兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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30 楽しい夏休み

 

 

夏休みも半分は過ぎた。

 

セドリックの家に泊まったり、フレジョの家に泊まったり、ドラコとダイアゴン横丁にある喫茶店でお茶したり、ハリーと遊んだりしつつ過ごしていてかなり平和な夏休みが過ごせていた。

  

 

そう、全ては過去形である。

 

 

いや、大きな危機に直面しているわけではないが、少々問題が数件現れた、と言えるだろう。

 

全ての始まりは、リータ・スキーターのインタビューに答えた事から始まった。

 

 

俺の美貌がイギリス魔法界中に広まり、沢山の手紙や貢物が届いたのは良い。貢がれる希少な魔法薬の材料を期待していたのは事実だし、あれからノクターン横丁にある魔法薬材料店に行き、それっぽい薬草や何かの動物の骨とか血液、鉱物などなどを鑑定してもらったところ──ちょっと状態がいいとは言い切れないものはあったが──9割が本物だった。

 

あの店主は特別希少な黒紫水晶の雫をやりとりする中で俺のことをお得意様だと認識してくれているらしく、他店で黒紫水晶の雫を売らない事を約束したかわりに俺が持っている素材を割と高額で買い取ってくれるし、希少素材100種とかいうもう絶版である希少な本を譲ってくれた。

この本があれば俺でもある程度、貢がれた素材がどんなものなのか調べる事が出来る。

 

長い目で見れば、リータのインタビューに答えたことは俺にとってプラスになっただろう。

 

 

まぁ、そんな理由で俺はよくダイアゴン横丁やノクターン横丁に足を運んでいたのだが──。

 

 

「ノアさん!是非我が社と契約を!」

「いえ、弊社ならばどこの事務所よりも高待遇を約束します!勿論、学業を妨げることはいたしません!」

「貴方様の美貌であれば、世界に羽ばたくトップモデルになります!そのお力添えを致したく……!」

 

「いやー……どうしようかなぁ」

 

 

アイスクリーム店のテラス席でパフェスプーンを咥えながら言えば、俺の目の前にいる10人程度の魔法使いや魔女は必死さを滲ませながら懇願するように俺を見る。

 

記事が出てからこうして魔法界の大手芸能事務所が軒並み俺をスカウトするようになった。机の上にはすでに沢山の名刺やそれぞれの事務所の待遇が書かれた紙が山のように重なっている。

 

まぁ、俺のこの美貌ならば魔法界一のトップモデル間違いなしだ。だって俺は世界一美しく、可愛いのだから!男の娘寄りな俺の見た目はまだ女の子に見えなくも無い中性的なものだが、成長すれば間違いなく美丈夫となることだろう。

 

 

「モデルかぁ……」

 

 

少し前の俺なら金のためにモデルになる事を即決していただろう。だが今の俺には働かなくても莫大な金を得る手段が既にあるし、今後色々──ハリーやセドリック達を救うために動くためには、休暇中であれ他者に時間を束縛されるのは避けたい。

 

しかし、俺は今世界一の美貌と魔力を持つ世界最強の魔法使いだが、一方で肩書きは何の権力もないただの孤児の美少年である。

 

将来のために、後ろ盾を得るために知名度や権力を上げる、という方法も悪くはない。そこそこ知名度があった方が社会に出た時に色々と融通が効く──かもしれない。たかだかモデルに果たしてその権力があるのかは微妙なところだが、ルシウスは莫大な金を寄付する事により魔法省とズブズブだし、名前と金さえあればこの世をある程度上手く渡り歩く事が出来るのはきっとこの世界でも変わらないのだろう。

ファンタジーでキラキラしているハリポタの世界の、一種のリアルでドロドロな一面なのだろうな。

 

 

「じゃあ……イクネウモーンの尾羽を5枚、俺にプレゼントしてくれた事務所と契約するよ。勿論、早い者勝ち」

 

 

ピーチパフェの甘く濃厚なアイスを食べてにっこりと笑って言えば、皆が頬を赤らめたが直ぐに真剣な顔になり「すぐにご用意します!」と宣言し姿くらましをして消えた。おそらく、彼らはイクネウモーンの尾羽がどれだけ希少なものか知らないから、二つ返事で頷いたんだろうなぁ。それぞれの会社に戻って大至急イクネウモーンの尾羽について調べてその難易度の高さに顔を青くする筈だ。

 

 

「さて、そろそろ俺も行こうかな」

 

 

パフェを食べ終わった俺は腕時計で時刻を確認しつつ、立ち上がる。

俺をちらちら見ていた通行人ににっこりと愛想を振り撒けば、何人かは気絶してしまった。──この光景も最早見慣れたもので、ダイアゴン横丁にいる人は一瞬ぎょっとして倒れた人を見るが、その先にいる俺に気付くと納得したように俺にキャアキャア言いながら手を振って気絶している人の上を平然と跨いでいくのだ。

 

 

「ノア、久しぶり!相変わらずのキラキラっぷりだな」

「ルーモスいらずだな」

「久しぶり。俺との約束に遅刻するのはお前らくらいだな」

「え?もうそんな時間?ごめんね!」

「なんてこった!ここは時間の進みが違うみたいだ!」

 

 

待ち合わせのアイスクリーム店で待っていても一向に来ないから『ギャンボル・アンド・ジェイプスいたずら専門店』を覗いてみれば、新商品コーナーに張り付いているフレジョを見つけた。

 

ジョージの両手には溢れそうなほどのいたずらグッズがあるが、まだ買うつもりなのかフレッドが新しい商品を乗せている。

 

 

「いやぁ、俺たちちゃんと時間に行ったんだぜ?」

「ノアが人に囲まれてるのを見てまだかかりそうだなーって思って」

「ちょっとの時間潰しのつもりだったんだ、本当さ!」

「真実さ!」

「はいはい、わかったわかった」

 

 

言いながらも腕の中にぽいぽいと新たに商品を乗せているせいでジョージの抱える山は崩壊寸前だった。

ぐらぐらと傾く山に「おっ──っとと!」とふらふら移動しながらなんとかバランスを取ろうとするジョージに苦笑しつつ、トン、と軽く商品を叩けばその山は固まったかのようにぴたりと斜めになりながら止まった。

 

 

「ありがとう、買ってくるから──」

「待ってて!」

 

 

2人は人を掻き分けレジに向かい、ポケットの中をひっくり返して大量の商品を全て購入していた。……金欠じゃなかったっけ?

大きな紙袋を抱えて戻ってきたホクホク顔の2人を見てそう思ったけど、まぁもうすぐ新年度が始まるしモリーから多めに小遣いでももらっているのかもしれない。

 

 

「セドも──多分、もうすぐ漏れ鍋につくだろ、行こうぜ」

「うん」

「そうだな」

 

 

今日俺たちは新年度の教材を買うためにダイアゴン横丁で待ち合わせをしていた。昨日ホグワーツから新しい教材リストと、支援金が届いた──って、もしかして。

 

 

「なぁ、お前ら教材買う金残ってんの?」

「ん?勿論さ!流石に俺たちもそこまで愚かじゃない」

 

 

心外だと言う目をするフレッドに謝りつつ「そうだよなぁ」と安心していたが、2人はニヤリと企み顔で笑い、誇らしげに胸を張った。

 

 

「「一人分はね!」」

「は?」

「気付いたんだ、俺たちはいつも一緒にいる」

「なら、教科書は1セットでいい」

「どうせ古本でしか買えないし、そんなものに金を使うのはもったいない!」

「やりくり上手と褒めてくれ!」

「……きっとモリーさんは憤死するな」

「もし新年度俺たちがいなかったら家の庭を掘り起こしてくれよ?」

「そこに俺たちは埋まってるからな!」

 

 

今日のために彼らの母は日々の出費をやりくりして教材を揃える資金を用意した事だろう。まさか、それが半分はいたずらグッズで消えるとは夢にも思ってないだろうなぁ。

 

 

「オーケー。──愚かな双子ここに眠る──ってちゃんと墓標に書いてやるよ」

 

 

軽く頷けば、2人は楽しそうにケラケラと声を上げて笑っていた。

 

 

 

 

 

 

俺をスカウトする事務所に告げた条件はやはり、なかなか難しかったのだろう。1週間くらいはどの事務所も連絡がなく静かなものだった。

しかし、ついにイクネウモーンの尾羽を5枚持って1人の魔法使いが現れ──念のため本物かどうかいつもお世話になってる魔法薬材料店の店主に確認してもらって、見事本物で状態も良いとお墨付きを貰い、俺はその事務所と正式に契約を結んだ。

 

 

夏休みが終わる前に俺は晴れてモデルとして大々的にデビューし、日刊預言者新聞でそのニュースを見たセドリックからは「モデルって何事!?」と驚きの手紙が、フレジョからは「俺たちの悪戯グッズの広告塔になる約束は!?」と少々拗ねたような手紙が、ドラコからは「写真集とかあるのか?」と何とも気が早い手紙が届いた。

 

 

日刊預言者新聞が届かないハリーには、夏休みが終わる前に「魔法界でモデルする事になったんだー」とさらりと伝えておいたが、魔法界での俺の知名度を知らないハリーは「ノアは誰よりも美人だからね」と無邪気に笑っていた。

 

 

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