Guten Abent、こんばんはって意味になるけど気にするな
まぁあの世界の、しかもあの時代に転生したのは何故かと問われれば、「俺に聞くな」と言おう
元々はしがない会社員だった
朝起きて、出社して、定時に上がって、帰りにビールやつまみを買って帰る、そんな退屈な日々だった
死因はなんか知らないけど女の子に刺されて駅のホームから落ちてドーン
多分だけど告白してきた会社の後輩ちゃんじゃないかな
俺よりもっといいやつがいると思って断ったんだけど
で、転生した世界はドイツのベルリン
その時の性別が女だったことに若干驚いたけど、すぐに慣れた
そして生まれて12年後にちょび髭が政権を握ったと聞いて悟った
第二次世界大戦前、1933年のドイツなんだと
それからはというものの、まぁ何もなかったわけではないけど
16歳の時に国防軍に志願して入隊した
親衛隊に入るように学校から勧められたが、そもそもナチスという物自体に興味がないし、ましてや親衛隊なんていうエリート様たちとは堅苦しくてやってられないと思った
なんかこの世界女性も軍隊に入ることが当たり前になっていて、俺みたいなやつでもすんなり入れた
で、そこで俺…いや私は戦車に出会った
そこからはというものの、もう戦車にぞっこんだったと言われても仕方がないほど熱中した
大口径の砲で敵の塹壕を吹き飛ばし、敵からの銃撃を弾きながら前進していく姿がかっこよくて仕方がなかった
同期から、「変な奴だな」とか言われたけど、ぶっちゃけそんなの気にしてなかった
訓練は激しかったが、それを乗り越えて戦車に乗れると思えば苦痛じゃなかった
初めての実戦は1939年のポーランド侵攻、当時としては最新型のⅣ号戦車の車長として電撃戦に参加した
まぁポーランド自体が碌な対戦車火器持ってなかったうえに、スツーカがずたずたにしてたから精々連中が作った塹壕にいるポーランド兵を75ミリで吹き飛ばすぐらいしかなかった
その次はフランス、まさかマジノ線にほとんどの兵を割いていたみたいだったから大した抵抗もなかった
精々ダンケルクに追い詰められた連合軍が作ったバリケードや土嚢を利用して抵抗してくる兵士に向けて75ミリと機関銃をぶっ放すのを指示したくらいだ
前世では平和そのものだったから人を殺したのは初めてだし、そんな指示をしたのも初めて
けど何かを感じるわけでもなく
(人ってこんな簡単に死ぬんだな)
っていうことぐらいしか感じなかったから、私も相当いかれてたんだと思う
そんなこんなあったが、同期を始めとした国防軍の仲間は私を称賛した
その後も様々な戦場で戦果を積み重ねていく度にその称賛の声は増えていき、階級も上がって勲章ももらった
今思えば転生したからと言って半ば自棄になったのだと思う
それから5年は暴れまわった、北アフリカで、バルカン半島で、スターリングラードで、クルスクで、ノルマンディーで、バルジで、ゼーロウ高地で
いつしか私は仲間では英雄、連合国からは死神と呼ばれていた
部下までもがそう言われててちょっと申し訳なく思った
やたらとハイライトが消える以外は優秀だった…目のね?
だけど一人がいくら戦果上げたところで日々悪化する戦局が変わるわけはない
やがて私たちドイツ軍はベルリンまで追い詰められていた
迫りくるソ連軍100万の兵士、1000両以上の戦車に対して私たち国防軍は「ヒトラー・ユーゲント」や「国民突撃隊」などを含めても10万にいくかどうか、戦車なんてティーガーやパンターなど片手で数えられるほどしか残ってない
その残っている戦車も無傷のものはなく、弾薬は通常の半分以下、燃料に至っては1日分あるかどうか
第一次大戦時の戦車まで持ってきてるのを見た時は目を疑ったけども
そんな惨場だったけど、私は最後まで戦った
部下もついてきてくれたけど、やがて弾薬が尽き、燃料が切れて戦闘不能になった
それが分かった瞬間にソ連の連中が雪崩れ混んできて色んなことされた
やっぱ共産主義は野蛮な奴しか居ないんだなって
部下は何とか逃がしたけどね
で、散々好き勝手された挙げ句、味方の士気鼓舞の為だとか言って殺された
それで転生ライフは幕を閉じた…
「と、思ってんだけどねぇ…」
ティーガーⅡに腰掛けながらそう溢す
そう、何故か知らんが私はまた転生をした
年代は前前世と同じ2000年代で日本だったけど、5歳ぐらいの時にドイツに引っ越した
近くに住んでた姉妹とはよく遊んだ…だからと言ってⅣ号で公道を走るにはどうかと思うが
まぁ安全に関しは口うるさく言ってたから事故とかは起きてない
この世界じゃ『戦車道』なるものがあるらしい
曰く、乙女の嗜みとして当然の事なんだと
何でそんな物騒な代物が乙女の嗜みになっとんだ…
だからと言ってやらないのかと言われれば答えはnein、出来るなら全力でやる、これが私のスタンスだからね
まぁ前世じゃ連合軍と派手に戦車戦やってたから、慣れるのにそう時間はかからなかった
お陰さまで今じゃドイツでは『Panzergott』、「戦車神」とか言われてる始末だ
もっと良い名前はないのか…
「世の中分からんもんですな…」
「隊長、学園長がお呼びです!」
「あーい、ありがとね」
後輩が呼んできたから頭を撫でてから学園長室に向かった
「貴女には日本に行って貰います」
「ちょっと何言ってるか分からない」
呼び出されて最初の言葉がそれじゃ誰だって混乱するだろ普通
そう言うと隊長さんが詳しく説明してくれた
何でもこの学園艦、日本の学園艦と深い繋がりがあって交換留学の打診が来てたらしくて
それで白羽の矢が立ったのが私だったらしい
日本ねぇ…前前世と今世の生まれた土地だからなぁ…
まぁ多分日本語でのコミュニケーションに支障がないから選ばれたんでしょ、知らんけど
「で、その学園艦って?」
「ー『黒森峰学園』、日本の戦車道の強豪校です」
「桜~ヒラヒラ~舞い降りて落ちて~♪」
鼻唄を歌いながら日本の地を歩く
『黒森峰学園』、気になって調べてみたけど隊長さんの言う通り強豪校らしい
『西住流』っていう日本では最強とも言われる流派の総本山みたいなところだとか
それにしてもここに来るまで大変だった…
後輩らに『留学』することになったって言ったら号泣しながら止めてきたもん、一部の子に至ってはハイライト消えてたよ?
それを宥めるのにどれだけ大変だったか…
で、今は何をしているかと言うと
「やべぇよやべぇよ…何処だよここ…」
絶賛迷子中だよ
いやね?熊本に着いてから駅でタクシー捕まえて港に来て学園艦に着いたまでは良かったのよ?
けど広いんだよここ…なんでこんなにデカいんだよ…
戦車道やるためだよね知ってるよ、馬鹿か私は
いやそんなこと言ってる場合じゃねぇべ、まじで何処だここ
「最悪遭難したときみたいにSOSってか「ヴィーラ…?」うん?」
自分で考えてて馬鹿じゃねえのかと思うことを考えていると名前を呼ばれた
あ、因みに今世の名前は『エルヴィーナ·ロンメル』、砂漠のキツネ将軍とは何の関係もないよ
まぁ親しい奴には『ヴィーラ』って呼ばれてる
閑話休題
とにかく声が聞こえた方向を向くと、そこにはドイツに引っ越す前によく遊んだカレーが好物だった姉の方によく似た女子が私を見つめていた
よく似とるというかほぼそっくりだけど
「あー…ひょっとしてまほか?」
「やっぱり…ヴィーラなんだな…!」
「おー、久しぶりだってギャー!!」
その後、泣きながら抱き着いてきたまほを落ち着かせるのと何でここにいるのかという説明に1時間掛かった
それと学園艦で迷子になってたと言ったら呆れられた