兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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13 呪いと薬草学

 

 

 

俺は翌日、ハリーにすぐに手紙を書いてマイペットシロちゃんの足に括り付けて飛ばした。

ホグワーツについたら送るから!と言っていたが、普通に色々あってすっかり忘れていた。まぁ、2日程度遅れてもそれ程遠いと思ってくれるだろう。

マグル界の手紙はどれだけ近くてもそこそこかかるし、ハリーは特に気にしないはず。

 

 

そう思っていたが、手紙を出した次の日にはハリーからのやたら分厚い手紙が届いた。

 

 

朝食のサンドイッチを食べながら、この魔法界ではあまり見ない真っ白な普通な封筒となんか周りにピンクの小さな花の絵が書いてある手紙を開く。…おお…10枚もある…。

 

 

その内容は、簡単に言えば俺が居なくなって寂しい事、ダーズリー家は相変わらずな事、早く自分もホグワーツに行きたいという事、俺が居ない日々の事が長々と書かれていて、これは手紙というよりもハリーの日記のようだった。

あまりに長い手紙に無言で読んでいると、セドリックがその多さに少し驚いたようにしながら声を掛けてきた。

 

 

「手紙?孤児院の人から?」

「んー、マグル界の友達から」

 

 

ここでハリー・ポッターから、なんて言えばややこしくなる事は目に見えている。魔法界においてハリーは奇跡の子でありヴォルデモートを倒した英雄だ。

マグル界の友達という言葉に嘘は無いし、セドリックも納得したのか気にしていないようだ。

 

ハリーからの手紙を読んでいると、目の前に次々にフクロウが現れ机の上にぽとぽとと手紙や小包を落として行った。

その量は、小山が出来るほどであり、セドリックはぽかんとして──フォークに刺していたソーセージが皿の上に落ちた──その小山を見つめる。

 

 

「友達、すっごく多いんだね…?」

「…いや、これは──」

 

 

一番上にある封筒を掴み、差出人を見てみたが、その名前に思い当たる人は浮かんでこない。つまり、俺の知らない相手からの手紙だ。

 

 

「知らん奴だな。多分、ラブレターだ。…呪い付きの」

「えっ!?」

 

 

セドリックは驚き小さな悲鳴を上げ、まじまじと見ていた小山から身を離した。

なんとなく、魔力がこもっているのがわかる。封筒からだけじゃなくて、小包もそうだ。

 

 

「俺の美貌は世界一だからな!参ったなーどうしよう」

「…えーと、スプラウト先生に言ってみれば…?」

「それもそうだ」

 

 

俺を手に入れるために、良からぬ事を企んだ生徒たちがありったけの魔法やら惚れ薬やらをぶち込んでいるのだろう。

解呪する事も可能だけど、この類の手紙は今日1日で収まるものでは無い、孤児院暮らしの時もそうだったが、間違いなく毎日受け取ることとなるのだ。

一つ一つ解呪していくだなんて、面倒くさい。

 

まぁ、なんか体液とか血とか髪とか精液とかが混入してない分、マグル界で貰った物よりは幾分もマシだな。

 

フクロウが運んできたという事は、封を切らなければその効果は発揮されないだろうし、俺はひとつひとつ手にとって、魔法がかかっていない純粋なラブレターかファンレターだけをカバンの中に入れ、後は机の上に置いといた。

 

 

「…これ、まさか…全部?」

「そうだな」

 

 

仕分けを見ていたセドリックは若干引きながらまだ十分に小山だといえる量の手紙と小包を見つめる。

 

朝食を食べ終わった後、呪いの小山に向かって杖を振り浮遊させる。そのまま上座でサラダを食べているスプラウトの元へと向かった。

俺が近づいてきてる事に気付いたセブルスはめちゃくちゃ険しい顔で見てるけど、今はセブルスに用事は無い。

セブルスの射抜くような視線を受けたままその数席離れた場所に座るスプラウトの前まで行き、足を止めた。

 

 

「スプラウト先生、おはようございます」

「あっ…お、おはよう、ノア」

 

 

スプラウトはまさか自分に用事があるとは思わなかったのか、びくりと肩を震わせた。にこり、と笑いかければ少し頬を赤らめたところから、まだセブルス程に俺に警戒しているわけでは無いらしい。

 

 

「先生、呪い付きの手紙と小包貰ったので…えーと、どうしたらいいです?」

「え?…ちょっと見せてみなさい」

「はい」

 

 

俺の言葉にスプラウトは表情を険しくするとすぐに自分の前にあった皿を退かした。おお、ちょっとおどおどしてるから頼りないのかな?って思ってたけど、普通に良い先生だな。

 

空いた場所に俺の少し後ろでぷかぷか浮いていた呪いの小山を置けば、スプラウトは険しい表情のままそれらをひとつひとつじっと見て、杖を向けてぶつぶつ呟いていた。

 

 

「…本当に、全てによからぬ魔法がかかってるわ…。…差出人の処遇はこちらで決めます。…ノア、他にも困った事はないかしら?」

 

 

スプラウトは杖を一振りしてその小山を消した。全ての贈り物に名前が書かれてあったから、この後差出人達はたっぷり絞られるんだろうな。

 

 

「大丈夫です、ありがとうございます。…あ、俺の魅力の所為なので、そんなに厳罰じゃなくても良いですよー?」

「……わかりました」

 

 

スプラウトにぺこりと頭を下げて、俺はくるりと振り返る。

教師に用事なんて、一体どうしたんだろうかと不思議そうに俺を見ている生徒達に混じって「やばい」と明らかに動揺している上級生がちらほらいる。まさか、俺が呪いがかかっているかどうか判断できるなんて、思わなかったんだろうな。

 

 

「──俺は、魔法がかかってない物は受け取るけど、残りは処分するから」

 

 

にこりと笑って大広間中の生徒達に向ければ、顔を赤くして沢山の上級生が頷いた。

これで、明日から少しはマシになれば良いけど、自分の力に少し自信がある子どもなんかは奇跡を願って俺に呪いを送り続ける事だろう。

 

俺はハッフルパフの机に戻り、鞄を掴んでセドリックと一緒に薬草学の温室へと向かった。

 

 

 

「ノア!」

「おはよー!」

 

 

玄関ホールを過ぎた時、後ろからバタバタと走る音が聞こえて後ろから声をかけられた。

振り返れば同じ顔で笑うフレジョが嬉しそうに俺に駆け寄ってくる。

 

 

「おはようフレジョ」

「フレジョって!」

「せめて分けて呼んでくれよ!」

 

 

フレジョ…フレッドとジョージは額に手を当てて「あんまりだー!」なんてわざとらしく大袈裟に嘆いている。

いつも一緒にいるし、もうフレジョって呼ぶ方が早いんだけどなぁ…前の世界でもフレジョって一括りにされていたし。

 

 

「ごめんって、えーと、ジョージとフレッド。…合ってる?」

 

 

俺から見て右にいた方にジョージ、左にいた方にフレッドと指差して首を傾げれば、すぐにフレッドとジョージは機嫌を取り戻して大きく頷いた。

 

 

「大正解さ!凄いね!」

「次は合同授業だろ?一緒にいこーぜ!」

「いいぞ。…セドも、良い?」

「うん、いいよ」

 

 

俺たちは2人から4人になってそのまま学校の裏にある温室の前まで行き、他の生徒達と共に授業の開始を待つ。

温室の近くには禁じられた森があって、明るい場所で見る森は怪しい雰囲気も無く、普通の森に見える。

 

 

「禁じられた森、入ってみたいよな?ビルの話じゃ愉快な仲間達がいるみたいだ」

 

 

俺が森を見ていると、フレッドがニヤリと笑い俺の肩に手を回してヒソヒソと囁いてきた。ジョージもそれを見てニヤリと笑うと反対側から俺の肩を組む。

 

 

「是非愉快な仲間達とお知り合いになりたいもんだ!…ノアはどうだ?」

 

 

2人は一年生の中でもかなり長身な方で、同じ歳の筈なのに頭一つ分は余裕で差がある。まぁ俺の外見が男の娘よりでどう見ても女の子だから身長が低いのも当然なんだけどな。

 

 

「まぁ、もうちょっと魔法を学んで、俺と行くなら良いんじゃね?」

 

 

まだ一年生の2人だけで森に入ったら流石のフレジョも死ぬぞ。

左右から覗き込むフレジョを見上げてニヤリと笑えば、2人は頬を染めながらも悪戯っぽく笑った。

 

 

「おお!天使の加護があるのなら!」

「我々に怖いものはない!」

「減点と罰則は覚悟しとけよ?」

「「入学早々300点引かれたノアに言われたく無いね!!」」

 

 

左右から言われ、確かにそれは尤もだと俺は肩をすくめた。

それと同時に授業開始のベルがなり、直ぐにスプラウトがやってきた為、フレジョはぱっと俺から離れると目を輝かせて温室を見つめた。

温室には、それなりに彼らにとって面白そうな植物もあるだろうし、きっと悪戯グッズ製作の為に色々パチるつもりなんだな。

 

 

スプラウトがポケットから鍵の束を取り出してしっかりと閉じられている南京錠を開けた。他の生徒達の後に続いて温室の中に入れば、ここだけ南国のようにむっとして暑い。それに、なんか甘ったるいような苦いような、いろんな花や草の匂いが混じっていて…長く居ると気持ち悪くなりそう。

 

 

温室の真ん中に大きな長机があり、その上にピンセットとシャーレ、真っ青なサボテンが入った茶色い鉢が人数分並べられている。

スプラウトは俺たちがその机の周りに集まるのを待ってから、一度俺たちをぐるりと見回して口を開いた。

 

 

「さて、私はポモーナ・スプラウトです。薬草学では薬の材料となる薬草の世話について学びますよ。取り扱いが難しいものもありますから、しっかり私の話を聞いてくださいね。今日は青棘サボテンの針を採取します。この針は熱冷ましによく効く薬になりますよ。棘に触れたら体がとっても寒くなるので気をつけて──くれぐれも、この温室が暑いからといって、わざと棘に触れないように」

 

 

何人かの生徒がスプラウトの注意を聞いてくすくすと笑った。

何人かがバツの悪そうな顔をしてある事から、間違いなくちょっと棘を触ろうと思ったものが居る筈だ。いや、だってマジで暑いしその気持ちはめちゃくちゃわかる。

 

 

「どの青棘サボテンも収穫期を迎えていますから、全ての棘をピンセットで抜いて、シャーレの中に入れてください。とても折れやすいので気をつけて。──それでは、はじめ」

 

 

俺とセドリック、フレジョの4人は一列に並んでピンセットを持ち、とてつもなく細くてうっすら透明の青い棘を抜いた。

……ヒゲの手入れしてるみたい。いや、棘抜きなんだけど。

 

 

「うわっ!これ、マジですぐ折れるぞ!?」

「うぅっ、ちょっと持って帰るには繊細すぎるな…」

 

 

隣でぶつぶつと呟くフレジョ。やっぱり持って帰るつもりだったらしいけど、どうもこの棘は細い飴細工のように繊細で、ポケットにこっそり入れても帰るまでに粉々になってしまうだろう。

 

 

「わっ…折れちゃった…」

 

 

セドリックは呻めきながら何本かの棘の残骸を見下ろしている。

どうやらセドリックとフレジョだけじゃなくてみんなが悪戦苦闘しているらしく、至る所から呻き声とポキポキと小さな割れる音が響いている。

スプラウトはそれを見ているが、何も言わない。…と、いう事は、正しい抜き方を知っているかどうか見ているんだろう。

 

 

「あー、この棘って、根元よりも先の方が硬いんだよ。なるべく先端を掴んで真っ直ぐ抜いてみろ」

「え?…先端?お、折れそう…」

 

 

普通、こういうのは少し太い根元を掴んで抜きたくなるが、何故かこの青棘サボテンの棘は根本の方が柔らかくて脆い。つまり先端にいく方が強度が上がるから、壊れにくい。

 

セドリックは恐々と棘の先端をピンセットで掴むと、そっと真っ直ぐ引き抜いた。幾らやっても途中で折れていた棘が、すっと何の抵抗もなく綺麗に抜けたのを見てセドリックは目を輝かせる。

 

 

「……あっ、出来た!」

「だろ?」

「あら、ノア、よく採取方法を知ってましたね!」

 

 

生徒を見回っていたスプラウトは近くで俺とセドリックの会話を聞いていたのか、一本も折れる事なくシャーレの中に重なっていく綺麗な棘を見てにっこりと笑った。

 

 

「そうです、この青棘サボテンの棘は、先端にいくにつれ強度が上がります。なるべく先端を掴んで引き抜く事が要です。ノア、ハッフルパフに5点加点しましょう」

 

 

スプラウトは生徒達に抜く方法を伝え、ついでに加点までしてくれた。

…いやいや、俺以外知らなかったのか?普通に教科書に載ってただろ。それもわりと最初の方に。

 

…ああ、そうか。俺にとってはこの世界の事はわりと知りたいし、教科書見てるだけで楽しいけど、普通の子どもたちにとっては授業の予習なんてわざわざしないのか?

まぁ、俺だって元の世界では一切予習してなかったからな!

マグル界出身の子が賢いのは、授業に向ける熱意と興味の差なのかもしれないな。

 

 

 

スプラウトが正しい採取方法を伝えた事により、そのあと生徒達は折る事なく黙々と棘を抜いていた。

みんな真剣な顔で夢中になって棘を抜いている。わかる、なんかプチプチ潰してるみたいで楽しいんだよな!

 

 

 

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