兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します! 作:八重歯
2年目のクリスマス休暇。
俺はいつものように孤児院に戻り、1日目はとりあえずこの日を待ち焦がれていた孤児院の子どもたちと遊んだり、宿題を見てやった。まぁ、もう普通の算数とかなんて記憶の彼方に殆ど消え去っていたから子どもたちの力になれたかどうかは微妙なところだが。
次の日、ポートキーを使い久しぶりにハリーの家の近くの公園にある木の虚へと移動したら──。
「ノ、ノア!?」
「おう、ハリー。久しぶり」
「ひ、久しぶり!うわぁ、いきなり現れてびっくりした!」
誰もいないと思っていたら、ちょうどハリーが虚の中にいたようで驚いたように目を見開き、すぐに嬉しそうに俺に抱きついた。
外は雪がちらちらと降っているのにハリーはジャケットを着ることも無く、かなりの薄着だ。──多分、寒さのあまり虚に逃げ込んだのだろう。
「外はすごい雪だし、今日はここで過ごそうか」
「うん!」
鞄の中にポートキーを片付け、その代わりに貢物としてもらった高級菓子の数々を取り出し、ハリーに手渡した。
ハリーはあまりご飯を満足するまで食べさせてもらってないし、こんなお菓子も食べたことがないんだろう、目を輝かせ「ありがとう!」と言うと大きなチョコバーを頬張った。
「学校はどんな感じ?」
「そうだなぁ…宿題が多くてめんどくさいけど、かなり楽しいな」
「僕も早く行きたいな…後257日かぁ…」
「……数えてんの?」
いちごチョコバーを食べながら聞けば、ハリーはきょとんとした顔で「そうだよ?」と言い、またパクリとチョコバーに齧り付いた。
カレンダーに一日一日バツ印くらいはつけているだろうなぁと思ってたけど、残り日数を毎日考えているとは思わなかったな。──あれ?ハリーってこんな感じの性格だっけ…?
昼前には雪が止み──流石にお菓子だけでは満腹になる事はない──俺たちは近くにある大通りへ向かい、暖を取るためにチェーン店のファーストフード店で午後まで過ごした。
金が無いとハリーは遠慮していたが、モデルの仕事や魔法薬の材料を売った事で俺にはかなりの金がある。年下だし遠慮するなといい無理矢理大きなハンバーガーを渡せば、ハリーは遠慮がちにぱくぱくと食べていた。
3週間ほどしかないクリスマス休暇中は半分ハリーの元へ行き、半分モデルとして事務所で色々な写真を撮りまくった。
魔法界のファッションセンスは独自の発展を遂げている──ぶっちゃけかなり珍妙で二度見必須なセンスだが、魔法界ではこれがポピュラーなのだから仕方がない。
たとえ腹部からなにやらトゲトゲがたくさん出ている服でも、蛍光カラーのドキツい七色に変化するセーターでも。帽子に動物の剥製がついていても。それが魔法界での最先端なのだ。
「最高!!イイ!イイよ!──そう、目線はもっとこっちに!!ああっエクセレント!ファビュラス!マーベラス!!この世に降り立った奇跡とは君の事だ!!」
「ありがとうございます」
「ああっ!!そ、その表情さいっこうに滾るっ!!」
「……うふっ♡」
「君の微笑みの前ではヴィーラも裸足で逃げ出すよ!!」
興奮しきりはあはあと言っているカメラマンに大量の写真を撮られ。着替えるために俺の下着姿を見たスタイリストは5人ほど失神し。──結局自分で着替えることとなった──メイクリストは俺の肌にちょん、と指が触れただけでもんどり打って気絶した。
想像以上に時間はかかってしまったが、俺の専属マネジャーが言うには「この写真を選択するほうが時間がかかるよ」と大量の写真を見て何故か嬉しそうに笑っていた。
「まあ、たくさんあるしなぁ。……うわ、俺ってマジで可愛いな?大丈夫これ失神者でない?」
写真の中の俺は丈の短いスカートを履いて、悩ましげな生足を挑発的に組み替え、アンニュイな表情で薄く笑う。
マネージャーは「写真でステューピファイ出来るなんて流石ノア!」と言うが、本気で失神者が出そうだし──なんなら出血死とか興奮しすぎて心臓が止まる人とかいそうだなこれは。
「ノアの写真はどれも完璧だからね!うーん、全部写真集にいれたいんだけど…流石に参考書くらいのページ数になるから、厳選がすっごく難しいんだよ……」
「成程?まぁ、内容は任せる」
「うん、最高の写真集にするから!発売日は、年明けくらいかな。──あ、そうだ」
マネージャーは肩にかけていた鞄をごそごそ探り、俺に手のひらサイズのカメラを手渡した。
「カメラ?」
「うん、これはそんなに大きく無いけど機能は最新式なんだ!ノアは学生だから、休暇中以外は仕事は難しいだろう?──勿論、そういう契約なんだけど──その、もしよかったら学校でオフショットを撮ってくれないかな?自然体の写真が欲しくて」
「ふーん?…もし、友達とか映ったらどうなる?」
レンズについている蓋を取り、じっとマネージャーをレンズ越しに見れば、彼は「一応写真集に載るかもしれないって伝えといてくれたら、後はこっちでその友達たちの保護者に連絡するよ」と言う。その目はキラキラと輝いて期待が込められているが、きっと俺が拒絶すればあっさりと頷き手を引くだろう思慮深さも残している。
でも、まぁ少しくらい悪くないかな。
アイドルとかモデルのオフショってかなり売れるのも事実だし!
「オフショ写真集が発売されたとして。写った友達達には金は入るのか?」
「勿論。──写真の内容と、掲載枚数に応じて保護者と金額の相談してからしか掲載しないよ。どれだけ素晴らしい写真でも、ノアの友人達の写真を無許可で掲載することは無い」
「なるほど……。ま、物は試しだ。やってみるか」
「本当!?うわぁ!ありがとう!!写真はノアが持ってていいよ、ネガを使い切ったら事務所に送って欲しいんだ」
「オーケー」
カメラをポケットの中に入れ、机の上に置いてあったバタービール瓶を掴み一口飲みつつ、楽しげに写真を見ているマネージャーを観察する。
このマネージャーは俺の魅力に心底惚れているが、かといって俺に手を出す事はない。だからこそ俺のマネージャーに抜擢されたんだろう。
マネージャーに孤児院近くまで姿現しで送ってもらい、すぐに変質者とご対面してしまう俺はその後護衛されつつようやく孤児院の玄関へと到着する事ができた。
自室に入れば相変わらずの沢山の小包や手紙が山のように机の上に乗っかっていて、乗り切れない何十枚もの手紙は床の上に散らばっている。モデルの仕事をはじめてから契約事務所の社長さんと話し合い、俺へのファンレターや貢物は一度事務所を経由し彼らの検閲を通り変な呪いがかかっていない事を確認してから俺の元に届けられるようにした。
まだ本格的にモデルとして写真集を販売していないのにこの量だ。これからもっと増えることは間違いないだろうし、もうファンレターは事務所で保管してもらわなければいけないかもなぁ。
貢物もお菓子とか魔法薬の材料以外のなんか高そうな服とか宝石やアクセサリーは置いといてもらおう。ホグワーツで使う事はないだろうし、後でまとめて換金しよう。
床に落ちている封筒を拾い上げベッドの上に移動し、その日は眠気が来るまで俺の美貌を褒め称える文章を読むことに費やした。