Eの黙示録   作:Jeep53

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休憩明けコンディション完璧霊術者フルパのE−60A VS 親友の仇を討つべくできる全ての準備をしてきたAMX 50 120

VSダークライ(嘘)



ファイッ!!!!!!


激突

 夕暮れ。西の空がオレンジ色に染まる頃、俺はようやく目を覚ました。周りを見渡す。テントにいるのは俺だけのようだった。

背伸びをしてテントを出る。自車両の方に歩いていくと、先に起きていた仲間たちと工作班のおっちゃんが話している。

俺が近づくとおっちゃんが手を挙げて笑った。

 

「よう、小隊長。疲れはとれたかい?」

「あぁ、おかげさまで。今は何をしていたんだ?」

「修理が終わったんだ。報告だよ」

 

 おっちゃんの背後には傷一つない…とは言えないがだいぶ綺麗になったゼーベルティーガーがいた。

履帯は真新しいものがはめ込まれ、控えめなサイドスカートが取り付けられていた。

背面の修理も終わったみたいだ。

 

「履帯、被弾部の修理、そして在庫が余ってたサイドスカートをつけておいたぜ。まぁ、最低限って感じだ」

「ありがとう。野営地だから物資も少ないはずなのに、ここまでやってもらえて驚いてるよ」

「いやなに、今この基地でマトモ…と言っちゃ失礼だが、対戦車戦闘ができるのがアンタらしかいないんだ。大隊長が意気込んで重車両を全部連れてっちまったからな。もしもの時は頼むぜ」

 

そう言っておっちゃんは笑った。

 

ーーー

 

 不意に冬の寒い風が吹き抜けた。日は沈み、オレンジ色の空は地平線周辺だけになった。

もう夜か…そう思った俺は空を見上げた。

 

「あら、一番星ね」

 

いつの間にか隣に来ていたサーシャが口を開いた。

こうして二人きりになるのはいつぶりだろうか。夫婦と言っても軍属であるため二人きりになれる時間は少ない。こうした時間を大切に…

 

「は~い二人でいい雰囲気になってるところにしっつれ~い!」

 

知ってた。こういう時に限ってくるんだよな…

 

「師匠…何の用ですか。どうやってきたんだ、あと帰れ」

「偉大なる師匠にその物言いと表情はひどくないか?まるでボクに会いたくなかったみたいじゃないか」

「今は会いたくなかったわね」

「サーシャちゃんまでぇ!こうやって弟子が巣立っていくのだな…!」

 

突如目の前に現れたウザ…んん、元気な人は俺らの霊術の師匠に当たる、クラーラ師匠だ。神出鬼没、そして俺ら弟子の前でだけ普段と180度くらい違う性格になる。長い付き合いがあれば慣れるが、初見だとかなり困惑する。

今も俺らの前でウソ泣きをするくらいには愉快な人だ。

 

「師匠、政府の仕事はどうしたんですか。サボるのは…

「終わらせてきた!」

…そっすか」

 

来るのは悪い事じゃないが、もうちょっと事前に連絡の一つでも欲しいものだ。

 

「ちなみにここへは何をしに?もしかしてただ目的もなく遊びに?」

「その通りだ。流石はボクの弟子。わかってるねえ」

「死んでも知りませんよ。ここは戦場…」

「ボクが死ぬとでも?このボクが?」

「うっぜぇ…!」

 

こうして二人きりの時間はテレポートしてきた師匠によって粉砕されたのだった。

 


 

 「車長、あと…」

「あと2分だ。…エンジン始動!」

 

森の暗がりの中にエンジン音が響く。搭乗員が車内へと体を潜り込ませ、息をひそめる。

 

「合図とともに全軍突撃、最優先目標は戦車、そしてデカいのだ。そいつらさえ無力化すれば後は怖くない…はずだ!」

「こいつ装甲ところどころ薄いっすからね…ははは」

 

車長席に座ったアルベールは腕時計を眺める。

車内にはしばしの沈黙が流れ、エンジン音だけが響き渡る。

 

長針が動いた。

 

「アルベール小隊、全車突撃、セザールの仇を取るんだ!」

 


 

 「…何か聞こえませんか?師匠」

師匠に野営地を案内していた俺はふと歩みを止めて遠くを見た。

「何か…地鳴りみたいな…」

「……」

「師匠?」

 

黙りこくっている師匠の方に視線を向けると師匠は深刻そうな顔をしていた。

 

「…敵だ。来る、5両!」

「嘘ですよね!?」

「この状況で嘘つくわけがないだろう!?」

 

マズイ、今現在野営地でまともに対戦車戦闘ができるのはゼーベルティーガーと数両のE-40くらいのものだ。

 

「師匠、もしかして戦闘に加わってくれたり…」

「するわけないだろう!ボクは死にたくないんだ!」

「不死身が何言ってやがる!クソッ!」

 

そう言って師匠は目の前から文字通り消えた。あのクズな性格は直っていなかった。

俺は急いでゼーベルティーガーのもとへ走る。師匠と違って俺は即座にテレポートとかはできないのだ。

 

「敵だ!5両来る。準備を急げ!」

 

ゼーベルティーガーの周辺で駄弁っていた搭乗員とその他数名の戦車兵に大声で知らせる。途端に目に見えて車両周辺が慌ただしくなった。

その時基地の放送が入った。

 

『補給基地全員に告ぐ。敵戦車数両がこちらへ侵攻中。総員戦闘配置!』

 

師匠の声だ。戦闘に進んで参加しないが、後方支援なら惜しみなくしてくれることを俺は知っている。

というか、本人から言われた。「ボクの盾となる突撃霊術師を作るために弟子を取ったのさ」って。あのクズ師匠いつか見返してやる。

 

愚痴をこぼしながらも十数秒で準備を整えて発車する。霊導型は暖気をしなくていいのですぐ発車できるのも強みだ。

 

 野営地内を高速で突っ切り、森へ向かう。野営地を出ると、敵がこっちに全力で向かってきているのが見えた。

 

「敵車両は……ん?頭がデカいやつは見たことないな。それとAMX 50、M4…だな。ARL-44はいない」

「未確認車両に気をつけろ。今回は遮蔽がほとんどない。止まって撃つことは不可能、そして車両の機動性が物を言う戦いになる。ラインハルト!腕の見せ所だぞ!」

「任せとき!」

 

俺は揺れる視界で後方を確認する。後続車両はいない。

霊導型の車両は整備中だった俺らを残して全て敵の野営地をたたくための戦力に回されたからだ。通常型は暖機運転が必要で、すぐには出てこれない。早くてあと2分はかかるだろう。

 

 霊力カートリッジは満タン、俺自身の霊力も回復済み、搭乗員の指揮も高い。…よし、勝てる。

『ゼーベルティーガー、接敵(エンゲージ)!』

サーシャが声高らかに無線で宣言した。

 

「ギルベルト!」

「なんですか?」

 

闘志に満ちた顔をしているギルベルトが俺に呼ばれてくるっとこっちを向いた。

目を合わせた俺は悪戯っぽい笑みを向けた。

 

今度は地面の凹凸に黙らせられないようにな(しっかりつかまっておけよ)?」

「ッ!?」

 

現状5対1だ。使わないわけがないだろうギルさんや。そこまでナメた戦い方してたら本当に死んじまう。

俺の十八番だ。行くぜぇっ!

 

「刻印術式発動!「ローフリクション」*1「ブースト」*2!」

 

背後から聞こえる音が明らかに変わる。車窓(ペリスコープ)の外の景色も飛ぶように流れていく。

これだよこれ、このスピード感を求めていたんだ!

 

「今回はサービスだ。俺の霊力が切れるまで行くぞ!…刻印術式発動!「ローフリクション」*3!」

「おいおいアクセル、そんなに使って大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない」

「それは問題あるやつのセリフやぁ!」

 


 

 

 「敵戦車突っ込んできます!…速い!」

 

通信手が悲鳴にも似た声を上げる。…大体100km前後だろう。これで確定した。あの車両は霊導型と呼ばれるエリート車両だ。マズイな。霊導型は搭乗員全員が霊術者だと聞く。まともに正面から撃ちあったら勝てない、なら…

 

『こちらアルベールだ。現在確認できている敵戦車は霊導型だ。全車、対戦車榴弾(HEAT)もしくは鋼芯徹甲弾(APCR)用意。それとAMX M4 45(オブリガシオン号)…頼むぞ』

 

オブリガシオンは無言でAMX 50 120の背後につく。

 

「今から煙幕弾を放つ。そこから先は作戦通りだ。もしこの作戦が破られたときは、それが最後だ」

「車長、縁起でもねえことを言わないでくださいよ。俺は生きて帰って…」

「馬鹿野郎!それをフラグっていうんだ!」

 

装填手を小突き、前を見据える。

 

「撃てッ!」

 

戦いが始まった。

 

 

*1
発動機の回転部分にかかっている。摩擦係数を減らす

*2
発動機の回転数を霊力補助によって五分間上昇させる

*3
砲身にかかっている。弾速向上




前回までの話でお気に入り登録をしてくださった皆様、ありがとうございます。
それらを励みに頑張らせていただきますのでこれからもどうか、これからも今作をよろしくお願いします。

もし本文の書き方に意見などございましたらどんどん言ってください。無言低評価はメンタルにブッ刺さるので・・・ツライ
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