なのはとセインが問答を続けていると、置いてかれていた三人が事情を知っているであろうフェイトに話を伺っていた。
「あの、二人の言ってる事的には多分なのはさんとユーノさんって……」
「うん、傍から見てもお似合いの二人だよ。さっさと付き合えば良いのにって思うくらいには。私がさっき驚いたのはね? ユーノが今まで独り身突き通してたのに〝恋人を作った事〟に対する事の方が割と大きいんだよね」
「話聞いてるとそのユーノって人か良い人なのか悪い人なのか分からなくなるな……」
「ちょ、ノーヴェ?!」
「ははは、確かにやってる事はそうかもね。本命の人が居るのに、他の女性とお付き合いして」
「フェイトさん……」
「でも仕方ない事だったんだよ、私達はセインが言っていたユーノを〝救えなかった〟。そしてセインはあの事には無関係だったから〝救える事が出来た〟。それだけなんだ」
「あの事ってなんですか? なんか良くない雰囲気で喋ってますけど」
「うーん、まぁ言ってもいいけど二人には聞いたって言わないであげてね? 本人達には恥ずかしい記憶だろうし」
その言葉に、三人は了承するとフェイトは昔の事を簡単に始めた。
「まずなのはが小さい頃に酷い怪我を負って、死の淵をさまよったのは知ってるよね」
「……はい」
「なのはさんでも、あんな事が起きるなんてびっくりしました」
「…………」
その事に元ナンバーズのノーヴェは気まずそうにしていた。
「ノーヴェは気にしないで、なのは達にとっては貴方達のせいとは微塵も思ってないから」
「ですが……」
「本当に大丈夫だよ、少なくとも〝ユーノとなのは〟にとってはあの事故は二人共〝自分のせい〟だと思ってるからね」
「……それ、少しおかしくないですか?」
「え、なんでよティア」
「だってなのはさんが自己責任だと思うのは分かるけど、ユーノさんがなんでこの話に出てくるのよ。なのはさんとユーノさんの所属なんて違うだろうから現場に居合わせた訳でも無いでしょ?」
「確かに……なんでですか、フェイトさん」
ユーノとなのはの関係に疎い二人は何故ここにユーノが関わってくるのか分からず質問を投げ、ノーヴェも分からずに黙り込んでる。
「それは単純な話だよ。あんなにも強いなのはだけど、元々は〝魔法なんて力を知らない無力な少女〟だったからさ」
「あっ」
「そして、そんな無力な少女に魔法を授けてしまったのが他でもない──ユーノ本人だったからよ」
フェイトは言外に言っているのだ、ユーノがなのはと出会わなければ〝あんな事件が起こる可能性すら無かった〟と言う事を。
「それは……」
「スバルが言いたい事も分かるよ、ソレはなのはとの間に生まれた絆も、なのはが魔法によって得た全てを否定する考え方だ。だけどね、ソレでも考えずにはいられなかったんだよ。本当の事だから」
──だから、ユーノは全てを終わらせようとした。
「全てを?」
「そう全て、自分となのはの関係は勿論、なのはと魔法が関係する全てを」
「ど、どうやってですか?」
「ユーノはなのはに簡単な賭けを持ちかけたんだ、半ば一方的に言い放ったあとにすぐどっか行っちゃったから押し付けたというか」
思えば少しでもなのはと話したく無かったからだろうけど、強引だったな。
「賭けというのは一体どんな物だったんですか」
「内容は本当にシンプルでユーノが勝てばなのはが魔導師をやめる、なのはが勝てばユーノが何でも言う事を聞くってだけのね。あの時のユーノなら、なのはが勝った時死ねって言えば本当に死んだと思うよ」
…………簡単だけどサラッと言ってはいけない内容なのでは?
三人の心はその時、確かに一つになった。
「実際ユーノの主張は、主張だけは割と通ってるように見えたよ。『非戦闘員の自分に勝てない程弱体化しているのなら管理局に居ても足でまといだから辞めるべきだ』ってね」
「ソレをユーノさんが言うのはかなりのズルなのでは?」
「本当にそう思うよ、今でもクロノの組手に付き合ってるせいで下手な戦闘員よりも戦闘慣れしてる癖にね」
「そ、それでなのはさんはその賭けを受けちゃったんですか?」
「うん、そして皆が知っての通り勝ったよ……最後はお互い魔力切れしてたから血反吐吐きながら殴り合いで快勝とはいかなかったけど」
「私達はってもしかして今作り話聞いてます?」
「残念ながら実話なんだよねぇ」
苦笑いするフェイトはそしてっと続けて──
「ユーノに〝これからも友達で居て欲しい〟と命令してこの話は終わった……筈だったんだけどなぁ。どうしても辛いなら相談して欲しかったんだけどなぁ……勝手ではあるけど、少しセインに妬けちゃうなぁ」
そう締めるフェイトさんの顔は、とても寂しそうだった。