私は今、とっても小さくなっています。
アルダン先輩にお誘いいただいたお茶会。てっきり学園のどこかでやるのか、と思っていたんですが…私は今、メジロ家の大きな車に乗っています。こんな高級車、初めて乗ります…。
「うふふ、エメラルドさん、そんなに緊張しなくてもいいんですよ…?」
「うぅ…こんなに静かな車は初めてなんです…。」
「えへへ…私も最初はびっくりしちゃいますから~、でもこの後のお茶を楽しむためには、肩の力を抜かなきゃですよ!」
「はい…ありがとうございます。チヨノオー先輩。」
「それにしても、ヤエノさんは残念でしたね…。」
「ですね…。私はやっぱり心配です…。」
「帰ったら一緒に看病しましょう?」
「はい、アルダン先輩…。」
アルダン先輩が優しく頭をなでてくれます。えへへ…。優しい手つきがクセになっちゃいそう…。ふわぁ…。
あら…寝てしまいました。それにしても、かわいい寝顔…。この髪の毛、初めて触りますが…。まるで絹のよう…。ずっと眺めていられます…。
…じいやに頼んで遠回りしてもらいましょうか。でも、チヨノオーさんは何度かメジロの本家へお招きしたことがありますから、不自然に思われてしまうかもしれませんね…。惜しいですが、本家につくまでのわずかな時間、この姿を目に焼き付けるとしましょう。
メジロの本家についた時のエメラルドさんの驚きようは、見ていてこちらまで笑ってしまうようなものでした。おいてあるものすべてに目を真ん丸にして声を上げている愛らしい姿が、私の心をほぐしてくれます。
「うぅ…。こんな豪華な部屋、テレビとかでしか見たことないよ…。」
「わかります…。私は今でも緊張しちゃいますもん。」
「気にしなくて大丈夫ですよ。それでは、お茶の準備をしてきますね。」
「ありがとうございます!」
「エメラルドちゃん。トレセン学園の生活には慣れましたか?」
「はい!クラスメイトも優しい子ばっかりですし、授業もおもしろいです!」
「それは良かったです!トレセン学園は宿題が多いから、頑張ってくださいね?」
「チヨノオー先輩…脅さないでくださいよ…。」
「ほんとですよ~?私は去年たくさんアルダンさんに手伝ってもらっちゃいました…。」
「うぅ…憂鬱だな…。」
「あ、そうだエメラルドちゃん。もうトレーニング施設はもう使いましたか?」
「あ、はい!練習用コースとプールを使わせてもらいました!」
「お~!いいですね~!私、エメラルドちゃんにも負けませんから!」
「っ…!はい!」
チヨノオー先輩からの宣戦布告に、まるで体をつかまれているようない感覚になりました。チヨノオー先輩はまだデビューしていないウマ娘ですが、雰囲気が完全に違います。はぅ、ちょっと怖いかも…。
「あら?二人とも何のお話をしていたのですか?」
「あっいえ!世間話ですよ…。あっはは~…。」
「…?はい、お茶菓子をどうぞ。」
「わぁ…!おいしそう…!このケーキ、どこのお店のですか…?」
「エメラルドちゃん、これはアルダンさんのおうちのパティスリーの儀とが作っているんですよ~?」
「あ…アルダンさんのおうち、パティシエの人もいるんですか…!?すごいですね…。」
「うふふ。ありがとうございます。では、お茶を入れますね。」
「わぁ…。高そうな茶葉ですね…。」
「ええ、セイロンのディンバラ、という茶葉です。一番オーソドックスなセイロンティーですよ。」
「わぁ…。アルダンさん、手慣れてますね…。」
「ええ…。昔からばあやと一緒に入れていましたから。」
「へえ…やっぱりアルダン先輩はすごいですね…。」
「あと、私は昔から体を壊しがちでしたから…。部屋の中でできることは上手になってしまいました…。」
「いえ!素敵ですよ!」
「そうでしょうか…ありがとうございます。エメラルドさん。」
「ごちそうさまでした!アルダン先輩!」
「いえいえ。エメラルドさんの喜ぶ顔がみられてうれしかったですよ。」
「あ、そうだアルダン先輩。帰りにスーパーによってもらってもいいですか?ヤエノ先輩に何か作ってあげたくて…。」
「ええ。お手伝いできることがあれば何でも言ってくださいね?」