幼馴染がヤンデレだったけど可愛いから実質アドバンテージ   作:夏之 夾竹桃

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第9話 知らんけど

 そんな危ない休日を過ごした僕だが、ちゃんと生きている。立ってこうして、学校に向かっている。休日のことは誰にも言うつもりはない。怖いとも、思ってない。

 ただまあ、いつもと違うのは僕の隣にはシノがいないことだ。

 

「まぁ、そりゃあそうだよな。」

 

 正直、こんなことになるなんて分かってたさ。どうやら、休みではないらしい。

 

「珍しいな、お前が天里さんと一緒じゃないなんて。」

 

 お前と通学路で会うのも珍しいけどな。京介よ。

 

「あぁ、おはよ。で、シノか。それについては僕もわかんない。なんかやっちゃったかな?」

 

「この休日どうだったのさ?」

 

 言えるわけ無いでしょ?なんでこうも他人のことに足突っ込んでくれるかな。ありがたいけど、今じゃない。

 

「特に何もなかったぞ?いつもと変わらずって感じだ。」

 

 まぁ、何もないってことにするしかないよな。あんな話はしたくない。

 

「そうか………なんか喧嘩でもしたのかと思ってたけどそういうわけでもないんだな?」

 

「あぁ。」

 

「なんて言うか、不思議なこともあるもんだな。」

 

 不思議………なんて言うかな。不思議の一言じゃ収まらない位の過去があった。そういうことだと僕は知ってる分、どこかもどかしい気分になる。まぁ一言で言うなら過去の因果である。シノに巡って来たのだ。あの枷の重りが。

 

「ま、知らんけどな。」

 

「お前も随分適当だな?天里さんのこと好きじゃなかったのか?」

 

「もちろん好きだよ。好きだけど。それ以上に………深追いはしちゃ駄目だなって思って。これでさ、僕が下手に地雷踏み抜いたらいけないだろ?そういうことだよ。」

 

「あぁ、まぁそりゃたしかに1つあるな。お前、人間関係も得意じゃなかったろう?」

 

「そう。だから、今はノータッチ。」

 

 僕の決断は正しいのだろうか?最近、自分がどんどん優柔不断になっているような気がする。自分の意思も自分じゃないみたいなそんな感覚。僕の中の何かが勝手に決めつけているようなそんな感覚。

 自分でも分からないんじゃ、どうしようもないっていうのはわかってる。だからこそ僕は………僕の答えがほしいのだ。

 ふと思い出すのはあのときの『責任』の一言。僕の『好き』もあの一言に打ち消されているような気がする………本当に怖い。自分の信じていたものが、自分のついた嘘だというのは。

 

「まぁ、お前が決めたんならそれでいいと思うぞ?人間の心っていうのは読めるもんじゃないからな。」

 

「………あぁ。取り敢えずは様子見って感じだな。」

 

「じゃあ、久しぶりに一緒に行くか?」

 

「もう、歩いてる最中だろ?」

 

 そうして、僕と京介は同じ道を歩いていく。幾分か先程の京介の言葉で僕は楽になっている。どんな答えでも僕が出した事には変わらない。当たり前のことだが見失っていた。仮に嘘でも、誰かを守るためならばそれでいいのだ。

 そうだよ。いつもの楽観的な僕はどうしたんだよ?それでこそ僕だろう?誰かを元気づけるとか、そういうことをする前に自分が明るくないと駄目なんだ。こういうときに道化に転げられるようなやつじゃないと。

 

「ん?どうかしたのか、晴人?」

 

「あぁ、いやなんでもない。ちょっとした考え事だよ。」

 

「そうか………やっぱり天里さんのことか?」

 

「どちらかというと、僕自身だな。なんて言うか、悩んでても駄目かなって吹っ切れたとこ。」

 

「はえ〜。お前にもそういうとこってあるんだな。」

 

「そりゃあるだろ。僕だって人間なんだから、悩むことくらいある。当然だよ。」

 

「なんて言うかさ………こう言っちゃなんだけど、お前の悩んでる姿とか想像つかないんだよな。いっつも明るいし、ムードメーカーだし。」

 

「じゃあ覚えておけ?キャラ付けっていうのも大変なんだ。一度その役回りに立ったらずっとそこに居なきゃいけない。時には自分を騙すことだってあるんだから。」

 

「結構苦労してるんだな………なんて言うか、相談くらいなら乗るぞ?一人で抱え込み過ぎたら、そのうち爆発するだろう?お前みたいなタイプって。」

 

「………あ、あぁ、もしかしたらそうかもな。」

 

 そうだ………その爆発したのがシノなのだ。それを理解したとき、僕は素直に怖いと、そう思ってしまった。

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