兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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11 魔法薬学

 

 

 

ホグワーツに来て記念すべき一回目の授業は、セブルスの魔法薬学だった。ちなみにハッフルパフはレイブンクローと魔法薬学が合同で、薬草学はグリフィンドールと合同だ。

スリザリンとの合同授業がこれからずっとないのか、それとも学年によって変わるのかはわからないけど…原作を見る限り、そんなに変わらないのかもしれないな。まー、子世代スリザリンキャラで仲良くなりたいのはドラコだけだし、もうドラコとはファーストコンタクト済ませてるし…他の子どもと仲良く慣れなくてもいいか。

 

 

セドリックと魔法薬学の教室がある地下牢へと向かい、石肌のじめっとした階段を滑らないように気をつけながら降りていく。

 

 

「なんか、暗いところだね」

「そうだなー…冬になったらめちゃくちゃ寒そう」

「確かに…」

 

 

実際、魔法薬学の教室だけは嫌がらせのように寒いらしいし。他の教室は一定の温度が保たれてるって書いてたから、地下はなんか魔法効きにくいのか、それとも──セブルスの嫌がらせかどっちかだな。

 

 

魔法薬学の教室にはまだセブルスは居なかった。ぱらぱらとレイブンクロー生とハッフルパフ生が居て、俺を見た瞬間楽しそうにお喋りしていた生徒たちはぴたりと口を閉ざし、じっと俺を見る。隣にいるセドリックが狼狽えている気配を感じつつ、無数の視線を無視して教室の真ん中あたりに座った。

本当は一番前に座ってセブルスの顔をじっくり見たかったけど、既に勤勉なレイブンクロー生に占領されているから仕方がない。

 

おそらく、セブルスはレイブンクローとハッフルパフにはそこそこ公平なのかもしれない。スリザリン贔屓でグリフィンドールを冷遇するのはもはやファンの中では常識だけど…さて、セブルスから加点をもらう事は出来るかな?

まだハリーは来てないし、ドラコも居ないし、普通に教師してるのかな。

それはそれで、楽しみだけど──嫌味ったらしいセブルスを見てみたい気もする。

 

 

授業開始のチャイムがなった途端、勢いよく扉が開き、黒く長いマントを颯爽と翻しながらセブルス・スネイプ教授が現れた。

 

 

うわ、映画そのままじゃん!

かっこいいけど、なんか遅刻しかけて焦ってるような急ぎ方にも見えておもしろくて、何度も繰り返し見たなぁ…。

 

 

セブルスは教壇の前に立つと、生徒達を鋭い目で生徒たちひとりひとりを見据え、出席簿を開き、低いイイ声で生徒の出席をとった。

 

微塵も好感を抱けない冷たく平坦な声に、生徒たちはこの教師は間違いなく厳しい人だとわかったのか、気がつけば皆背筋が伸びていた。

 

 

出席を取り終わったセブルスはパタンと出席簿を閉じ、教卓の上に静かに置くと、ゆっくりと生徒たちを見渡す。

 

 

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。このクラスでは杖を振り回すような馬鹿げたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。──フツフツと湧く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力…諸君がこの見事さを真に理解できるとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である。ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」

 

 

セブルスが話していくうちに教室内の温度は3度は下がり、初めてセブルスを知った生徒たちは緊張し、不安げな表情で身を縮こまらせた。セブルスから発せられる少しもふざけた態度を取ることを許さない重圧が、そうさせているんだろう。

 

あれ、この大演説毎年言ってるのかな。

なんかハリーにもこんな感じの言ってなかった?

 

 

 

「さて、諸君の脳がどれほどマシなのか──。…アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

 

これ、 進研ゼミ(ハリポタ一巻)で見たやつだ!

 

とは言わず、とりあえず手を上げた。

周りを見る限り──誰も手を上げていない、本当に知らないのか、それとも単にセブルスの授業で手を上げたくないのかはわからない。けど、映画でもハーマイオニーしか手を上げてなかったから、その問題はかなり難易度が高いんだろう。

 

 

「…誰かいないのかね」

 

 

……俺を無視するつもりか!

なんだ、俺はハーマイオニーポジションか?そうなのか?いやいや俺はグリフィンドールじゃないぞ、まだセブルスが嫌いではないだろうハッフルパフだぞ。

 

誰も手を上げていないとわかると、セブルスは嫌そうな目で俺に向き合い「…ゾグラフ」と俺を指名した。──おお、一応当ててくれるのか。

 

 

 

「はい、生きる屍の水薬になります」

「…ふん。…では、モンクスフードとウルフスベーンの違いは?」

 

 

セブルスは俺から視線を外してぐるりと見渡すが、残念ながら手を上げているのは俺だけである。

苦虫を噛み潰したかのような表情をさらに深めたセブルスは俺を見る事なく再び「…ゾグラフ」と指名する。

 

 

「はい、モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物なので、名称が異なるだけです。さらに別名があり、アコナイト──トリカブトの事です」

「…よろしい、ハッフルパフに2点加点しよう」

 

 

完璧な答えに、セブルスはようやく、俺を見た。

教室内の生徒たちは俺がただ世界一の美貌を持つだけではなく、途轍もなく優秀なのだと思ったんだろう、目を輝かせ尊敬の眼差しで俺を見つめている。

 

 

「──それでは、黒蛇の牙、スーワルズの新芽を煎じたものは何になるか?」

 

 

んーこれはなんか教科書で見た記憶があるような無いような。

っていうか、いきなりさっきの2問よりも難易度が下がったんじゃないか?今度は生徒たちの半数はおずおずと手を上げてセブルスを見ている。

 

 

セブルスはようやく俺じゃない誰かが手を上げたのを見ると、少し表情を緩めて他の生徒を指名し「巻き爪治しです」という正解を言えたレイブンクロー生にも1点を加点した。

 

 

やっぱり、グリフィンドール以外にはそこそこ平等な教師なのかな。ちょっと威圧感は凄いけれど。

 

 

そのあと2人1組になり、簡単なでき物を治す薬を調合する事となった。

沢山の生徒たちが俺の方をチラチラと見ていたけど、隣にいるセドリックがすぐに「一緒に作ろうよ」と声をかけてくれたから、セドリックと作ることになった。

 

簡単、とはいえ初めて魔法界に足を踏み入れた子どもからしたら、得体の知れない目玉とか虫とか種とかを切り刻むのは衝撃的な光景なのか、今にも吐きそうな表情で恐る恐る材料を触る子どもが多い。

 

…確かに、虫とか目玉とかそんなのを薬にするのって…ぶっちゃけ飲みたくないよな。どれだけ効能がよくても。

 

 

完璧に仕上がった『おできを治す薬』を大きな匙で掬い試験管の中に入れる、コルクで蓋をして、あとはこれを提出するだけで今日の授業は終わりだろう。

 

 

「…すごいね、ノア…全く教科書も見ないで…」

「ま、簡単な薬だしな」

 

 

共に作っていたセドリックは俺の手際の良さに驚いていた。

まぁ…俺も、自分でこのチート能力に驚いたけどな。どんな魔法でも使えるチート能力は、魔法薬でもその効果を発揮している。つまり、材料が揃い、作り方を知っていれば──適当に入れても、何故か薬は完璧に仕上がった。

 

これは、間違いなく魔法薬学でも優秀な成績を収める事ができるな!…セブルスのお気に入りの生徒とかになれないかな?ある程度信頼された方が今後楽なんだけど。セブルスってリリー以外に好感度上がったりするのか?

 

 

セドリックと2人で最も早く出来上がった薬を提出すれば、セブルスは無言で受け取り、体中にできものがあるカエルにぽたりと一雫垂らした。

すぐにその薬のかかったできものが消え、効果がはっきりとわかるとセブルスは特にネチネチする事なく、生徒が作った薬をしまっておく棚に入れた。

 

簡単な薬だが、周りを見る限り一度で完璧なものを作る事ができる生徒はそれ程多くはなく、多分俺とセドリックが作った薬が一番よく出来ていたのだろう。授業終盤に生徒たちを集め、俺とセドリックが作った薬を使い、正しい『おできを治す薬』を垂らせばどうなるかをカエルに実演していた。

 

 

終業のチャイムがなり、生徒達がバタバタと教材を片付け足早に教室から去る中、俺たちも次の授業である呪文学の教室に向かうために生徒の群れに混ざろうとした。

 

 

「ゾグラフ、残りたまえ」

「え?……デートのお誘いなら人が居ないところで──」

「罰則についてだ!」

 

 

周りの生徒がざわついたのをみて、セブルスはすぐに否定した。そういえば、罰則1ヶ月とか言われてたな。

セブルスは額に青筋を走らせ、射殺さんばかりに俺を睨んでいる。肩をすくめてセドリックに「先行ってて」と告げ──セドリックはちらちらとセブルスと俺を見比べていたがすぐに教室の外へ出て行った──教卓近くにいるセブルスの元へ駆け寄る。

 

セブルスは他の生徒がいる前で言うつもりはないのか、苦い顔をしたまま最後の1人がそそくさと出ていくまでむっつり黙り込んでいた。

ようやく、2人きりになるとセブルスは冷ややかな目で俺を見下ろし口をゆっくりと開く。

 

 

「…ゾグラフ。罰則は夜、我輩と禁じられた森に行き希少な薬草とキノコを捜索する事だ」

「え?禁じられた森…?」

 

 

そんなところ、めちゃくちゃ入りたかったけど入っていいのか?

俺の怪訝な言葉を聞いて、セブルスは俺が恐怖しているととったのか、どこか嬉しそうににやりと薄く笑った。

 

 

「そうだ。…森には恐ろしい魔法生物もいるだろう。だが、我輩が助ける事など期待はするな」

 

 

腕を組み、「どうだ恐ろしいだろう」とばかりに俺を見下ろすセブルス。だが、なんだかんだいってセブルスはもし危険な魔法生物が居たら助けてくれるんだろうなぁ。あくまで教師だし、生徒の守護義務はあるはずだ。

 

 

「わかりました。どんな薬草なんです?今日からですか?」

「…星屑草と、透明キノコだ。今日の夜から、見つかるまで続く。両方とも希少なもので簡単に見つかるとは思えんが…万が一、1ヶ月以内に見つかればその時点で罰則は終了とする」

「ふぅん…?その薬草とキノコって、一年生の教科書に載ってます?」

「…いや、載ってないが、不満かね?」

「不満じゃなくて、俺はそれを知らないんで…どんなものか知らないと探せないかなって」

 

 

聞いたことも見た事もないものは流石に探せない。

セブルスは杖を振り部屋の奥にある本棚から2冊の本を引き寄せ俺に渡した。やたら古ぼけた本だなぁ。

 

 

「…この2冊に載っている、今日の9時までに目を通し、玄関ホールに来るように」

「…上級魔法薬書と、レアキノコ100種…。はぁ、まあ、読んでおきますね」

 

 

キノコの方はともかく。上級魔法薬書って…。

俺は2冊の本を鞄の中に入れて、もう用はないとばかりにくるりと踵を返し教室内の後片付けを始めてしまったセブルスの背中に向かって少し頭を下げた後、教室から出た。

 

 

廊下を歩きながら上級魔法薬書をぺらぺらと捲る。

ほぼ全てのページに書き込みがされて、訂正された箇所がある。おまけに、一番後ろには『Half Blood Prince(半純血のプリンス)の蔵書』の文字。

 

こ、これはセブルスが学生時代に愛用してたやつでは。こんな素晴らしい本をポンと貸していいのか?俺、セブルスファンだし、これ…返さないぞ。

 

 

「うわー…やっべ、俺がこれ読んだら魔法薬学無双できそう…」

 

 

思わずニヤつく頬を押さえながら、俺は軽い足取りで呪文学の教室に向かった。

 

 

 

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