なのに
『お気に入り:21』
『UA:848』
( ゚д゚)ポカーン
本当に失礼な事を言わせてもらいますが
『えっ? まじで? 大丈夫なん?』と、素で思ってしまいました。
目が覚めた。
まず目に見えたのは見覚えのない風景。ここどこ?
いやね、うっすら覚えはあるのよ?
でも、半年以上前の風景なのよ?
え? あれ? いや、まさかね……
どうやら、転生したようです。
馬に。
いやいや、なんで?
また馬?
『転生したら馬だったけど、また転生したら馬だったよ』
ああ、うん。売れないラノベのタイトルみたい。
でも事実。
だってそう、見覚えのあるようで見覚えのない人たちの話から『ミスターシービー』『シンボリルドルフ』の名前を聞くことがあり、1980年に突入していると理解できた。
っていうか、俺の名前の後に『84』って数字をつけているから、1984年生まれなんだろうな。
ウィポ情報だけど、確か同年生まれに牝馬ではマックスビューティー、ダートのイナリワン、マイル・短距離のホクトヘリオス、長距離のタマモクロスがいる年じゃなかったっけ?
俺は牡馬だから牝馬はいいとして、来年にはオグリキャップやスーパークリークが生まれるんだろ?
ムリじゃね?
いや、距離によってはワンチャンあるのか? でも厳しくないか?
それ言えばどの年代も厳しくないか?
はぁ……
かつてのスターホースやアイドルホースと戦うのかぁ……
ゲームだと自分で所有してGⅠ取りまくっていたけど、馬となった今では真っ向勝負をしないといけない。
種牡馬入りしたいとは言わないけど、せめて引退先は乗馬になってのんびり余生を過ごしたいなぁ……。
……いや、まてよ?
ムリしてGⅠに行かなければいいんじゃないか?
GⅡやGⅢで頑張って勝って、コンスタントに稼いで行けばそれなりの引退先になるんじゃないのか?
最悪OPのみでもいいんだし。というか、決めるのは馬主さんたちなんだから、勝てそうなグレートで勝って、それ以上のグレートで負けていれば、最低限稼げるだろう。
よし、そうしよう。そうすれば強敵とかち合わずにすむ。……はずだと願いたい。めざせ、穏やかな老後。
月日が流れて、調教が始まった。今回の馬生では中距離に適応しているみたいで、頑張れば2800mは行けそうだ。脚質は相変わらずの「逃げ」だけど。
年が明ければトレセンに移動となる。2度目なので何をすればいいか分かっているので、あとはデビューに向けて整えていくだけだ。
なんて思っていたらあっという間にデビュー目前となった。
調教? 順調でしたよ。
相変わらず馬群に近寄らないようにして、とにかく逃げまくったね。
あと、気のせいかも知れないんだけど、調教開始の時点で体が軽かったんだよね。
なんだろう、こう……、倍の時間の調教を受けているような感覚?
1976年時点の調教の効果が残っているのか? 実際、トレセンでは強め調教は最初の方だけで、ほとんど軽めにしか調教していないんだけど、それでも逃げ切って勝てるんじゃないかってぐらいの能力がある。
と、調教師や騎手が言っていた。
まぁ、なんだっていいさ。
まずはデビュー、そして引退後に穏やかな老後を送れるよう頑張りますか。
……
…………
………………
はい、3度目です。
何がって?
転生ですよ~。
3度目の馬転生からの、馬生の始まりですよ~。
もうね、涙が出る。
前世? は1984年だから、前々々々世になるのか? 人間時代の前の世代で俺何かしたん?
あ、ちなみに今は1991年です。1991年のシュネージュネコです。
3度目の馬生なんだけど、名前はシュネージュネコなんだよなぁ。生まれ変わるんだからせめて違う名前に……せめてネコを外して欲しい。
まぁ、馬な自分はそんな事を伝えれないんですけどね。
色々あるけど、やっぱりどの世代もヤバイね。もう笑うしかない。
今年は、1989年生まれのサクラバクシンオー、ミホノブルボン、ニシノフラワー、ライスシャワー、マチカネタンホイザが新馬戦の年だし、ビワハヤヒデ、ウイニングチケット、ナリタタイシン、ベガ、ホクトベガ、ユキノビジンが去年生まれている。
なんなら今年はナリタブライアン、ヒシアマゾン、サクラローレル、タイキブリザード、ピコーペガサス、エアダブリンが生まれている。国内だけじゃなくて海外でも活躍した馬が生まれているので、同世代の俺ではちょっとどころか完璧に無理だ。
まぁ、彼らが来ないようなOPでそれなりに稼ぐしかないかな?
あ、ちなみに、今回はマイラーがベスト距離みたいで、大体1400~2000mが限度か?
でも、前回の馬生でも思ったけど、なんとなく過去2回分の調教の効果を引き継いでいるっぽいんだよなぁ……。
というのも、トレセンに来て初の調教で、「もうデビュー前の仕上がりでは?」と、調教師や騎手が驚いていたぐらいだったもんね。そのせいか知らんが、調教は適当に、本当に適当に流す程度しかしていない。軽め調教以下だよ? なんなら歩くだけの日もあったくらいだよ?
まぁ、それでも時々行う強め調教では文句が出ないように追い切っているし、なんなら数頭の併走では常に先頭切って走っていた。
なんやかんやあって、デビューを控えた週になったんだけど。
もうね、なんとなくだけど、諦めている自分がいる。
どうせ、また転生するんだろ? と。
しない可能性もあるんだろうけど、なんとなくまた転生する気がするんだよなぁ……
なんて言っていたら、しちゃいました。
4度目の馬生は1998年。人間だった時にこの年は悪夢の年と覚えている。
『1998年 天皇賞秋 サイレンススズカ』で分かる人も多いと思う。
なので、ゲームの時は必ずサイレンススズカを自己所有して、1998年以降も育てていたし、なんならエディットで『健康』の項目を最低の『G』から『S』に上げるくらいに贔屓していた。
まぁ、デビュー前の仔馬の自分にはどうしようもないんですけどね。
調教で走った限り今回は長距離で行けるみたい。体感的には2400~3600mかな? 3600m走ってもそんなに息切れしないんだよなぁ。
トレセンに移ってからは本格的にステイヤーとして調教が始まった。ただ、今までは『逃げ』で行っていたけど流石に3600mも逃げ続ける事は出来ないこともないけど、しばらく体がガタガタになった。
では、どうするのか?
「やっぱり『追い込み』でしょうな」
という調教師及び騎手の指示の元、3000mの模擬レースみたいな形で追い込みで走ることになった。
スタートと同時に飛び出し馬群を形成する有象無象、もとい競走馬たち。そんな彼らを眺める様に後方から駆け足程度の速さで追いかける。力を全然使わない程度の走りなのでどんどん離されていく。
「行くぞ!」
馬群最後方と10馬身離れたあたりで、騎手のゴーサインが出る。と、同時に一気に駆け出す。
いきなり駆け出して走れるのかと思ったけど、意外にすんなり走り出すことが出来て、一気にトップスピードになった。
駆け足程度でも走っていたため、体が温まっていたんだろうね。あっという間に前方の馬群を外から追い抜き、そのまま外からスルスルと追い抜いていく。やっぱり馬群に突っ込みたくないので、追い越す時は必然的に外からになるんだけど、距離が少し伸びるだけでむしろ追い越しやすいと感じる。
1000m後方を走り、1000mで先頭に出て、1000m独走状態で引き離す。
そんな結果になり、俺は今後ステイヤーとして追い込みでレースをする方針となった。
さて、3000m走ったんだけど、実際2000mぐらいにしか感じなかった。というのも、最初の1000mは最後方で、言い方を変えればのんびり走っていたわけで、疲れる要素なんて何も無いわけで。
だから、実際に『走った』と感じたのは中盤・後半の2000mだけだった。3000mの内2000mしか走っていないようなものだ。
これは俺だけなんだろうか? 繰り返し転生をしてしまったためなのか?
なんて、考えていたら、はい。5度目の転生となりました。
もう、難しい事は考えない。その分楽できるからいいじゃないか、程度に考えて思考を止める。
止めた。
2005年の馬生では中長距離適応で、実際走っていないけど体感的に20~35かな? って思っている。
思うだけで実際に走ってみないと分からないんだけどね。
転生する度に能力は上がっていると思う。明らかに1回目の馬転生と比べて違うのを感じる。
最初から100%ではない。10%程度で徐々に解放されていく感じ。
まぁ、それはいいや。調教を始めれば全部分かるんだから。
思っていた通りに2000~3500mが適距離だった。ただ、相変わらず逃げ切れる自信は無いので、追い込んでいく戦法を取ることになりそうだ。
しかし、この追い込み。実際やってみると楽なんだよな。
レースを3つに分割して、序盤は疲労感ゼロの駆け足で体を温める準備運動フェイズ、中盤に加速を開始して外・大外から全員を抜き去り先頭に立つ追い越しフェイズ、終盤は先頭に立ちひたすら後方を引き離す独走フェイズ。
序盤は抜きにして、中盤と終盤だけ考えればいいような物なので、俺だけ序盤の分短いコースになっている、いや、追い越すのに外から回るから結局変わらないのか? 実際の距離は伸びているんだが、結果として変わらないといった感じだ。
前回の馬生で能力を100%解放しないまま転生したが、引き継いでいる能力は変わっていない。そう感じる。
というか転生ごとに能力を引き継ぐとか、だいぶ卑怯ではないでしょうか?
いいのかな? あと何回転生するか分からないけど、最終的にエライ事になるのでは?
なんて思うが、こんな馬生を送るしか出来ない俺にはどうすることも出来ないわけで、気にしないで生きるという事で考えるのを放棄した。
元々の人間の性格的にのんびりするのが好きな上、食う事と寝る事が特に好きだったので、今回の馬生はひたすら寝よう。んで、気が向いたら走ろう。そうするだけの能力はあるんだから。
……あるはず。
あるよね?
確かにのんびりするとは言ったけど。
ひたすら寝ようと言ったけど。
転生する必要ある?
6回目の現在は2012年です。
人間の頃の年代に近づいているけど、これいつまで転生するんだろうね?
引継ぎも5回目。もうね、走らなくても最初からある程度の能力があるんです。
だから今回の馬生はぐうたら生きる事にします。
そう決めました。と宣言。誰にも言えないけど。
「オーナー、シュネージュネコですが、寝てばかりっすよ?」
「その割には能力高いんですよねぇ。トレセンに入れてみましたが週に一回やっと走るかどうかってところです。の割には未だに誰も追いつけないんですよ?」
「ふむぅ……。連れ出してみたのか?」
「普段は大人しくて起きているかも分からない程に寝こけているんですが、一度無理矢理に連れ出そうとしましたら暴れるに暴れて、馬房の一部を破壊する程の暴れっぷりで。それでも何とか連れ出したら座り込んでウンともスンとも言わなくなっちまったんです。まぁ、自分から走りたくなればスタッフの裾を咥えて離さなくなるんで、その時に外に連れ出していますね」
「無理矢理はダメか。ある程度の能力はあるようだし、何となくだが自分の事を理解しているのではないか?」
「ええ、どうもそう言う節が見られます。1200から2600mが適距離なんですが、それ以上走ろうともしませんしそれ以下では止まりません。おまけに併せでは必ず前に出て走り切ってしまいます。普段は馬の群れに入っていくんですが、競争となると決して馬群に近寄りませんし、常に先頭で逃げているんですよ」
「今の時点で形として理解していて、走る能力もあるのならそのままでいい。無理矢理で何か起こる方が怖い。それに何となくだが、負けたら負けたで我武者羅に頑張りそうな気もするしな。このまま本人……本馬? に任せてデビューを待つとしよう」
馬主・調教師。主戦騎手が話しているのを聞いていた。
よし。馬主さん公認だ。全力でぐうたらするぞ~。
改めてそう決心した日の夜。
寝藁に寝転がり眠った後の事だった。
ユメを見た。
何も無い真っ暗な空間。頭の上に動物? の耳が生えた3人の女神像が目の前に鎮座している。
『ウマ娘』
なんの情報も無かったが、女神像を見てふと頭の中にその言葉がよぎった。
ふと隣に誰かいる。輪郭しか見えないがどうやら少女の様な姿形をしている。ただ、頭の上から角の様に2つの突起がある。
これは耳だ。
輪郭でしかないはずなのに、直感的にそう思ってしまった。
少女が手を伸ばす。つられて俺も手を伸ばす。
手と手が触れ合い、向かい合わせで指を絡める様に握る。
と、俺の中から『ナニ』かが少女の中へ流れ込み、同じように少女の中から『ナニ』かが流れ込んでくる。
決して不快ではない。むしろ心地いい。
全身がぬるま湯に浸かっているような、温かく気持ちい。
意識が遠のく。
(ああ、きっとまた転生する)
何となくそう感じた。
そして
「やった……産まれました!」
「おお! 産まれたか! メイドフィールドの仔が!」
「はい、隣でメイドカフェの仔も無事に生まれました!」
「そ、そうか……。これで全部だったな? ……よし、早速オーナーに報告だ」
誰か知らない人間の声を聞きながらも、今までとは違う転生になるんだろうなと、心のどこかで感じている俺がいた。
西暦2038年の4月。
後にシュネージュネコになる、母メイドフィールドの息子としてこの世に生を受けたのだった。
結局7度目の馬転生なんだけどね。
ウマ娘のステータスや数値を見ていると……
PS版の『モンスターファーム』がなぜか頭の中をよぎりました。
どうでもいいことですね。