兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します! 作:八重歯
6歳のハリーと運命的な出会いを果たした俺は暇があれば近くまで姿現しをしてハリーに会いに行っていた。いやだって、唯一出会えたハリポタキャラ!それも大好きなハリーと交流しない選択なんてあるか?俺にはない!
うっかりマグルに見られないように、公園近くの路地にちゃんと場所を設定する俺はかなりいい子だと思う。
待ち合わせ場所に決めたハリーの家の近くの公園に行けば、1人で雪だるまを作っていたハリーがいた。こうして公園で会い始めてもう5回目くらいか?
頬と鼻が真っ赤になりながらも、小さな手で懸命に雪玉を持ち上げて胴体部分に載せている様子に、なんか微笑ましくてしばらく声をかけずに見ていたら、雪だるまが完成したハリーがやり切った顔で額に滲んでいた汗を袖で拭い──はた、と俺がいる事に気付き、パッと笑うと飼い主に駆け寄る子犬のように走ってきた。
「ノア!」
「やぁハリー、雪だるま作ってんの?」
「うん!これは、ノアの雪だるまだよ!次は僕のを作るんだー!」
「へえ?大作だなぁ」
えへへ、と笑うハリーはめちゃくちゃ可愛い。ハリーはすぐに雪だるま作りを再開させていた。口から白い吐息が出て、手は真っ赤になってるけど目は楽しそうにキラキラしてる。
初めて会った時はどこか不安そうで、心細そうだったけど、こうして遊んでる姿見るとただの少年なんだなぁ。
「出来た!」
「おーすごいなぁ」
二体の雪だるまは仲良さそうに並んでいた。
ハリーは俺と自分の姿を作ったつもりらしいが、特に見た目に差は無い。ちょっと俺の雪だるまが大きいくらいかな?
「仕上げ、手伝っていい?」
「うん!勿論だよ!」
俺は一応、辺りを見回して周りに人が居ないことを確認してから指を振り、近くの常緑樹から枝と葉をとり、その辺の小石もついでに浮かせて、雪だるまの顔をそれっぽく作り上げる。
「──よし、こんなもんかな?」
「わぁ!すごいね!」
うんうん、枝とか葉っぱとか石をつけるだけでなんかそれっぽく見えるな。本当は帽子かバケツが有ればベストだけど。そこまではやらなくても、ハリーは十分興奮して喜んでるからいいか。
「ハリー、手…冷たくない?」
「え?うーん、ちょっと冷たいけど、大丈夫だよ」
「そうか?真っ赤だぞー」
「わっ!…ノアの手、すっごく熱いね!」
「ハリーの手が冷たすぎるんだよ」
真っ赤なハリーの手を握ってみたけど、氷かなって思うレベルには冷たい。手袋とか、おさがりでもらえなかったのか?
ハリーはなにが楽しいのか「えへへ」と笑って、俺の手を自分の頬にぴたりと当て、自分の頬を俺の両手で包み込んだ。
「あったかいね!」
俺の手に包まれて、にこっと笑うハリー。
くっ…ピュア可愛い…!原作開始時期のハリーは割と毒舌だし腹黒い部分もあったけど、このハリーはまだ6歳だ。めちゃくちゃ言動が幼くて、可愛いっ!
俺の中身は30歳越えの為、正直ピュア少年のこの行動に胸がぎゅんぎゅんくるっ…!
「ハリーのほっぺは冷たいなぁ」
「ノアが、あっためてくれる?」
ハリーは俺を見上げて目を細めて悪戯っ子のように笑う。
こ、小悪魔…!ピュア天使だと思ったらとんでもねぇ小悪魔美少年じゃねーか!これが計算ではなく天然なのだから、まじで恐ろしい…。いや、計算のほうが怖いか。
しかしだ。俺はこのピュア小悪魔ハリーよりも天使の美貌を持つ存在だ!やられっぱなしで引き下がれる俺では無い!
「──ああ、いいぜ?」
「っ…!ノ、ノア!」
ハリーの頬から手を離してそのまま腰に手を回し抱きしめて微笑みかければ、ハリーはぼぼぼっと頬を赤く染めてあわあわと狼狽しだした。
こうやってあわあわしてるハリーも、なかなかに可愛い!
「ハリー、寒いしさ。あっちに行こう?」
「うん!」
公園の奥にある巨木の根元を指差せば、ハリーは照れながらも大きく頷いた。子ども2人くらいなら余裕で入れる木の根元にポッカリと開いた
たしかに、地面に雪がないだけでかなり暖かい気がする。
ハリーの濡れた服を撫でて乾かせば、ハリーはまた目を輝かせた。
「ノアの魔法、すごいね!」
「ありがとう。まぁいつか出来るようになるさ」
「ノアは、誰から魔法使いだって…僕たちの力が魔法だって教えてもらったの?」
「ん?…あー母さんに。魔法の方法とか、魔法界の事は詳しくは聞いてなかったけど。俺には魔力があって、魔法使いで…11歳になったら迎えがくるってな」
「そうなんだ…」
ハリーは感心したように頷くが、勿論この言葉は全て嘘である。俺の親が魔法使いだったのか、マグルだったのか。真相は全くもって闇の中だ、亡くなってるから聞くことも出来ないし、生家は一応残ってるらしいけど…あ、家の中探せば何か見つかるかな?
「11歳かぁ…まだまだだね」
「そうか?あっという間じゃね?」
「あと5年もあるよ…」
三角座りをしたハリーはつまらなさそうに頬を膨らませた。多分、早く今の状況から出たいんだろうな。なんだかんだ言って、やっぱダーズリー家は嫌なんだろう。
ハリーはじっと自分の右の掌を見ていたが、落ちている木の枝に向かって突き出し──何も起こらなかった事に、残念そうにため息をついた。
「僕も、早くノアみたいに魔法使えるようになりたいなぁ…」
「んー。…本当はな、ハリー。魔法をうまく使うには特別な杖が必要なんだよ」
「そうなの?…じゃあ、何でノアは…出来るの?」
「俺は特別。なんたって世界一の魔法使いだからな!」
「うわぁ!すごいや!」
疑う事なく俺を尊敬の眼差しで見るハリー少年。
確か、この年齢の子どもはある程度杖が無くても魔法が使える。しかし、殆どが無意識で行なってしまったり、強い感情の影響で魔法が発現する。
…あ、でもセブルスとリリーは花をホグワーツ前から咲かせたりしてたっけ?リリーの血を引いてるハリーなら、出来ないことも無いかも。
俺は落ちていた枯れ葉を手に取り、ハリーがよく見えるように手のひらの上に置いてハリーの目の前に掲げる。ハリーは次はどんな魔法が見られるのかと、目を輝かせワクワクしてた。
回って浮くように念じれば、枯れ葉は俺の手のひらから少し浮遊しくるくると早く回転する。「わぁ!」と歓声を上げるハリーの手に同じように枯れ葉を乗せてやった。
「回るように、念じてみろよ」
「…できるかなぁ?」
「ものは試しだ。出来なくても気にするなよ?」
「うん…」
ハリーは枯葉をまるで大切なもののように両手で掬い持ち、じっと真剣な眼差しで見つめる。
すると、ぴくり、と枯葉は動きハリーの手のひらの中でくるくると回った。
「できた!!……あ」
喜んで歓声を上げた途端、集中していたハリーの意識は拡散してしまい枯葉は動きを止める。それでも、ほんの数秒でも自分の意思で動かせた事にハリーはかなり嬉しかったのだろう、興奮したように頬を紅潮させていた。
「ノア、見たよね?僕にも出来たよ!」
「ああ、見てたぜ!凄いなハリー」
「えへへへ…」
ハリーの柔らかな癖っ毛をわしわしと撫でれば、ハリーはくすくすと笑って目を細め、とろんとした溶けきった眼差しで俺を見上げる。
「ノア、やっぱり僕はノアと結婚する!だって、ノアの事大好きだもん!」
「はは、ありがとー」
「僕、本気だからね!」
「はいはい。わかったわかった」
ピュア少年ハリーの愛の告白もこれが何度目かわからない。将来ハリーはモテまくり、ジニーと結婚して幸せになる事は確定してるし、魔法界の事を知って、魅力的なチョウ・チャンや勇敢でかわいいジニーと出会えばころっと気持ちは変わるだろう。
ハリポタファンの中で有名な話だが、ハリーはかなりの面食いで、美形ばっかり好きになるので有名である。いや、ハリーが美形を虜にすると言うべきなのか…まぁハリーも将来イケメンになるからなぁ。
…あれ、でもそれじゃあ俺以上の美貌を持つ人間なんていないから…。…ま、いっか。今は子どもだからな、うん。
「ハリー、あれから…いとこの家ではどうだ?」
「え?…うーん、お手伝いちゃんとしてるよ。ノアに言われて…ムカつく事はあるけど…でも、頑張ってるんだ!」
「偉いなぁハリーは!」
褒めればハリーは照れたように笑う。
いや、でもマジで凄いってか、健気だなぁ。普通初めて会った相手に説教じみた事を言われたにも関わらず、納得して家事とかできるか?まだ6歳だぞ?……俺、魔法でなんか…無意識にしてない、よな?
いや、してない。きっとハリーはめちゃくちゃ素直ボーイなんだろう。
「ちゃんと、魔法の事は秘密にしてるか?」
「うん!誰にも言ってないよ」
「偉いな!…よし、指切りしようか」
「指切り…?なにそれ?」
小指だけを立ててハリーに向ければ、ハリーは不思議そうに俺の小指を手で握った。
ああ、そうか。イギリスには指切りなんて無いのかな。
「そうじゃねぇよ。小指と小指を絡ませて…」
「こう?」
「そうそう。…んで、約束するんだ。指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!…ってな」
「針千本も飲むの?」
ちょっとハリーは恐々と俺の目を見た。
たしかに、針千本ってやばい量だよな。
「飲まないよ。それくらい、ちゃんと約束守ろうね、って事さ。…ま、これは省いてもいいかな。──さ、ハリー?約束できるか?」
ハリーは俺の小指に絡ませている指に力を込めてにっこりと笑い無邪気に頷いた。
「約束だ。11歳までは、魔法のことを俺以外の、誰にも言わない」
「うん、約束するよ!」
途端、ハリーと俺を結ぶ指がぽうっと白い光に包まれた。
──あ。やっべ。
「わぁ!これも魔法?」
「あー……うん、多分」
懺悔します。
俺は単純に遊びのつもりだった。可愛いハリーと指切りしたかっただけだ。
決して魔法契約でハリーを縛ろうとかそんなつもりは無かったが、俺の魔法はそれを契約だと捉え──ハリーを縛ってしまった。
針千本言ってなくてよかった…!多分それ言って約束してたら、ハリーがうっかり魔法の事を言ったら…ハリーの口に針千本が現れ、そこでハリー・ポッターの話は終了していただろう。
薄寒い想像に顔を引き攣らせる。
俺、自分がチートだってちょっとよく考えないとなぁ…。
うっかり魔法契約で縛ってしまったが、まぁ、悪い約束では無い。これでハリーは俺以外に魔法の事を…とりあえず、ハグリッドが来るまでは言えないだろう。
にこにこと何も知らないハリーは無垢な笑顔で笑っていた。
ーーー
そういうわけで、ハリーと3年程交流していた。
ホグワーツについては、俺も知らない、と伝え教えないようにしていたが…流石にもう隠せないな。ほぼ二、三日に一回会ってたのに、急に2年も音信不通になったらハリーは悲しむだろうし。
まだ孤児院で決められている自由時間はたっぷりとある。
俺はいつものように、ハリーの家の近くにある公園の、大きな古木の虚の中は姿現しをした。
ぶっちゃけ、途中から路地から歩くのも面倒になっていて、あの虚の存在を知ってから俺は毎回あの場所に現れている。
路地ってほら、変態さんが多いからな?しかたない。
3年間あの虚には誰もいなかったし、マグルに見られる事はなかった。
まぁ、もし見られてもオブリビエイトすれば良いけどな。
周りの景色が木の内部にかわり、俺はすぐにそこから出て辺りを見渡す。
家で過ごしたく無いハリーは、基本的にこの公園で時間を潰してる。
俺が来る来ないに関係なく、よく1人でブランコにただ座ってぼーっとしていた。
今日も、やっぱりブランコに座ってぼーっとしながら公園の入り口を見ている。
「や、ハリー」
「ノア!いつの間に来たの?」
「さっき」
隣の空いているブランコに座れば、ハリーは嬉しそうに微笑んだ。
ハリーは9歳になっている。勿論まだ幼くて可愛いけれど、初めて会った時よりは背だって伸びている。
ま、俺よりは勿論低いけど、男の娘である俺は11歳の少年の平均身長より低めだからいつか抜かされるのかな?…いや、ハリーって確か結構低い設定だっけ?
「俺、さっき魔法使いが来たんだ」
「ああ…ノア、11歳だもんね。僕は後2年かぁ…」
「9月から、魔法学校に通うらしい」
きい、とブランコを揺らしながら話す。
おー、久しぶりに乗ったら割と楽しいな。昔ハリーをどこまで高く出来るかって後ろから押しまくってちょっと魔法使って高くしてたらハリーマジで泣きそうになってたっけ…。
「魔法学校?そんなの、あるんだ…どこで学べるのか心配だったけど、そうなんだ…」
「そ。それで、そこは…寮なんだって、クリスマス休暇くらいしかこっちには帰ってこれないんだ」
「……えっ!?」
ハリーは立ち上がって、呆然と俺を見る。ブランコの鎖ががちゃん、と小さく音を立てた。
足でブランコにブレーキをかけて止まれば、ハリーは絶望感漂う目をしながら俺の前に立ち、俺を見下ろした。
「そんな…。本当?」
「うん、マジマジ」
「…嫌だ!」
ハリーは怒ったように叫び、首をぶんぶんと振った。
周りに落ちていた木の葉がふわりと浮いた。おーおー。怒ってるなぁ。あんまりハリーは魔力を暴走させる事はないんだけど、珍しく感情が昂ってるようだ。
「ハリー、俺にはどうする事も出来ないんだ」
「っ…!そんな、…ノア!お願い、僕をおいて行かないで…!」
「でもなぁ、もう行くって言ったし」
「嫌だよ!」
「おーっと…!」
ハリーは縋るように俺に抱きついた。
ブランコに座ってた俺はバランスを崩しそうになったがなんとか踏ん張って耐えた、がハリーは問答無用で俺を抱きしめて重心がかたむき──ちょ、ちょっと待て、まじで後ろに倒れそう!
「うわっ!」
「わぁ!」
耐えられませんでした。
ハリーの全体重をバランスの悪いブランコの上では支えられず、そのままハリーと一緒に後ろにひっくり返り、俺はしこたま頭と背中をぶつけた。
がちゃん!と音を立ててブランコが揺れ、振り子のように戻ってきたブランコがハリーの頭にぶつかりそうで、手を出しギリギリで動きを止める。
「っ…いってぇ…」
「ノ、ノア!ご、ごめん、僕…!」
「ハリー、ブランコに乗ってるときに抱き付いてはいけません!」
ホグワーツならグリフィンドール10点減点されるぞ!
ハリーはそれでも目をうるうるとさせたまま俺にぎゅーっと抱きつき、いやいやと首を振る。
小さくため息をついて、ハリーの背中をぽんぽんと叩いた。
「きっとハリーも同じ学校に来ることになるしさ、先に待ってるよ」
「でもっ、でも…!2年も…!」
「休暇には戻ってくるからさ」
「っ…手紙っ!手紙、書くから、絶対返事ちょうだい?」
「わかったわかった」
ハリーは体を起こして仰向けになってる俺の顔のそばに手を置いた。その大きな目には涙が溢れ、俺の頬にぽたぽたとあったかい涙が落ちてきた。
つまり、押し倒されているような形になっているのだが、まぁハリーは可愛いから特別に許そう!
「ちゃんと休みには戻ってくるから」
「絶対?」
「ぜーったい」
「約束、…指切りしてくれる?」
「ああ、いいぜ?」
ようやく、ハリーは服の袖でぐいっと涙を拭いながら俺の上から引いた。
身体を起こせば、すぐにハリーは俺に小指を差し出す。
目はまだ潤んでいて、どこか必死な表情で苦しみに耐えているようなハリーを見るのは少し心が痛むけど。まぁホグワーツで会えるしなぁ。
ハリーには友達が俺以外居ない。その唯一の友達と会えなくなるのが辛いんだろう。
俺はハリーの小指に自分の小指を絡めて、にっこりと笑った。
「約束するよ、ちゃんと休みには帰ってくるし、手紙も送るって」
「絶対絶対の約束だからね!」
俺とハリーを結ぶ指が、3年前のようにほのかに光った。
約束が結ばれた事がわかると、ハリーは少し落ち着いたようだ。まだ悲しそうではあるけど、仕方のない事だと理解はしてくれている。
ハリーは馬鹿では無い、賢いのだ。ただ、わがままを見せるのは──親がいないハリー、友達がいないハリーはそのわがままを俺にしか向けることが出来ないから、癇癪を起こして叶えられ無いとわかってても、甘えて言ってしまうんだろう。
ハリー、大丈夫だ。
ホグワーツに行けばロンとハーマイオニーっていう親友に出会えるからな!
俺のことは忘れて青春を横臥してくれ!俺はちょっと離れたところで甘酸っぱい青春をにやにやして見守りたいんだ!