大嫌いな幼馴染みと一緒に、セックスしないと出られない部屋に閉じ込められた   作:和鳳ハジメ

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クエスト23/人生全て

 

 

「いやー、アキラはんのお願いを聞いたときはエラい驚きでしたが、理子はんはどんなお願いを? 流れて的に単に外に出るってワケじゃって感じでっしゃろ??」

 

「……その前に、なんかコイツ変なポーズで動かないんだけど? 何かした?」

 

「そら人間はんの動きを止めるぐらい朝飯前ですがな、安心してくだせぇ健康に害はない天使パワーでんがな」

 

「ふーん、便利なのねぇ……」

 

 関心したようにアキラを見た理子であったが、彼としては予期せぬ事態だ。

 このままでは不味い、幼馴染みとしての、そして男として、恋人としての勘がそう訴えていて。

 

(うおおおおおおおおッ!! ど根性おおおおおおおおおおおおおおおおお!! 天使パワーがどうした!! オレは動く!! 動いて阻止してやるううううううううう!!)

 

 だがピクリとも体は動かない、単に動こうとするだけじゃダメだ。

 窮地により思考が明晰になったアキラは、方針を変えて。

 

(うっごけえええええええええええッ!! まずは指先一つだけでも!! こんのぉおおおおおおおおお!!)

 

「――ねぇ天使のオッサン? 今、アキラの右手の人差し指が少しだけ動かなかった?」

 

「オッサンも見ましたわ、いやー、普通は一ミリも動かない筈なんですがね? これは……愛でんがな!! そう!! 動機や理由はどうあれ――愛!! 理子はんへの愛の力!! 尊みパワーというより少年マンガスピリッツって感じやけど……ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおエネルギー来てるううううううううう!!」

 

「ええ……?? それで良いの??」

 

 天使のオッサンの節操のなさに首を傾げる理子であったが、アキラに邪魔される可能性が出てきた以上。

 確実にそして速やかに、願いを聞いて貰わなければならない。

 彼女は咳払いを一つ、天使の気を引くと。

 

「お願いともう一つ、それに関係した提案があるのよ」

 

「ほう! 提案ですか! エエでぇ理子はんの提案なら聞きましょ!!」

 

(全然動かねぇええええええええ、第二関節ぐらいまで動くようになったけどおおおお!! 根性おおおおおおおおおお!!)

 

 アキラが超人的な精神力で、超常現象パワーを打ち破ろうとしている一方。

 理子は深呼吸を一つ、このお願いと提案はとても覚悟がいる事で。

 覚悟が出来ても、不安はつきまとうだろう。

 ――それでも、やるのだと。

 

「お願いの方はルール変更、アキラが満足したら出られるって今のルールから…………、わたしが孕んだら出られるって事にして」

 

(何ですとおおおおおおおおおおおおおおッ!? は? え? はああああああああああッ!?)

 

 力の限りアキラは叫んだが、喉は言葉を禁止され出てこない。

 天使のオッサンは彼女のお願いに、キラキラと目を輝かせて。

 

「ほう!! ほうほう!! 願ったり叶ったりでんがな!! 喜んで変更させて貰うでぇ……!! ほな提案の方は?」

 

「例の一発必中で孕むとかいう催淫ガス、そのスイッチが欲しいの。理由は言わなくても分かるでしょ?」

 

「――――おお……、ううっ、この天使のオッサン!! 今まで生きてきた中で一番感動してっ!! うおおおおおおおおおおお!! 尊い!! 子供を孕む覚悟!! 昔ならいざ知らず今の時代にこんな若さで、愛する者と人生を愛する共にする覚悟!! 愛する者の愛を全身全霊で受け止めるという覚悟!! オッサンも受け取ったでえええええええええええ!!」

 

 天使は喜びを表すように光り輝き、エンジェルスマイルと共に彼女へ小さな箱を渡す。

 彼女がの箱の蓋を開けると、中には赤く丸いボタンが。

 そのボタンには『孕』と書かれていて。

 

「…………確かに受け取ったわ、世話になったわね天使のオッサン、次にあう時は妊婦だから祝福して見送ってちょうだい」

 

「新たなる子に祝福あれ!! その時を楽しみに待っとりますでぇ!! ほな、また!!」

 

(待てぇッ!! 消えるなッ!! 行くんじゃねぇよオッサンんんんんんんんん!?)

 

 次の瞬間、天使が消えると同時にアキラの金縛りは解けて。

 

「おい理子ッ!? テメェ何を考えてんだよッ!?」

 

「悪い? むしろ喜びなさいよ、アンタにわたしの全てを捧げてあげるんだから」

 

「そうだろうけどッ!! そうだけどさぁッ!!」

 

「何が不満なワケ? 女の子を孕ますのって男の本懐みたいなモンでしょ?」

 

 胸をはって威張る彼女に、アキラは頭を抱えるしか出来なかった。

 だってそうだ、余りにも予想外すぎる。

 

「どーすんだよ!! もうオレはお願い使っちまったし取り返しがつかねぇじゃねぇか!!」

 

「ふふん! 後戻りする気なんてないわ、――ねぇアキラ、アンタがパパになるのよ!!」

 

「まだ早すぎるううううううううううううううう!!」

 

 つい数日前まで幼馴染みだったのだ、恋人として一週間も過ごしてないのだ。

 それがいきなり父親、そう父親なのだ。

 結婚を通り越して、子供の親になる覚悟などアキラには出来ていない。

 

「つか理子!! お前、そんな感じで子供作るとか何考えてんだよ!! オレが言える立場じゃねぇけど!!」

 

「は? そんなの生まれた経緯とか話さなきゃいいだけの話でしょーが、だいたい普通さ、自分の子供にこの日にセックスして産まれたのよ、って言う? 言わないでしょ」

 

「そこに愛はッ!!」

 

「愛? そりゃあ愛情をもって育てるわよ、わたしとアンタの子でしょうが。……それとも、アキラ――愛さないとか言う気?」

 

「愛して育てるに決まってるだろ!! お前とオレの子だ!! 全力で愛して可愛がって、男だったスゲェやつに育てるし女だったら心まで美しいヤツに育てる!!」

 

「なら大丈夫じゃない、何が問題なワケ?? 恋人が覚悟決めてんのに、アンタはどうなの??」

 

「~~~~~~~~ッ!? ず、ズリぃ!! ズルいぜ理子!!」

 

 そんな事を言われては、アキラは何も言えなくなる。

 責任、その二文字が彼の肩に重くのしかかった。

 彼が苦悩する一方、彼女もまた。

 

(うわああああああああっ、やっちゃったっ、やっちゃったあああああああああ!!)

 

 覚悟は決めた、決めたつもりだ、だが若い身空で子を孕むのだし産むのは己なのだ。

 いくら愛する男との子だとしても、不安も動揺もする。

 

(こ、これで拒否されたら……ううっ、考えたくもないわ!!)

 

 ちゃんと育てられるのか、家族は反対しないだろうか、不安はどうしてもつきまとう。

 

(そりゃわたしだってさぁ!! 自分の子を道具みたいにするって嫌よ!! ――でも決めたの、アキラはわたしへの愛が大きすぎてダメになるもの、そしてわたしはアキラを諦めるつもりなんて、ない!!)

 

 もしかしたら間違った道を選んでしまったのかもしれない、もっと良い方法があったのかもしれない。

 だが、今の理子にこれ以外の選択は思いつかず。

 何度繰り返しても、同じ結論を出すだろう。

 

(不安はあるわ、後悔だってするかもしれない、でも――覚悟したの、この先もアキラと幸せになる為に)

 

 諦めない、譲れない、彼が理子を守るように。

 ならば彼女はアキラの心を守るのだ、そして子供の幸せも諦めない。

 

(何か……何か言いなさいよアキラ……、このボタンをしちゃえば、それで終わるのよ? アンタが覚悟する間もなく、終わっちゃうのよ?)

 

 彼女はじっと手の中のスイッチを見つめた、まだ押す時ではない。

 これを押す時は、アキラが決断した時だ。

 すぅはぁと大きく深呼吸をひとつ、理子は頭を抱える彼に告げた。

 

「アンタが私を愛してる様にね、わたしもアンタを愛してるの、……わたしはアンタの愛を受け入れるわ、――ねぇアキラ、どうするの?」

 

「オレは……」

 

「アンタはわたしの人生を奪ってでも独占しようとした、わたしはアンタへの人生の責任を増やした、――一これってさ、一緒に背負うものでしょ?」

 

「…………ッ!!」

 

 一方的に押しつけた愛の報いが来たのだ、だがこれは罰ではない。

 一方的な愛の押しつけであり、アキラのそれと違って。

 

(理子は……オレに手を差し伸べてくれている)

 

 欲望を優先した己と違って、彼女は二人の未来を考えて愛を押しつけた。

 だが、責任という二文字が今は何より重く感じる。

 彼女一人、合わせて二人だけじゃない、もう一人分で三人分、もしかしたら四人分の可能性だってある。

 

「――――ごめん、少し考えを整理する時間をくれないか」

 

「はぁ……分かった、ま、即答してたら一発殴って問いただしてた所よ」

 

「…………ありがとう、オレを見捨てないで愛してくれて、他の選択肢を見つけてくれて、本当にありがとう。――――だから、しっかり考えたいんだ、考えてもお前を孕ませないと出れない事は変わらないけど、それでも……ちゃんとお前の愛に向き合いたい、だから――」

 

「ええ、時間をあげるわ。でも……あんまりウダウダ考えてるなら、わたしにも考えがあるから」

 

「わかった、そうならないように努力する」

 

 その後、二人は静かに凄し十一日目は終わる。

 ――セックスしないと出れない部屋・十二日目。

 アキラと理子は、まだ苦悩の中に居たのだった。

 

 

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