兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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12 禁じられた森デート

 

 

夜の9時少し前。

玄関ホールに行けばすでにセブルスが石壁に背をつけ腕を組んで待っていた。

 

 

「遅い」

「待たせちゃいました?すみませんセブルス先生」

 

 

遅いって言われたけれど、時刻はちゃんと10分は前だ。むしろ少し早いくらいだったが、セブルスを納得させるためには30分程前に来ておいた方が良かったのかもしれない。好きなキャラに待たせるだなんてファン失格…!いや、でも「待った?」「遅い!」だなんて少女漫画で見るデートの待ち合わせそのままじゃん!

 

 

「…行くぞ」

「はぁい」

 

 

なんか本気でデートみたい!だなんて思ってるのはどうやら俺だけらしく、セブルスは相変わらずの仏頂面でさっさと扉を開け足早に真っ暗な闇の中を進む。

鬱蒼とした森が、夜だと言うこともありさらに不気味に見える。禁じられた森は危険な生物が多く、生徒の立ち入りを禁じている。けれど、原作でもそうだったが教師の引率があれば立ち入りも可能らしい。

…いや、学校の森なんだから、危険な生物くらい普通それなりの対処する筈だよな?俺が日本という安全な国で暮らしていたからそう思うだけ、なのかな…?こちらでは何があっても自己責任なのかもしれないな。

 

 

まぁここには今は、ヴォルデモートは居ないし、クィレルはまだマグル学の教師だし。特に危険な生物はいないはずだ。…あ、人喰い蜘蛛はいるんだっけ。

 

森と芝生の境界に立ち、セブルスはすぐに杖を軽く振った。

 

 

光よ(ルーモス)

 

 

セブルスが杖先を明るくし、道を照らす。その光はあまり強くは無かったが、光に引き寄せられる魔法生物も居るだろうし、あんまり強い光を出すわけにはいかないのかもしれない。

 

 

「セブルス先生。見つけたらこの罰則は終わりなんですよね?」

「そうだ。だからさっさと見つけるんだな」

「ふーん…そうですか」

 

 

セブルスは注意深くあたりを見渡し、警戒しながら進む。

セブルスとの禁じられた森デートというファンにとって堪らないイベントをやすやすクリアしたくはない。俺はマホウドコロオンラインショップで公式が出したセブルスクッションを買ったほどのセブルスオタクだった。

 

しかし、すぐに華麗に見つけてセブルスの好感度を上げたい気持ちもある。

 

ちらり、と背の高いセブルスを盗み見たが、セブルスはちっとも俺の方を見ずひたすらに薄暗い闇を睨んでいた。

 

 

「…セブルス先生、この森にあるのは確かなんですよね?」

「…ああ、そうだ」

「じゃあ。群生地の大体の予想ってわかったりしないんですか?どちらも、群生地が特に変更するとは本に書いてなかったですけど」

「…勿論、既に群生地は探した。…だが、群生地とはいってもわずかにしか生えておらん。新たな群生地を発見する必要がある」

「…成程。…透明キノコって、人間には見えないんですよね。…魔法生物が食べているところを見て、探すんですか?」

「そうだ」

 

 

星屑草はともかく、人間には見えない色彩の透明キノコを見つけるのは難しそうだ。大人しい魔法生物が食べているのなら良いけど、かなり凶暴な魔法生物の餌ならば…餌場を荒らされてかなり、怒られそうだ。だから、入手困難なのかな。

 

 

「…セブルス先生?もし、今日の一回で発見できたら、俺のお願い聞いてくれたりします?」

「……そもそも、これは罰則だ」

「ちぇっ」

 

 

ご褒美がある方が頑張れるが、そうかこれは罰則であり、デートでは無いのか。

俺が明らかにやる気を無くしたのを見てセブルスは冷ややかな目で俺を見下ろした。

 

 

「まぁそうですよね。そういや罰則でした。じゃあちゃっちゃと見つけて帰りましょう」

 

 

今はセブルスは俺に対して好感度は殆どない。俺がどれだけの美貌を持っていても、名前呼びを許してくれている事から、多少は他の生徒と比べてマシかもしれないが、心に1人への確かな愛情があるから、俺の美貌に本気でくらりとはしないのだろう。

 

俺はポケットに入れていた杖を出して軽く振った。

 

 

「── 導け(ギィディッド)

 

 

杖先がぽっと明るくなり、その先に白い光線が道標のように示す。

この魔法は、探し物をする事によく孤児院でこっそり使っていた魔法だ。その時は指を振っていたけれど、まぁ杖があるし、セブルスの目もあるし、一応振っておいた方が良いだろう。

 

 

杖の光はセブルスが照らす正面では無く、右側の草むらを示している。つまり、ここから東方面に今俺が探している星屑草があるはずだ。

 

 

「セブルス先生、こっちです」

「…その魔法は…」

「ああ…探し物する時に便利で、作っちゃいました」

 

 

ぶっちゃけ、ギィディッド、なんて呟かなくても良いけどここはハリポタの世界だ。魔法の呪文だとかそれっぽくてカッコいいだろ?転生前、夢のある魔法の世界に憧れてよく寝る前に妄想でオリジナル魔法とか作っていたのが、こうして利用出来るとは思わなかったけれど。

 

魔法を開発するのは、この世界では多分珍しい事ではない。

フレッドとジョージも研究して新しい道具をたくさん作ってたし、セブルスも学生時代に魔法開発した筈だ。

実際、なんでこんな魔法あるんだ?というふざけたとしか思えない魔法の数々は、そうやって遊び半分で開発されたものなのだろう。

 

何か険しい顔をするセブルスだったが、俺は気にせず背の高い草むらを手で分ける。そうすれば草むらは伏せるように自然に倒れた。

 

 

「…セブルス先生?おいて行きますよ?」

「……、…ああ」

 

 

くるりと振り向いて呼び掛ければ、セブルスは険しい表情のままようやくゆっくりとお辞儀をするような草を踏み締め俺の後ろに着いてきた。

 

しかし、すぐに俺を追い越して何気に守るように先頭を進むのだから──やっぱり、何かあったら守ってくれる気は、あるのだろう。

 

 

俺たちは暫く無言で森の中を進んだ。

白い光は最短距離を示す為に、かなり険しい道のりだったが、セブルスが草木をわけてくれたし、俺もそれとなく大きな岩を退かしたりしてサクサクと進んでいった。

 

幸運にも魔法生物は見当たらない。…というか、あんまり生き物の気配がしない。

森の奥にいるのだろうか、学校の近くには来ないように、暗黙のルールでも…あるのかな。ダンブルドアが何か守りでもかけているのかもしれない。一応、学舎だし。

 

 

「…あ、ほら。セブルス先生、星屑草ありましたよ」

「…本当に、見つかるとは…」

 

 

鬱蒼とした木々を越えた先に、ぽっかりと空き地があった。

ちょうど窪地になっているのか、少し低い場所は苔むしていてその中央に木々の梢が途切れ空から月と星の光が差している。

星屑草は、星の光が届く場所にしか生えない特殊なものだ。それもただの星では無理であり、一等星の光に限る。

この草は大怪我や病気の治療の材料になるらしい。希少価値が高く、なによりその草を求めてくる魔法生物も多いのだとか。

 

 

セブルスは直ぐに白く輝く草の元に駆け寄り、身を屈め内ポケットから水晶で出来た綺麗なケースを取り出すとそっと優しい手つきで根本から手折り、黙々と採取した。

俺の罰則は、草とキノコの捜索だ、教科書には採取方法も難しいと書いてあったし、俺は手を出さない方がいいんだろう。

実際、何も手伝わなくてもセブルスは何も言ってこないし。

 

 

ざわり、と何か小さな異音が響いた。

今は風が殆どない、近くにある木々は少しも揺らめいていない。それにもかかわらず、草を踏み締めるような音が聞こえた。

 

音のした方を見れば、そこには鬱蒼とした低木と深い闇があるだけだ。

セブルスはどうやら採取に夢中で気が付いていなさそうだな。

 

 

「…セブルス先生」

「なんだ。少し待て」

「……んー…じゃあ、ちょっと何があっても動かないでくださいね」

「何──」

 

 

俺が向こうに気が付いたという事は、向こうもそれに気付いた筈だ。

ならば、きっと──。

 

 

一瞬近くの低木が揺れた。すぐに闇から何かが飛び出しセブルスに一直線に向かう。

セブルスと俺の周りに防壁を張った後、手を前に突き出す。

 

 

「……なにこれ?」

 

 

びたりと空中で時を止めたように停止するのは、上半身は雄鶏で下半身は蛇のような尾を持つ獣だった。途中から羽が黒々とした鱗に変わり、大きく開いた嘴の奥にはびっしりと鋭利な牙が生えている。大きさは、2メートル程だろうか。

 

 

 

「コカトリス…!」

「コカトリス?なにそれ」

「…魔法生物だ」

 

 

 

セブルスの声はかなり硬い。緊張しているのか、杖先をしっかりとコカトリスに向けている。

コカトリス。そんなの聞いたこと…あるような、無いような?魔法生物図鑑で見たのかもしれない。俺は最高の能力を持つが、知能は普通の為、記憶力は悲しいことにそこそこだ。ハリポタキャラのプロフィールなら覚えてるけど。

 

まじまじとその姿を見ていると、コカトリスは目に大きな怪我をしていることに気がついた。きっと怪我を治す為に星屑草を求めてここに来たのだろう。

 

 

「…動けない」

「あ。動き止めてるから。襲わないのなら解呪するけど?」

 

 

嗄れたような、疲れたような力のない声が響いた。ああ、良かった、知能はあるようだ。知能があるのなら話せるし、わかってもらえるのなら解呪してもいいだろう。

 

 

「言葉が…?」

「うん。わかるよ」

「…襲わない、約束、する」

 

 

俺は前に突き出していた手を降ろした、すると空中で停止していたコカトリスはすとん、と地面に落ちて、その場で俺を見上げる。

 

 

「その草が、欲しい。くれるなら、襲わない。目の怪我を、治したい」

「セブルス先生、コカトリスは目の怪我を治したいから草が欲しいそうです。草をくれるのなら襲わないって」

「……お前は、魔法生物とも話せるのか…?」

 

 

セブルスは信じ難い目で俺を見下ろしていた。

フォークスとも話せたし、俺は動物だけでなく魔法生物とも話せるのだろう。…知能があれば多分、なんだって話せるんだろうな。

もうコカトリスには襲う意思は無さそうだし、防壁も解呪しておこう。

 

 

「うん、話せるみたい」

「…コカトリスは、その目で見られると暫し体が硬直し暫し動けなくなる。危険だ。…こんな生物がこの森に居るなど…処理する──切り裂け!(セクタムセンプラ!)

 

 

セブルスはコカトリスに鋭く杖先を向けた。

 

 

「──っ!…痛っ…」

「馬鹿者!何故庇う!?」

 

 

咄嗟にプロテゴを貼ったけど、慌てすぎて少しずれてしまったのか腕に長く深い傷が出来た。セブルスはさっと表情を変えて叫んだけど、いやいや、叫びたいのはこっちですが!?

 

 

「馬鹿はセブルス先生でしょ!襲う意思ないコカトリス処理するとかかわいそう!動物虐待反対!」

「なにを──なにを言っている!」

「あのねえ!俺は言葉がわかるんですよ!そりゃ、みんなにはわからない言葉かもしれないけど!」

 

 

流石に、目の前で命が──それも、話せる生き物が死ぬのは見たくない。

血がだらだら流れる腕を振りながら治癒して、セブルスに攻撃されかけてもなお俺の約束を守ってセブルスを襲おうとしないコカトリスを見上げた。

 

 

「コカトリス。お前の目って動き止めるの?」

「止める」

「草はやる。けど人は襲わないでくれるか?」

「…襲わない、約束。縄張りに入らなければ、そうしない」

 

 

めちゃくちゃ物分かりいいじゃん!

頭が硬くて危険だと思えばすぐに処理するのは人間だけで、多分──そうしているから、彼らは必死に抵抗して、危険だって思われてしまうんだろうな。堂々巡りじゃねぇか!1人としてコイツらの言葉がわかる魔法使いっていなかったのか?

 

俺は星屑草の前にしゃがみ込み、とりあえずぶちっとちぎった。白い輝きは失われないから…多分、効能はきれてない。間違った採取の仕方をするとその光は失われてただの草と同じになってしまうって本には書いていたから、大丈夫な筈だ。

 

 

「口、開けて。草をいれるから。約束は守れよ。…俺と、お前の約束だ」

「約束、守る」

 

 

少し開いたコカトリスの口にぽいっと草を入れれば、コカトリスはもぐもぐと黙って食べて飲み飲んだ。

途端に目にある傷口がしゅうしゅうと白い煙を上げてみるみる内に治癒していき、その煙が晴れた頃にはすっかりと傷は跡も残さずに消えていて、コカトリスは目を閉じていた。

 

 

「ほら、コカトリスはちゃんと約束を守って目を閉じてくれてますよ。襲う気はないし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「…魔法生物の口約束など、信じられるものか」

 

 

セブルスはちっとも警戒心を解かず、コカトリスに杖先を向け続けている。

いやー俺と約束したって事は、それなりに拘束力を持つんだけど、セブルスは勿論そんな事は知らないしな。

 

 

「まぁ、ダンブルドア校長には言っておきましょう。ね、ほら。それで対応して貰えばいいじゃないですか!」

「…その間に、人を襲えば責任は誰が取ると思っているのかね」

「この森に来る人の自己責任では?」

「……」

 

 

この森は立ち入りを禁じられている。なら、それを破って彼らの生息地に足を踏み入れる人間が悪いのだろう。

 

俺の言葉にしばしセブルスは沈黙した後、まだ杖は握ったままだったがとりあえず、コカトリスから杖先は外した。たぶん何かあったらすぐに対処するつもりではあるのだろう。ここの教員として、危険らしいコカトリスが生息しているのを見逃せないという、セブルスの立場もまぁ…わかるし。

 

 

「あ!キノコも、コカトリスに教えて貰えばいいんじゃないですか?知ってるかな?…魔法生物には透明キノコってどうやって見えてるんですか?色は?」

 

 

人間には見ることの出来ないキノコだが、コカトリスならもしかしたら知っているかもしれない。

ちょうど魔法生物と会えたことだし、聞いてみようと思ってそのキノコを伝える為に色を聞いたが、セブルスは苦い表情をしたまま低く呟いた。

 

 

「…わからん。言葉を話す魔法生物は数少ない。それに、魔法生物が見ている色と、我々が見ている色が同等だとは限らんからな」

「それもそうか…コカトリス、なんかこの辺にキノコ生えてない?傘の部分が広くて、外に沿ってくるんて曲がってる感じの」

 

 

確かに、犬とか猫とかでも人間が見る世界とは色が違うって言うもんな。

透明だが存在しないわけではないそのキノコは、姿が見えないとはいえ触れて大体の姿の予想は立てられている。

図鑑で見た透明キノコの色なしの挿絵を思い出しながら特徴を伝えれば、コカトリスは少し黙った後頷いた。

 

 

「ある。でも。遠い」

「遠いんだ…けっこう森の奥?」

「すごく、奥」

「そっかー…そのキノコを探してるんだけど、案内してくれないかな?」

「……わかった」

 

 

コカトリスがこくりと頷いたのを見て、セブルスに向き合う。

俺としてはこのまま行っても良いけど、一応セブルスに聞くべきだろう。森の奥に行くなら朝のほうがいいのかもしれないし。

 

 

「キノコの場所知ってるみたいで、遠いけど案内してくれるって言ってます。透明キノコならいいんですけどね」

「……森の奥なのか」

「かなり遠いって言ってますけど…出直します?」

「……いや、行こう。ただし、ノア。…私から離れるな」

「はーい。コカトリス、案内よろしく!」

 

 

なんだかんだ優しいセブルスの言葉を聞いた後でコカトリスに伝えれば、コカトリスはくるりと踵を返しざくざくと草を踏み締め歩き出した。

 

セブルスがすぐにそのゆらゆらと動く蛇の尻尾に向けて杖を向けながらその後を慎重に追う。俺も、その後をすぐに追いかけた。

 

 

 

 

結局。透明キノコは見つかった。

しかし、そのキノコを見つける為に俺とセブルスは2時間は歩く事になってしまい、ぶっちゃけ俺の体力よりもセブルスの方がやばそうだった。…体力無さそうだもんなぁ。

 

全く目に見えないキノコを手探りで採取したセブルスは布の袋にいくつかキノコを入れた後、少し上がっている呼吸をなんとか整えようと長く息を吐いている。

 

 

コカトリスは尻尾を揺らめかせながら、大人しく少し離れたところで目を閉じていた。

セブルスは頑なに背を向けようとはしないが、もう杖先は向けていない。この長時間一切襲うそぶりは見られなかったし、ちゃんと目的地に到達する事が出来たから少しは警戒を緩めているのかも、しれない。

 

俺はコカトリスの元に近づいて、鳥の部分の羽を手でそっと撫でた。

 

 

「コカトリス、ありがとうな」

「…いい。…お前、名前は?」

「ノアだ」

「ノア…。…さらば、またどこかで」

 

 

コカトリスはぽつりと呟きその羽を広げると、悠々と空高く飛んでいった。

 

 

「…さて、セブルス先生。ホグワーツまで後3時間は歩かないといけませんね」

「……、…そうだな」

 

 

案内してくれたコカトリスはいなくなったけど。まぁ歩いた痕跡を辿る魔法は確か呪文集の中に書いてあったからセブルスも使えるだろう。

いや、それよりもセブルスがかなり疲弊しているのが問題だな。多分神経すり減らしていたんだろう、コカトリスと一緒に歩くのも勿論だが、他に魔法生物が飛び込んで来ないとも限らなかったわけだし。

そして、今からまた同じ時間セブルスは極度の緊張と警戒状態にあり神経をすり減らし体力も消耗させなければならないのだ。

 

 

セブルスは立ち上がったが、長時間歩きすぎてその足はふらついている。

俺はセブルスに駆け寄り、そっと支える為に腕を掴んだ。

 

 

「…大丈夫ですか?」

「…チッ…問題ない」

「嘘だっ!…どう見ても、疲れてますよね。俺ももう眠いです。疲れました。──なので、他のみんなには内緒ですよ?」

 

 

俺は唇に人差し指を当て、内緒だとジェスチャーで示し、怪訝な顔をしているセブルスを見上げながら姿くらましをした。

 

勿論、行き先は森の手前である。

 

 

 

「──よし、つきました。さ、城に戻りましょう」

 

 

セブルスは唖然とした顔で今いる場所を見渡し、夜の闇の中にぽつぽつと見えるホグワーツの城灯りを見た。

 

 

「ホグワーツでは、姿くらましなど…あり得ん。一体なにをした」

「ダンブルドア校長は知ってるので、まぁ、良いじゃないですか!3時間歩かなくて済んだんだし」

 

 

あっけらかんと言えば、セブルスは何か人ではない何かを見るような、ちょっと──いや、かなり警戒心を強めて、僅かにその目に恐怖と怯えを滲ませている。理解出来ないものを見た時、人は大体拒否反応を見せるというが、そんな目で見られると流石に傷つく!

セブルスの事こんなにも好きなのに!

 

 

「…ノア、貴様は、一体何だ」

「せめて何者って言ってくださいよ!…ただの世界最強の魔法使いですよ」

 

 

俺の完璧な微笑みも、セブルスには効かずさらに表情を険しくさせるだけだった。

 

 

うーん、難しい!セブルスの心の扉を開くことが出来ない!

 

 

肩をすくめて「先に戻りますよー?」と声をかけ、月夜に照らされている芝生を進む。

そう、この時俺はかなりうっかりしていたんだ。

 

俺はまだホグワーツでの学校生活が始まってたった一日しか経っていないと。

 

 

 

ハッフルパフ寮につき、既に寝ているセドリックを起こさないように静かにベッドに潜り込んでうとうとしているときに、はっとその事実に気がついた。

 

 

「…そりゃ警戒されるわ…」

 

 

俺はあまりに世界最強すぎて、チートすぎたから。ちょっと自分の力の異常さに対し麻痺している。

当たり前のように魔法を開発するのも、無言魔法でプロテゴを使うのも、腕の怪我を治癒するのも。間違いなく普通は出来ないんだろう。

 

俺の行動はすぐにセブルスからダンブルドアに伝えられている。間違いなく、ダンブルドアは更に警戒を強めただろうし、闇の帝王再来とかまた思っちゃってるかも。

 

 

しかしすべては後の祭りであり、俺は考える事をやめて目を閉じた。

 

 

俺は、魔法界ではこのチート能力を存分に活かすつもりでいる。…死なせたくないキャラもいるし。

俺の強すぎる力が、バレるのが早いか遅いかの違いなら──まぁ、構わないだろう。

 

 

 

 

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