AUG Paraは仕事が忙しい指揮官に夜食の差し入れをするようです。
しかし指揮官は書類の書きすぎでスプーンが上手く持てないくらい腕が震えていて─
そこで彼女はあることを思いつきます。


寝る前に読むことをお勧めするほのぼの小説です。



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AUG Paraは仕事が忙しい指揮官に夜食の差し入れをするようです。


ParaParaチャーハン

 

 時刻は24時。夜間警備の人形以外は寝静まっている時間だが、指揮官は執務室で書類と格闘していた。先日の大規模戦闘任務に関する書類を明日中に提出しなければいけない。

 必要なことはほぼ入力し終わり、後はサインを書くだけだが、その数が膨大なのだ。コミックで見るような書類の山になっていた。

 指揮官はそのうちの一枚にサインをして、時計を見る。徹夜の覚悟を決め、仕事を再開しようとすると誰かがドアをノックしてきた。入出許可を出すと一人の人形が入ってきた。

 

「こんばんは先輩。カリーナさんからお仕事が大変と聞いてお夜食をお持ちしました。私の分もあるんです。一緒に食べましょうよ」

 

 入ってきた人形はAUG Para。自身を人形ではなく人間と思い込んでいるちょっと、いやかなり変わった人形である。

 彼女はドアを固定し、カートを部屋に入れた。カートにはカバーで覆われた物が二つあり、見た目こそ何かわからないが、食欲をそそる匂いが漂ってくる。

 指揮官は机ではなく応接用のテーブルにお皿を置くよう指示した。

 指揮官が椅子に座ると、彼女はテーブルにお皿を置き、蓋を開ける。あらわれたのはシンプルなタマゴチャーハンであった。

「ワン(QSB-91)ちゃんから教わってチャーハンを作ってみたんです。完成したとき少し味見しましたが美味しかったですよ」

 彼女はどこかのライフルと違い、味見をするらしい。それなら安心だ。指揮官が冷蔵庫からドリンクを取り出そうとしたが、彼女は飲み物も用意してきてくれたようだ。

 ポッドに入ったチャイニーズティーをコップに入れる。

 

 指揮官の向かいに彼女が座ったところで指揮官はスプーンを手に取り食べようとする。

 

「あぁ、先輩。食べる前には手を合わせてイタダキマスって言わなきゃダメってワンちゃんが言ってました。せーのっ」

 

 よくわからないまま指揮官も彼女と同じように手を合わせる。

 

 

「イタダキマス」

「イタダキマス」

 

 

 

 食べ始める二人。一口目を食べる。

「うん、上手い」

 その言葉に彼女から笑みがこぼれる。

「よかった~、不味いって言われたらどうしようかと」

 彼女は不安に思っていたようだ。指揮官からしてみれば誰かに教わり味見をするという時点で大丈夫だろうと思っていた。

 

 

 指揮官をみて彼女はあることに気づく。指揮官の手がふるえているのだ。理由を尋ねると書類仕事のしすぎだろうと。数時間書類仕事を続けていたから腱鞘炎のような症状になったのかもしれないと。

 それでも食べようとする指揮官のスプーンを取り上げ、彼女はあることをする。チャーハンを掬い、指揮官の口元に持って行く。

「先輩、私が食べさせてあげます。この後も書類仕事があるんですから少しは手を休めてください」

 部下に食べさせてもらうのはと戸惑い気味の指揮官だが、彼女の勢いに負け、食べてしまう。指揮官が一口食べ終わるごとに彼女がスプーンでチャーハンを救い上げ、目の前に持ってくる。

 

「食べてくれましたね。はい、先輩。アーン」

 

 介護というより、甘やかされているようで指揮官は気恥ずかしかったが、彼女の笑顔の前には何も言えず、パクパクとチャーハンを口にする。目の前の彼女は笑顔だ。そして指揮官がチャーハンを咀嚼しているときに自分の分を食べるのも忘れていない。

 チャーハンを四割程度食べ終えたところでお茶を飲もうと手を伸ばそうとしたら彼女にコップを取られ、口元に持って行かれる。

 最後まで私はなすがままにならないといけないようだ。

 チャーハンを与えられている間に気づいた。彼女のスプーンと自分のスプーンが入れ替わっていることに。うっかりミスだろう。

 

 お互い最後まで食べ終えたところで、彼女に言われ、食べ終わったときの挨拶もしなければならないらしい。

 

「ゴチソウサマデシタ」

「ゴチソウサマデシタ」

 

 食べ終わり、食器をカートに乗せた。夜食でエネルギーを補給した指揮官は彼女に食器は洗って明日自分が食堂に返却しておくと言ったが、彼女は片づけまできっちりやるようだ。

「じゃあ先輩、私はこれで。残りのお仕事も頑張ってくださいね」

 そう言って彼女は退室していった。

 

「ParaParaチャーハンのおかげで何とかなる気がしてきたぞ」

 

 そう言って指揮官は書類仕事にとり取り掛かった。

 

 

 

 ─AUG Para side─

 

 彼女はルンルン気分で食堂に向かっているのかと思いきや、頬を赤らめ、人間の乙女みたいな表情でゆっくり食堂に向かっている。

 

「先輩は気づいてなかったけど、先輩との間接キッス、先輩との間接キッス・・・・・・」

 食堂の洗い場についた彼女は食器を洗い始めた。水洗いなのに彼女の火照りは冷えない。幸いなことと言えば、目撃者は誰もいないことだろうか。タレコミ掲示板が好きなアサルトライフルの人形は十二時間の後方支援に出ている。

 

 翌日、スプーンが一本新品に入れ替わっていることにQSB-91は気づいたが、紛失よりマシかとスルーした。

 

 

 




読んでいただき、ありがとうございました。
TwitterでParaparaチャーハンという単語を目にし、勢いのまま書きました。

感想やSNSで拡散してもらえると嬉しいです。

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