兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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16 クリスマス休暇と衝撃の事実

 

クリスマス休暇である!

俺は「帰っちゃうのかい?」と寂しそうなセドリックとフレジョを置いて孤児院へと戻った。

 

孤児院では久しぶりに会った子ども達が熱烈に歓迎し、さっそく懐かしの悪の組織ごっこをしていた。

 

 

クリスマス休暇初日は子ども達と遊び、次の日はいつものように姿現しをしてハリーが待つ公園へ向かう。

 

 

「ノア!」

「ハリー、久しぶりだな」

 

 

ハリーは俺が木の虚から現れるとすぐに嬉しそうに駆け寄り、頬を赤らめる。本当に嬉しそうなハリーの顔を見ていると、何だかこっちまで嬉しくなってくるな!

 

俺たちは雪を踏みしめながらベンチまで移動し、およそ三ヶ月間を埋めるように長い時間をかけて、色々話した。

 

 

「ノア、向こうの学校はどうだった?」

「んー?楽しいぜ、授業もそこそこ面白いし」

「そうなんだ…仲良い人とか、出来たの?」

「そうだなぁ、セドリックとか、フレッドとジョージと良く一緒に居るかな」

「…ふーん…」

 

 

ハリーはどこかつまらなさそうに足を抱えて口を尖らせる。ハリーは…まぁ、友達とか出来ないだろうな。

ハリーの性格云々じゃなくて、ダドリーに虐められているハリーに声をかけるなんて子どもは居ない。

誰でも、いじめの標的にはなりたくないんだろうな。

 

 

「早く、僕もホグワーツに行きたい…」

「あと一年半だ。あっという間さ」

「…ノアが居ないと、すっごく1日経つのが遅いんだ…」

 

 

ハリーの言葉はすごく寂しげで、ぽんぽんと背中を叩けばハリーは少し微笑みながら俺の肩に頭を乗せる。

……うーん!距離感!距離感がバグってるぞハリー!

まぁ、友達がいないから仕方がないのか?それに、俺は超絶美形だし甘えたくなるのも…まあ、うん、わからないでもない!

 

 

誰も居ない公園に、まったりとした静かな時間が流れていたけれど、それはドタドタとした足音とやたらでかい鼻息によりぶっ壊された。

 

 

「ノア!いつ帰ってたんだよ!」

「おーダドリー久しぶり」

 

 

足音と鼻息の主はダドリーだった。小さな──いや、普通の豚みたいな丸々としたダドリーはそのぷくぷくとしたほっぺたを真っ赤に染めて嬉しそうに俺に駆け寄ったが、隣にハリーがいる事に気がつくとあからさまに「おえっ」と吐くような真似をした。

隣にいるハリーが舌打ちをしたが多分それが聞こえたのは俺だけだろう。

 

 

「なんだよ…お前までいたのか」

「悪い?今ノアと話してるのは僕だ。帰ってくれないかな」

「はぁ?なんでお前なんかの言う事を聞かなきゃならないんだ?お前が帰れよハリー」

「君は、人間の頼み方も知らないんだ?」

 

 

ハリーは嘲笑ったが、ダドリーには高度なハリーのからかいを理解できなかったようだ。

…ハリーって割と凄い事を言うよな。原作でも読んでて思ってたけど…日本人の俺には出来ない皮肉っぷりだ。

 

勿論ハリーは帰る気持ちはさらさらないようで、ぎゅっと俺の服を掴んでいた。

 

 

「チッ…。…ノア!クリスマスの日、俺の家に来ないか?孤児院なんてたいしたクリスマスパーティしないだろ?七面鳥にケーキ!プレゼントだってある!なぁ、どうだ?来るよな?」

 

 

ダドリーはハリーを遠ざけるのを諦めて、俺を見ると今までハリーに見せていた険悪な目を消してにっこりと笑う。

いやー裕福な子供の悪意無きディスが止まらねぇな。…いや、ダドリーが悪いんじゃない。こう育てた親が悪い。ある意味ダドリーは優しい虐待の被害者だ。

 

 

「パーティねぇ…ハリーが参加するのなら」

「はぁ?コイツが…?場が辛気くさーくなるだけだぜ?」

「あのなぁダドリー。ハリーは俺の友達だ」

「…ちぇっ!わかった、仕方ないなぁ」

 

 

ダドリーは面白く無さそうだったが、とりあえず俺が行くのならまぁいいか、ハリーには皿洗いをずっとさせればノアを独占できる──と心で思っていた為、すぐに頷いた。

 

 

「もし、ハリーがずっと手伝いとかやらされるなら、俺は速攻帰るからな」

「うっ……わかったよ…」

「…ノアが、クリスマスに…来るの?」

 

 

図星をつかれたダドリーはほとんどない首をすくめて苦々しく頷く。ハリーはクリスマスパーティに俺が来るだなんて思わず呆然と俺を見ていた。

 

 

「ああ、嬉しいか?」

「うん!とっても!」

 

 

今まできっとクリスマスパーティなんてハリーとは無縁だったんだろう。

開心術を使わずとも、階段下の物置小屋に閉じ込められ、楽しげなクリスマスパーティの賑わいをバックミュージックに息を潜めている様子を簡単に想像できる。その日のハリーの食事はケーキの残骸、その程度であり、それがハリーにとってのクリスマスなのだろう。

 

 

「ノア、25日の夕方6時から待ってるからな!」

「オッケー、楽しみにしてるよ。クリスマスプレゼントは…あー期待しないでくれ、俺あんまり金がないから」

 

 

一応、言っておく。ダドリーがどんなプレゼントを俺に用意しているのかわからないが、俺は残念ながら手持ちの資金がかなり少ない。

この身を使えば大金なんて簡単に稼げるだろうけど…ま、変な手垢をこの美しい身体につけるつもりは毛頭もないし考えるだけで寒気がする!

 

 

「ノアに貰えるなら、何だって嬉しい!」

 

 

ダドリーはにっこりと無邪気に笑う。いじめっ子だけど、まぁ、こうして笑ってるとまだ10歳にも満たない少年らしくてそこそこかわいい。あとはデブじゃなかったらなぁ…つぶらな瞳だし、そこそこ可愛くなりそうなのに。

 

 

「ま、楽しみにしてて」

 

 

微笑みかければ、ダドリーは顔を真っ赤にしてこくこくと頷く。

空は茜色に染まり、そろそろ帰らないとハリーの夕食が抜きになってしまうかもしれないな。

俺は立ち上がって、残念そうなハリーの頭を軽く撫でた。

 

 

「ハリー、ダドリー、今日はもう帰れ。暗くなったら危ないからな」

「うん…ノアも、気をつけてね!」

「じゃあな!…行くぞ!」

「…わかったよ、うるさいなぁ…」

 

 

ハリーは小声で文句を言い、何度も名残惜しそうに振り返りながら大股で前を歩くダドリーの後ろをついていった。

 

 

1人残された俺は、周りに誰も居ないのを確認してパッと姿くらましをする。

 

孤児院の自室に帰れば、机の上になにやら見慣れない白い封筒があった。

 

 

「…なんだろ。……魔法省?……うん。無視しよう」

 

 

嫌な予感がしたから、その封筒を開ける事なくそのまま机の上に放っておいた。知らない人からの手紙は開けちゃダメだってライカママから言われてるし!もしかしたら魔法省の名を語ったストーカーさんからの体液が入ってる手紙かもしれない。

 

 

ふと、ホグワーツに入った後の未成年は魔法使っちゃダメだった事を思い出したが──まぁ、そんな悪い魔法を使ってないし…姿現しの一つや二つ、うん、きっと問題にはならないだろう。

 

 

俺はライカママの「ノア!夕食ですよ!」言葉を聞き、すぐに可愛らしく返事をした後ライカママや子ども達が待つ食堂──と言う名の、ただの少し広い部屋──へ向かった。

 

 

 

ーーー

 

 

それからクリスマスの前日まで俺は毎日姿現しをしてハリーと一緒に過ごした。

その度に部屋の中に知らぬ間に置かれている封筒が毎日一つずつ増えていたが、かなり熱烈な俺のファンなのかもしれない。

 

 

明日のクリスマスに何のプレゼントを用意しようか。魔法界の物をダドリーやハリーに用意するわけにはいかないし…と朝食のオートミールを食べながら悩んでいたら、早朝だと言うのに玄関からコンコンと割と強めのノックの音が響く。

 

 

「こんな朝早くに…」

 

 

ライカママは怪訝な顔をして眉を寄せ、サラダを食べていた手を止めると立ち上がりさっと玄関に向かう。

なんだろう、慈善団体が孤児院の子ども達にクリスマスのプレゼントを配達する事はよくあるが、それにしては1日早い。

俺のファンやストーカーからのプレゼントは大体クリスマス当日に届くはずだし。

 

と思いながらライカママが消えた扉の先を見ていたら、すぐに困惑したような浮かない表情のライカママが、戻ってきて、その目は俺を見据えている。

 

 

「ノア、あなたにお客様です。面会室に居ます」

「え?…はーい、誰だろ」

 

 

ライカママが俺を呼ぶ、という事は少なくとも不審者では無い。この孤児院には──俺がホグワーツに行った今もそうなのかはわからないが──頻繁に不審者や芸能事務所の人、俺を養子にしたい人が訪れる。正式な手段を踏めば、俺を養子にする事は可能なんだけど、どこの家に行くつもりもない俺は全て断ってるし、そもそもそういった人たちはみんなライカママに追い返されて俺を見ることも出来ない筈だから…まぁ、会えばわかるか。

 

 

面会室に続く閉められている扉をノックする事なく開けば、その先にいたのはおおよそこの場に似つかわしく無い人だった。

 

 

「あれ?セブルス先生、どうしたんですか?」

 

 

革張りの茶色いソファに座っているのは、ホグワーツ教師であるセブルスだった。すぐに机を挟んだ隣に座り首を傾げれば、セブルスは険しい表情で俺を睨む。

……なんだろ。

 

 

「サプライズクリスマスプレゼントを持ってくるには1日早いですけど?」

「……これを読みたまえ」

「んー?」

 

 

セブルスは内ポケットから封筒を取り出し俺に押し付けるように渡す。

それは毎日届いていた魔法省からの手紙にだったが、セブルスから直接手渡されるのなら…まぁ読むか。と開いてみれば。

 

 

「…退校処分!?」

「君は、何をやっているのかね」

「ええ!?何もしてないですけど!?」

 

 

慌てて無実を訴え首を振るが、セブルスは大きなため息をついて苦い表情をしたまま黙り込んでいる。

 

いやいやいや!退校処分とか!

え?前代未聞じゃね?一年生のクリスマス休暇で退校処分とか、多分ホグワーツの歴史にノア・ゾグラフの名を刻んだんじゃないか?

 

 

なんて、半ば現実逃避をしてしまうほどには、衝撃的だった。

 

 

 

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