「反攻作戦ねぇ…ほんとに突破できると思ってるのか?」
パンターのキューポラに肘をつきながら味方砲兵が連合軍に砲撃を叩きつけている光景を見る
ちょび髭暗殺計画に関わったとかで親衛隊に拘束された後、刑務所の中で一日一日過ごしてると、急に釈放されて部下と再会したと思ったら、とある場所へ行けと命じられた
何を企んでいるのかと思いつつ向かえば、やけに新品なパンター戦車を貰った
欲を言えばティーガーⅠが欲しかったけどね
訳が分からず混乱してたけど、その後また移動を命じられたから電車で移動したら着いたのは連合と対峙している西部戦線のアルデンヌ付近で、そこで初めて反抗作戦があることを知った
初めは親衛隊がいかれて流したデマを信じているのかと思ってたけど、直後にルントシュテット元帥とモーデル元帥の訓示でマジなのだとわかった
電車の中で東部戦線の師団がいることからおかしいとは思ってたけどさ…
その後作戦を聞いたけど、まぁハッキリ言って杜撰以外の何物でもない
まず目標地点の一つで最も遠いバストーニュまで100キロ以上はあるのにそれを二日で掌握せよということ自体がおかしい、どれだけ順調に進んだところで無理に決まっている
それにこの作戦の主力をSSが担当すると聞いて眩暈がした
確かに先のちょび髭暗殺計画のせいでSSは装備は比較的にいいし兵員も担当する師団は精鋭だと聞く
だけど連中は多分というか確実に捕虜を虐殺するだろうから連合の戦意が逆に上がるだろうから多分進撃できないだろう
それに『ヒトラー・ユーゲント師団』、『国民擲弾兵師団』が混ざってるし
というか半分までとはいかないけど四分の一は『国民擲弾兵師団』だしな
まぁちょび髭が建てた作戦計画と聞いて杜撰さに納得がいった
もし成功して連合を押し戻せたらひざまついて神に感謝すべきだね
「砲撃が終了しました、直ちに前進を開始しなさい」
と、この作戦について頭の中で文句を言いまくっていると味方砲兵がぶっ放していた砲撃音がやんで、親衛隊将校が命令してくる
因みに私は国防軍所属だから『第5装甲軍』、まぁ中央攻撃を担当する軍の『第2装甲軍団』にいる
よく所属がコロコロ変わってて最初にいた師団なんてもう覚えてない
だからこの親衛隊将校の場違い感が凄いし、親衛隊自体国防軍から嫌われてるから白い目で見られてる
それを気にしないあたりは尊敬するね
因みに主力を担当するSSは『第6SS装甲師団』と言うらしい
最近できた師団だとか…不安しかないな
「聞こえなかったのですか?」
「聞こえてますよ、SS将校様?」
「ならば早く前進しなさい」
嫌味ったらしくそう返すと、親衛隊将校様は微かに青筋を立てながらそう言って自身が乗る車両へ行く
さて、まだ死にたくないから死なぬように頑張りますか
「さて、行こうか、Panzer vor」
そう言うとパンター戦車が前進し始めた
果たして行き先にいるのは神か悪魔か、どっちだろうね
「暑い…北アフリカかここは…」
木の日陰に寝そべりながらそう呟く
まぁあの時と違うのは水に困ることはないということだ
聖…グロリアーナだったか?そことの練習試合が終わり、今は帰る準備をしている
因みに英国戦車とは戦ったことがない
北アフリカにいたのなんてほんの2カ月だし、そのあとすぐに東部戦線に回されたしな
まぁただ「歩兵戦車と言いながら榴弾を撃てないとは実に興味深い」って歩兵連中が言ってたからそこまで強くはなかったのかと思ったけど慢心は死につながるから決して油断しなかった
実際今日の相手は中々手強かったしな、私の横腹奇襲にも対抗してきたし
「北アフリカと言えばイタリアを思い出すな…マジで役に立たなかったけど…」
歩兵連隊規模の敵と戦闘になったときあいつら武器放り投げて逃げやがったからな
「ヘタリアめ!」と思わず叫んだのは懐かしい
「そういやまだ帰ってきてないの?隊長たち」
「はい、未だにお茶会から戻られていませんね」
たまたま近くにいた後輩に隊長たちの居場所を聞くがまだ帰ってきていないらしい
何かこの学園、試合後に「お茶会」なるものをしていてそこには対戦相手の代表的な人たちも交えるのが一般的らしい
試合後は相手に敬意を払うか…前世じゃ国防軍は降伏した相手にも敬意払ってたけど、SS連中は殺すか家畜のように扱うかで敬意なんてこれっぽっちもなかったからな
まぁそれが気に入らなかったからそういうのが目に入ったときは止めてたけど
そんなことを思い出しながらコーラを飲んでいると
「あ、あの…」
「ん?」
誰かが話しかけてきたからその方向を向くと、黄色の髪をしたグロリアーナの制服を着た生徒がいた
わざわざ対戦相手のところに来るとはよほど暇なのか
「どーしたの?喉乾いたのならコーラもう一本あるけど飲む?」
「こ、コーラはちょっと…紅茶はないんですか?」
…そういやここの学園は紅茶に対して異様なこだわりを持ってたな
戦車を動かしながらキューポラから顔出して紅茶飲んでた姿見たときは我が目を疑ったよ
それにしても紅茶か…コーヒーならあるんだが前世で英国将校にコーヒー差し出したときに「侮辱してるのか」とキレられた経験があるからなぁ…出すのは得策じゃない気がする
「まぁ座りなよ、立ったままだと暑いでしょ?」
「あ、はい」
そう言って隣に座ってくるグロリアーナの生徒
「それで?何かあったの?」
「…どうやったら着いていけるのか悩んでて」
「?」
その後の話を聞いていくと、どうも今の隊長さんの世話係を務めているらしいけど、その隊長さんが変人らしくてしょっちゅう振り回されているんだとか、スカート捲られたりして
で、どうも相手チームでいかにも無愛想な隊長やまほとうまくやっていけてる私を見て、相談しに来たんだとか
にしても変人かぁ…そういや前世の空軍にもそんな奴がいたな
確か「牛乳飲んだら出撃だ」とか言ってスツーカで連続出撃するどころか、そのスツーカに37ミリ砲乗っけてたからな…おまけに右脚が吹き飛んでも6週間ぐらいで義足つけて出撃してたし…
おまけにそれでソ連戦車を次々と吹き飛ばしてたからな
あれは変人ってレベルじゃねぇな、化け物のレベルだわ
と、思考がそれたな
「うーん…まぁ精神論になるけど根性かなぁ…?私別に何か特別なことしてるわけじゃないし…」
「そうですか…」
そう言って落ち込むグロリアーナの生徒
そんな姿を見たら何かアドバイスしてあげようと思うけど何も思いつかない
「まぁ英国にはこんな言葉がある、『何事にも屈しないのが英国人魂だ』ってね」
「?」
「まぁ要するにどんなことがあろうと諦めなければ大丈夫ってことだね、あと一年もしたら君も英国流に慣れるさ、環境適応力は高そうだしね」
実際北アフリカじゃあいつら戦車に銃剣突撃してきたからな、ジョンブル魂は怖いね
「…分かりました、ありがとうございます」
「どういたしましてと、あ、そうだ」
そう言うと紙を渡す
「これは…?」
「連絡先、まぁ何かあったら相談に乗るから気軽に連絡してなー」
「エルヴィーナ先輩、隊長たち帰ってきましたー!」
「はいはーい、今行くー!」
そう言ってグロリアーナの生徒に「バイバイ」と言って皆の元へ向かった
それからはというものの、そのグロリアーナの生徒とは電話越しによく話すようになった
まぁ大半が隊長に関しての愚痴だけど…
まぁ聞いてて面白いから適当に相槌を打ちながら聞いてる
というかコスプレもしてるのか…
まぁ本人曰く隊長などの重圧を見せないために変なことをやっているんだとか
だからと言ってスカートを捲ってくるのはやめてほしいとは本人の談である
まぁ一回電話してるところまほに見られて
「男か?」
ってハイライトが消えた目で詰め寄ってきたから事情を話して電話越しで話してもらって何とか納得してもらえた
だがまほが電話してる時の空気が異様に重かったのは何でだ…
あとまほ、「ヴィーナは私のものだ」って言ってるけど私はお前のもんじゃないからな?
電話での会話(要約)
「ヴィーナは私のもんじゃ引っ込んどれ我」(まほ)
「何言ってんだてめぇのもんじゃないわい」(後のダージリン)
あくまで要約です