幼馴染がヤンデレだったけど可愛いから実質アドバンテージ   作:夏之 夾竹桃

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第17話 ふにふに

 さて………どうしてこんなことになっているんだ?現在昼休憩である。僕の状態を軽く説明すると、中庭のベンチでシノに膝枕されている。さて、どうしてこんなことになっているんだ?

 

「なあ、シノ。みんな見てるぞ?」

 

「見てるね。」

 

 はい。いや、会話終わらせちゃだめでしょう。1番の問題点なんだから。まったく、どうしたものやら。

 

「なんで膝枕なんてしようと思ったんだ?」

 

「手っ取り早くイチャイチャできるから。」

 

「………納得。」

 

 まぁ、そうなんだけど。そうなんだけれども、そうじゃないのよ。まぁ、でも実際まんざらでもない。このふにふに感………癖になりそうでちょっと怖い。

 

「ハル、顔溶けちゃいそうだよ?」

 

「そ、そんなことあるか?」

 

 いや、あるだろうな。絶対にこれ誤魔化しきれてない。だって本当に心地良いんだから。

 

「癖になりそう?」

 

「そんな事まで表情に出てたかね?」

 

「うん。誰が見てもわかるくらいには。大丈夫だよ。ハルが望むならいつでもしてあげるからね。」

 

 そんな誘いの言葉が甘く響く。いや………本当に気持ちいいんだけど。このまま眠ってもいいかなって、そう思ってしまう。

 

「なんて言うかな………本当に癖になりそうな訳だよ。僕はここまで甘えて大丈夫なのか?」

 

「その姿、可愛いから全然良い。眠っちゃってもいいんだよ?」

 

「いや、午後も授業あるし………。」

 

 流石に今眠ったら起きることができそうにないな。でもそうか………甘えてる姿、可愛いのか………いやいや、何を考えているんだ僕は?ついにウトウトし始めたらしい。

 

「シノ、このままだと本当に寝ちゃいそうだから。」

 

「起こしてあげるからいいよ?眠っても。」

 

 本当にいいんだろうか?いや………本人がいいって言ってるし………授業あるし。いやでも、なんか………もういいかな………。

 

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 珍しく、僕は夢を見た。まぁ、悪夢なわけだが。ここまで幸せな状況下に逆によく悪夢なんて見れたものだよ。

 それでも、こんな夢を見たのは初めてだ。どれだけ最悪でも、この夢だけは見てこなかった。きっと今までは、そんな余裕もなかったのだろう。自分の、もう1つの悪夢について考える余裕なんてものが。しかしまあ、どうしてこんなタイミングで襲ってくるかな………お呼びでないんだわ、お前の存在なんて。

 僕が見た夢。あの日の夢である。僕が悪魔から開放された日の夢。幼き頃の、隠れたトラウマ。僕の、本当の父親の夢だ。

 最後にアイツに吐き捨てられた言葉は、何だったか?そんなのは今でも覚えている。14年経とうと覚えている。何があろうと覚えている。それ程までにこびり付いた一言。

 

『喚くなよ………ウゼェ。』

 

 泣きわめく事しかできなかった僕に対してこれである。さて、この責任もクソもない男。今じゃどこで何をしているのか知らないし知りたくもないが、1つだけ役に立っていることがある。僕がこの屑を反面教師に育つことができたからである。

 母さんは言っていた。子供………つまり僕ができてから奴は変わったと。よっぽど僕が邪魔だったらしい。去り際の奴の目には嫌悪の情が確かに感じられた。

 それがただ………僕の呆れを産んだのだ。僕の父親は屑だった。その血は確かに僕の中に入っている。そのことが………1番の憎悪であった。

 

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 そうして、僕は10分と経たず目を覚ました。まぁ、あんな夢を見たところで幸せなんてないだろう。

 

「ハル………凄い怒ってたみたいだったけど………?」

 

「え?あ………いや、大丈夫だよ。」

 

「本当?何か気を悪くさせたなら本当にごめんね?」

 

「いや、シノのせいじゃない。ちょっと夢見ちゃって。そのせいじゃないかな。あんまり覚えてないんだけどさ。」

 

 嘘だった。はっきりと覚えている。嫌でも覚えるしかないだろう。あんな出来事。本当嫌になる。まぁ………いいさ、所詮は過去だ。振り返らないようにすればいい。それだけさ。

 

「じゃシノ、そろそろ行くか。」

 

「そうだね。もうそろそろ時間だし。でももっと膝枕してたかったな。」

 

「それについては、また今度お願いするよ。凄い気持ちよかったし。大丈夫?足とかしびれてないか?」

 

「うん、大丈夫。」

 

 そうして、日常へと僕は引き戻される。ただ1つのノイズを抱えて。

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