幼馴染がヤンデレだったけど可愛いから実質アドバンテージ   作:夏之 夾竹桃

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第11話 当たり前のことだけど

 はぁ………どうにも落ち着かねぇな。5分経っても、この後悔は続いている。これだから今まで明るく振る舞ってたんだ。僕は一度落ち込むとこうなってしまうから。そんなとき、僕の部屋のドアがノックされた。

 

「晴人?入っても大丈夫か?」

 

 ノブさんの声だった。彩花には後で行くと伝えさせたはずだが?どういうことだろうか?まぁでも、こんな姿を見られるわけには行かないよな。これでも僕は男だ。涙は見られたくない。

 

「あぁ、もうちょっとしたら行くから待ってて。」

 

 僕はその一言だけを返した。

 

「あぁ………わかった。じゃあそのまま聞いてくれ。」

 

 そうして、ドア越しにただ一言を残した。

 

「過去は変わらん。今できることをしろ。」

 

 なぜ………ノブさんはここまでわかっているのだろうか?母さんから聞かされたのか?だとしてもどうして察することができた?彩花が何か余計なことでも言ったのか?解らない………わからないけど………。

 

「かける言葉がこれであっているかわからないが、俺はもう行くぞ?」

 

 僕はこれでも素直な人間だ。

 

「ありがとう………。」

 

 こんな状況でも礼くらいは言える。まさか、こんな当たり前のことを言われありがとうなんて言う日が来るなんて思っていなかった。どうにも僕は視野が狭くなっていたようである。今できること。自分のためにも、シノのためにも今僕ができること。

 

「はぁ………考えるのやめよ。」

 

 答えはもう出ている。今までしてきた事だ。僕だけは側にいなきゃいけない。今までだってそうだったろ?それでまたシノが暴走したら?そうなったらまたそうなったときだ。本当の答えが出るまで僕は繰り返すさ。

 

―――――――――――――――

――――――――――

―――――

 

 そうして、僕は今までの『当たり前』を取り戻す。どうにも、やっぱり彩花が『悩んでることがある』とだけ言ったらしかった。まぁ、今僕がここに立っていることから考えるに、その報告は正解だったと言えよう。

 さてと………そうだ。ともかくシノに伝えなきゃいけないんだ。僕は側にいて『当たり前』の存在だってことを。

 

「まぁ、ちょっと悩む時間が長かったからかな。」

 

 現在、夜の21:00である。辺りは暗い。シノはおそらく起きているだろうが………こんな時間に来て良かったのだろうか?出てきてくれるのだろうか?連絡は入れてみたが、返信はない。いつも通りに、そのインターホンを押した。反応は………無いわけではなかった。

 

「ハル………本当に来たんだね。」

 

 扉は開かないが待ってくれていたようである。

 

「まぁな。取り敢えず、昨日の件なんだが………多分シノも当分引きずるだろうっていうのはわかってる。それでもさ、側に居たいんだよ。ってか僕は側にいて当たり前なんだよ。」

 

「当たり前………?」

 

「僕はシノのことが好きだ。側に居たいって思うのは当然だろ?だからさ………死ぬほど愛してくれよ。狂気的に愛してくれよ!僕は一向に構わない。狂気ごと受け止めてやる。間違っててもいい。やり直せばそれでいいんだよ。」

 

「………私でいいの?」

 

「違う、シノがいいんだ。僕はそういう人間だから。」

 

「ハルは、当たり前じゃなくならないよね………?」

 

「………当たり前じゃなくなってたまるかよ。僕は僕だ。」

 

 本来、僕はこんなに感情的ではない。まぁ、今日はアレだ。流れに身を任せた結果というやつである。

 

「………言葉じゃなくて行動で示せる?」

 

「………示せるよ。」

 

 感情論とは恐ろしいものだ。理性など吹き飛ばし、己の思うがままの行動をする。その事は、僕もシノも解っていた。それでも僕たちは、感情で動いている。しかし今回はそれでいいんだ。この現場に置いて理性は枷だ。重りだ。これがいつか巡ってくるとしても、僕たちはそれでいい。これはそういう覚悟だ。

 

「キス………できる?」

 

「………できる。」

 

 その一言からしばらくして、鍵の開く音がする。日曜日から閉ざされていた、シノの心の扉のようなものだ。また、あの日とは別の覚悟が僕たちにはあった。ゆっくり、扉が開いてから僕たちはようやくお互いを見つめ合う。

 

「ごめんね?」

 

「あぁ、ごめんな?」

 

 謝るのはこれで最後だ。今できること。それはこの“約束《キス》”だった。




 さて、真面目に臭いセリフを吐いてしまったのでおそらく次回からはラブコメテイストに戻ります。まぁ重たすぎてもアレなので、緩急ってやつです。
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