兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

43 / 180
43 コンパートメントにて

 

 

「ただいまー……って、うわ。人多いな」

 

 

ガラリと扉を開ければ、目の前に大きく広い背中が2人分見えた。

ん?…この体格の大きさ、そしてこのタイミングって事は。

 

 

「ノア!」

「やっぱ、ドラコかぁ、久しぶり!」

 

 

俺の目の前にいた大柄な少年達の前には少々線の細いドラコがいた。でかい少年たちは俺をみて眩しそうに目を細めた後、顔を真っ赤にして空いている席によろめきながら座り、モジモジと急に小さくなってしまった。

 

ドラコだけはもじもじすることなく、青白い頬を薄桃色に染めて嬉しそうに俺に笑いかける。

 

 

「まさか、こんなところで会えるなんて!探していたんだ。ノア、どうしてここに?僕に会いに来たのか?」

「え?なんでって、このコンパートメントに俺の荷物があるから。ドラコはなんでここにいるんだ?」

「このコンパートメントにハリー・ポッターがいるって聞いて──それじゃ、君がハリー・ポッターなのか?」

 

 

ドラコは言葉の途中でなんだか不機嫌そうな顔をしているハリーの方を見た。

そうか、ハリーはドラコに対して第一印象最悪だったっけ、なんか洋服店でファーストコンタクトは済ませてたんだよな。

 

 

「そうだよ」

「──ああ、こいつはクラッブで、こっちがゴイルさ」

 

 

ドラコはハリーの視線に気づき、椅子の上で真っ赤になりもじもじとしているクラッブとゴイルを指差し無造作に言った。2人は俺をチラチラと見て「よろしくお願いします……」とその姿からは想像も出来ないほどか細い小さな声で呟く。

ドラコはハリーに説明したつもりだったが──クラッブとゴイルは俺の方ばかり見てハリーを少しも意識してないなこれ。

 

 

「そして、この人が──」

「ノア・ゾグラフ。君より知ってるよ、僕の幼馴染だ」

「──何?」

 

 

ハリーはドラコの言葉を遮り、幼馴染、という部分を強調した。ドラコは信じ難いのか、怪訝な顔でハリーを見た後、俺を振り返り「本当に?」と聞く。

 

 

「本当だ。ハリーとは…えーと、もう5年?6年?くらいの付き合いだな」

「ふぅん…。そうなのか…。──僕は、ドラコ。ドラコ・マルフォイ、よろしく」

 

 

ドラコはハリーに向かって手を差し出し、ハリーは少し沈黙したが──その手を握った。

 

 

「ハリー・ポッター。よろしく」

「ああ。──君は……その赤毛はウィーズリー家の子どもだろう、誰だか聞く必要はないね。父上が言ってたよ、ウィーズリー家は皆赤毛でそばかすだらけだって」

 

 

ドラコはハリーとの握手に満足そうに少し微笑んだ。……あれ?この2人って握手するっけ?

ロンはドラコの見下すような目に気付き、ムッとした顔で睨みあげる。

おっと険悪な雰囲気、せっかく良い感じなんだから仲良く……は、出来なそうだけど、ちょっと口出ししちゃお。

 

 

「ドラコ、この子はロンって言うんだって。俺の友達の弟」

「…ノア、君ってウィーズリー家の者と……その、友達なのか?」

「うん、フレッドとジョージ」

「……そうか」

 

 

ドラコは何か言いたげな目をしたけれど、何も言わず、ロンにも「まあ、よろしくするかわからないけど、一応よろしく」とそっけなく挨拶をし、ロンも「ああ、そうだな、一応ね」と面倒臭そうに言う。

多分、2人は親からそれぞれの家の事をうるさく言われているんだろう、なんせこの2人の父親は犬猿の仲だからなぁ。来年は公衆の面前で殴り合いするし。

 

 

「少し、ここにいてもいいかい?」

 

 

ドラコの思いがけない言葉に、ハリーとロンは顔を見合わせる。ロンは明らかに嫌がっているし、ハリーも気が進まないようだ。

 

 

「このコンパートメント広くないし、5人は狭いぞ?」

「たしかにそうだな……クラッブ、ゴイル、戻れ」

「えっ、俺もノアさんと話したい!」

「ずるい!」

 

 

戻れと言われたが、クラッブとゴイルは俺をみて絶対にこの席は譲らないとばかりに椅子にしがみつき首を振る。

ドラコは2人が言う事を聞かないなんて思わなかったのか、面食らったような顔をした後──困ったように俺を見た。

 

……いや、俺を見られても困るけど。まぁ、俺もドラコと少し話したいし…。

 

 

「──クラッブ、ゴイル、良い子だから戻れ」

「は、はい!」

「すぐに!」

 

 

顔を真っ赤にしたクラッブとゴイルは俺の言葉にこくこくと頷きすぐに立ち上がると「ノアさんに名前呼ばれちゃった!」と真っ赤な頬に手を当てキャッキャ言いながら出て行った。……乙女か!

 

満足げな表情でドラコは空いた席に座り、俺も──すぐ戻る予定だったけど、この2人がドラコと何を話すのか気になりすぎてここに残ることにした。

 

 

一瞬、沈黙が落ちたけれど、その沈黙を破ったのは意外にもハリーだった。

 

 

「マルフォイ、君はノアとどこで知り合ったの?」

「え?ああ、2年前に──色々あって、僕の恩人だ」

 

 

ドラコは自分が迷子になり人攫いに会いかけた事を言いたくないのか、ちょっと言葉を濁して曖昧に答えた。

 

 

「君は?」

「僕は住んでるところが、ノアの孤児院と近くて、それで」

「ああ…そういえば、ノアはマグルの孤児院にいるんだって?そんな野蛮なところ!魔法界の孤児院に移動すればいいのに」

「移動するのも、めんどくさいしなぁ。ハリーと気軽に会えなくなるし」

 

 

俺も、魔法界の孤児院に移動しようかなと思った事がないわけではない。そうすれば夏休みにある程度魔法使ってもバレないだろう。けど、徒歩圏内にいるハリーとはなかなか会えなくなりそうだし。

 

俺の言葉に、ドラコは面白くなさそうな顔をしたが、ハリーはぱっと顔を輝かせて嬉しそうに笑った。

 

 

「ポッター、君ってクィディッチではどこのファン?」

「うーん、僕、知らない。マグルの家で育ったから」

「何?こんなに面白いスポーツはないぞ?仕方ない、僕が教えてあげよう──」

「さっき、僕が説明した。僕はアイルランドチームが好き、特にレブスキーは最高」

「……へぇ、ウィーズリーにしてはよくわかってるじゃないか、僕もだ。キーパーのボルコフも悪くない」

 

 

ドラコは少し意外そうな顔をしたが、ロンもまた意外そうに目を見開く。

その後2人はしばらく無言だったが、ついにそわそわとした表情のロンが耐えきれず「この前の試合見た?」と聞けばドラコは少し沈黙した後「解説雑誌を読んだ」と答え、2人はぎこちなくクィディッチについてポツポツと話す。

ロンとドラコはクィディッチの熱狂的なファンであり、同じチームが好きだとわかれば──まぁこの年代の子どもだ、話に熱が入るのは当たり前だろう。

 

 

「ノアも、クィディッチが好きなの?」

 

 

ドラコとロンがクィディッチについて色々話している間、ハリーは全く話題に入れず不思議そうな顔で専門用語が飛び交う会話を聞いていたが、ふと俺に向かって口を開いた。

 

 

「ああ、面白いし、俺はハッフルパフの選手だから」

「選手?」

「ポッター!君、友人なのに知らないのか?」

「ハリー!ノアはホグワーツ始まって以来最強のキーパーなんだぜ?」

「…だ、だって、そんな事…手紙には…」

 

 

ドラコとロンの怪訝な声にハリーは首をすくめもごもごと答える。

 

 

「手紙にはあんまりホグワーツの事書かないようにしたんだよ、来てからのお楽しみが多い方が良いだろ?」

「うーん…ノアの事ならなんでも知りたかった…」

「…まて、もしかして、ノアが魔法界で有名だと言うことも知らないのか?」

「有名?そうなの?そういえば、さっきの2人も…ノアの事知ってたね?」

 

 

ハリーは驚いて俺を見た。

俺は首をすくめそんな事ないと手を振る。

 

 

「いやいや、ハリーには負けるさ」

「良い勝負してると思うけど」

 

 

ロンがぽつりと呟き、俺の目を見てぽっと頬を赤く染めた。

まぁ、魔法界のトップモデルだし、そこそこ有名だろうなとは思っているが、芸能系に興味ない人もいるだろうし、魔法界の者なら全員知っているハリーとは並べないだろ。──多分。

 

 

「俺、魔法界でモデルやってるだろ?それでちょっと有名なんだ」

「そういえばそうだったね、ノア以上の美人なんていないから有名なのも当たり前だね」

 

 

ハリーは驚いたが、納得したように頷き、ふと「ノアは、ハッフルパフなんだ」と呟いた。

 

 

「僕、ノアと一緒の寮…ハッフルパフに入りたいな」

「あー…僕も入りたいけど、多分グリフィンドールじゃないと、親がうるさいだろうなぁ…家族全員そうだし…もし入れなかったらなんて言われるか…」

「僕は──スリザリンだろう」

「どこの寮でも良いんじゃないか?俺はハッフルパフだけど、寮が違うからって友人になれないわけじゃないだろ?」

 

 

俺の言葉にハリーは「そうだね」と頷いたが、ドラコとロンはなんとも言えない顔で黙っている。

 

 

「…マルフォイ、スリザリンって…ヴォ──例のあの人がいた寮じゃないの?」

「そうだな。マルフォイ家は皆スリザリン寮に入ると決まっているし。僕もそれを望む」

 

 

とくに嫌がってもいない様子のドラコに、ハリーは怪訝な目でドラコを見る。まぁ、ヴォルデモートがいた寮であるスリザリンを望むなんてハッキリ言う相手に、嫌な気持ちになってしまうのは仕方ないかもしれない。

 

 

「知ってたか?闇の魔法使いはヴォルデモートだけじゃないんだぜ?」

 

 

俺がサラリと言った言葉に、ドラコとロンはびくりと肩を震わせ信じられない面持ちで俺を見た。

ヴォルデモートって名前だけでここまでびくつかなくても良さそうなものだけど、やっぱまだ怖いんだろうなぁ。親から過去どんな事があったのか色々聞いているのかもしれない。

 

 

「そうなの?」

「ああ、グリフィンドールも、レイブンクローも、まぁスリザリンにもいる。だけど…ハッフルパフだけは、今まで闇の魔法使いを排出してない寮なんだ」

「へぇ!じゃあ、僕やっぱりハッフルパフがいいな!」

「それは組分けされてからのお楽しみだな」

 

 

ハリーはハッフルパフがいいと言うが、どう考えてもグリフィンドールだろう。…いや、スリザリンもあり得るけど。もしそうなったらドラコと友達になりそうだな。

 

 

「──あ、そろそろホグワーツに着きそうだ、制服に着替えた方がいいな」

 

 

ふと窓の外を見れば、汽車は徐々に速度を落としているのか景色が流れていくのがゆっくりになった。俺は立ち上がり荷物棚に向けて指を振り、ハリーとロンのトランクを床に降ろす。

パチン、と指を鳴らせば俺の私服はすぐに制服へと変わった。

 

 

「ドラコも、着替えに行った方がいい」

「あ、ああ、そうだな」

 

 

俺の魔法に驚いていたドラコは頷くとコンパートメントの扉を開けたが、すぐに出て行くことなく、迷うように足を止めて振り返ると──その青白い頬をちょっと赤く染め、口を開いた。

 

 

「じゃあ、また。……ハリー」

「え?──ああ、また。……ドラコ」

 

 

な、名前で呼んだ!?

ちょっ、ちょっとこの展開は……いや、ドラコってもともとハリーと友達になりたかったみたいだしな……うわ、でもドラコの口からハリーって、違和感がすごい。ハリーもドラコって呼ぶんだ。

 

 

「……ウィーズリー、お前の兄弟は多いようだし、仕方ないから──名前で…呼ぶからな」

「は?…まぁ、良いけど、じゃあ僕も──名前で、呼ぶけど。ほら、君だけが呼ぶのはフェアじゃないから」

「ふん、仕方がないな。──じゃあ、また、ノア」

「おう」

 

 

ドラコは顎を少し上げハリーとロンを見下したが、その表情はどう見ても喜んでいるように見える。俺の驚愕と狼狽に気づく事なく、今度こそドラコは自分のコンパートメントに戻って行った。

 

いやーハリーも信じられないけど、まさかドラコがロンと仲良くなるとは思わなかった。クィディッチの話で思ったより盛り上がったのが嬉しかったのかな。クラッブとゴイルってあんまクィディッチ興味ない感じだもんなぁ、原作ではずっとお菓子食べてるだけだし。

 

 

「パパから聞いてたほど、あいつ…悪いやつじゃないな、もっと馬鹿にされると思ってたけど、そんな事なかったし。クィディッチチームにかなり詳しいし」

「……でも、ドラコってハグリッドの事馬鹿にしてたから、僕は…うーん、ちょっと苦手」

 

 

ロンは自分でも、まさかマルフォイ家の子どもと名前呼びするなんて思わなかったのか、どこか不思議そうに呟き、ハリーは少し顔を顰めていた。

そういえば、ダイアゴン横丁に教材を買いに行った日に嫌な子と会ったって言ってたなぁやっぱドラコだったか。

 

 

「マルフォイ家がちょっとアングラなのはマジだからなぁ。……まぁ、でもさ。友達は家柄で決めるんじゃないだろ?それこそ、嫌がる人が多いスリザリンの差別的な思想だ。これから交流して、どうしても苦手なら仕方ないけどな。合う合わないはあるもんだし」

 

 

俺は自分のトランクを開き、金が入った袋を取り出すと無造作にローブのポケットに入れて、着替え始めていたハリーとロンの方を振り向く。

 

 

「じゃあ俺は先に行くから、一年生は別ルートでホグワーツに行く事が決まってるからな」

「そうなの?すぐに会える?」

「ああ、勿論」

 

 

ハリーとロンに笑いかけ、思ったより長居してしまったと思いながらセドリックの居るコンパートメントへ向かった。

 

歩いている途中、車内放送があと5分でホグワーツに到着すると無機質な声で告げた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。