幼馴染がヤンデレだったけど可愛いから実質アドバンテージ   作:夏之 夾竹桃

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第10話 どうしようもないや

「はぁ。」

 

 結局今日一日僕はシノと話せなかった。距離を離されている感じはたしかにあった。やっぱりいつもと同じとは行かないよな………。

 

「兄貴、どしたの?ため息なんてついて。」

 

「思春期の男子の部屋の扉はちゃんとノックするもんだぞ?場合によっちゃR18なんだから。」

 

「あ、次から気をつける………じゃなくて、珍しくため息なんてついてたんだから心配してんだよ?」

 

「大丈夫だよ。心配すんな。」

 

「兄貴………信乃ちゃん家に行った日からなんかおかしいよ?なんかあったんじゃないの?」

 

 流石にバレますかね?まぁ、それなりに時間共有してるからな。隠しきれない部分もあるんじゃないだろうか?それでも、気がつかれるとはな。

 

「まぁ、何かはあったよ。」

 

「まさか、本当に監禁とか?」

 

「どうにも抑えられなかったらしいな。」

 

「………冗談で言ったつもりだったんだけど………マジだったんだね?」

 

「ちゃんと包丁まで突き付けられて脅されたね。」

 

「マジ?」

 

「マジなお話だ。僕だってびっくりしたさ。でもまぁ、正直このあたりは関係ないんだよな。」

 

「めちゃくちゃ重要なことだと思いますが!?」

 

「僕にとってはもうちょっと重要なことがあってだな。正直この話は驚いてない。」

 

 本人からの自己申告はあったわけだからな。

 

「じゃ、じゃあ一応聞くけど兄貴の悩みって?」

 

「あぁ………なんて言うかさ、どうやってシノとの関係性を取り戻そうかなって。」

 

「はぁ!?監禁されかけたのに!?一体兄貴の何がそうさせるの?命だって危なかったわけじゃん?」

 

「僕にだってわかんないよ。ただ、離れたくないなってそれだけなんだけどさ。」

 

「はぁ………呆れた。もういい知らないよ?」

 

「ちょっとは相談乗ってくれよ?」

 

「相談って言ったって………私ヤンデレでもなければ父さんみたいな変な思想も持ってないよ?」

 

「ノブさんのあれは需要って言ってやれ。可哀想だ。いや、そうじゃなくてだな。女子として、意見を聞きたくてな。」

 

「女子としてって言っても………こんな状況………でも私だったら暫くは顔も合わせたくないよ。何ていうか自責って言うかなんていうかだけど………。」

 

「やっぱりそうだよな。暫くこのままなのかな………。」

 

「まぁ、兄貴がすごく信乃ちゃんのこと好きなのはわかった。でも、あそこまでされても執着できる理由ってなんなの?」

 

「あぁ………話てなかったか?」

 

「多分、話されたことはなかったはず。」

 

「そうか………まぁ、彩花だしいいか。話すよ。シノの両親がいない理由。」

 

「それは交通事故って―――――。」

 

「その事故で、何が起こったか。そもそもあの事故はどうして起きたのか。それを今から話そうと思う。」

 

「う、うん。」

 

「まだ、僕もシノも幼かったときの話だよ。13年も前になるんだな………あの事故は………端的に言うと………。」

 

 僕はこの先を言うのが怖い。ただでさえ数少ない人が離れていってしまうんじゃないだろうかと、そう思ってしまう。でもいつか話す予定のことだった。いつかバレることだった。それが今でも何ら変わりはない。

 

「あの事故は、僕が原因で起きたものだ………。」

 

「………どういうこと?」

 

「僕の不注意だったんだ。僕が………車道に飛び出したそのせいで、あの事故は起きた。あの轟音は今でも耳に残ってるよ。」

 

「そう………なんだね。」

 

「1番辛かったのはシノだよ。だって、あの車の中にはシノも乗ってたんだから。親の死を目の前で見てたことになる。その後、シノは親戚に育てられたりしながら、結局今の一人暮らしに落ち着いたってわけだ。」

 

「………なんか、ごめんなさい………。」

 

「………剃れば僕のセリフなんだ。彩花は謝る道理なんてない。僕が………あのとき………いや、やめよう。僕らしくないだろ?しょうがないって………思わなきゃやってらんなくて。ごめんな?こんな奴で。」

 

 僕の明るさは、現実逃避からくるものだ。こんな最低な僕でも、まだ死にたくなど無い………生きさせてくれ。逃げさせてくれ………本当に………ごめんなさい………。

 

「兄貴………泣いてるよ?」

 

「あぁ………母さん達にはちょっと課題やってたとでも言っといてくれ。僕も………落ち着く時間がほしいから。」

 

「………うん。」

 

 はぁ、本当僕ってどうしようもないや。

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