俺様がカイドウだ!!!!   作:ヘルスパイダー

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別作品の『ドラゴンボールZ悪の科学者を超える者』がまさかの日刊ランキング18位になっていてビックリしましたね。
この作品が好きだという人は是非とも読んで下さい。(気に入るかどうかは知らない)


カイドウがハンター試験に参加するのは間違っている?

 カイドウがフロアマスターに就任して7年の月日が経った。

 

 カイドウが乗っ取ったマフィアは今や世界中で一番手を出してはいけない超極悪な組織へと変貌し、何人かのプロハンターと直接対決したことも何度かあったが、その大半がカイドウとぶつかる前に部下たちの手によってこの世から葬り去られていった。

 

 辛うじて部下たちを退けた強者もいたが、その後に現れたカイドウと戦って幾人かは逃亡に成功する者もいたが、中途半端な強者はカイドウの金棒の一振りによってその命をあっけなく堕としていった。

 

 今ではカイドウの名は『怪物』『暴君』『最強生物』と様々な呼び名で世界中に広がっている。

 曰く、あの男に狙われれば街どころか国すら滅ぶとすら噂されており、実際にカイドウの機嫌を損ねた国の王は、3日のうちに城を壊され国の7割が荒れ地のごとく滅ぼされた。

 

 それを重く見たハンター協会を筆頭に様々な国や組織がカイドウ討伐を議題に上げたが、翌日の会議にてカイドウ討伐の議題は無かったこととなった。

 

 そこにどのような思惑があったかは世間は知らないが、ハンター協会のパリストンが裏で動いていただとか、カイドウが流星街の重鎮の1人だとか、世界にバレてはいけない闇の情報をカイドウが握っているからだとか、予測や妄想めいた話が各地であちこちと流れたが、その真相は誰も知らない。

 

 

 ♦

 

 

 パチッ、パチッ、パチッ

 

 広い部屋に将棋を指す音のみが響き渡る。

 

「ウォロロロォォ! 暇だ……。久しぶりに国でも滅ぼすか?」

 

「やめてくださいよボス。昔もそうやって国を滅ぼしてジャッカルさんやペリップさんらが顔を青ざめさせて後始末にかかりっきりになって死に掛けてたじゃねぇっすか」

 

 アジトの広間で横になりながら、酒を浴びて趣味の一つである将棋を指すカイドウが物騒なことを呟き、その発言にカイドウの対戦相手を務めている部下が焦った様子で説得を試みる。

 

「あれも余計なお世話だってんだ!! あのまま戦ってりゃ俺様もタダじゃ済まなかっただろうが、こうまで暇になることはなかった。今のこの世界で俺様と対等に殴りあえる奴なんざ数えるほどもいねぇ。それがどれだけ退屈なことか、テメェに想像できるか?」

 

「いや、そりゃボスとまっとうに戦える人間なんざハンター協会のネテロ会長か伝説の殺し屋一家のゾルディック家しかいねぇでしょうが、ボスがあまり軽率に行動しちゃ……」

 

はぁ、グダグダした説教なんざ聞き飽きたぜ。なんか面白れぇイベントがあったような気がするんだがな……。

 

「あっ、そういや俺様ハンターライセンス持ってねぇや」

 

「え?」

 

 部下のつまらん言葉を横流しに聞いていたカイドウが、突如として前世の記憶の1つであるこの世界の重要イベントの1つであるハンター試験のことを思い出したのだ。

 

 ちょうど退屈していた時に、天啓の如く脳裏に浮かんだイベントなのだ。そこからのカイドウの行動は早かった。

 少々負けかけていた将棋盤を蹴り飛ばし、目の前にいる部下に指示を出す。

 

「ウォロロロォォ! ジャッカルの奴を呼べ!! 俺様もハンター試験に参加するぞ!!」

 

「ええええええぇぇぇぇ!!!??」

 

 カイドウの突拍子のない行動をするのはこの組織にいる者ならば誰もが知っているが、まさか現在は落ち着いているが、一時期は敵対関係にすら陥っていたハンター協会の傘下に実質入るような真似をするだなんて開いた口が塞がらないなんてものじゃない異常事態に自分だけでは判断どころかカイドウを止めることは出来ないと理解している部下は、即座にこういう場合において全組織の中で1番頼りになるジャッカルの元まで走り出す。

 

「アホかぁぁぁぁ!!? 毎度毎度、なんで俺んとこには厄介事の話しか流れ込まないんだよ!!!」

 

 両膝を突きながら天を仰ぐジャッカルの姿に誰もが憐れみの視線を飛ばすが、誰一人として声を掛ける者はいない。

 だって、もし声を掛けて巻き込まれたら面倒だからだ。

 

「それで、ボスは本当にハンター試験を受けると言ったんだな?」

 

「はい。間違いなく。原因もただの暇つぶしの一環だと思われます」

 

「っくそ!」

 

 それを聞いてジャッカルは頭を乱暴にかきながら、リスクとリターンを頭の中で冷静に考えながら自身の持つパソコンを乱暴に操作する。

 

「こうなったら仕方がねぇ。このままボスのストレスを溜めててもいずれどっかで爆発すんならハンター試験を利用してストレス発散してもらった方がこっちにはありがてぇ。それに、ハンター協会がこれをきっかけにどうこう言ってこようが、ボスなら面倒だとか言ってライセンスを捨てて終わりだろうしな!」

 

 アッハッハッハっと笑って答えるジャッカルの自暴自棄な考えながらもリアルにありえそうな未来図に、他の者たちもジャッカルの考えに賛同してカイドウのハンター試験の参加に異を唱えることはなかった。

 

そうして、カイドウ参加の一報がハンター協会へと届けられた。

 

 ♦

 

 この日、ハンター協会に激震が走ることとなった。

 

「た、大変です会長!!?」

 

「なんじゃ騒々しい。また上の連中が面倒な指令でもよこしてきたのか?」

 

「いいえ違います。とりあえずこれを……」

 

「なんじゃというんじゃ? ん、こりゃ今年のハンター試験の参加登録の資料かの?」

 

 一体何がビーンズをここまで慌てさせ……!? 

 

「…………ここに書かれている人物。こやつが今年のハンター試験に本当に参加するのか?」

 

「はい。現在協会にいるハッキングハンターに裏どりを取って貰っていますが、参加登録を送ってきたのは例のマフィアが縄張りにしている地域からだと報告を受けています」

 

「ふ~む、今年のハンター試験は荒れるのぉ……」

 

「ですが会長、この登録が本人からだとしても、本当に彼をハンター試験に参加させるんですか?」

 

「まあ、ビーンズの言うことも分かる。あやつは国家規模の超危険人物として登録されとるが、じゃからこそワシは奴の参加を否定してはならんと考えておる」

 

「それは一体?」

 

「な~に、簡単なことじゃ。ハンター協会とあやつらの全面戦争を防ぐ為じゃな」

 

「ぜ、全面戦争ですか?」

 

 ネテロの発言に驚愕するビーンズだが、全面戦争と発言したネテロは至極当然と言った顔で自身の髭を撫でる。

 

「信じられんか? じゃが思い返してみよ。過去にあやつがどういった理由で国を滅ぼしたのかをな」

 

「あっ!」

 

 そう、あやつは子供じみた理由で国を堕とすような破天荒極まりない男じゃ。

 そして、あやつのそんな無茶苦茶で破天荒な性格、そしてそれらを実現できてしまう圧倒的な力に魅入られて後ろを着いていく部下たちの実力も一流クラスと厄介極まる実力者揃いじゃからのう。

 一対一での戦いなら望むところじゃが、周りがそうさせてくれねぇのがお偉い立場の人間の悩みじゃな。

 

「確かに、この人物なら十分その可能性もありますね」

 

「うぬ、じゃからこその国家級の超危険人物として登録されておるんじゃからな。それにしても……」

 

 資料に載っている人物の顔写真を見て老人と思えぬ若々しい笑みを浮かべて今年のハンター試験の難易度を思案する。

 

「ふっふっふ、テメェが一体どういう考えでウチの試験に臨むか知らねえが、そう容易く合格させるほどハンター試験は甘くねぇって思い知らせてやるぜ」

 

 ギラギラとした殺気にすら近い敵対心を燃やしながらネテロは電話を取り、今回のハンター試験を担当する試験官全員に一言伝えた。

 

『今回の試験はお前さんらが思う最高峰を挑戦者どもにぶつけよ』

 




今年のハンター試験の難易度が爆上がりしました。
ついでに言えば作者の今後のハンター試験内容も大幅に変えなければいけなくなったので、話の展開を考える難易度も爆上がりしました(笑)

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