兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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132 ピーター・ペティグリュー

 

 小柄な男だった。まばらな色あせた髪はくしゃくしゃで、てっぺんに大きな禿げがあった。太った男が急激に体重を失って萎びたように、皮膚はまるでスキャバーズの体毛と同じように薄汚れ、尖った鼻や、ことさら小さい潤んだ目には何となくネズミ臭さが漂っていた。

 男は浅く、速い息遣いで、周りの全員を見回した。男の目が素早くドアのほうに走り、また元に戻ったのを、ハリーは目撃した。

 

 沈黙が落ちた。

 ロンは唖然として口を開き、ハーマイオニーは息を呑み表情を固める。ハリーは、本当にピーター・ペティグリューが生きていた事実に言葉をなくした。

  セブルスは眉間に皺を寄せ、背を丸めて立つペティグリューを見下ろす。その視線は冷たく、忌まわしいものを直視するようだった。

 ──本当に、生きていた。と言うことはシリウス・ブラックの言葉は真実であり、あいつは冤罪だったのか?いや、ただあの爆発の時に生存し逃げていた可能性もある。

 

 

「やあ、ピーター。しばらくぶりだったね」

 

 

 リーマスは、優しく、朗らかにペティグリューに声をかけた。

 

 

「シ、シリウス……リ、リーマス……」

 

 

 鳴き喚きすぎてペティグリューの声は掠れていた。それはネズミの鳴き声に似ていて、不快な音にハリーは眉を寄せる。

 ペティグリューの目がまた素早く扉へと動く──だが、すでにその前にはセブルスが立ち塞がっていた。無言の壁のように。

 ペティグリューは逃げ場を失ったことを悟り、情けなく顔を歪めながら、リーマスとシリウスの方へへらへらと歩み寄った

 

 

「友よ……なつかしの友よ……」

 

 

 その言葉はあまりにも無神経で神経を逆撫でするものだ。

 ブラックの額に青筋が走り、杖腕が上がったが、ルーピンがその手首を押さえ、たしなめるような目でブラックを見た。それからまたペティグリューに向かって、さりげない軽い声で言った。

 

 

「ジェームズとリリーが死んだ夜、何が起こったのか、いまおしゃべりしていたんだがね、ピーター。君はあのベッドでキーキー喚いていたから、細かいところを聞き逃したかもしれないな──」

「リーマス。──君はブラックの言うことを信じたりしないだろうね。……あいつは私を殺そうとしたんだ、リーマス……」

 

 

 ペティグリューはかすれ声で懇願する。脂汗が顔を覆い、ぎょろぎょろと忙しなく動く目が、誰か救ってくれそうな相手を探して泳いでいた。

 

「そう聞いていた」と答えたリーマスの声は、聞いたことがないほど冷たかった。

 

 

「ピーター、二つ、三つ、すっきりさせておきたいことがあるんだが、君がもし──」

「こいつは、また私を殺しにやってきた!」

 

 

 ペティグリューは突然ブラックを指差して金切り声をあげた。人差し指は無くなり、中指で指し、唾を吐きながら喚く。目は血走り、口元は激しく戦慄いていた。

 

 

「こいつはジェームズとリリーを殺した。今度は私も殺そうとしてるんだ。……リーマス、助けておくれ……」

 

 

 リーマスは苛立ちと怒りの中に、哀れみを微かに混ぜた。哀れみ許す気は毛頭もない。ただ、過去の友人がこんな姿になってまで自分に慈悲を乞うのが、哀れで仕方がなかったのだ。

 

 暗い底知れない目でペティグリューを睨みつけたブラックの顔が、いままで以上に険しくなり、握りしめた杖が微かに震えていた。感情を表すようにバチバチ、と赤い火花が迸り、ペティグリューは悲鳴を上げて後ずさる。

 

「少し話の整理がつくまでは、誰も君を殺しはしない」とリーマスはなるべく冷静さを装い呟く。

 

 

「整理?」

 

 

 ペティグリューはまたキョロキョロとあたりを見回し、その目が板張りした窓を確かめ、一つしかないドアをもう一度確かめた。

 

 

「こいつが私を追ってくるとわかっていた! こいつが私を狙って戻ってくるとわかっていた! 十二年も、私はこの時がくるとわかっていたんだ!」

「シリウスがアズカバンを脱獄するとわかっていたと言うのか? いまだかつて脱獄した者は誰もいないのに?」

「こいつは、私たちの誰もが、夢の中でしか叶わないような闇の力を持っている!

それがなければ、どうやってあそこから出られる? おそらく『名前を言ってはいけないあの人』がこいつに何か術を教え込んだんだ!」

「──はははっ!」

 

 

 ブラックが笑い出した。

 背筋が凍えるような、虚ろな笑いであり、ペティグリューは挫けたように身を縮める。

 

 

「ヴォルデモートが、俺に術を?」

 

 

 ペティグリューはヴォルデモート、という言葉にブラックに鞭打たれたかのように身を縮めた。 ──ノアだけが、微かにセブルスもまた、息を呑んだ事に気づいていた。

 ブラックはこんな馬鹿げた事はないというように嘲笑し、揶揄いながらペティグリューを見下した。

 

 

「どうした? 懐かしいご主人様の名前を聞いて怖気づいたか? 無理もないな、ピーター。昔の仲間はおまえのことをあまり快く思っていないようだ。違うか?」

「何のことやら──シリウス、君が何を言っているのやら──」

 

 

 ペティグリューはますます荒い息をしながら視線を彷徨わせ、喉の奥で口籠った。

 

 ブラックは、冷笑をこぼすように鼻で笑い──やがて、その声音は収まった。

 残ったのは、笑いの余韻とは裏腹に、しんと張り詰めた沈黙だった。

 

 誰もが言葉を失い、空気だけが重く、停滞していた。

 その中で、まるでその瞬間を待っていたかのように──ノアが口を開いた。

 

 

「──さて」

 

 

 柔らかな一言だった。けれど、その声が落ちると同時に、場の空気がぴたりと張り替わる。

 全員の視線が、自然とノアに向いた。

 

 口調は穏やかで、特別な威圧もない。それなのに、確かに空気が変わった。

 

 

 「セブルス先生。ペティグリューがこうして生きていたわけですから……リーマス先生とブラックを今すぐ引き渡すのは、少しだけ保留にしてくださいね」

 

 

 その声は丁寧で、理知的で、柔らかだった。

──だが、不思議なことに、誰も「否」とは言わなかった。

 

 

 セブルスはしばらく目を細めてノアを見つめ、やがて肩をわずかに揺らし、静かに黙った。

 

 それで充分だった。ノアは小さく頭を下げ「ありがとうございます」と心からのように礼を言うと、ノアはふわりと身を翻し、ペティグリューの前に立った。

 

 

 室内の灯りが彼の銀髪に淡く反射し、まるで周囲と違う空気をまとっているようにさえ見える。

 

 汗と汚れにまみれたピーターは、上目遣いにノアを見た。

 その視線はやがて釘付けになる。

 澄んだ瞳、曇りのない肌、ひとつの陰りもない微笑。目の前の少年は、この場にいる誰よりも美しかった。美しいだけでなく、どこか神性を帯びているようにも見えた。

 

──この子なら、自分を赦してくれるかもしれない。

 

 そんな錯覚が、ペティグリューの胸に入り込んでくる。

 

 

 この場にいる全員がノアを見ていた。

 ノアは全ての種明かしをするマジシャンのように──または、推理を披露する探偵のように、ゆっくりと切り出した。

 

 

「さて、シリウス・ブラック。あなたは、ジェームズとリリーを裏切っていない」

「当然だ」

 

 

 シリウスは即答した。

 声は低く、だが確信に満ちていた。ハリーの横顔が、ふっと揺れる。

 

 ノアはその反応を確認するようにハリーを一瞥したあと、再び視線を足元のピーターへ落とす。

 

 

「ピーター・ペティグリュー」

 

 

 名前を呼ばれた瞬間、ペティグリューの全身がぴくりと強張った。

 

 

「あなたも、ジェームズとリリーを裏切ってない」

 

 

 誰もが目を見開いた。

 あまりに意外な言葉だった。だが、ノアの顔には揺るぎがなかった。優しい微笑を浮かべたまま、ただ言いきった。ペティグリューの目には、わずかに光が戻る。

 

 

「も、もちろんだとも! みんな、みんな勘違いをしているんだ! 私は、ずっと、真実を語っていた……!」

 

 

 目を潤ませ、必死に縋るように何度も頷く。

 この美しい少年の慈悲に、何か救われる可能性があると──わずかに希望を見出してしまったのだ。

 

 

 ノアは「うーん」と短く唸る。

 けれど、その声音には困惑も迷いもなかった。ただ、ほんの一瞬思案したようなふりをしているような、玩具を点検するような顔で目を細めた。

 

 そして、ふいにセブルスへと視線を向けた。

 

 

「セブルス先生」

「……なんだ」

 

 

 あまりにも自然に指名されたことで、セブルスは声の調子を崩した。

 

 

「真実薬──持ってませんか?」

 

 

 空気が張り詰めた。

 ハーマイオニーが息を呑み、ロンが身を縮める。真実薬をこの場で知らないのはハリーだけだった。ただ、周りの雰囲気が変わったことを感じ、危険な魔法薬なのだろう、という事は理解した。

 

 セブルスは短く目を伏せてから、わずかに顎を動かした。

 

 

「……研究室になら」

「よし。じゃあそれを、ブラックとペティグリューに飲ませましょう」

 

 

 ぴたりと空気が止まる。

 真実薬──ベリタセラム。それは魔法省の厳重な監視下でしか使えない、法的に制限された魔法薬だった。

 

 その意味を理解した者たちが一斉に息を詰める中──

 

 

「や、やめてくれ! そ、そんなもの……!」

 

 

 ペティグリューが悲鳴のような声を上げた。

 その場で尻もちをつき、手を突き、顔を真っ赤にして震えながら首を振る。

 

 

「そんなもの飲まなくても、私は、真実を語っている! 何度でも、誓ってもいい!」

「もちろん、プライバシーには配慮した尋問をしますよ?」

 

 

 ノアはにこやかに言いながら、ペティグリューに視線を注いだ。朗らかな声色に反して、その眼差しは冷たく、まるで小動物の呼吸を測る学者のように静かだった。

 

 ペティグリューは、ひくりと喉を鳴らして言葉を失う。

 一方、シリウス・ブラックはノアに一瞥を向けたあと、低く力強く言った。

 

 

「構わん。……それでハリーが信じてくれるなら、飲もう」

 

 

 その声には自己弁護の気配はなかった。唯一信じたい相手が、あの少年だけだという確かな意志が宿っていた。

 

 ハリーが息を呑む。──その目が、揺れた。驚き、戸惑い、安堵、そして……わずかな信用。

 

 そのすべてを、ブラックは正面から受け止めていた。

 

 ノアは一歩、彼のそばに歩み寄り、頷いた。

 

 だが──

 

 

「……待て」

 

 

 重たく、静かな声が空気を裂いた。

 セブルスだった。冷静さを取り戻したその目には、思考と警戒と、人としての理性が宿っている。

 

 

「真実薬の使用には、魔法省の許可が必要だ。私的な使用は許されん」

 

 

 ぴんと張った空気が、そこでまたひとつ波打ち、ハーマイオニーが、肩をわずかに揺らした。

 セブルスはノアにだけ聞こえるような低さで、視線を逸らさずに続ける。

 

 

「研究室にあっても、それを取り出し、今ここで使用することは……違法だ」

 

 

 ノアは、ほんの一瞬だけ黙った。

 面白くなさそうに、まるで何かを測っているかのように、セブルスの顔をじっと見つめ──やがて、肩をすくめ軽く微笑む。

 

 

「ま、それぞれの反応を見ただけです。──真実薬の私的使用がバレたら、セブルス先生、減給処分になりかねませんからね」

 

 

 それは冗談のような調子だった。けれど、そこに含まれるのは純粋な悪意でも優しさでもなく──場の空気が僅かに変容する。

 

 ブラックはその言葉に目をしばたたかせ、「……飲まなくていいのか?」と、やや拍子抜けした声を漏らす。

 一方で、ペティグリューはあからさまに安堵の息を吐き、「助かった……」と呟いた。だが、その声は誰の胸にも届かなかった。

 

 ノアだけが、その反応を、じっと、観察していた。

 そして一拍置いて、彼はさらりと告げる。

 

 

「──なので、俺の魔法を使います」

 

 

 何の前触れもなく、当然のことのように──もしくはこれが目的だったかのように──言って、ノアはブラックの前に歩み寄ると、右手を持ち上げ、小指を差し出した。

 まるで、誰かと約束事を交わす子どものように。だがその目には、年相応の無邪気さなど微塵もなかった。

 

「何だ、それは?」とシリウスが眉をひそめる。

 

 

「約束です。魔法契約。──ブラックもペティグリューも、魔法使いなら知ってますよね。魔法契約が何を意味するか」

 

 

 柔らかく微笑みながら、ノアは言葉を重ねた。それは命令でも説明でもなかった。ただ静かに、揺るがぬ事実を述べているにすぎなかったのに、誰一人として異を唱えようとはしなかった。

 

 

「ブラック、俺と同じように指を出して」

 

 

 促されるまま、シリウスは躊躇いがちに小指を伸ばす。ふたりの指が結ばれた瞬間──

 

 

「シリウス・ブラックは、この場において嘘をつかない。──指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます」

 

 

──幼い呪文に似たその響きは、しかし奇妙な重みと魔力を帯びていた。

 冗談のような文句が、何故か誰にも笑えなかったのは、そこに何か得体の知れないものが宿っていたからだろう。

 

 軽やかな調子で歌うように唱えられた言葉の後、小指のあいだから白い光がほとばしった。ブラックは思わず目を細め、その神秘的な感覚に眉をひそめながら、自分の指を不思議そうに見下ろす。

 

 ノアは微笑んだまま、すぐに向き直った。

 

 

「では、次はペティグリュー」

 

 

 ぴたりと向き合っただけで、ペティグリューの肩がびくりと揺れる。

 

 

「そ、そんな魔法……聞いたことがない! だいたい、子どもがそんな──」

「……ははっ。俺、世界最強の魔法使いなんですよ」

 

 

 ノアはさらりと笑って言い、肩に流れた髪を後ろに払った。

 唖然とするペティグリューにひょいと手を伸ばすと、彼の小指を強引に取った。ペティグリューは必死に振りほどこうとしたが──その指は、恐怖による硬直か、それとも魔法の拘束か、まるで石に変わったようにびくとも動かない。

 

 

「不当だ! こんなもの、認められるか!」

 

 

 必死の形相で喚くペティグリューに、誰一人として加勢する者はいなかった。ハリーも、ロンも、ハーマイオニーも、冷めた視線をその背に向けている。そこには紛れもない軽蔑が混ざっていた。

 

 

「ピーター・ペティグリューは、この場において嘘をつかない。──指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます」

 

 

 再び、契約が結ばれる。光が瞬き、ペティグリューは苦しげに肩を上下させながら、震える手で小指を見つめた。理解したくない。だが、魔法使いとしての本能が告げていた──その契約は絶対なのだと。

 

 ノアは一歩退き、静かに立ち上がる。その表情には穏やかさと、満足さが満ちていた。

 

 

「……ちなみに、嘘をついたらどうなるんだい?」

 

 

 沈黙を破ったのは、リーマスだった。いつもは理知的なその声が、ほんの少しだけ乾いていた。その魔法契約は見たことも聞いたこともない。確かに、手順さえ整えられたならば子どもでも魔法契約を結ぶ事は可能かもしれない──だとしても、魔法契約を新たに生み出すのは、また話が別だ。

 

 

 ノアはゆるやかに顔を向け、リーマスの目をまっすぐに見て微笑む。

 

 

「呪文の通りですよ」

 

 

 とても優雅な動作で、ノアは自分の口元に指をあてた。次いで、その指を喉から胸元へすうっと下ろしてみせる。

 

 

「針千本、飲むことになります」

 

 

 その言葉が落ちた瞬間、空気がぴたりと張り詰めた。誰が、というわけではない。だが、そこにいた全員が同時に、ごくりと唾を飲み込んだ。

 ペティグリューは戦慄き、短く汚れた指で自分の首に触れた。この奥にはまだ針は無い。ただ、嘘を吐けば──ここに千本もの針が現れる。確実に死ぬ。

 しかし、この場を逃れるためには、嘘を吐かねば──いずれ、シリウスかリーマスに殺される。彼らは私をアズカバンに差し出すことなどしないだろう。いや、アズカバンも地獄に変わりはないが──……。

 

 生存の道を探し、ペティグリューは視線を窓や扉に向けたが、その視線はノアにより遮られる。ペティグリューはそろそろと目を上げ、自分を見下ろすノアを見上げた。

 すらりと伸びる足、美しい微笑み──だが、ペティグリューはそれを見てようやく気付いた。

 

 彼は、おかしい。

 この場において異常だ。誰もが混乱し、正気をどこか失っているというのに。この少年は──どこか、喜劇でも見ているように笑っている。

 

 それに、場の主導権を後から来たスネイプではなく、未成年の、ただの生徒である彼が握っている。

 それを周りの全員が知りながら、違和感に気づいてもいない。それが当然なのだと思っている。

 

 ペティグリューはそれに気づき、喉奥が閉まった気がした。背筋に冷たいものが走り、体が恐怖で震える。

 異常なのだ、全てが──。

 

 

 怯えるペティグリューから視線を外したノアは、ふと足元を見るように一拍の間を置いたあと──そのまま、静かに踵を返した。

 

 ゆったりとした歩調で部屋の中央を離れ、セブルスのもとへ向かっていく。

 誰も言葉を挟まないまま、ノアはセブルスの隣にすっと並んだ。彼は何も言わなかったが、ノアを一瞥し、わずかに眉をひそめた。

 

 だが──それ以上、彼を拒絶することはなかった。

 

 ノアの動きには、もう「自分は部外者だ」という気配が漂っていた。

 場の中心から一歩退き、権利を委ねるように、静かに身を引いている。

 

 ──それでも場の空気はノアを軸に回っていた。

 彼が沈黙し、ただ微笑んでいるだけで、空気の重心はそこにあった。

 まるで、舞台を去ったはずの役者が、なお舞台裏から演出を操っているかのように。

 

 ノアは最後に、リーマスを見ると、優しく微笑んだ。

 

 

「この場において、ペティグリューとブラックは嘘をつきません。

──なので、リーマス先生。彼らへ聞きたいことがあればどうぞ。真摯に答えてくれるはずです」

 

 

 その声は、命令ではなかった。けれど、誰にも抗えない強度を帯びていた。

 

 

「あ、あぁ……ありがとう、ノア」

 

 

 一瞬虚を突かれたように反応が遅れたリーマスだったが、すぐに表情を引き締め、杖を握り直した。

 そしてゆっくりと、向き直る──怯えるペティグリューに。

 

 

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