「ありがとうね、トルポートさん。テレポータルの設置が出来て良かったよ……」
「いえいえ。それにしても凄い設備ですね。動力源がここまで低出力なのに効率よくテレポートできる設備は見たことが無い。どんだけ鳥人族って高度な技術を持ってたんですか……」
「まぁ、いろいろと……」
洞窟の中で2人が会話していると、ウサミミがヒョコリと出てきてこちらに近づいてくる。
「むむむ!君たちがローくんの言っていた技術者だね?」
「おや? ……あぁ、君が篠ノ之束博士だね?私はヤングバード。鳥人族と呼ばれている宇宙人だ。こちらはトルポートさん。タイムクリスタルという資材を用意してくれた人物だ」
「会えて光栄です、篠ノ乃博士。こちらがタイムクリスタルです。データはこの書類をお読みください」
ヤングバードはソウハ族の礼をして、トルポートは数枚の書類を差し出す。
「これがタイムクリスタル……凄いよこれ!材質、放出するエネルギー、汎用性!どれをとっても地球の物質を超えてるか同等だ!……ん?どうしたの?」
((言えねぇ……こっちじゃ骨董品レベルだなんて言えねぇ……!))
束はタイムクリスタルを手に取ってキラキラとした目でこちらを見るが、2人はとても苦々しい顔になっていた。
「……これ、言った方がいいですかね」コソコソ
「ですね。一応理由はあるので今後の為にも安価で決まったことは伏せて話した方がいいかと」ヒソヒソ
「? どうしたの?2人とも。ナイショ話なら束さんも混ぜてよ!」
「んっん!……誠に申し上げにくいのですが……そのタイムクリスタル、我々からしたら骨董品もいいところなんですよ」
「……は? ……おい、ちょっと説明しろ」
束の表情が笑顔から一転、険しい顔になる。
「はい。我々に骨董品と言われているタイムクリスタルを提供したのにはしっかりとした理由があります。まずは加工のしにくさ。これは単純に国などの思惑で軍事利用による量産をされないようにする為です。現状タイムクリスタルを加工できるのは恐らく篠ノ之博士のみ。要は宇宙進出の為にしか使わせないためですね」
「……他には?」
「次にエネルギー量と加工後の材質。正直エネルギー源としてはタイムクリスタルは我々にとっては微妙です。上位互換であるイオンマターやダークキューブなどもあるのですが、そちらはISを見る限りエネルギー源としては過剰です。ダークキューブは戦艦クラスの宇宙船に使う代物なのでオーバースペック。イオンマターは液体なのでどうしてもISの場所を占領してしまいますし、ISのような急制動をするものには向かない。ですが、タイムクリスタルは加工後も変わらず固形です。エネルギー量に目を瞑れば急制動にも耐えられますし、真っ先に軍事利用する輩が出た時などの、やむを得ない時に粉々にして破壊できる。……以上が、タイムクリスタルを採用した理由です」
「……ごめんね?疑っちゃって。分かったよ。確かにエネルギー量に目を瞑れば最適だね」
「理解していただいて助かります。さて、突然で悪いのですが、篠ノ之博士の家にお邪魔してもよろしいでしょうか?何せ我々はこの姿です。コスプレというのには……少し無理があります。それに、ここへいちいち往復するのも効率が悪い。なので博士の家に匿ってほしいのです。もちろん、技術提供はしますし、プライバシーとかはしっかりと守ります」
「いいよ!でもどうやって家にまで行くの?」
束が疑問を呈すると、ヤングバードは問題ないですと答え、精神を統一。パワードスーツを展開した。
「! 凄い……これが鳥人族の技術……!」
「この……ファントムクロークという装置を使ってあなたの後ろをついて行きます」
「うん!ついてきて!」
「ではトルポートさん、行ってきます」
「幸運を!」