兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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31 ノアの誤算

 

ホグワーツ2年目が始まった。

変わったことといえば、クィレルが旅に出かけて教師を休職し新たなマグル学教師が就任したという事くらいだ。

クィレルは生徒から好かれていた教師ではなく存在感も薄かったため、クィレルがいなくなった事に気づいたのはきっとマグル学を受講していた数名だけだろう。

 

 

「セド、クィディッチの選抜試験受けるよな?」

「勿論!ノアもだよね?今週の土曜日だって」

 

 

寮の掲示板に貼られている掲示物を見ながらセドリックに聞けば、セドリックはすぐに頷いた。

二年生になればクィディッチ・チームに参加する事が認められる。チームのキャプテンの選抜試験に合格しなければならないが、俺とセドリックは一年生の時の飛行訓練でそこそこ上手かったし、まぁ何の心配もなく合格出来るだろう。

 

 

「ポジションはどこ希望なんだい?…シーカーとキーパーを募集してるみたいだ」

「んー。そうだなぁ……シーカーとか?」

「えっ…」

 

 

セドリックがそのポジションにつきたがっていることは知っているが、ニヤリと挑発的に笑えばセドリックはちょっとだけムッとした表情になり、「負けないから!」と勇敢に宣言した。

 

 

「僕たちどっちも選手になれたらいいけどね」

「んー空きポジは2つだからなぁ。何人くらい希望するかによるんじゃねぇ?」

 

 

最強の魔法使いである俺は確定だとして。

セドリックは何年生からクィディッチチームに参加していたのだろうか。もしかしたら今年は参加できない可能性も、まぁ、無くはないだろう。どっちにしろ五年生の時はシーカーになる筈だ、ついでにキャプテンにもなってたような記憶がぼんやりとある。

花形のシーカーに俺もなってみたい気持ちはあるが、キャプテンの判断を仰ぐ事にしようかな。……誰がキャプテンだっけ…?

 

 

 

 

 

そして選抜試験の日。

俺はこの日のために購入していた競技用箒のコメット260を持ち、セドリックと共にクィディッチ競技場に立っていた。

 

そう──キャプテンは募集をかけたものの、名乗りを挙げたのは俺たち2人だけだったようだ。

 

まぁハッフルパフのクィディッチの成績はずっと最下位争いをしているし、優勝杯を獲得したのは100年くらい前が最後らしい。クィディッチは好きだけど自分がやるのはまた別だと考えているハッフルパフ生が殆ど、なんだろうな。

 

 

「心配しなくても俺たちはチームメイトになれそうだな」

「…そうみたいだね…」

 

 

俺とセドリックは顔を見合わせ、少しだけ肩をすくめた。

 

時間きっかりに競技場にやってきたハッフルパフ・クィディッチチームのキャプテンである5年生の女生徒が駆け足で俺たちに近づいてきたが、俺を見た瞬間目を見開き顔を真っ赤に染めて「ノア!?」と叫んだ。

 

 

「えっ!?ノ、ノノノノ……ノア!?嘘!──じょ、冗談よね?…あ、あ、あなたまさか、……選抜、試験を──う、受けるつもりなの…?」

 

 

女生徒は見えている肌の部分全てを赤く染め、俺の名を叫んだ時は大声だったが、その後はもじもじと腕で真っ赤になり滝の様に汗が流れる顔を隠しながら蚊の鳴く様な声でぼそぼそ呟いた。

 

 

「そのつもりですけど。──ダメかな?」

「だ、だだだ──だめじゃないけど、あ、ああなたモデルでしょう?……怪我の責任は……と、取れないわよ?」

「ああ、勿論そこは大丈夫」

「そ、そう?──えー──あー……じゃあ、えっと……わ、私はキャプテンのナンシー・ヒューズ……5年生よ。ポジションはチェイサーなの。今回は……あなた達2人だけね。……あ、あなたはセドリック・ディゴリーよね?よ、よろしく……」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

ナンシーは視線を彷徨わせどもりながらなんとか自己紹介をした。セドリックは笑顔で手を差し出したが、ナンシーはびくりと肩を震わせると「恐れ多い…ファンクラブの子に殺される…」やらなになら呟きながら、指先だけでちょん、とセドリックの指に触れた。……セドリックにも既にファンクラブがあるらしい。

 

 

「えーと…希望ポジションは…?」

「僕もノアもシーカーです」

「シーカー……はい、わかりました…」

 

 

居心地悪そうにきょどっていたナンシーだったが、覚悟を決めた様に深呼吸しぐっと胸の前で拳を作る。そのまま俺とセドリックを見て一度気を取り直すように──割と強めに──パチンと頬を叩いた。

 

 

「じゃあ、選抜試験を、は、始めます!」

 

 

ナンシーは高らかに宣言し、手首につけていた髪ゴムで肩下ほどの髪を後ろで1つに結ぶ。すると、今まで下がっていた眉はキッと吊り上がり、なんか表情が険しくなった。

 

──俺を見ても全く照れる事なく、視線を揺らせることなく、ただキャプテンとして真剣な顔で俺とセドリックを見た。

 

 

「──よし、ノア、セドリック。ここにある練習用スニッチを先に3回捕まえられた方がシーカーになります。カウントは10秒、同時スタートです。箒は……それぞれ持ってきているようだけど、こちらで用意したのを使ってもらいます、学校にある貸し出し用の箒で、二本とも同じ性能のものを用意しました。──異論は?──ないですね?」

 

 

俺とセドリックが何か言う前にハキハキテキパキと段取りを決めたナンシーは「アクシオ!練習用の箒!」と叫び素早く二本の箒を呼び寄せ俺たちに手渡す。

 

変わり様に呆気に取られている間にナンシーはその場にしゃがみ込み、持ってきていた鞄の鍵を開ける。

 

 

「──何をしている?早く箒に乗って!」

「は、はい!」

「イエッサー!」

 

 

厳しい声で注意され、呆気に取られていた俺たちは慌てて箒に跨った。──いやいや、二重人格かって思うレベルの変わり様だ。驚かない方が無理だろ!

 

 

鞄が開き、中から練習用のスニッチが飛び出す。すぐにナンシーがカウントを始め、俺たちは柄を強く握り、一瞬視線を交わしニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

「あーーっはっはっはっ!このノア様に勝てると思ったのかーっ!」

「くっ…悔しいけど完敗だ…!」

 

 

胸を反らせる俺の前でセドリックが悔しそうに歯噛みする。シーカー選抜試験の勝者は勿論俺だった。いやー飛行術でも負け知らずだとはな!これだとハリーが来てもクィディッチ優勝杯はハッフルパフが取得出来るかもしれないな!

 

 

「凄い!最高のシーカーだ!今まで見たどの寮のシーカーより最高!──セドリックも、動きは悪くないね、だけどここぞと言う時に躊躇するみたいだ。先読みは悪くないしよければキーパー、やってみないか?」

「うーん……はい、よろしくお願いします」

 

 

セドリックは本当はシーカーが良かったが、俺との差はすぐに埋めることができないとわかったのか、とりあえずキーパーとしてクィディッチ・チームに入る事となった。

残念ながら希望ポジションにつくことはできなかったが、それでも2人ともチームに参加するという目的は達成されたし、ポジションチェンジはたまにあるようで、セドリックはシーカー目指して頑張るらしい。

 

 

その日の夕食後、そろそろ談話室に戻ろうかとしていた俺とセドリックは大広間から出る前に後ろからの突撃を受けて一瞬バランスを崩した。

 

 

「おっと」

「うわっ──」

「聞いたぜ!ノアはシーカー!」

「セドリックはキーパー!」

「俺たちは明日クィディッチ選抜試験があるんだ!」

「勿論、俺たちは──」

「「ビーター希望さ!」」

 

 

俺の右側にフレッドが立ち肩を回し、セドリックの左側にジョージが立ち、同じように肩を回し左右からユニゾンで喋る。

 

まだ俺たちが選抜試験を受けて数時間しか経っていないが、何故知ってるんだろ。あー…たしか2人の兄のチャーリーがキャプテンだったっけ?じゃあナンシーとキャプテン同士どっかで交流があってもおかしくはない。──それか、新たにチームメンバーになる人間の偵察のために誰かが聞き出したとか。

 

 

「うわー2人がビーターかぁ……」

 

 

まだ決定したわけではないが、フレッドとジョージがビーターだと想像してセドリックは難しい顔をして表情を顰めた。

わかる、ビーターは息を合わせる事が何より大切なポジションだ。そのポジションに2人はぴったり合ってるし、好戦的な2人はかなり好敵手になるだろう。

 

 

「開幕戦で会おうぜ!」

 

 

ニヤリと笑い、突撃したお返しとして思いっきり背中を叩けば、フレッドは「ぃだっ!!」と叫び俺からパッと離れた。ジョージは楽しげに口笛を吹きセドリックから離れると背中を押さえるフレッドに駆け寄りその痛みに歪む顔を見てけたけたと腹を抱えて笑う。

 

 

「──くっ…望むところだ!」

「絶対に負けないからね!」

「ああ、決勝戦で会おう!」

 

「……いや、まだフレッドとジョージは選手ですらないけど…」

 

 

熱い視線を交わし青春漫画よろしくな光景に、セドリックは少々冷ややかな声で突っ込んだ。

 

 

 

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