兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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37 最高級のオフショット

 

 

あれから俺たちはそれぞれ受け取った物の効能を調べていた。

俺とセドリックが受け取ったものはともかく、フレッドとジョージが受け取った辺獄の鏡はなかなかに使い勝手が良いが、かなりの危険を孕んでいるようだ。

ただ離れた場所へ向かうどこでもドア的な物として使うならそれ程危険はないが、かといって入った瞬間鏡を閉じられてしまえば何もない真っ白な空間に閉じ込められる。

 

一度俺が試しに入ってみたが、本当に何にもない白い空間であり、ここで何日も過ごすことになれば気が狂う可能性もあるだろう。

鏡が開いていれば白い空間に姿見鏡の大きさをした外の世界が見えるが。外にいる者が鏡を閉じてしまえば世界は真っ白な空間だけになる。

さらに驚いたのは、この世界では魔法が使えなかった。試しにいくつか魔法を使ってみたが、俺の手は何も生み出さずかなり奇妙な感覚だった。白い床を小型ナイフで傷付ける事も出来ず、指先を少し傷付けようとしてみたが──何故か、ナイフは切れ味が全くなくなっていた。

つまり、この世界に閉じ込められてしまえば魔法での脱出は不可能になり、自害も出来ない。入った状態で保存される、のなら飢餓で苦しむ事もないのだろう。まさに生き地獄であり、辺獄の名に相応しい。

 

フレッドとジョージにこの鏡の危険性をしっかりと隠す事なく伝えれば、神妙な顔をして「まぁ暫くは物を隠すのに使う」「それかフィルチを撒くときだな」と答えた。

 

 

試練の報酬で行き来自由になった部屋でセドリックと共に本を読んでいれば、扉が開く音がしてフレッドとジョージが息を切らせて飛び込んできた。

 

 

「あっぶね!」

「いやーこの部屋があって助かったな」

「また、フィルチから逃げてきたの?」

 

 

額に滲んだ汗を拭いながらソファにどさりと腰掛けた2人にセドリックが呆れ顔で言う。2人は机の上に並んでいる菓子を摘みながら「いや」と首を振った。

 

 

「スネイプさ」

「いつも辛気臭い顔してるだろ?楽しい気持ちってのを思い出させてやろうかと思ってアイツの研究室にピクシーを入れたんだ」

「多いに喜んでくれてね。いやぁ猛烈に迫り来てたな」

「熱烈ハグはノーセンキューってね」

 

 

ケラケラと楽しげに笑うフレッドとジョージの言葉を聞き、セドリックは「ほどほどにね」なんてため息を吐きながら言いすぐに本に視線を落とした。

 

 

「あ、そうだ。お前ら小遣い稼ぎに興味ない?」

「小遣い稼ぎ?」

 

 

ふと思い出して鞄の中から小さなカメラを取り出す。そういえばマネージャーに日常風景を撮ってくれと頼まれていたんだった。ここの試練の事ですっかり忘れていたが、まあ提出期限なんてないし良いだろう。

3人は興味深そうにカメラと俺を見つめた。

 

 

「モデルの仕事でオフショット撮ってくれって頼まれたんだよ。普通に遊んでるとことか、友達と一緒のところとか。なるべく自然体の何気ない写真が良いんだけどさ。俺と写った写真が選ばれたらある程度の金が入るらしい。勿論、保護者に連絡は行くだろうけど」

「へぇーやるやる!」

「面白そうだな」

「カメラって一台しかないのかい?」

「あーそうだな──増やすか」

 

 

ポケットから杖を出し持っていたカメラをちょんと叩く。

するとカメラはぶるりと震えて二台になり、もう一度叩けば三台になった。ただの双子魔法の応用であり、格段難しくはない。持続性を持たせるために時々魔法を掛け直さなければならないけど。

 

 

「まかせて!最高の写真を撮るよ!」

「もうすぐスリザリンとのクィディッチの試合があるだろ?ばっちり守ってるところとるからキメ顔で頼むぜ?」

「セドリックは俺たちがノアと悪戯してるところとか撮ってくれよ?」

「うーん。オーケー、バレないように気をつけるよ」

 

 

3人は興奮しながらカメラを覗き込んでいた。ジョージが何気なく俺の方にレンズを向けたから、本を膝の上に置いて微笑んで見せる。──カシャン、と小さなシャッター音が響き写真が取り出し口からポンっと現れた。

 

 

「おお……なるほど、たしかに高値で売れそうだ」

「いやー俺ってどの角度から撮っても完璧では?」

 

 

写真に写る俺はにこにこと人当たりのいい笑みを浮かべていて、タイトルをつけるならば天使の午後の優雅な読書タイム、だろう。

 

 

「フィルムが無くなったら言ってくれ。マネージャーに渡せば新しいフィルムを送ってくれるからさ」

「うわー…マネージャーだって、まじで芸能人なんだなぁ」

「未来のトップモデル様だぜ?敬いたまえ!」

「きゃー!ノア様ー!」

 

 

フレッドとジョージが女子のような黄色い声を上げて俺を囃し立てる。腰に手を当て仁王立ちする俺とやんややんやと煩い双子を見てセドリックは苦笑しながらシャッターを切った。

 

 

 

ーーー

 

 

 

セドリックとフレッドとジョージは渡したカメラで俺を沢山撮り、月に一度はマネージャーにフィルムを送っていた。

確認したマネージャーからは喜びの長い手紙が届き、数多くの写真の中から厳選したものを春前に写真集にして売り出すらしい。

 

フレッドとジョージが撮った写真は俺がクィディッチをしているところや、悪戯を一緒にしてはしゃいでいるところなどノア・ゾグラフの少年らしい活発さを感じさせるものであり、セドリックが撮ったものは勉強しているところや談話室でリラックスしているところ、はたまたスネイプから逃げ回っているところなど、一部を除き世間のノア・ゾグラフの儚いイメージのものが多かった。

 

既に写真に写っているフレジョとセドリック含め、何人かの生徒の保護者には連絡が行っているらしい。勿論写ったのは生徒だけではなく、一部に教師や大人も含まれていて連絡は行ったのだが掲載を許可しなかった者もいるらしい。まぁ、たぶんネトネト爆弾を浴びたフィルチと、たまたま写り込んでしまったセブルスあたりだろう。

 

 

「えっ!ノア、この手紙見て!」

「んー?」

 

 

冬も本格的になり寒さが一段と厳しくなった一月の終わり。フクロウ便が持ってきた手紙を読んでいたセドリックは興奮しながら俺に手紙を突き出した。

 

それは俺が所属している事務所からの手紙であり、写真集に掲載される写真の枚数と内容を鑑みてはじき出された金額が書かれていた。

 

 

「へぇーこんなもんか」

「こ、こんなもんって……!」

「もうちょい単価あげれるんじゃねえ?あー写真集の売り上げによってはプラスボーナスって書いてるな」

「ノア、きみの金銭感覚はまともじゃない」

 

 

セドリックは「ゼロが何個もある……」と呟きながら、そこに書かれている金額が信じられないのか何度も目を擦っていた。

すぐ後にフレジョの素っ頓狂な叫びが聞こえたところを見ると、彼らにも同じような手紙が届いたのだろう。

 

 

「ノア!うわー!凄いよ!」

「今の俺らは親父よりも金持ちかも!」

 

 

顔を髪色のように赤らめて興奮しきりフレジョがやってきてハッフルパフの席に着いた。

俺の近くに座るのは畏れ多いのか、食事が喉を通らないのか、俺の周りだけぽっかりと人がいないのはいつものことであり、遠慮なく座った2人を見て遠くで俺をチラチラ見ていたハッフルパフ生が羨ましいやら妬ましいやら苦い表情を浮かべているのが見えた。

 

 

「これからも頼むぜ?俺が有名になればなるほど写真一枚の値が上がるからな。俺は有名になれる、お前達は金が手に入るウィンウィンだろ?」

「もっちろん!これからも任せて!」

「これだけあれば今まで手が出なかったあの薬品が買える!」

 

 

目を輝かせ鞄の中からカメラを出すフレジョは、頭の中で数々の薬品や魔法道具に思いを馳せ少々悪どい顔をしていた。

 

 

「僕も新しい箒を買おうかなー」

 

 

金額の衝撃を乗り越えたセドリックも嬉しそうに言い、「箒の通販雑誌を送ってもらわないとね」なんて言いつつ手紙を丁寧に折りたたんで鞄の中にしまった。

 

 

「っていうか、写真数枚でこの金額って事は」

「ノア、君の月収って……」

「とんでもないんじゃあ……」

「お?聞いちゃう?」

 

 

ニヤリ、と笑えばセドリック達は興味津々な顔をして俺に向かって身を乗り出した。

3人にだけ聞こえるようにひそひそと囁けば、暫く沈黙したあとですっと身を離し目をゆっくりと瞬かせた。

 

 

「……年収じゃなくて?」

「まじで?」

「嘘じゃないよね?」

「まあ写真集の売り上げは月によって微妙に変わるから前後するけど、平均はこんなもんかな。他の奴らには言うなよ?」

 

 

俺の返答に3人は見事に沈黙した。

 

 

 

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