幼馴染がヤンデレだったけど可愛いから実質アドバンテージ 作:夏之 夾竹桃
「………それで、結局付き合ったと。」
京介にことの顛末を話す。そもそもとしてなんで話さないといけなくなったかというと、文字通りシノがくっついて離れないからである。京介はどうにも素直なので僕に質問してきたというわけだ。
「まぁ、そういう事だよ。と、言うことでお前も早く告るんだな。」
「なっ………それとこれとはまた話が違うだろう?」
「お前、友達に先越されて悔しくないのか?」
「いや、なんていうか晴人と甘里さんだったら近いうちくっつくだろうなって思ってたし。」
「なんだよそれ………。」
「だって、そんな予感しかなかったんだから。」
言われてみればそうだ。僕たちのことは結構大多数の人が知っている。いや、それはそれでなんでだよ?まぁ、シノは解る。可愛いもん。僕?そんなことある?自覚はないぞ?あったらあったでヤバいやつには変わりないけど。
「まぁ………まぁ、いいさ。ともかく、告ってこい。近いうちに。僕も通った道なんだから何も怖くないさ。」
もっとも、僕のは道というより綱渡りに近かったが。
「なんでかな、お前がそう言ってると行ける気がしてくるんだよな………まぁ、俺も引きずるわけには行かないもんな。」
「行って玉砕されてこい。」
「ひでぇな!?まぁ行くけどさ!」
このくらいのノリでいいんだよ。深く考え過ぎたら、動けなくなる。高望みしすぎたら絶望する。だったらこのくらいでいい。このくらいがいいんだよ。
「その意気だよ。僕も応援はするから。」
「あぁ、ありがとな?ただな、ただ………。」
「シノの事は、気にするな。」
そう、ずっとくっついているのだ。僕たちが話している間も静かにずっと。
「気になるわ!めっちゃ気になるわ。見せつけてんの?」
「だって、シノが………。」
「このバカップルが!いや、いいけどよ………ほどほどにな?」
「だそうだ、シノ。」
「晴人、お前もだよ!」
朝からそんな説教食らうほどの余裕は持ち合わせてないんだが?まぁ、京介だし。それでもまあ、程々にはするつもりだよ。仮にこれでシノの事が好きだった人の恨み買ったらとんでもないことになる。あのときのシノより恐ろしい。
と、それで思い出した。そう言えば一条さん………なんだ、楽しそうに話してる。まぁそんな感じでいいんだよ。引きずられても色々困る。
「まぁ、そろそろ席に着こうか?」
「………離れたくないのに。」
「離れたくなくてもだ。僕だって離れたくないんだから、おんなじ。我慢しなさい。」
「………はーい。」
そのちょっとしょぼんとした感じの顔が可愛い。いや、何言ってんだ僕?可愛いことには変わりないんだが………あぁ、駄目かもしれない。僕もシノといたら堕ちるところまで堕ちるやもしれん。
でもしょうがないよね………あれ?僕ヤンデレっぽくなってきてない?
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何事もなく終わる1日。やはり、平和ほど良いものはないだろう。さて、あれ程意気込んでいた京介は………教室にはいない。
「ハル?」
「あぁ、京介のことがちょっとな。」
「あぁ、ホームルーム終わったあとすぐどっか行っちゃったね。」
「荷物はあるって事は、多分そういうことだ。」
まぁあれだよ。玉砕されたら、そんときは励ましてやるつもりだ。
「待つの?」
「一応な。友達なんだ。」
「ハルにも友達って言える人いるんだね。」
「失敬な。そのくらいはいるさ。」
「私は嬉しいよ。あんなに怖がりだったハルがこんなに成長してくれて………。」
「母さんかよ………て、言うか昔の話は持ち出すんじゃありません。僕も変わったんです。」
「成長だね。」
「まぁ、そういうことだな。」
そんな感じで、待つこと数分。俯きながら京介は帰ってきた。あぁ、やっぱり駄目だったか………いや、可笑しい………アイツ、笑ってやがる!?どういうことだ!?僕は玉砕に賭けたというのに、ヤツの顔は気持ち悪い程、にやけてやがる。間違いねぇ………勝者の顔だ。やりやがったんだ………アイツ。
「京介………やったんだな。」
「あぁ………俺やったよ。初めての………彼女だよ………。」
「京介………。」
「晴人………。」
さて、このノリも疲れたな。とっとともとに戻ろう。
「じゃあ一緒に帰ってやれよ。待ってるんじゃないのか?」
「そのつもりだよ。わりぃな、晴人。」
そう言い残すと、京介は駆け足で教室を後にした。
「じゃあ、僕たちも帰るか。」
「そうだね。なんて言うかな………青春してたね。」
「僕等が言えたことじゃないよ。」
「でもなぁ………ああ言う露骨な青春したい………。」
「じゃあ、何?デート、行きますか?」
その一言の数秒後、シノはコクリと頷いた。やっぱり可愛い。