俺様がカイドウだ!!!!   作:ヘルスパイダー

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基本的に不定期なので、気長にして読んでね


最強生物の名乗りを上げろ!

 俺の一番最初の……いや、俺がこの世界で思い出せる最初の記憶はゴミ山の上で寝転がって青空を見ていたということか……。

 

 俺には前世ともいえるべき記憶がある。

 とはいえ、それだけだ。何か凄まじい出会いがあった訳でも、神を名乗る神聖存在と出会った覚えもない。

 

 突然の出来事とも言えるこの状況で俺は冷静に周囲を確認した。

 目を覚ましたら突如として見覚えのない場所に移動させられたという非日常体験に脳がちゃんと追いついてなかったからの対応なのだろう。

 

 俺がこの世界に来て2日目が経った日に、俺はここがようやくどういった世界なのかを知ったのだ。

 

 流星街というこの場所の名称を仲良くなったこの街の住人から聞けた。

 その地名には聞き覚えがあった。それは俺の前世の記憶の中に存在している。

 

 ハンター×ハンターというタイトルの漫画に登場する街の名前に流星街という地名の街が存在する。

 そこはこの街の景色同様にゴミの山で溢れかえり、犯罪者たちが行き着く最後の場所とも言われている場所だ。

 

 ここが流星街だというのならば、俺はハンター×ハンターの世界にやってきてしまったということなのだろうか? 

 だとしたら、やるべきことは1つだろう。

 

 この世界の強者は軒並み念能力というものを習得している。

 この念というものは説明しなくても理解できるだろう。

 

 俺はこの念を習得する為に座禅をすることを日々の習慣に加えた。

 この街で生きるのに必要なのは強さではなく、他者とのコミュニケーションだった。

 

 日々を凌ぐのに必要な食べ物はネズミや虫といったおよそ人が食べるようなものではない物ばかりだった。

 とはいえ、死ぬよりはマシという考えと、この体が以前からこれらを食していた為に口に放り込むことに躊躇はしなかった。

 

 こんな生活に内心は嫌気がさして早くこの街を出て行きたいと願っていたが、俺が思っていた以上に流星街は広く大きい。

 それに、出ていくにしろ流星街出身=犯罪者というレッテルが貼られてあり、それ相応の手続きか移動手段を確保しなければ出ていくのが難しいということが分かった。

 

 ただ念に関しては座禅を始めて1週間程で会得することが出来た。これは僥倖と言えよう。

 このスピードで念を覚えられるということは、ひょっとして俺って天才なのかもしれん。

 

 そのまま『発』を作ってしまうのもいいかと考えたのだが、これといって自身の戦闘スタイルや得意な系統も判別していないのに作るのは愚かの一言だろう。

 実際に、原作でも天空闘技場で才能のあったカストロも念の師匠がおらず独学で能力を得た為にヒソカに敗れてしまったのだ。

 

 それに、俺は念能力者との戦いにおいて強力な能力が必ずしも必要とは考えていない。

 例えば、グリードアイランド編で発生するレイザーとドッチボールの戦いではゴンたちよりも総合能力が高い筈のツェズゲラがあっさりと敗北した。その原因は基礎能力不足としか言えないだろう。

 

 このように、ハンター×ハンターは常にしっかりとした敗因が存在しており、俺はこの2人を反面教師として見習わなければならない。

 そう考えた俺は日々の習慣であった座禅を取りやめて基礎トレーニングとグリードアイランドでビスケが教えた念の基礎修業を取り組んだのだった。

 

 そんなこんなで、俺はこのハンター×ハンターの世界にやってきて特に語ることもなく数年の月日が経過した。

 本来ならば、ここで原作キャラとの遭遇や原作には登場しなかったオリジナルキャラとの出会いなんかがあるはずなのだが、本当にそういうのはなかった。

 

 だが変化ならあった。とても大きな変化だ。

 

「なげぇことこの街に滞在しちまったが、もうそろそろ旅立ってもいい時期か……」

 

 ゴミ山の上で見上げるほど大きな巨体の男が青空を眺めながら感慨深げに口にする。

 なんとなく気づいているかもしれないが、この大男の正体は俺なのだ。

 

 最初の頃は前世の記憶もあって一般人として過ごしてきたのだが、長年この街で過ごしていくウチに性格は勿論のこと、長年の修業により肉体が凄まじい速度でバルクアップしたことにより、漫画の世界の住人特有のこんなデカイ人間がいるか状態へと変化したのだ。

 

 加えて、俺の一人称も今じゃ俺様になっている。ここまで特段語るような出来事は無かったが、それでも人1人を歪めてしまう苛酷な環境だったのは理解してほしい。

 

「さて、行き先はとりあえず決まっている。武人の聖地『天空闘技場』だ!!」

 

 この数年で俺様が手に入れたのはなにも強さだけじゃねぇ。

 

「「「「オッス! 飛行船の手配は完了しておりますボス!!!!」」」」

 

 理解しているとは思うが、ここ流星街は犯罪者の溜まり場といっても過言ではない。そんな奴らがいの一番に目をつける奴がどういった奴か分かるか? 

 それは脅しやすそうな貧弱な奴でも、金目の物を所持してそうな奴でも、綺麗な顔をした美人でもない。

 

 そう、俺様のようなどこのグループにも所属していない腕っぷしの強い奴のことだ。

 何故かって? 味方でもねぇいつ敵になるかもしれねぇ奴を無警戒に放っているような奴らならここに来る前にどこぞで捕まって海に沈められてるからよ。

 

 とはいえ、ここにはルールが存在する。そいつを破るようなバカはここじゃ生きてやんねぇ。

 だが、例外ってのはどこにだって存在する。

 

 それが俺様だ! 修業中に俺様を見張っている三下共を鬱陶しい! という理由で半殺しにした後でソイツらボスの元まで案内させて組織ごと金と人員を丸ッと俺様のモンにしちまった訳さ。

 流石は流星街のマフィアと褒めるべきか、組員の何人かに念能力者が紛れていたんだが、所詮はマフィアに雇われているだけのモブキャラに過ぎなかった。

 

 俺様の硬による一撃で全員が纏めて吹き飛んで瀕死の重症で倒れちまいやがった。こんなにもあっけなくちゃまるで戦った気がしねぇ……。

 そうして俺様は晴れてマフィアのボスとなり、財力と権力の2つを同時に得ることが出来た。

 

「こうやっていざこの街から出るってなると、感慨深いものが出来ちまうな」

 

 流星街を出るための車に乗る込む前に、恐らく生涯最後になるであろう見慣れたゴミ山の景色を見納める。

 

「さて、そろそろ出るぞ。車を出せ」

 

 俺様専用となる超大型トラック並みにデカイ車に乗り込んで運転手に指示を出すと、ブロロロォォォ!!! と排気ガスを大量に吐き出しながら流星街を後にする。

 

「けどボス? どうするんですかい?」

 

「ああぁん? 何の話だ?」

 

「何のって、ボスの名前の話じゃないっすか」

 

 車が発車して少しすると、一緒に乗り込んだ部下の1人が俺様に向かって1つの疑問を投げかけてきた。

 そうなのだ、今の俺様には名前がねぇ。前世での名前はあるのだが、ジャポン出身でもないのに日本人の名前は違和感がありすぎて名乗りづらいのだ。

 

 流星街で過ごしていた頃はお前やアイツ、部下からはボスと呼ばれていたから問題は無かったが、流石にこれから天空闘技場に出場する際に名無しってのは問題があるからな。

 さてどうしたものかと窓から見える景色を眺めていると、不意にゴミ山の中に巨大な看板が目に入る。

 

(なんだありゃ? カ・イ・ド・ウ)

 

 長い間捨てられた為か、雨風によって所々が擦れてしまって文字が読めなくなってしまっているが、辛うじて読める箇所を続けて読むとカイドウという文字になる。

 その名前に前世の記憶が稲妻のように脳裏にかける。

 

 カイドウというのは世界的にも人気を博したワンピースの最強キャラにも位置付けされる超強キャラの名前だ。

 確か、あのカイドウは今の俺様並みの身長で肉体特化した戦闘スタイルだった筈。

 

(偶然か運命か? 名乗りを上げるのに迷っていた今ならば天命とすら言えるタイミングだな)

 

 不敵な笑みをニヤリと零すと、先程名前の件について聞いてきた部下に向けて俺様は今さっき思いついた名前を口にする。

 

「おい、決まったぞ!」

 

「決まったって? あっ! 名前のことっすか!?」

 

「ああ、今日から俺様の名前はカイドウだ! よ~く他の奴らに覚えさせとけよ。ウオロロロォォォォ!!!」

 

「ウッス! って、ボスって笑う時ってそんな変な笑い方でしたっけ?」

 

「あぁん? これはな新しい自分のキャラ付けってやつだ。変にツッコンだりすんじゃねぇぞ」

 

 この特徴的な笑い方は原作カイドウを真似たものだ。これに何か特別などはない。

 しいて言うならば、強さへの信仰とこれからの進む道を決めた証とでもいうべきか……。

 

さあ、冒険を始めようか異世界よ!!!! 

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