俺様がカイドウだ!!!! 作:ヘルスパイダー
存分に高評価を押してください!1とか押した奴は恨む!
流星街を出立して早や数日が経った。
街へついてからは、流星街で着ていたボロボロの服じゃ周りの奴らから舐められる視線を向けられるので、この街一番の服屋でマフィアらしさとカイドウらしさを合わせたデザインの服を特注で仕立てて貰ったのだが、中々に金が掛かっちまった。
急ぎで無理矢理やらせたのと俺様のサイズに合わせて作らせたからな素材の量や人件費なんかで結構な額になっちまったが、仕上がりがいいので大笑いしながら一括で払ってやった。
ざっと600万ジェニーはしちまったが、俺様の組織が持つ財力にとってはうまい棒を600本大人買いしたようなもんだ。
さて、晴れ舞台用の衣装も手に入れたことだし、そろそろ向かうとするか念願の天空闘技場へ!!!
「う~む、予想はしていたがかなりの大混雑だな」
見れば天空闘技場の受付から並ぶ列は長蛇の列と化しており、登録するまで数時間は掛かると予想できるだろう。
「いや~、流石は今話題の天空闘技場ですねボス!」
「あぁん? 話題だと?」
「あれ、知らないんですかボス。最近じゃ天空闘技場の試合のギャラが上がって色んな国の腕自慢がこぞって集まってきているって」
「各国の腕自慢だぁ? こいつらがねぇ……」
部下からの情報に疑惑の眼を列に並ぶ男どもに向ける。
正直言って蟻んこが行列を作っているようにしか見えねぇな。
「っけ、こんな雑魚共と一緒に順番待ちなんざまっぴらごめんだぜ俺は!!!」
「えぇ、ちょっとボス! どうするつもりですかい!?」
カイドウの不穏な言動に部下の1人が慌てて止めようとするが、それで止まるようなカイドウではなく。
行列の隣を悠然と歩いていき、やがて受付が見える場所までやってくると、列に並んでいる男たちに向かって一言告げる。
「どけ雑魚共が!!」
カイドウがそう叫ぶと、列に並んでいる男どもが一斉にこっちを向いてメンチを切ってくる。
「あぁん?」
「テメェ誰に向かって雑魚なんてほざいてんだぁ?」
「ちょっと図体がデカイからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」
流石は天空闘技場に挑む荒くれどもなだけあって見上げるほどの巨体を持つカイドウの挑発的な言葉に嚙みついてくる。
「ほぉ、度胸はあるみてぇだな。だがな、それに実力が伴ってなけりゃ意味がねぇんだよ!!!」
次の瞬間、カイドウから嵐のような殺気と軽い念を飛ばすと、先程まで反抗的な態度で嚙みついてきた男どもが一斉に蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「ひぃぃぃ!!!」
「ば、化け物だぁぁぁ!!?」
「こ、殺されるぅぅぅ!!!」
あれほどあった長蛇の列が綺麗さっぱりと消え失せて、残ったのカイドウとその部下のみであった。
だがさもありなん、相手は流星街を牛耳るほどに成長したカイドウだ。
もし仮にここで敵対を選ぼうものなら、一流の念能力者以外ならば木っ端微塵の死体が完成されるだろう。
「ウォロロロォォォ!! 随分と賢明な奴らだったぜ。まあ、俺様的にはもう少し歯応えのあるような奴がいてほしかったがな」
「勘弁してくださいよボス! こんな街中で普段通り暴れたら受付で登録できなくなるどころか、ボスの場合はシングルの称号持ちのブラックリストハンターがやってきてもおかしくないんですから!!」
「それはそれで面白そうだが、今はまだハンター協会なんぞと敵対するのはマズイな……」
顎のひげを撫でながら部下の言葉に耳を貸す。いくら傍若無人な性格といえど分別のつく知性はあるようだ。
「さて、これで受付前も空いたことだし、さっさと選手登録を済ませるぞお前ら!!!」
「「「「「はい!!!」」」」」
ここにいる部下共は多少は念能力が使える能力者だ。戦えば200階層にいる新人狩り程度の奴らなら問題無く勝つことができるだろう。
確か原作でキルアが200階にたどり着くまでに稼いだ金は2億ジェニー程だったか?
今の天空闘技場と原作での天空闘技場のギャラが同じかどうかは知らんが、今いる部下共は5人程で俺様を含めりゃ、ここにいる全員が200階に到達する頃には10億ジェニーは軽く超えるだろう。
まあ、俺様は特に金に興味は無いから組織の財政係の奴にでも渡しとくか。
そっから選手登録を全員済ませ(受付係が死ぬほど顔を蒼ざめていた)試合開始まで控え室で時間を潰そうとしたのだが、ここで大きな問題にぶち当たってしまった。
「入り口が小さすぎて入れねぇ……」
「あ~、確かにボス体がデカイからな。俺たちの乗っ取りに来た時も入り口ぶっ壊してましたもんね」
「あったあった。あんときはマジでビビったぜ!」
「そん時お前『ば、化け物ぉぉ!?』ってビビり散らかしてたもんな」
「おい! 無駄話もそこまでにしとけ。んで、俺様はこれからどうしたらいいと思うよ?」
目の前で楽しそうにくっちゃべと昔話に花咲かせる部下共の頭を鷲掴みにして、話を本題へと戻す。
まったく、度胸があるのはいいが、時たまこうして喝を入れねぇと大人しく言うことを聞かねぇ時があるから面倒なんだよな。
「それならこういうのはどうでしょうか? 俺らはここで待機して試合を待ちます。その間ボスは近くで時間を潰して、試合が始まれば電話して俺らがボスを呼ぶってのは?」
「ほぉ、なかなかシンプルだが悪くねぇ提案だ。よし! その案でいくぞ」
こうして試合が開始するまで時間潰しがてらに近くの散策を楽しんでいると、ポケットから電話の着信音が鳴り出した。
「おう! もう試合の時間か。分かったすぐに行く」
ピッ! と電話を切ると、天高くそびえ立つ天空闘技場を睨み上げ、これから起こることにニヤリと笑みを零す。
♦
今日からこの俺の人生は変わる。ただの街の荒くれ者から世界に轟く男として輝くんだと信じていた。
そうあの瞬間、アイツを見るまでは──―
『それでは! 天空闘技場にお越しの皆様方!! 長らくお待たせ致しました。この天空闘技場にやってきたルーキー達の力の見せ合いが今開始されます!! って、おやぁ? 1つだけまだ対戦者が揃っていないリングがあるぞ?』
司会者の言う通り、他のリングでは対戦相手が出そろっているというのに、真ん中のリングだけはまだ1人やってきてはいないようだ。
今リングの上で立っているのは身長2mを超える充分に大男と呼べる体格をしたガタイのよい男だ。
「へっ、どうせ対戦相手の野郎はビビッて逃げてっちまったのさ。俺の地元じゃよくあったぜ、調子に乗って喧嘩を挑んでくるが、いざ俺を目の前にすりゃ怖くて泣いて謝ったり逃げ出したりする奴がよ!」
なっはっはっは! と逃げた対戦相手を笑っていると、選手入場口で何やら騒ぎが起きり出した。
「ったく、ここは控え室だけじゃなくて入場口まで小せぇとはな。バリアフリーってのを徹底させなきゃならんだろうが!!」
バキバキと入場口を乱暴に壊しながら入ってくる身長5mを超える大男というよりも巨人という言葉が似合いそうな男がズシンズシンと足音をたてて中央のリングへ足を運ぶ。
「俺の対戦相手はテメェか?」
「なぁ、ああ……」
目の前に現れた自身の倍以上もある巨人を目の前に対峙して口が上手く動こうとしなかった。
俺だってある程度の覚悟を持ってこの天空闘技場にやって来たんだ。
そりゃ、俺以上の身長を持った奴と戦うだろうと予想ぐらいはしてきたさ。
けど聞いてねぇぞ!? 天空闘技場は人同士の対決だろ? なんで俺の相手がこんな化け物なんだよ!?
余談ではあるが、カイドウはここに来るまでに体の大きさに合わない廊下を中腰姿勢のまま移動してきたので非常にイライラしている。
それはつまり、カイドウが無意識に殺気だっているということ示しており、それに当てられて対戦相手が恐怖状態に陥っているのだ。
「あぁん? なんだ子犬みてぇにプルプルと震えやがって。そんなんで俺様と本当に戦えんのか?」
「…………」
何も言えない。当たり前のことだ。想像してみてくれ。目の前にドラゴンが威嚇してきているんだ。
そんな状態でマトモにいられるか?
審判の野郎が不安そうな顔をしてこっちを見てきやがる。おい? 噓だろう。
まさか俺とこの化け物を本気で戦わせようって気じゃねぇよな? 周りの連中だって戦わずにこっちのリングを見てやがる。
『こ、ここでは入場者のレベルを測ります。制限時間3分──―』
おいおい、なに試合のルールを説明してやがんだ審判!? ダメだ、周りの連中や観客共も完全に俺とあの化け物が戦うって空気になってやがる。
『それでは試合始め!!!』
「さて、ようやく試合開始と言いたいが、こんなプルプル震えた野郎一匹ぶっ潰しても何の評価にも繋がりゃしねぇ」
呆れた顔で俺を見る奴の姿はまさに絶対者! それも圧倒的な強さを持つ強者だ。俺は今まで井の中の蛙だったってのを思い知らされた。
もし生きて帰ることが出来たら実家の漁業を継ごう。絶対に……
「よし! テメェに1つだけチャンスをやろう。俺はテメェが動くまで一切動きはしねぇ。好きなようにしな」
降って湧いた僥倖だ。つまり、今ならどんな攻撃も容易く当たるということ。鳩尾への一撃か、首筋への攻撃、もしくは股間への蹴り上げも有効となるだろう。
ここは無慈悲であろうとも一撃で殺す覚悟で仕留めにかからなければ、殺されるのは自分になる。
そう思っていざ攻撃をしようと一歩足を前に出した瞬間、俺は悟った。
(なんだよコイツの体は?)
恐怖の対象ではなく、敵としてちゃんと相手を見たとたんに理解したのだ。
俺の攻撃はどこに当たろうとも、コイツには……この化け物には通用しないということが……。
なんて例えればいいんだ? 鋼か? それともダイヤモンドか? いずれにしろ、俺の攻撃が命中したと同時に俺はこの男に殺される。
その時、カイドウとの実力差が天と地以上に離れていると実感した男が取った行動は──―
「ま、まいった。俺の負けだ……」
恥もプライドも脱ぎ捨てた敗北宣言だった。
「ちっ、根性無しのヒヨッコが! まあいい、おい審判! 俺様の勝ちだ。さっさと宣言しろ!」
『は、はい! カイドウ選手の勝利!!!』
審判が試合結果を宣言すると同時に、観客たちが何もせずにサレンダーした選手に向かって野次や罵倒を浴びせる。
それに対して、普段ならばそんな喧嘩を売って来るような奴らに対しては、反抗的な態度を見せる筈の彼も、下を向いてトボトボと情けなく試合会場から退出していった。
「え~、それではカイドウ選手は160階へ。頑張ってください」
「おう!」
審判から160階行きを言い渡されたカイドウは、自身が壊した入場口から出ていった。
そうしてカイドウの姿が試合会場から消え、ようやっと自分たちも同じく戦いに来たのだということを思い出した他の選手らが、目の前に立つ対戦相手に向かって一斉に殴り合う。
先程まで会場内を包み込んでいた異様な殺気も消えたことで、残りの消化試合じみた戦いに観客たちも白けた目で見守っている。
「あ~あ、あの対戦相手の男も可哀想にな。ボスを相手になんざ運が悪すぎだぜ」
「まっ、馬鹿正直に攻撃せずに即座に降伏したのはいい判断だったと思うぜ」
「だけど勿体ないよな。あいつ見た感じここじゃ100階クラス以上の実力の持ち主だぜ」
「ああ、あの調子じゃ故郷へ帰っちまっただろうな」
「はは、高い旅行代の代わりがジュース1本分に化けたってわけだ」
観客席で先程までの試合を見ていた部下たちが、口々に感想を言い合う。
だが、その感想の中には周りの観客たちと違って、腰抜けだの意気地なしだのという批判的なものはなく、逆に英断だという感想を口にしている。
実際にカイドウの真の実力と性格を知らない観客たちの目には先程の男は戦いもしない腰抜け野郎に見えただろうが、実力と性格を知る部下たちの目から見れば相手との実力差をキチンと把握できる実力者と評価している。
『選手番号667番の方、選手番号668番の方、選手番号──―』
「おっと、ようやっと俺らの番か……」
「へへ、負けんじゃねぇぞお前ら」
「バカ言ってんじゃねぇぞ! 俺らがこんな雑魚共なんかに負けるかよ!」
「まあ、ボスみたいな化け物が紛れ込んでいたら分かんねぇけどな」
それぞれが案内されたリングの上で対戦相手と対峙したが、案の定相手は全力を出すまでもない雑魚だった。
それぞれ一撃のもとに失神、またはリングアウトでKOさせると、審判から60階行きを言い渡される。
「まっ、これが妥当だわな」
「ボスが例外過ぎるんだよな」
「無駄口叩いてないでさっさとチケット換金してボスと合流すっぞ!」
「あの人目を放すと何すっか分かんねぇからな」
♦
天空闘技場での初戦は相手側のリタイアで決着か……。
まあ、予想していなかったわけでもねぇな。流星街でも俺様をぶっ倒して名乗りを上げるって野郎はチラホラいたが、いざ俺様と対峙して戦おうってなった瞬間、即座に土下座して許しを乞う野郎もいた。
まあ、今回連れてきた部下の1人がそいつなんだけどな。
ぶらぶらと部下共の試合が終わるのを待っていると、廊下に設置されてあるテレビからさっき俺様の試合を担当した審判が映っていた。
『カイドウ選手はルーキーではとても相手出来ない強さの持ち主と判断した為、即座に160階行きを言い渡しました。これは実力差のある者同士を戦わせた際、先程の試合同様の結果が再現されると予想された為に──―』
なるほどな。原作でゴンは50階層からのスタートだったのに対して何の実績もない俺様がいきなり160階層行きになった理由は理解できた。
「お待たせしました。ボス!!」
「おぉ、その調子じゃ全員問題なく勝ち上がったようだな」
やって来た部下共の顔色を見る限り全員勝ち上がったのだろうと予想できる。
ちなみに、カイドウと戦った選手の名はザナックといい、彼は実家に戻って両親の船を譲り受けて立派な漁師になったとさ。
あと、試合後の部下たちに言い渡された階層が60階ですが、160階と訂正の報告がきました。
分かりにくかったですかね?