兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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14 クィレル先生とゲーム

 

 

 

ホグワーツ生活が始まって1ヶ月。生徒達はようやくこの生活にも慣れて、大きな城の中で遅刻する事なく授業に出れるようになった。

まぁ、動く階段が移動途中で動いてしまって、目的地に行けなくなったらその段階で遅刻確定だが。

 

 

セドリックと昼食を取るために大広間へ向かっていたら、少し離れたところで廊下の端をとぼとぼ歩いている人を見つけた。

 

 

「セド、先行ってて」

「え?うん、わかった」

 

 

大広間へ繋がる扉を通り過ぎて、階段を上がりかけていたその人に駆け寄り長いローブをぎゅっと掴んだ。

 

 

「君は…ミスター・ゾグラフ…?」

「どうもクィレル先生!」

 

 

クィレル先生はまさか俺に声をかけられるとは思わなかったのか、驚き目を見開いている。

その両手には大きな箱を2つ抱えて、上にある箱は蓋が閉じられず沢山のごちゃごちゃした機械が入っているのが見える。このホグワーツでは…ってか魔法界では滅多に見れないものばかりだ。

 

 

「重そうですね、運ぶの手伝いますよ!」

「あ…ああ、ありがとう」

 

 

おお、どもってないクィレル先生だ!

頭にターバンは巻いてないけど、なんかニット帽は被ってる。…ハゲ隠しか?

ニンニクの臭いもしないし、めちゃくちゃ普通だ。

 

 

「じゃあ…この、上の箱を持ってくれるかな」

「はーい!……え、ちょ、ちょっとまってコレ、ファミコンじゃん!うわー!」

 

 

スーファミじゃないファミコンだなんて!めちゃくちゃ懐かしい。いや、俺が生まれる前のやつだけど家にあったし、やり込んだなぁ。途中で壊れて動かなくなったけど。なんか捨てられなくて押し入れにしまったままだ。

 

 

箱の中にはファミコン、掃除機、箱型コンピュータというめちゃくちゃ懐かしいものが入っていてテンションが上がる!

俺が喜んでいると、クィレルは少し笑った。

 

 

「そうか、君はマグル界出身だったね。このゲームはわざわざ日本から取り寄せたんだよ。…よく知ってるね?」

「まあね。…あ。これって使えるんですか?ホグワーツではマグルの機械は正常に動かないってききましたけど?」

「ああ…マグル学の教室は特別な魔法がかけられていて、その中でなら動くんだよ」

「ま、マジで…。…ちょっとやらせてくれたりしませんか…?」

 

 

期待を込めてクィレルを見上げたら、クィレルは薄く笑ったまま頷いた。

 

 

 

 

マグル学の教室は、色んな機械や道具がごちゃごちゃと並んでいた。機械だけじゃなくて電球やトースター、自転車、動かない写真などで雑然としている。なんだかリサイクルショップに迷い込んだみたいだな。

 

 

「えっと…どうやるんだったかな。──そうそう、この回線を繋げて、電気を通して…。…それで、これがコントローラー…だったかな」

 

 

クィレルはぶつぶつと言いながら部屋の奥にあるブラウン管テレビの後ろに周り、ファミコンと接続した。ぶぅん、と小さな機動の音と共に懐かしい電子音が響く。

すぐにその前に座り、赤と白の独特の色のコントローラーを持って待機すれば、すぐにパックマンの文字が浮かび、懐かしい黄色のパクパクしたやつが点を食べていく。

うわー!懐かしい!懐かしすぎる!!

 

後ろでクィレルが運んできた荷物を片付けている音を聞きながら、俺は必死にぴこぴこした。

 

 

「……くっ…あ、…う…あぁ!」

「…あ、残念だね」

「ああー!アオスケ動き読みづらい!もう一回!」

 

 

いつの間にかクィレルは隣の椅子に座って俺のプレイを珍しそうに眺めていた。

 

 

「あ、ほらサクランボがある、取らないと」

「くっ…」

「青いのが…」

「ううっ!」

「そこは右じゃなくて左じゃないかな」

「ちょっと黙っててくれませんかねぇ!?」

 

 

クィレルが隣でやいやい口出して来たせいでまた死んでしまった!決して俺のプレイが下手だからではない!

ゲームオーバーの文字が点滅する画面見た後で睨めば、クィレルは少し頬を赤くしながら肩をすくめた。

 

 

「これ、面白いかな?私にはいまいち…」

「えっ…この面白さがわからない…だと…?」

「点を取るだけだろう?マグルは熱狂しているから、何か特別な電磁波が出て脳に影響しているというのが私の見解だが…」

「ええ…」

 

 

クィレルは至って真面目な顔で言うけど、そんなどこぞの陰謀論みたいなことあるわけがない。

ただ…そうか、マグルにとってはこの箱の中が夢のような素晴らしい世界だけど、魔法界にとっては日常がこの箱の中の出来事のように素晴らしいもので溢れているから、興味がそそられないのかな?

よくわからん。面白いゲームはマグルも魔法族も関係なく夢中になりそうなものだけど。

 

 

 

「マグル学って、こういうゲームとかもするんですか?」

「マグルの遊びの文化を理解するためにね。まぁ…ゾグラフのように興味を持ってくれる者は少ないけど」

「え?そうなんですか?」

「…マグル学は、他の科目と比べて…受講者が少ないから。…下に見られてるんだよ」

 

 

クィレルは近くにあった電球を持ち、ガラス部分を撫でながら低く呟く。

ああ、そっか。マグル出身の子はハーマイオニーでもない限りわざわざマグル学なんて学ぼうとしないだろう。かといって魔法族も、マグルの世界をわざわざ学ぶ人なんて滅多にいないのかもな。マグル大好きのアーサー・ウィーズリーですら、電話とか電気とか荷物の送り方とかよく分かってなかったし。

 

 

「じゃあ。…俺、三年生になったらマグル学をとるんでゲーム沢山揃えていてくださいね!マグル学大人気になりますよ!」

 

 

笑って言えば、クィレルは目を見開いて驚いた後、嬉しそうに笑った。ちょっと自分に自信ないし、なんか今の待遇に不満そう、ではあるな。…後2年この人は闇堕ちするんだよなぁ。

 

 

「来年、私はちょっと休職して世界を回ろうと思っている。…ゾグラフが3年生になる前に戻ってくるよ」

「…、…俺の事はノアで良いですよ。苗字(ファミリーネーム)呼び慣れてないんで。…世界中のゲーム集めて来てくださいね、約束ですよ」

 

 

小指を差し出せば、クィレルは首を傾げた。

 

 

「小指、出してください。ただの子どものおまじないですよ、日本式のね」

「…?…こうかな」

 

 

俺の真似をして差し出された小指に、自分の小指を絡ませて俺は強く握った。

 

 

「約束ですよ、沢山ゲーム集めて戻ってくるって!」

「ああ、約束しよう、ノア」

 

 

ぽっと俺とクィレルを結ぶ小指が一瞬白く光った。

クィレルはぱっと指を離して自分の小指を曲げたり伸ばしたりしながら目を擦っていた。

 

 

「今、光が…?」

「ゲーム画面の反射じゃないですかね?」

「…そう、かな」

 

 

首を傾げながらも、俺の力を知らないクィレルはまさか一年生が契約魔法を使えるとは夢にも思ってないのか、納得していた。

この人に、2年後マグル学の教師でいてくださいと約束する事は出来ない。

 

この人は、既にヴォルデモートを探すという強い意志がある。…何年も前から、多分考えていたんだろう。ヴォルデモートを見つけ出して、捕らえて、自分の力を世界に認めさせたかったんだろうな。

 

…ってか、1人でヴォルデモート見つけるって、この人本当はめちゃくちゃ有能なんだろうなぁ。有能だから、今の待遇に不満があるし、ヴォルデモートに利用されちゃったのか。

 

 

昼休み終了のベルが鳴り、俺は遊ばせてくれたお礼を言って大広間へ移動する。まだ昼食、なんか残ってるかな。次は授業ないし、もしなんもなかったら厨房に侵入しよう。

 

 

クィレルとのファーストコンタクトは済ませた。

多分、これで2年後──あの人がヴォルデモートを連れて戻って来た時にある程度話しかけても不信がられないだろう。

クィレルはぶっちゃけ救えるか微妙だ。命は救ったとしても、アズカバン行きにはなるかも。

完璧操られてるわけじゃなくて、自分の意思でヴォルデモートを受け入れたんだろうし、罪は…窃盗未遂?殺人未遂?あ、ヴォルデモートと一緒に1人殺してたっけ…?だめだ、その辺覚えてない。正直にいうとクィレルに対してそんなに思い入れは無い、不憫だとは、思う。

 

 

まぁ、この一年で時々会いに行ってもう少し交流しておこうかな。ゲームもしたいし!

 

 

 

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