適当な場所で腰掛けた小車 輪回は
自分の過去についてを話す事を決めて
自身を囲む装者達の顔を見る。
輪回「…で?何から聞きたい」
調「とりあえず貴方の話を聞かせて下さい」
響「出来れば包み隠さず全部」
輪回「分かった…」
輪回「オレが産まれたのは
横浜の産婦人科だった。母親はオレを妊娠して
2ヶ月で出産という異例な早さで産みながらも
オレは特に障害や病気もなく、健康そのものだった。
3203グラムの元気な赤ん坊で_」
マリア「誰が『生い立ち』から話せって
言ったのよ!!」
マリアはタイトルを掴み明後日の方向に放り投げる。
輪回「『全部』話せって言ったのは そっちだろ!」
マリア「流れでなんとなく分かるでしょ…」
輪回「主語が無いのが悪い」
未来「だからって生い立ちから話す人が いますか?」
調「悪あがき は やめて、
友達殺しに関係する話から始めて下さい」
輪回「はぁ…はいはい」
どうやら最後の抵抗として
生い立ちから話して誤魔化そうとするも
結局 話すしかなくなってしまったのだった。
〜小車 輪回の過去(本人目線のナレーション)〜
オレは ある日 見てしまった。
通常兵器が効かないノイズを相手に
歌いながら戦う戦士達を。
奏「Croitzal ronzell Gungnir zizzl」
翼「Imyuteus amenohabakiri tron」
それが何かは分からなかった。
だが奴等が戦っている隙に逃げよう。
そう思い走り去って行った。
輪回「(なんだか分かんないけど、この隙に…!)」
その次の日、
学校でオレは見た事を ありのまま話した。
輪回「ホントなんだってば!」
モブA「は?何それ?
アンタ普段から そんな気持ち悪い妄想してるの?」
モブB「ないわ〜。もう話しかけないで。
一緒にいれば成績上がると思って仲良くしてたのに、
マジ裏切られたわ〜」
輪回「そんな…オレは本当の事を言ってるだけなのに
なんで嘘だって決めつけるんだ…!!」
だが誰にも信じて貰えず、
それが原因でオレは学校でイジメの対象となり、
いつしか不登校になっていた。
輪回「オレはウソなんて言ってない…
全部ホントなのに…なんで誰も信じてくれないんだ」
だが、そんなオレの言葉を信じて
手を差し伸べてくれた男がいた。
?「大丈夫か?」
不登校のオレを学校生活に戻そうと家まで来た
ソイツの名前は【知栄 三郎】。ルールに厳しくて
ロボットみたいに真面目な風紀委員だった。
最初はオレも警戒してたが時間が経つにつれて
心を許せる相手となり、いつの間にか_
三郎「輪回、今日も様子を見に来たぞ」
輪回「いつも ありがとうな。【チェイサー】」
三郎「チェイサー?」
輪回「
【チェイサー】って呼んでみる事にした。
それとも【チェイス】の方が良かったか?」
三郎「チェイス、チェイサー…」
輪回「それとも渾名で呼ばれるのは嫌か?」
三郎「…いや、構わない。
なら お前は『小さな車輪が回る』と書いて
【小車 輪回】だから…【ホイール】なんてどうだ?」
輪回「ホイール…車輪?」
次第に仲良くなって、いつしか渾名で呼ぶくらいの
友人…いや、『ダチ』になっていた。
だが ある日、
まずは外が怖い引きこもりの状態から
家から出れるくらいにはなろうという話で
2人で出掛けているとオレの心の傷を抉る
1枚のポスターを目にしてしまった。
輪回「はぁ…はぁ…!」
オレはポスターを見た瞬間、息を荒らげた。
三郎「どうした!?しっかりしろ!」
輪回「チェイサー…
ア、アレ…前にオレが見た…まさか、
アイドルだったなんて…はぁ…はぁ…!!」
三郎「それは前に見たと言ってた
歌いながらノイズと戦ってた者のことか?」
輪回「やめてくれ…!オレはウソなんて…
ウソなんて ついてないんだ…!やだ…やだ…!」
三郎「…分かった。今度のライブに行こう」
輪回「…え?」
三郎「アイドルなら握手会などで接触 出来るはずだ。
証明しよう。お前がウソつきじゃない事を」
だが当日、オレは怖くて行けなかった。
身勝手な理由でダチとの約束を破ったんだ。
そしてチェイスは1人でライブに行ったが
それから暫くの間 連絡が取れずにいた。
オレは心配で家に直接 尋ねに行くと
夜だが深夜という時間帯でも無いのに
知栄家は明かりもなく真っ暗、
さらには玄関ドアが全開だった。
オレは家に入ると嫌なニオイがして
悪寒が止まらなかった。
輪回「おばさーん? いますかー?
チェイ…三郎 君に用があるんです_ガッ!?」
オレは何かに躓き、
床が液体が広がってたようで服が濡れてしまう。
そして躓いたモノの正体を探ろうと足元を見ると_
輪回「ヒッ!?」
チェイスの母親だった変わり果てたモノ…
死体に躓いていた脳天が割れてて、
そこから血が流れるどころが
真っ二つになった脳が丸見えになってた。
腰を抜かしたオレは床に手を付いた時に
何かに触れた感覚がしたので掴むと
おそらくチェイスの母親を殺した凶気と思われる
『斧』だった。
輪回「この斧で おばさんを_」
ドサッ!
輪回「ッ!?」
音の方向を見るとチェイサーがいた。
足元の鞄を見るに この状況に戸惑い
荷物を手放してしまったという状況だったのだろう。
輪回「待ってくれチェイサー、コレは…」
三郎「あ…あッ…あぁッ…!」
普段のポーカーフェイスからは想像 出来ない程に
怯えの感情が表情に出ていた。
三郎「アァァァァァ!!!」
輪回「待ってくれチェイス!!」
逃げて行くチェイサーを追いかけるオレ。
だが追いつけずに見失ってしまった。
輪回「何処に行ったんだチェイス…」
周りを見渡しても見つからず
どうすればと悩んでいると何かの衝突音が聞こえた。
輪回「まさか…!」
音の方に向かって行くと
バイクの下敷きになっているチェイサーと
ヘルメットを被っている運転手らしき人物がいた。
輪回「チェイサー…!」
運転手「…」
輪回「待てよ!アンタ人を轢いておいて
そのまま逃げるつもり_ハグッ!?」
オレはヨタヨタと その場を去ろうとする運転手を
止めようとしたが、運転手は振り返ったと同時に
オレを殴り飛ばした。
輪回「イッテぇ…!何すんだ_ッ!?」
オレを殴った衝撃でか着用してたヘルメットが落ちて
運転手の素顔が明らかになった。
輪回「【ツヴァイウィング】の【風鳴 翼】…!?」
翼「…」
それからオレは頭が真っ白になり、
意識が戻った時には風鳴 翼は いなかった。
三郎「うっ…うぅ…!」
輪回「ッ! そうだチェイスを!」
意識を取り戻したオレはバイクの下敷きになっている
チェイスを救い出そうとバイクを持ち上げる。
三郎「ッ!」
だがチェイスはオレを見た瞬間に突き飛ばす。
すると_
ガソリンが漏れてたのかは分からないが
バイクは急に爆発した。
輪回「チェイスゥゥゥゥゥ!!!!!」
チェイスに突き飛ばされたおかげで俺は助かった。
だがオレは、オレの言葉を信じてくれる
たった1人のダチを失った。
輪回「オレのせいだ…オレが…
ジブンが本当の事を言わなければ こんな事には…
ごめんチェイサー…うわぁぁぁ!!!」
〜現在〜
装者達「…」
輪回「お前等には分かるか?
ウソなんて ついてないのにホラ吹き呼ばわりされ、
唯一 信じてくれたダチからの信用を失った。
オレは ただ…ホントの事を言っただけなのに…」
響「そこから先は どうなったんですか?」
輪回「そっから?逮捕状もなく無理矢理 連れてかれて
チェイスの家族の惨殺に『お前が殺ったんだろ?』と
問い続けられて『違う』と言う度に暴力を振るわれる
明らかに違法な取り調べを受けた」
マリア「そして その警察署にノイズが現れ、
逃げ遅れた貴方は死亡として扱われていたのよね?」
輪回「実際は どうにか生き延びて逃げて、
逃げて逃げて逃げて、気づいたら裏の世界にいた。
けど好都合だった。もしかしたら誰かが
オレを嵌めようとしてる可能性があったからな。
裏の世界で身を潜めている内に情報が手に入った。
【特異災害対策機動部二課】と
【シンフォギアシステム】について。
司令官が『機密よりも人の命』と言いながら
結局は機密を優先してること。
そこから察するに、チェイサーはオレが見たモノが
ウソじゃないと証明しようとツヴァイウイングに
接触したものの、特機部二が機密保持の為に
アイツの家族ごと口封じして、最後には風鳴 翼が
何処にでもある轢き逃げ事件にしようと
バイクで突っ込んだ。そして顔を見たオレを
全ての事件の犯人に仕立て上げた。
これなら辻褄が合うだろう?」
未来「けど、ただの偶然。交通事故って可能性も…」
輪回「じゃあマリア・カデンツァヴナ・イヴ、
月読 調、前(♪89)に模造刀は なんて言っていた?」
マリア「確か翼は…」
翼『…運転手が誰かは判明していない。
返り血を浴びた殺人犯を目撃したんだ、
怯えて名乗り出ないのも当然だ』
マリア「_って、言ってたわね…」
輪回「そういうこった。
轢き殺した相手の事も、その目撃者も覚えてない。
あの女は所詮 模造刀。外身だけで中身は人の命なんて
どうでもいいと思ってる組織の道具に過ぎない」
響「そんな…」
輪回「オレは全てを失った。
信用も、ダチも、巻き込まないようにするために
記憶を消したから家族さえも、何もかも。
なのに奴等は人の人生を狂わせておいて
裁かれる事なく堂々と表舞台を歩き、
『英雄』とまで称されるようになった。
オレはそれが許せなかった。
だからオレは…風鳴 翼を越える『英雄』になる」
響「それが貴方の…『復讐』…」
輪回「『復讐』じゃない…『願い』だ!」
マリア「それにしても、
緒川さんの口を封じた割には お喋りね」
輪回「別にオレの過去ぐらい
知られたところで どうでもいい。
ただ、あの男は この世界で生まれる自我が無い
ライダー怪人と仮面ライダーの発生条件を
オレの過去の経歴から導き出した。
悪用されるとも限らないから
奴には事件解決まで眠ってて貰う事にした。
お前達も、これ以上 探ろうしない事だな。
緒川 慎次のようになりたくなかったらな」
それだけ伝えると輪回は去って行った。
響「そんな…翼さんが…二課が そんなことを…」
未来「けどコレで色んな事が分かったね」
マリア「翼への執着、事故死の友人の真相、
嘘をつく癖して『信用』されたい理由が全て…」
調「…(結局、お礼も謝罪も出来なかったな)」
〜輪回〜
シャーン!
輪回「リブラ・ゾディアーツ!
きさま見ているなッ!」
リブラ「バレたか…」
輪回「この覗き趣味の天秤野郎…
よくも人の過去をバラしたな」
装者達から離れた輪回は先程から
自分達を監視していたリブラを呼び出す。
リブラは輪回の前に立ち、スイッチをオフにして
弓美の姿に戻ると腕を組んで頬を膨らまし
明らかに『怒ってます』という態度をとっていた。
弓美「約束を破ったのは そっちじゃない!
これはペ・ナ・ル・ティ!」
輪回「ペナルティ?
救いようの無い奴を倒す事で救おうとしたんだ。
寧ろ立派に仕事しただろ?」
弓美「メグル、いったい どうしたのよ!今までは_」
輪回「そうだ。今までは…ずっと我慢してた。
けど、アイツの息の根を止めるチャンスを
何度もワザと見逃して。
でも、そうやって憎いはずの存在を目の前にして
何もしないでいると…
『本当はコイツを憎いなんて思ってないんじゃ』とか
『チェイスに対して友情も何も感じてないんじゃ』…
そんな風に考えてしまうんだ。
チェイスの存在も実はジブンが頭の中で勝手に作った
実在しない妄想の人物だったんじゃないかとか…
全部『ウソ』だったんじゃないかって…」
弓美「だから翼さんを殺す事で、自分の中にある
感情は嘘偽りの無い本物だって証明したかったの?」
輪回「あぁ…ジブンは…オレは風鳴 翼を殺す!」
?「残念ながら そんな事はさせない…」
弓美に自分の本心を打ち明ける輪回。
しかし それと同時にミラーワールドからの干渉の
金切り音が聞こえ、頭上から金色の舞い散る。
弓美「奏さん…!
響から離れたのを見計らって出て来たのね」
輪回「また始末しに来たのか?」
奏「小車 輪回、
お前が英雄になるチャンスを与えてやる。
お前の母親にモンスターをつけておいた」
弓美「奏さん…貴方って人は…!」
奏「お前の持つライダーシステムとアイテムを
全て渡せ。そうしたら解放してやる」
輪回「…」
奏「『多くを救う為に
1つを犠牲にする勇気』だったな」
突然 現れた奏からの選択肢に輪回は葛藤していた。
奏「改めて聞くと、お前が二課を…翼を憎んでも
仕方がないとしか言いようがなかった」
輪回「…それで?」
奏「今回の選択は謝罪の気持ちも込めてのモノだ。
ライダーの資格を破棄しろ。そうすれば今後アタシは
アンタとその関係者の命を狙ったりはしない」
輪回「…」
葛藤する輪回。しかし遠くで爆発する音が聞こえ、
きっとバースとアナザーオーズによる
戦闘音なのだと察する。
奏「どうした?答えが出ないならアタシが_」
輪回「答えは出てるんだ!最初からね…」
輪回はカードデッキを上空に投げてキャッチすると
Vバックルに嵌めてオルタナティブ・ゼロに変身する。
ゼロ「シンフォギアの存在を知った時から、既にね」
奏「邪魔を続けるという訳か。母親に伝える事は?」
ゼロ「…ありませんよ」
〈ホイールベント〉
オルタナティブ・ゼロはサイコローグを召喚して
サイコローダーに変形させると、その上に跨り
現場に向かってサイコローダーを走らせた。
完結後に映画 風なリメイク版を書く。
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