大嫌いな幼馴染みと一緒に、セックスしないと出られない部屋に閉じ込められた   作:和鳳ハジメ

29 / 30
クエスト29/催淫ガス! スイッチ・オン!!

 

 

「押す……押すから……、うん、はぁ、はぁ、押すわよっ!!」

 

「押すならとっとと押せ??」

 

「それが出来たら苦労してないのよっ! 仕方ないじゃん!! なんか緊張するのよコレ!!」

 

 後一歩の所で、状況は停滞していた。

 スイッチを押しさえすれば、後は野となれ山となれ。

 確定孕まセックスして、堂々と出て行くだけなのだが。

 

「どうどう、怒るなって。……なぁ、何でそんなに緊張してんだよ」

 

「何って、そりゃ……」

 

 アキラに問われ、理子は黙り込んだ。

 むむむと唸り、数秒考えたあと。

 

「…………まず、なんかハズい」

 

「恥ずかしいと」

 

「だってさ、これを使うと獣みたいなセックスするってコトでしょ? 理性と失うって訳で、もう何を言っちゃうか何するか分かんないワケでしょ?」

 

「それだけか?」

 

「まだあるわ、――正直、普通のセックスとか、ナマでするとかより、確定なだけあって精神的ハードル高くない?? いやね? わたしだって前言撤回する気なんてないのよ? でもね? …………勇気、出なくない??」

 

 なるほど、とアキラは重々しく頷いた。

 確かに奇妙な気恥ずかしさはあるし、勇気だっている。

 だが同時にこう思うのだ、彼女が押せないというなら。

 

「分かった、オレが押そう」

 

「…………いいの?」

 

「夫婦になるんだからさ、助け合わないとな」

 

 そう言って、彼はスイッチを受け取る。

 ボタンに指をかけ、後は押すだけだ。

 

「――行くぞッ!!」

 

「…………」

 

「さぁ行くぞッ!!」

 

「……………………」

 

「こんどこそッ、行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

「アンタだって押せないじゃないのよっ!? 何がオレが押すよっ、とっとと押しなさいよ!!」

 

 ウキーと理子が眉を釣り上げる中、アキラは愕然としていた。

 自分なら押せる筈だと思ってた、覚悟も勇気もある、気恥ずかしさだって耐えられる、なのに。

 

(オレが……押せないだとッ!?)

 

 指が不思議な力で固められたみたいに、ぴくりとも動かない。

 

「――――ッ、ま、まさか天使のオッサンは止めてるのかッ?!」

 

「そ、それはあるかもしれないわねっ!! 天使のオッサンが止めてるのかもっ!」

 

『ぴんぽんぱんぽーん、天使のオッサンからお知らせするでーー。当方、何もしてまへん、お二人揃ってヘタレなだけですな、あ、ビールが進むんで暫くそのままでもエエで??』

 

「ド畜生おおおおおおおおおおおおおおおッ!! はっきり言うんじゃねぇよッ!! そんなこったろうとは思ってたけどッ!!」

 

「ヘタレ……わ、わたしが――ヘタレっ!? そ、そんなバカなっ!?」

 

 突きつけられた真実に、ずずーんと項垂れる二人。

 情けなくて恥ずかしくて、小一時間転げ回りたいぐらいだ。

 だが隣には愛する者がいる、その一線のみで耐えて。

 

「くッ、オレ達は重大な問題にぶち当たっている……これが神々の試練だとでも言うのかッ!! なんて残酷なんだッ!!」

 

「わたし達は……獣ックスすら出来ないなんて……運命って何て、嗚呼、なんて非情なのっ!!」

 

『神はんは試練なんて与えておまへんし、運命も非情どころか温情で、後押ししてるぐらいでっしゃろ??』

 

 天使のオッサンのアナウンスを、二人は耳を塞いで聞かぬフリ。

 見たくない、信じたくない事だってある。

 自分達が、こんなにも――意気地なしだなんて。

 

「すまん、すまない理子……オレ達はどうやら此処までみてぇだ……」

 

「アンタの所為じゃないわ、きっと……わたし達はここで二人で餓死するまでイチャイチャする運命だったのよ…………」

 

『おーいお二人さん?? テンション変になってまへん?? というか天使のオッサンは把握とるんよ? ――アキラはんも理子はんも、実はオッサンと別れたくないんやろ??』

 

「ない、ないな」

 

「ないわね」

 

『ちょっとは肯定してーなっ!? オッサン傷つくでっ!?』

 

 ノータイムシンキングで否定した二人は、思わず冷静になって。

 オッサンと別れるのに一抹の寂しさはある、だがそんな事で躊躇ってる訳ではない。

 

「わかった……正直に話そうぜ」

 

「ええ、正直によ、分かってるわね」

 

 実の所、もう一つあるのだ。

 躊躇う理由が、とてもバカバカしい理由だ。

 だが、自分でもどうしようも無い理由であって。

 

「――――お前とケダモノの様にナマで出し放題、男の欲望全部叶えますみたいなセックスが楽しみでッ、楽しみ過ぎてッ、興奮しすぎて、なんか始めるのが惜しいんだッ!!」

 

「分かるっ、分かるわアキラっ!! グチャグチャドロドロで、我を忘れるまで超絶気持ちいいセックスするの実は楽しみで、でも人生で一度っきりよっ…………押してしまったが最後、二度と出来ないと思うと!!」

 

「おおっ!! 流石はオレの理子!! 分かるっ、分かるぞその気持ち!!」

 

「アキラっ!!」「理子ッ!!」

 

 二人はガバっと抱き合って、例えるならば初めての遊園地に浮かれて寝付けない幼子の様に。

 快楽へ膨れ上がりすぎた期待と、生涯で一度しかないという事実が。

 彼らの、スイッチを押すその手を止めていたのだ。

 ――その様子を楽しんでいた天使のオッサンは苦笑をひとつ。

 

『まったく……ホンマ手が掛かるお二人やで、ま、そんな所もオッサンとしては尊みエネルギーに変換されて嬉しいやけどなっ!! ところで提案なんやけど、聞く気あるかいな??』

 

「提案? 代わりに押してくれんのか?」

 

「あ、良いわねそれ、やってよ天使のオッサンっ!」

 

 とうとう他人に放り投げた二人に、天使のオッサンはニマっと笑った。

 

『くっ、お二人の心遣いが染みるでぇ……ビールが美味い!! あ゛~~、光栄やでぇ……新たなる夫婦の、子供の誕生の後押しする事が出来るなんてっ!! でもな……その提案、却下して欲しいんやろ? 分かってんねんでオッサン、そこまで折り込み済みで提案したんちゃうん、自分達の手で押す事ができるように、選択肢を潰すためにオッサンに提案したんやろ? 嗚呼……人の子よ、自分達で歩むための努力、天使は嬉しいです、己が子の為に、お二人自身の手でスイッチを押すのです……受胎告知は任せてください……』

 

「お、オッサン――――ッ!? 妙に解像度高い解説したと思ったら、なんか普通の天使っぽい事を言い出したぞッ!?」

 

「なんて理解度が高いの……っ、流石はわたし達をデバガメしてた天使っ、声だけでも分かるわ、今の天使のオッサンは…………――――本物の天使っぽくなってる!!」

 

 尊みエネルギー充填率1000パーセント、天使としての格が上がりつつあるオッサンの様子に二人はゴクリと唾を飲む。

 

「へッ、オレ達でアンタをそんなに満たされてるなんてな……期待には答えなきゃいけねぇよなぁッ!!」

 

「そうよっ!! 天使のオッサンへの最初で最後の恩返しよ――必ずっ、孕まセックスをしてみせるわっ!!」

 

 一見、天使のオッサンに感化されて燃え上がっている様に見えるが。

 実の所、九割ぐらいは性欲が溜まって変なテンションになってるだけである。

 セックスを覚えたての若い二人が、セックスしても良い状況で誘惑という生殺し状態であったのだ。

 

(おほー、お二人の脳味噌が良い感じに茹だってるでぇ!!)

 

 天使のオッサンはそれを見て、いっそうハッスル。

 ぐびぐびとビールを飲み干し、枝豆をぱくり。

 実に酒盛りが進む、なんという美味か。

 

「――――行くぞ理子、いっせのーせで一緒に押すぞ」

 

「勿論よ、一人じゃダメでもわたし達二人なら――」

 

「「いっせのーせ!!」」

 

「……」「……」

 

 しかし、ボタンは動かず。

 二人は静かにお互いを見る、まだだ、そうまだなのだ。

 自分達にとって、まだ話すべき事がある。

 

「ダメじゃねーかッ!! ああもうッ、今度こそオレが押すからなぁ!! 理子ッ、テメェはストリップしてエロいポーズしながら、赤ちゃん孕ませてください旦那様ってしろッ!! オレの支配欲と劣情を煽れ!! 必ず押すから!!」

 

「はぁ~~~~っ?? アンタこそねぇっ、どうか赤ちゃんを孕ませる為にナマ中出しさせてくださいって、全裸になってチンコおっ勃てながら腰を惨めにカクカク振って懇願しなさいよっ!! わたしの優越感を煽りなさい!!」

 

「はッ!? やるかテメェ!!」

 

「その喧嘩、買ったわよアキラっ!!」

 

 衝動のままに二人は同時に立ち上がり、バッと離れるとファイティングポーズ。

 喧嘩だ、喧嘩が始まる。

 天使のオッサンが、ガス使わなくても良い感じにセックス出来るんじゃね? と思った一瞬であった。

 

「これでもっ、くらええええええええええっ!!」

 

「そんなもん当たるかよチョーーップッ!!」

 

 理子はアキラの顔面めがけてスイッチを投げる、アキラはそれを思いっきり叩き落とし。

 すると、どうなるだろうか。

 勢いよく床にぶつかったスイッチは、ガツンと音を立てて押され。

 

「「あ」」

 

 その刹那、ぷしゅーとピンク色のガスが部屋に充満し始める。

 

「あああああああああああああッ!? 何してんだよテメェ!! スイッチ入ったじゃねーーかッ!?」

 

「それはコッチのセリフよっ! どーすんのよ、もうセックスするしかないじゃんっ!!」

 

「……」「……」

 

「くそッ、理性がある内に服を脱ぐぞ!!」

 

「もおおおおおおおおっ、こうなるんだったら色気のある下着にすればよかったっ!!」

 

「いや、そのスポブラもエロいと思う。始まったら破いて荒っぽいプレイしても良いか??」

 

「…………まぁ、アンタのトランクスを破いていいなら」

 

 合意はなされた、二人はキリっとした顔で固い握手を交わし。

 そして、一発秘中・超強力、気持ち良いケダモノセックス保証催淫ガスに、理性を蝕まれていき。

 ――セックスしないと出られない部屋・十四日目。

 

「………………ふッ、見えないけどきっと太陽が黄色いぜ」

 

「あー……叫びすぎて喉痛いし腰くっそダルいわ……」

 

 朝遅くまでぶっ続けでセックスしていた二人は、夕方前にようやく起き出したのだった。

 

 

 




次回最終話、夕方に投稿します
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。