兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します! 作:八重歯
俺はセブルス・スネイプと共にダイアゴン横丁へ向かっていた。
そう、ここは電車の中。ガッタンゴットントンと揺られる車内。隣にいるのはどう見ても電車に乗りそうにないセブルスであり、俺の表情筋がさっきから試されまくっている。
気を抜いたら爆笑してしまいそうだ!
いや、俺だけではなく周りを見ろ周りを!夏休みバカンスの半袖半ズボンスタイルか通勤スーツスタイルが多い中で真っ黒づくめのセブルスはめちゃくちゃ目立って2度見されてるぞ!
俺はいつものように黒いハーフパンツと白いニーハイ、真っ白のシャツとサスペンダーという由緒正しいショタ男の娘スタイルである。
つまり、簡単に言おう。俺の隣に威圧感出しまくっているセブルスが居ようとも、俺の魅力に引き寄せられる変態さんが後を立たない。
「はぁはぁ、き、きみのせいで僕のナニがエベレストだよ…みっみみ見てくれるかい?」
「30センチ超えるのなら見てもいいですよぉ?」
「さっ…30センチは無いけどなかなか──」
電車内だと言うのに興奮しきった変態さんに出会うのもこれで3度目である。電車に乗ってまだ2駅分しか移動してないというのに!あと10駅くらいあるんじゃない?
セブルスは苦い顔で立ち上がると俺と変態さんの間に腕を通し、強い目で見下ろして睨む。
「…我輩が、保護者だが」
「ひぃっ!こ、こんな蝙蝠みたいなやつが!?て、天使の君とは不釣り合──」
全て言い終わる前に、俺は魔法で変態さんの口を閉ざしそのまま指を振ってくるりと反転させ、別の車両まで進めた。
「な?セブルス先生、俺タクシーで行った方が良いっていっただろ?もう3度目ですよー?」
「…次で降りよう」
「あー良かった!」
タクシーにのるセブルスもなかなかインパクトが強いけど、電車よりはましだろう。
ってか、てっきり姿現しとかで近くまで行くと思ったんだけどな。タクシーだったら割と距離あるし、マグルの金持ってるのかな?
電車を降りた俺とセブルスは広い大通り──から裏路地に移動する。
誰も来ないような薄暗く、野生のネズミが足元をすばやく通り過ぎる路地裏。先頭を歩いていたセブルスがくるりと踵を返し、俺に手を伸ばす。
──はっ!ま、まさか!
「セ、セブルス先生!ダメです、俺たちは生徒と教師です!こんな汚ったないところで野外プレイするならせめてホテルにして──」
「馬鹿な事を言うな!……魔法族には、姿現しという移動手段がある…同行者を連れていく場合、触れていなければならんのだ」
「やだなぁジョークですよジョーク!」
流石に俺の魅力にコロリといってる──多分──セブルスでも、こんな路地で俺を襲う勇気はないだろう。セブルスって童貞っぽいし、ほら、リリーに人生捧げてるじゃん?それで別の女とやってたらかなりの解釈違いです!童貞でいてくれ!…お、俺のように!
30歳越えても童貞とか親近感湧いてたんだよ…。
俺はセブルスに抱きつき、見上げる。
腰、細くない?細すぎじゃない?これ脱いだらすごいんですだぞ、別の意味で!
セブルスは俺を見下ろして、大きなため息をつき手で顔を覆ったまま姿現しをした。
あ、てっきり振り払われるかと思ったけど、そのままで良いんですね?
周りの風景が変わ──あんま変わらなかった。
薄暗く、汚い路地裏だ。ただ出店…と言うのか?なんか布を引いてその上に並べられている物は、焦げた爬虫類っぽかったり、なにかの骨だったりしている。
「ここって…?」
「ノクターン横丁だ」
「あれ?ダイアゴン横丁に行くんじゃないんですか?」
「…あの場所は人で溢れている。姿現しをするべき場所じゃない……──さっさと離れたまえ」
セブルスはようやく俺を振り払い、さっさと歩き出してしまう。
ここ、ノクターン横丁か。まさかダイアゴン横丁に来る前にこんな所に来るなんてなぁ。
物珍しげに陳列してる物を見ながらセブルスの後を追っていると、気がつけばセブルスとかなり離れてしまった。
ちらりとあの黒い服が見えてはいるけど、周りにぽつぽつといる魔法使いたちも同じような黒づくめであり、俺じゃなかったら見逃してたぞ?
ってか、子どもをこんな場所で1人にするなよなぁ。
「──ん?」
突然、大きな男2人に行く手を阻まれた。
にやにやと下卑た笑いをし、その目は情欲に揺れている。あー、はいはい。いつものパターンですね。
「じゃま」
指を鳴らせばその男2人は壁の中に入り込んだ。
驚愕の表情をして壁を叩く男2人。壁に描かれているアートのようになってしまったけれど、まぁ誰かが解呪してくれるだろう。
俺はちらちらとしか見えないセブルスの背に駆け寄ってローブの端を握る。
セブルスはちらりと俺を見下ろしたが何も言わなかった。
次第に薄暗い通りが広く、明るくなり賑やかな声が聞こえてきた。
「…ここが、ダイアゴン横丁だ。入学にあたり必要な物はここで全て揃う。──我輩は、ここで待つ。リストを見て、全て購入するように。…教科書は古本で買う方がよかろう」
ダイアゴン横丁とノクターン横丁の境界でセブルスは立ち止まった。さっさと行けとばかりに顎でその先の道をしめしている。
「えー?ついてきてくれないんですか?」
「何故、そこまでしなければならないのかね」
「買い出しについていくのがセブルス先生のお仕事でしょ?職務怠慢じゃーん!ってか、俺1人にしていいの?間違いなく人攫いに遭うけど。──ほら、見てて?」
俺はセブルスにウインクをした後、ダイアゴン横丁の明るい場所に飛び出した。
その瞬間、俺に気付いた人たちが叫び、よろめき、鼻血を出し、気絶し、恍惚とした目で俺を見る。
周りの群衆に向けて、にっこりと微笑み手を小さく触れば、気絶していなかった者たちが俺に向かって獲物を喰らう獣のような目で俺に詰め寄った。
「な、なんて美しい!」「ヴィーラ…ヴィーラだ!」「お嬢ちゃん、迷子?ああ、私が──私がママよ!」「いや、私がなんでも買ってあげよう。何が欲しい?最高級箒かい?それとも豪華なネグリジェかな?首輪を買わないか?私を貴方のペットにしてくれないか?」「おいで、イイ魔法を教えてあげよう」
「──な?」
振り返りセブルスを見れば、セブルスは額を押さえダイアゴン横丁に足を踏み出し大股で俺に近づきながら、群がる変態さん達に杖を振った。
その途端、変態さん達は見えない手で押しのけられるように一気に下がり、俺の周りから退く。
俺から離れる事となった変態さん達は何をするんだ!と抗議の目をセブルスに向けたが、彼の鋭い睨みにたじろぐと「うわあれホグワーツ教師じゃん…」と呟き舌打ちしながら消えていった。
「…仕方ない、付き添おう。だが、店内の前までだ」
「えー?ショッピングデートは?」
「断じて、そのようなものではない」
まぁ、今は夏休み期間だ。きっと生徒や保護者の多いこの場所で俺とデートするつもりはないのだろう。
「ちぇ、つまんなーい」
俺の周りを飛び交うコガネムシをばしっとはたき落として、俺はまたセブルスに先導されて入学に必要な物を買いに向かった。
いやーなんか見覚えのあるコガネムシが居たし、明日の日刊預言者新聞は大盛り上がりだと思うけど。
ーーー
俺は入学に必要な物は全て無料で揃えた。
いや、だって誰かのお古とかふつーに嫌だわ!本に誰かの体毛や体液があるのなんて耐えられない!制服がお古なんて俺の美貌に似合わない!
ちょっと店員さんに「プレゼントしてほしいなぁ♡」といえば、みんないい笑顔でプレゼントしてくれた。うん、別に盗んだわけでも脅したわけでもないし、善意の貢物なのだからいいだろう。
ただ、杖だけは一応ちゃんと購入した。
俺の見た目にぴったりな真っ白く美しい見た目に全フリした杖だけど、なんか魔法使いにくいらしいけど!チートの俺には関係がない。
想像よりも金が余った俺は雑貨店に足を運ぶ。ホグワーツ入学にあたって、どうしても欲しかった物がある、ここになら売ってるだろう。
からん、と小さなベルの音を鳴らしながら扉を開けて様々な商品が陳列している棚を見る。
俺が足を踏み入れた途端、買い物客達は口と目を大きく開き頬を真っ赤に染めていた。うん、いつもと同じだな!
「すみませーん、ここってカメラありますか?」
「カメラかい?あ、ああ…勿論さ!」
店員らしき魔法使いに声をかければ、顔を真っ赤にして上擦った声で何度も頷いた。
すぐに店員は俺をカメラが置かれている棚へと案内する。
うん、見た目はわりとマグル界にあるカメラと変わらないな。
「どんなカメラがいいかな?一般的な物や、写した人の性別を反転させて写せる物、風景を撮るのにぴったりな人間を消す物──」
「普通のカメラで。あーでもフィルムが沢山入るのがいいな」
もしかして、人の服だけ消えるように見えるカメラとかあるんじゃないか?ちょっと…ちょっと気になる…!いやでも俺は見た目は11歳の美しい男の娘だ、他人の裸に興味あるとかそんなの俺のイメージではない!…いやでも気になる…。
「それなら、これはどうかな?一千回分撮れるカメラ!ただし、高いけど…」
たしかに、値札に書かれている金額は俺が今もつ全財産でも足りない。ゼロが3個ほど多い。
俺は店員の身体に身を寄せ──店員はびくりと肩を震わせた──上目遣いで見上げ、大きな目を潤ませてみた。
「…どうしよう、お金足りないなぁ…──欲しいなぁ」
「──貢がせてくれ!!」
「やったぁ!」
鼻息荒く顔を真っ赤に染めた店員は、値札をちぎり俺の手にカメラを押し付けた。
流石にめちゃくちゃ高いし、無料で貰うのは気が引けるな。
「ありがとう、カッコいい店員さん!」
投げキッスを「チュッ♡」とあげてみたら、店員は前屈みになってその場に倒れて気絶した。…うん、幸せそうな顔で気絶してるな、いい夢を見れる事だろう。
俺は決めた!このカメラで、好きなハリポタキャラとのツーショットを撮ると!!
俺は新しい相棒をしっかりと首からかけ、痙攣するその屍を跨いで外で待ってるだろうセブルスの元に向かった。
外に出て辺りを見渡せば、セブルスは店前で待つのではなく、まーた暗い所にいた。
セブルスは夜行生物か何かか?少し目を離せばノクターン横丁ぎりぎりか、裏路地にいるんだよなぁ。
「セブルス先生!お待たせ!」
「…買い物はもう終わったかね」
「後は、フクロウだけですねぇ」
「……ペットを飼うほど、資金があるとは思えないが」
「ん?──俺、貢がれるんですよねぇ、色々と?」
手に持っている大きな袋を掲げれば、どれも新品のものだとわかったのか、セブルスは苦い表情をしてまた大きなため息をついた。
「セブルス先生、そんなにため息つくと幸せが逃げますよー?」
「……ペットショップは、こっちだ、行くぞ…ノア」
「はいはーい!」
大きな買い物袋を持ち直して隣に並ぶ。それにしても一度で買う量じゃないよなぁ。なかなかに重いし、重量軽減魔法でもかけようかな。
そう思ってると、セブルスが無言で俺の手からひとつの袋を取った。
きょとん、として見上げたが、セブルスは前を向いたまま何も言わない。
……優しい所、あるじゃん!
「ありがと、セブルス先生!」
「……」
ふん、と鼻で返事をされたけど。不思議と嫌ではない。むしろセブルスのその態度、セブルス大ファンの俺にとってはご褒美です!
「魔法使いはどんなフクロウを選ぶんですか?流石にわからなくて、ついてきて欲しいんですけど…」
「……何故、フクロウを飼うのかね」
「え?だって、手紙出すにはフクロウが必要なんでしょ?学校行ってから手紙出さないとだし…」
「それなら、学校のフクロウを借りれば済む。生徒なら好きに使う事が出来るはずだ」
「あ、そうなの?」
ハリーに手紙を出すためにフクロウを飼わなければならないと思っていたが、そういえば学生なら借りれるんだっけ?
いや、でも、せっかくこの世界に来たんだ!フクロウには憧れる!ハリーはヘドウィグを飼うし!…セブルスは俺にプレゼントでフクロウなんてくれそうにないし。
「うーん…いいや!フクロウ欲しい!ミミズクでもいいけど!」
「…、…我輩は不必要だと思うが」
「まぁまぁ、いいんですよ。運命的な出会いがなければ飼わないですけどねー」
セブルスはそれでも飼うと言う俺に怪訝な顔をしたが、残っている資金の使い道をうるさく言うつもりは無いらしく、それ以上止める事は無かった。
「──ここだ」
「魔法動物ペットショップ…?」
看板に書かれた文字を読む。…ここって!クルックシャンクスがいるところじゃないか!ああ、そっか、すっかり忘れてたな。そういやこんな店あったような気がする!
扉を開けて中に入れば、セブルスもその後ろを──嫌そうにだが──ついて入ってきた。おお、セブルスとペットショップデート!!
店内に入った途端、生き物の独特の匂いと、沢山の声が聞こえる。
フクロウやミミズク、カラスのコーナーや、ウサギ、ネズミのコーナー。そして爬虫類や虫のコーナー。見た目普通の動物もいるが、見たこともないド派手な色をしている動物や、ポンポンとシルクハットに変身する動物など、魔法動物らしい生き物もいた。
そんな沢山の生き物が俺をみて口々に叫んでいる。
「僕を飼って!」「こっちを見て!連れて行って!」「私を共に置いてください」「俺を!俺を選んでくれ!」
「ごめんなー今日は手紙を配達出来る子を探してるんだ、賢くて、長距離が飛べて、あとは…そうだな。白い個体がいいな」
俺がさまざまな生き物に向けて声をかければ、生き物たちは口を閉じて、つまらなさそうに言葉にならない鳴き声をあげた。
うんうん、ここまで制限したのならある程度絞れるだろう。
「それならば、私はどうでしょうか」
「ん?──おー!…君は?」
「シロオオタカです。どんな手紙でも…貴方の頼みならば、どの場所にでも届けましょう」
大きな真っ白のタカだった。真っ白なフクロウを予想していたから、ちょっと驚いたけど確かに真っ白だし何より美しい!大きい!強そう!!俺にピッタリ!
「セブルス先生!タカって連れて行っていいんですか?」
「…不可能ではないが。──ノア…鷹の言葉がわかるのかね」
セブルスは珍しく驚いていた。
俺のチート能力その2は、どんな生き物とも会話可能だ!まぁ、知能がある生き物に限られるから、虫とか下等なものは無理だったけど。
「うん、何だって話せますよー?…フクロウでもワシでも──蛇でも?」
にやりと笑えば、セブルスは眉間の皺を深めた。パーセルタングってそんなに嫌かな?ま、スリザリン…ってか、ヴォルデモートのイメージが強すぎるんだろうなぁ。
「店員さーん!このシロオオタカ飼いまーす!」
無言のセブルスはおいといて、俺は店員に声をかけ、目当てのシロオオタカをゲットした。
俺の美貌のおかげで、大きな鳥籠と鳥用の餌やお菓子をサービスしてもらえたのは良かったな!
なんとかシロオオタカを無事に買えた俺は──流石に大荷物すぎて、セブルスが鷹の入った大きな籠を持ってくれた。
既に一つの袋を持っているからセブルスは両手が塞がっている。
つまり──こんなチャンスを逃す俺では無い!!
「セブルスせんせーい!」
俺は大きな買い物袋から手を離して浮遊させ、駆け足で隣に並び、首にさげていたカメラを手に取った。
空いている腕をセブルスの腕に絡ませ、すぐにぴたりと身を寄せ、ぐっと背伸びをした。
「──なっ」
「はい、ポーズ!」
──カシャン!
と、小気味いいシャッター音と共に写真がひらりと出てくる。
すぐに手に取って浮かび上がってきた俺とセブルスのツーショットを見る。
うんうん、俺は完璧プリティな笑顔だし、セブルスは最高の仏頂面だ!
「ははっ!セブルス先生、めちゃくちゃ嫌そう!」
魔法界の写真はその時に写した人の行動を真似する。
セブルスはめちゃくちゃ嫌そうな顔をしながら俺を睨むし、俺は凄くいい笑顔で手を振っている。
「捨てたまえ」
「嫌でーす!」
「……ノア」
「だめでーす!」
セブルスは眉間に皺どころじゃ無くてこめかみに青筋まで浮かせながらブチギレてるけど、そんなの気にしてられるか!
すたこらさっさと逃げれば、後ろから今にもアバダケダブラしそうな形相のセブルスが追いかけてきて、俺はけらけら笑いながら──周りの人たちは何事かと俺とセブルスをジロジロみていた──ダイアゴン横丁を走り回った。
なんとか俺は写真を死守する事が出来たと報告しておこう。
ただ、絶対に誰にも見せるなと何度も強く言われ約束させられたけれど。──子どもは約束をやぶるものなんだぜ?