーツとして作られる予定だったプロヴィデンスガンダムの機動性でそれを回避しながらガトリングを打ち合う。

 

「ええい、ちょこまかと!!」

 

 内部パーツのオーバーヒートのアラートが鳴り、ユーキディウム・シェキナーの装甲がスライドして赤く発熱したパーツを輩出する。

 

「パーツの取り換えを」

「隙だらけだぜ!!」

 

 代わりのパーツに取り替えようとしたところで、ユーキディウム・シェキナーに、テールロッドの先端にくっつけたビーム・ウォーサイズが襲い掛かる。

 

「チイッ!!」

 

 それにユーキディウム・シェキナーを破壊され、とっさに後退するが、

 

「まだまだ行くぞォ!!」

「鬱陶しい!!」

 

 ビーム・ウォーサイズを振るってくるバハムートを、左腕に装備した【MA-V05A 複合兵装防盾システム】のビームサーベルモードと右腕で引き抜いたビーム・バスタードで迎え撃つ。

 

「……やっぱり、肉弾戦ってのはしてみるもんだな。」

「何ッ!?」

 

 二本のビーム刃をぶつけあった瞬間、そんな通信が飛び込んできて、スコーピオは困惑する。

 

「お前の言動、そして刃からは、GBN(ココ)を楽しんじゃいけねぇ。って言う気持ちが、悔しさが、何か、底知れないものに対する怒りが感じられるんだよ。」

「何を……ガンプラを通して気持ちが伝わってくるとでも言うつもりか? このニュータイプ気取りが!!」

 

 そんな叫びと共に、力押しでビーム・ウォーサイズを跳ねのけようとするが、そうは問屋が卸さない。

 

「ニュータイプ気取りなんかじゃねぇよ。事実だろ。ガンプラにこもった気持ちが伝わってくるのも、俺達が、ガンプラを通して気持ちをぶつけ合わせることが出来るのも!!」

 

 そう叫ぶドラゴ。すると、スコーピオは、

 

「く、ククク、クハハハ、ア―ッハッハッハッハッ!!」

 

 と、笑い声をあげた。

 

「何が可笑しいってんだ!?」

「何が可笑しいかだって? そんなこともわからないのか?」

 

 笑い声をおさめ、ズレたメガネのフレームを右手の人差し指で直してからそう言う。

 

「愚かだ。実に愚かだよ。そして本当に下らない。今まで半信半疑だったが、君がカヤマ・サクラなのだろう? そのふざけた下らない物言いで理解したよ。」

「…………。」

「GBNで他人を理解できるなんて戯言以外の何物でもないんだよ。」

「テメェがそこまで腹を立ててるのは、その気持ちが図星だったからなんじゃねぇのか? テメェがガンプラバトル、楽しいって感じてるからなじゃぇのか!?」

「……そんな下らない揺さぶりで僕が揺らぐとでも思っているのか? 天才の思考を理解した気になるんじゃないよ。」

 

 と、あおるような口調で言うスコーピオ。だが、次のドラゴの言葉で表情が一変した。

 

「タウルスとリブラ。」

「ッ!!」

「フォースの馬が合わなくて解散するなんてのはよくある話だ。だがよ、チーム全員が同時期にGBNのログインをスッパリやめて疾走するなんて話は珍しい。

 ここからは俺の推測なんだがな、もしかしてお前ら、リアルでも知り合いだったんじゃねぇのか? リアルで何が」

「黙れ。」

 

 先ほどまでの、馬鹿にしたような声音ではなかった。もっと重く、黒い物。

 

「つくづく腹の立つ女だよドラゴ、お前と言うやつは…………。

金持ちのボンボンの癖に、仮想世界で悪役を気取って、あまつさえ、僕たちのことにまで土足で踏み込んでくる!!」

「ッ!!」

 

 腹のうちにため込んだものを吐き出すかのように、激しい罵倒が飛び、それに気圧されたドラゴのバハムートから、エンシェントガンダムは距離を取り、スコーピオは素早く武器スロットを選択した。

 

「お前も、GBNも、GBNを楽しむ僕自身も、僕は許すことが出来ないんだよ!!」

 

 そんな言葉と共に、プロヴィデンスガンダムの天輪から円錐型三機、板型九機のドラグーンが飛翔する。

 縦横無尽に複雑な軌道を取って、合計43門にも及ぶビームが360°全方位から襲い掛かる!!

 

「チッ!!」

「僕はシズほど上手くはないが、お前をバラバラにするのは十分だろう!!」

 

 変則的に、バハムートの逃げる先を考慮してその先に逃がさないようにビームを放つ。

 

「クソッ!! いやらしい打ち方してきやがる!!」

「死の囲い込み漁だ。ビームの網に包まれろ!!」

「この……調子に乗るんじゃねぇ!!」

 

 腕部のビームバルカンで一機のドラグーンを落とす。しかし、次の瞬間には残りのドラグーンに囲まれていた。

 

「終わりだ!!」

「誰が!!」

 

 ドラゴンモードに急速変形。テイルロッドとVユニットのビームで、残りのドラグーンを順調に落としていくが、反撃と言わんばかりに複合兵装防盾システムのビームモードでの射撃が左足を貫いた。

 

「チッ、制御が!!」

 

 近くに浮遊する島陰にバハムートが対比すると。生き残った円錐型1機、板型3機のドラグーンを天輪に戻してエネルギーを供給させる。そして、

 

「隠れたつもりか? あぶりだしてくれる!!」

 

 複合兵装防盾システムの特殊スロットを入力した。シールドの装甲が展開し、ただでさえ大型だったブレードが、ライザーソードもかくやという長さまで伸びた。力任せにそれを振るい、島を切断する。

 

「嘘だろ!? ZZじゃあるまいしよ!!」

 

 左の後ろ脚がかけただドラゴンとなったバハムートが島陰から飛び出してくると、好機と言わんばかりに複合兵装防盾システムを排熱し、天輪の隠し収納ラックに仕込んだビームライフルを抜いて射撃しようとするが、

 

「そろそろ俺のターンだろ!? 一発熱いのもらってけよ!!」

 

 ビームライフルの第一射を、上昇して回避してから、バハムートの炎のブレスを放つ。

 

「チッ!!」

 

 とっさに複合兵装防盾システムで受け止めるが、先ほどの巨大ビームサーベルの熱がまだ残っていたのか、シールドが誘拐していく。それはビーム射撃部分のエネルギーパックにもダメージを与え、左腕の肘から先ごと誘爆した。

 

「クソッ!!」

「このままいくぜ!!」

「させるか!! ドラグーン!!」

 

 四機のドラグーンを飛ばして、それらのビームで対応しようとするが、四機まで減ったドラグーンのビームを、Vユニットを稼働させてくぐり抜けてくる。

 

「終わりだスコーピオ!!」

「ほざけ!!」

 

 ビームライフルを捨ててビーム・バスタードソードを引き抜いてウォーサイズに対応する。だがバハムートは二本、エンシェントガンダムは一本だけだ。そこに差が出るかと思われたが、向かってくるバハムートの片翼を、板型のドラグーンが切り落とした。

 

「なっ!?」

「板型のドラグーンはカッターとしての役割がある。知らなかったようだな。」

 

 体制を崩された結果、バハムートの左手が、ビーム・ウォーサイズごと切り飛ばされた。

 

「終わりだ。」

 

 冷めた目で、ビーム・バスタードソードを振り下ろすエンシェントガンダム。だが、

 

「まだだ!!」

 

 テイルロッドが、それをはじいた。

 

「いい加減しつこいっ!!」

「終われねぇよ!! テメェに勝つまで、テメェの考えを、間違いだって証明するまではな!!」

 

 そのまま降りぬいたテイルロッドが、二機の板型ドラグーンを破壊する。

 

「何も知らないからそんなことが言える!! この世の闇が何かも知らないくせに、GBN界の半グレを気取って、ヘラついた笑い声をあげているお前たちに僕たちの気持ちが分かるか!!」

「分からねぇよ!! だがこれだけは言える、今のお前の憎しみは、好きだった物への裏返しだ!! お前のその感情の歪みに、一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ!!」

 

 バスタードソードとウォーサイズがぶつかり合う。距離を取ってエンシェントガンダムがドラグーンを使えば、バハムートはテイルロッドを回転させてそれをはじく。そして、ビームバルカンの一撃が、最後の円錐型ドラグーンを破壊した。

 

「これで、」

「知ったような口を!!」

 

 ビーム・バスタードソードを構えて突っ込んでくるエンシェントガンダム。たいしてバハムートも、ビーム・ウォーサイズを構えてまっすぐ相対する。そして、

 

「終わりだァ!!」

「効くなアァァァ!!」

 

 ビーム刃が交差する。そして宙を舞ったのは…………エンシェントガンダムの腕だった。

 

「終わりだな。」

 

 そう呟いたドラゴだったが、

 

「まだだアァァァ!!」

 

 持前の冷静さを一切かなぐり捨ててスコーピオはそう咆哮した。両腕を失ってなお、エンシェントガンダムは突っ込んでくる。

 

「なっ!?」

 

 とっさにビーム・ウォーサイズを振るおうとしたが、蹴り飛ばされたウォーサイズも、下へと落ちていく。

 

「クソッ!!」

 

 そのまま地面に逃げる前に、まっすぐ突っ込んできたエンシェントガンダムに、バハムートは浮遊島に叩きつけられた。

 振るおうとしたテイルロッドは、最後のドラグーンのカッターモードに縫い留められる。

 

「テメェまさか!!」

「これじゃあもう勝てないかもしれないね。だけど、勝てずとも、お前なんかに絶対に負けはしない!!」

 

 自爆。と言う言葉が脳裏をよぎる。エンシェントガンダムはプロヴィデンスガンダムがベース。プロヴィデンスガンダムは、ニュートロンジャマ―キャンセラーにより核エンジンが積まれている。そして、核爆発に耐えきれる耐久性は、バハムートにはない。だが、自爆には複数の工程を行う必要がある。

 

「このっ!!」

 

 唯一の残った近接武装のクロ―で腹部を貫くが、足りない。

 

「これで!!」

「させるか!!」

 

 腕部ビームバルカンをそのまま撃とうとするが、自爆ボタンがスコーピオのコクピットに出る方が早かった。

 スコーピオは指を上げる。

 

「終わり……!!」

『私、好きだよ。レイ君のガンプラ。』

「ッ!!」

 

 が、しかし、そんな言葉と、改造されたストライクフリーダムを握って笑う、ヒマワリの髪飾りを付けた少女の顔が、脳裏をよぎる。

 指が、動かなかった。エンシェントガンダムは腹部をビームに貫かれ、推力を失い落下していき、爆散した。

 

「シズ……。僕は…………。」

 

 そんな後悔にまみれた、キリヒト・レイヤの言葉を残して。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……俺の勝ちだな。」

「……煮るなり焼くなり、好きにすればいいさ。」

 

 そっぽを向いてそう言ったスコーピオ。

 

「ハッ、いい度胸だな。」

 

 と、ドラゴは笑ってから、こういった。

 

「じゃぁ、今日から一週間、GBNに毎日ログインしろ。」

「は?」

「少しGBNを楽しめ!!」

「オイ待て、僕は」

「GBNを許せねぇ。じゃ、ねぇだろ。」

「ッ!!」

「お前が許したくないものは、他にあるんじゃねぇか? お前もファイターなんだから。」

「…………。」

「ただGBNを憎んでるだけのサンピンに、俺はあそこまで追い込まれねぇよ。あの時のお前の中には確かに、楽しいって思いがあったんじゃねぇのか?」

 

 お前が俺に勝てなかったのは、それを抑え込んだからだと言うドラゴに、

 

「勝手な奴だ。ニュータイプ気取りも体外にしろ。」

 

 と言ってから。

 

「約束は守ってやろう。癪なことだがな。」

 

 と、メガネのフレームを人差し指で押さえながらそう言った。

 

「素直じゃねぇ奴。」

「なんとでも言え。」

 

 そう言うと、コンソールを操作し、どこかへと行ってしまった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「僕が憎んでいるのはGBNじゃない…………か。」

 

 何を馬鹿なことを。と呟く。

 

「今でもあの二人の顔が忘れられないというのに。」

 

 そう呟いた彼だが、その瞬間、あるものを見た。

 

「アレは…………。」

 

 狐だろうか? 房のある尻尾を生やした、幼い見た目の子が、路地裏へと入っていくのを見かけたのだ。

 忘れられない、あの時(・・・)の光景が頭をよぎる。

 

「クソッ!!」

 

 毒づいて、彼は路地裏に向けて走っていった。




 次回からRe:rise編入ります。
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