ソードアート・オンライン -黒の剣士と蒼い風-   作:星音カケル

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 はじめまして、星音カケルと申します。
先に申し上げますが、この作品はほんとに次回がいつになるかが分かりません。
それでも大丈夫という方のみの閲覧を推奨致します。


第1話

「あと1分…」

 

 枕元に置いてあるデジタル時計を見ながらそう僕は呟いた。またあの世界へ行ける、そう考えただけで緊張と興奮で体が少し震えた。

 2022年11月6日午後1時、世界初のVRMMORPG、『ソードアート・オンライン』正式サービスが開始した。

 

 「リンクスタート!」

 

「これはゲームであって遊びではない」

 SAOにログインして数時間後、茅場晶彦を名乗るGMアバターによって告げられた言葉は、プレイヤーを恐怖のどん底へと突き落とした。かくいう自分、この世界ではフートという名前を持つ僕も、あまりに現実味のないその言葉にGMアバターが消失するまで呆然と立ち尽くしていた。

 しかし前に立っていた2人組が路地に走っていくのを見て我に返り、後をつけた。

 何故そんなことをしたかと言うと、片方の男が会話の最中に呼んでいた名前に聞き覚えがあったからだ。

 キリト。それはこのSAOという世界が始まる以前、つまりSAOβテスト期間中に、右も左も分からない僕にレベリングや戦闘の基本を教えてくれた親友の名前だった。

 

 路地で聞いた会話は、おそらく初心者(ニュービー)(あくまでSAO内ではという意味だが)であろうクラインという男にキリトが、自分は早々に次の村へ拠点を移すから君も来ないか、という内容のものだった。しかしクラインは自分には前のゲームから一緒にプレイをしてる友人(ダチ)がいるからと言って断った。

 

 そうして2人は別れ、キリトははじまりの街を出ていった。

 (きっとキリトは彼のことを見捨てたとか思うんだろうなぁ…)と思いつつ、自分もキリトを追うように次の村、ホルンカの村へと出発した。

 この時にキリトに話しかけて行動を共にしなかったことを、僕は後になってからとても後悔した。

 

 ホルンカの村に着いた後もキリトとは結局、何となくお互いβ出身者であるが故の気まずさみたいなものを感じてしまい、未だに顔を合わせていなかった。

 そして僕は、レベリングとアイテム狙いでネペントの森へと走っていた。

 自分の武器は短剣だが、リトルネペントの胚珠は高く売れる。

 それにレベルが上がれば報酬に短剣が貰えるクエスト『荒らされた畑の主』を受けることが出来る。レアモンスターの実付きラージネペントがドロップする「豊穣の果実」というレアアイテムを納品するというクエストだ。報酬の短剣、「エインシェントダガー」は強化上限回数こそ6回と8回のアニールブレードより下だが、AGI(敏捷性)に+5の補正がかかるという1層で手に入れるにはかなり破格の効果が着いている。

 もちろん難易度は高めで実付きラージネペントのポップ率は実付きや花付きのリトルネペントの比ではなく、更に誤って実を割ってしまえば実付きのリトルネペント同様、森中のネペント達が集まってきてしまう。

 

 そうしてリトルネペント狩りを始めて20分ほど、やっとのことで自分のレベルが2に上がった。

 1人虚しくレベルアップか、などと考えていた所へ不意に、パンパンという音が響き渡った。

 なにかのクエストのフラグか?などと思いながら周囲を見渡すとそこには片手直剣(ロングソード)円形盾(バックラー)を装備した少年が立っていた。NPCかと一瞬考えたが装備と状況からどう見てもプレイヤーだろう。

 

 「君も元βテスターか?」

 

 ほぼ確信を持ちながらそう問いを投げた。この時間にこの狩場まで来るには、はじまりの街を出て森の中をほぼモンスターとエンカウントせずに来るしかない。そんなことが出来るのは元βテスターだけだろう。

 

 「ごめん、驚かせたかな…。うん、そうだよ。君もだよね。君も『森の秘薬』クエを受けてるのかい?武器は短剣みたいだけど。」

 

「いや、レベリングが目的だよ。もし胚珠が手に入ったらあとからくるプレイヤーに売却するつもりだったけど…。」

 

「そっか。ねぇ、よかったらクエ一緒にやらない?」

 

「それはつまり、ノーマルを2人で乱獲することで花付きのポップ率をブーストしようってことでOK?」

 

「う、うん。まぁ、そんなところかな…」

 

 的確すぎて引かれたかな…。でもまあ悪い話じゃない。基本的にこういうゲームはソロよりパーティーの方が効率も生存率も高いのが常だ。

 

 しかし…

 

「ありがたい話だけど、そろそろ回復の補給とか武器の耐久の問題で村に戻らなきゃいけないんだ。ごめん、この狩場はそのまま譲るよ。」

 

 本当のことをいえば物資も武器の耐久もまだまだ余裕がある。しかしこのコペルという男には何か危ういものを感じた。気のせいかもしれないが、βテストを通してPK(プレイヤーキル)等様々な経験をした僕は大抵、こういう感覚の時に危険な目にあっていた。

 

「そっか、残念。気をつけて戻ってね。」

 

 少し肩を落としてコペルは僕を見送った。

 

 

 一度村に戻ってから、僕は別の狩場へと移った。当然と言うべきか、やはり僕達以外のプレイヤーは未だホルンカの村には来ていないようだった。

 

「そろそろ疲れたな…。」

 

 既に狩りを始めて1時間半は超えていただろう。数にして約150匹ほど倒しただろうか。そろそろレベル3へ近づいてきた頃だ。

 そんなことを考えながらリトルネペントと対峙していたちょうどその時、ふいに目の前のネペントが唐突に明後日の方向へ走り出した。目の前の個体だけじゃない。周辺にポップしてまだ自分がタゲに入る前の個体もいっせいに同じ方向へ進行を始めた。驚いたのもつかの間、仮想の嗅覚に突き刺すような匂いが入り込んできた。

 

「誰かが実を割ったんだ…。クソっ」

 

 リトルネペント達は割れた実の匂いを嗅ぐと、《興奮》状態になり、割れた実の個体近くに一斉に押し寄せてその周辺プレイヤーに襲いかかる。それだけでなくその後30分間プレイヤーターゲット範囲が通常の数十倍にまで広がってしまうのだ。もし実を割ってしまったプレイヤーがそのまま死亡した場合、ネペントの大軍はそのまま近くのプレイヤーにも牙を剥くだろう。

 通常ならその場で確実にターゲット範囲外である村まで退避するのが1番だ。

 だが今この森にはおそらく僕とキリト、そしてコペルの3人しかいないはずだ。キリトの腕は僕も知っている。十中八九実を割ったのはコペルだろう。

 キリトが村まで退避している可能性は大いにある。でも、もしコペルが先程自分を誘ったようにキリトを誘っていて、行動を共にしていたら…。

 援護に向かったところで自分も命を落とす可能性の方が遥かに高いだろう。

 しかし、僕の足は自然に走り出していた。

 

 

 2,3分も経っただろうか。特定の方向に移動し始めたリトルネペントを後ろから狩りつつその方向へと全速で走っていると、少し開けた場所でリトルネペントが何かを取り囲むように群がっていた。それと同時に移動段階から戦闘段階へと変わったリトルネペント達のタゲ範囲に自分も入ったのが分かった。

 生垣が崩れるかのごとく一部のネペント達がこちらへと向かって来た。取り囲まれていた人物がもし他の誰かだったなら、確実にこの隙に逃げ出していただろう。しかしというかやはりというか、そこにいたのはかつての戦友、キリトだった。

 キリトはネペントの集団の一部が自分と違う方向に向かうのに気づいた刹那、そこを突破口として円陣から抜け出した。それと同時に後ろへと向き直り、一言「助かった」と残してエンジンの外側からネペント達を倒して行った。自分も目の前のネペントに集中することにした。

 

 

 そこからはあっという間だった。しかし決して余裕ではなく、2人ともHPゲージは赤く武器も耐久値ギリギリになっていた。

 コペルの姿が見えなかったことからもしやとは思っていたが、キリトが彼の片手直剣と円形盾、そしてリトルネペントの胚珠を木の根元に置いているのを見て、彼が亡くなったことを悟った。

 その後僕達はホルンカの村へ歩きながら、初めての会話をした。

 

「君はなぜ俺を助けてくれたんだ?」

 

 そんなキリトの問いに対して、僕はこう答えた

「まずは自己紹介をさせてくれ、キリト。僕の名前はフートだ。」

 

 それを聞いたキリトは一瞬戸惑ったようだが、そこからすぐに僕がβ時代の親友であることに思い至ったらしい。

 それからは僕から彼とクラインの会話を聞いてしまったこと、ホルンカの村で彼を見かけたこと、コペルと君が一緒に行動している可能性を考えて助けに行ったことを話した。

 その後キリトから、コペルがMPKer(モンスタープレイヤーキラー)だったことを聞いた時、衝撃とともにキリトへの罪悪感を覚えた。彼がクラインと別れてからホルンカの村で狩りを始めるまでの間に彼と接触して行動を共にしていれば、キリトがコペルと狩りをすることも、コペルにMPKで殺されかけた上彼の死を目にすることもなかったはずだ。

 

 2人は重い足取りで村へと帰った…。




 改めまして、星音カケルでございます。
前書きでも書きましたが、次回の更新がいつになるか、もしかしたらこれだけで更新されないかもしれませんが先にお詫び申し上げておきます。
誠に申し訳ございません。(笑)

僕はすごく気分屋かつモチベがないと何も出来ないもので(^^;

以前書いてみた暗殺教室は第3話が4年以上更新されてません(白目)

この作品には僕が思うアインクラッドにおいての「これ強いんじゃね?」とか「こういうの好きだな」とかそういう妄想やら趣味嗜好が多分に含まれて来ると思いますし、原作の設定に忠実とは限らないので予めご了承ください。

また、普段物を書くということをなかなかしていないので、読みにくい文章になっていたり、送りがなやルビの使い方が間違っていたりするかもしれません。
気づいた際には指摘していただけるととても嬉しく思います。

最後になりましたが、第1話を閲覧していただき誠にありがとうございました。
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