兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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44 俺による変化

 

 

組分けが始まり、俺はハッフルパフのテーブルでセドリックと初々しい一年生達を見ていた。

ハリーとロンは緊張しきっていて表情が硬いし、かなり具合が悪そうだ。

あっ!あのふわふわな巻き毛はハーマイオニーかなぁ、いやーかわいい。前歯がちょっと出てるらしいけど、今はぐっと口を閉じてるからよくわからないな。

 

教師陣が座る上座には、去年までいなかったクィレルが頭にでかいターバンを巻いて、神経質そうにちらちらと生徒達を見ている。──やっぱ、頭にヴォルデモートが寄生してるな、顔色めちゃくちゃ悪い。

 

 

「ハリー・ポッターって、どの子?」

「ん?あー…ほら、くるくるの黒髪の、細くて小さいやつ。真ん中くらいにいる」

「ああ…。…どこの寮だろうね、グリフィンドールかな?」

「そうだろうな、多分」

 

 

セドリックが小声で話しかけてきて、俺は軽く答える。ハリーはハッフルパフに入りたいと言っていたが、ハリーは残念ながらハッフルパフの資質はない、と思う。

何故なら勤勉でもないし、全てを受け入れる柔軟性や友愛もない。うん、これは仕方が無いけど。

 

 

組分けは滞りなく進み、ハリー、ロンはやっぱりグリフィンドールだったし、ドラコはスリザリンだった。

メインキャラは勿論原作通りの組分けになっていて、とりあえず──一安心だな。これでハリーがハッフルパフやスリザリンだったらどうしようかと思ってた。

 

 

組分けが終われば、ダンブルドアが立ち上がり新入生を祝う簡潔な言葉──というか、掛け声を入った後すぐに座り、生徒達はとりあえず拍手を送った。

長ったらしい話よりは簡潔な方が良いのは誰だってそうだ。何より時間も遅いし、かなり空腹だ。

 

すぐに目の前の大皿が数々の豪華な料理で埋め尽くされ、初めてその様子を見た新入生達は歓声を上げ好きな料理を目一杯皿の中に盛った。

 

 

「やぁ、ノア。あなたには今年も期待してますよ。寮杯をまさか2年連続で取れるなんて、何百年ぶりか…!」

 

 

美味しいローストビーフを食べていると、ふわりとゴースト──ハッフルパフのゴーストである太った修道士が満面の笑みを浮かべ俺の前に現れた。

新入生達は急に現れたゴーストに驚き、小さな悲鳴をあげている。

 

 

「はは、今年はどうだろうなぁ。まぁいつも通り頑張るさ」

 

 

今年は──ってか、これからダンブルドアはわりと型破りな加点をしまくって、グリフィンドールが寮杯を獲得する事になる。

特に今年は優勝寮が発表される学年末パーティの時、スリザリンカラーで埋め尽くされていたのにギリギリで加点して大広間がグリフィンドールカラーになるというスリザリン生とグリフィンドール生との仲をさらに険悪にする伝説の学年末パーティが待っている。

あれは、流石にスリザリン生可哀想だよな、トラウマもんだろ。

……いや、でもこの2年間のことを考えたらハッフルパフカラーがグリフィンドールカラーに変わるのかな?

やめろよ、ハッフルパフ生の純情な心を弄ばないでくれ…!闇落ちするぞ!

 

 

 

暫くして、豪華な料理とデザートが消えると、ダンブルドアがまた立ち上がり、ざわざわとしていた大広間中が一瞬で静まった。

 

 

「全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言。──新学期を迎えるにあたり、いくつか知らせがある。一年生に注意しておくが、構内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、何人かの生徒にも注意しておきます」

 

 

ダンブルドアはキラキラとした目でフレジョを見て、そして勿論俺も見た。

 

 

「管理人のフィルチさんから授業の合間に廊下で魔法を使わないようにという注意がありました。今学期は二週目にクィディッチの予選があります。寮のチームに参加したい人は、マダム・フーチに連絡してください。──最後ですが、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい4階の右側の廊下に入ってはいけません。…では、寝る前に校歌を歌いましょう!」

 

 

ホグホグワツワツみんなで歌い──まぁ歌っていた生徒は少なく、教師は口の奥で呟いただけだったが──フレジョが飛び切り遅いテンポで歌い終わった後、就寝時間だという事でそれぞれの監督生が先頭を歩き、俺たちは寮に戻った。

 

 

寝巻きに着替えてベッドに寝転び、これから1年間の流れを思い出していて、ふと気付いた。

 

 

これ、ドラコとハリーが仲良くなったら決闘しなくなる?って事は、あの賢者の石が置いてある部屋に行かない可能性がある…?

 

 

「……ま、いいか」

 

 

過ぎた事を気にしていても仕方が無い。

世界の修正力が働くのか、それともドラコとは全く関係のない時に抜け出してピーブズに追いかけられて入ってしまうのかはわからない。

 

まぁ、ドラコとはまだそんなに仲良くなってもないし…多分、大丈夫だろ。名前呼びは、許してたけど。

 

なんとなく、──原作のドラコとはちょっと違う気がするんだよな。

 

 

欠伸を噛み殺し、俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

次の日、俺は数々の見知らぬ生徒からの「おはよう」の挨拶を受けながら朝食を食べるためにセドリックと大広間に向かう。

 

ハッフルパフの机に座った途端、ハリーとロンが駆け寄ってきた。

 

 

「ノア、おはよう!」

「おはよ、ハリー、ロン」

「組分け帽子にハッフルパフがいいって言ったのに、グリフィンドールになっちゃったよ…まぁ、ロンと一緒で良かったけど」

 

 

ハリーは心から残念だと言うように大きなため息をついた。

かといってロンと一緒だからそこまで落ち込んではいないようだ。うん、友達がいるってやっぱいいもんだよなぁ。

 

 

「まあどこの寮でもいいだろ。仲良くなるのに寮なんて関係ないさ」

「うん。でも、ハッフルパフなら談話室で一緒に過ごせたのに…」

 

 

ぶつぶつ文句を言うハリーを慰めつつ、紹介して欲しそうな目でちらちらと俺を見ていたセドリックに気付き、俺はセドリックの背中をぽん、と叩いた。

 

 

「ハリー、ロン。こいつは俺の親友」

「セドリック・ディゴリーだよ。はじめまして」

「僕はロン・ウィーズリー。セドリックの事もフレッドとジョージからよく聞いてた、シーカーなんでしょ?凄いな!」

「……ハリー・ポッター、はじめまして」

 

 

ロンは目を輝かせセドリックに笑いかけたが、ハリーは一瞬で機嫌を損ね、セドリックを睨むように見る。

セドリックもハリーが自分を見る目があまり友好的じゃないと感じ取り、何かしたのだろうかと戸惑い、ぎこちなく笑った。

 

 

「ノア、僕は?…君の何?」

「ん?ハリーは…幼馴染で、弟みたいなもんかな」

 

 

ハリーは俺の返答に、少しだけ表情を緩め「僕は、幼馴染だから、よろしく」と挑戦的な目でセドリックを見据えつつ手を出せば、セドリックは引き攣った笑顔で握手をし挨拶をする大人の対応を見せる。

 

 

「ノア、おはよう。…なんだ、お前達もここに居たのか」

 

 

今度はドラコがやってきた。

……いや、挨拶してくれるのは嬉しいけどさ、みんな好きなハリポタキャラだし、でも、お前ら朝ごはん食べる時間なくなるぜ?

 

 

「おはよードラコ」

「おはようドラコ」

「ああ、おはよう。…そうだ、お前たち、もう時間割は受け取ったか?魔法薬学でグリフィンドールとスリザリンは合同だ」

「え、そうなんだ?まだもらってないや」

 

 

ドラコは手に持っていた時間割表を掲げてひらりと振り、少し沈黙し──声を抑えて言った。

 

 

「僕の寮監のスネイプ先生は父上とも交流があり時々会うことがあったのだが……。かなりグリフィンドールに厳しいと聞く。──まぁ、一応忠告だ」

「うげー、やっぱマジなんだ?兄貴達が凄いスリザリン贔屓だって言ってたな」

 

 

ロンはドラコの言葉に嫌そうに舌を出し、教師陣が座る机で静かに朝食を食べているセブルスをチラリと見て肩をすくめた。

 

 

「なあ、朝食食べに行かなくていいのか?時間もうすぐ終わるぜ?」

 

 

トーストを食べながら言えば、ハリーとロンは腕時計を見て慌ててグリフィンドールテーブルへ向かい、ドラコは少し悩んだ後、俺の肩をトントンと叩いた。

 

 

「…ノア、少し──話したいんだが」

「ん?…ナイショ話?」

「……ああ、そうだ」

「オッケー」

 

 

深刻そうなドラコの声に、俺は残っていたトーストを口の中に押し込み、パチンと指を鳴らす。

ドラコは怪訝な顔をしていたが、気にせず腕を引き、俺の隣の空いている椅子に座らせた。

 

 

「魔法をかけた、この話は俺とドラコにしか聞こえないから安心しろ」

「…え、そんな魔法──」

「あるある、ちょっと高度な魔法だけど。──んで、どうした?」

 

 

周りに聞かれる心配が無いとは言え、ドラコはやはり注意深く辺りを見回し、俺の耳に口を近づけて囁いた。

 

 

「僕は…スリザリン生になった。マルフォイ家として、そのように振る舞う事が望まれている……」

「純血主義思想ってやつ?」

「ああ…だが、僕は──僕は、その──本当に、周りに聴こえてないんだよな?」

「勿論」

「──僕は、純血は、素晴らしく尊いものだとは思っている。祖先から続く、高貴な血が流れている事は僕の誇りだ。──だが、だからといって、純血ではない者を見下してはいない」

「え?──そうなの?」

 

 

真剣なドラコの声に、首を傾げてドラコの綺麗な目を見つめれば、ドラコは青白い顔をピンク色に染めて小さく頷いた。

 

 

「だって…その、──ノアは、マグル生まれなんだろう?ノアに助けられた2年前から僕は、僕なりに色々調べ、考えたんだ。たしかに、ノアはマグル生まれだが、僕が今まで見たどんな魔法使いよりも──その、美しいし、気高い、し…強い力を持っているんだろう?まだホグワーツ入学前で、見たこともない魔法を使っていたし……。

父上と母上はマグル生まれを穢れた血だと言い、侮辱する。僕もノアに会うまでは生まれを間違えた者だと下に見ていた。馬鹿にしていた。──だが……僕は…そんなノアに助けられなければ、きっと、生きてなかった。恩人を侮辱するほど、僕は愚かでは無い」

「…成程」

 

 

成程、コンパートメントで会った時に、ドラコがなんかちょっと柔らかい雰囲気してるし、原作みたいな嫌な言動はあまりないなと思っていたけど…俺の出現があったからか。

って事は、ドラコはもう原作でハーマイオニーを穢れた血め!とか言わないのか?──うわーそれはそれで、なんか色々ぐちゃぐちゃになりそう。

 

 

「だけど…僕は、父上の考えを否定する勇気は……ない。勿論、肯定はもう出来ないが……失望され、見捨てられるのが、怖い。──それに、僕はスリザリン生だ。スリザリンは結束が固く、異分子を嫌う。……今後、マグル生まれを侮辱する奴が居て、僕がその側に否定せずいたとしても。…僕の本心は別だと、ノアには知っていてほしい」

「……ドラコ」

 

 

ドラコの目は揺れていた。多分、俺にそれを伝えるのにもかなり勇気が必要だったんだろう。それでもきちんと俺に対して誠実であろうと、こうやって本音を話してくれたのか。

思わず感激して黙り込んでいると、ドラコは泣きそうに表情を歪め俯いてしまった。

 

 

「卑怯、だよな。僕を、軽蔑しただろう」

「──え?ああ、違う。そんなこと思わねぇよ。それを言うのもかなり勇気が必要だったろ?…うん、俺はちゃんとわかってるから」

 

 

ドラコのさらさらとしたプラチナブロンドを撫でれば、ドラコはぱっと顔を上げて安心したように微笑んだ。

 

 

「この事は、誰にも言わないでほしい」

「ん、秘密にする」

「ありがとう、ノア」

 

 

ドラコは俺の知ってる皮肉な微笑を見せる事なく、年相応の子どもらしく笑うと立ち上がった。

パチン、と指を鳴らしてナイショ話を終了させれば、ドラコは「またな」と言ってスリザリン生の待つテーブルへ向かった。

 

 

「さっきの子、マルフォイ家の子でしょ?ノアの交友関係、ほんと凄いね」

 

 

セドリックは感心するように言いながらプリンを食べ、スリザリンテーブルに座りクラッブやゴイルと何やらこそこそ話しているドラコを見て呟く。

 

 

「博愛主義者なんでね。俺ほどハッフルパフらしいハッフルパフ生はいないぜ?」

「博愛主義っていうか、天然タラシというべきか。……あの、ハリー・ポッターはなんだい?めちゃくちゃ敵意感じたんだけど、僕何もしてないよね?」

「ハリーはなぁ…ちょっと、俺に依存してるんだよ。マグル界で生活してて──あんま良い暮らししてなくて、友達が俺しかいなかったから。まぁそれも他の友達が出来ればマシにはなるさ。今は友達がとられたって思って拗ねてるだけだろ」

「うーん…あの目は、それだけじゃなかった気がしたけど…」

 

 

セドリックはチラリとハリーがいるグリフィンドールテーブルを見る。ハリーはロンと配られた時間割を見て何やら気難しい表情をしていた。

 

デザートにチョコマフィンを食べていると、寮監のスプラウトから時間割が配られ、俺は自分の名前が書いてある羊皮紙を広げた。

 

三年生になった今年は選択科目があり、俺は魔法生物飼育学と占い学を選択した。

 

ハリーと同学年じゃないし、イベントが発生する事はないだろう。けど、勉強得意じゃないし、これ以上勉強で苦しみたくはない。原作ではあまり出てこなかったマグル学と古代ルーン語と数占いも気になるけどハーマイオニーが悲鳴を上げるほど宿題が多くて難解な授業なんだ。どうせとったところでOWL試験で落第する事が目に見えている。

 

 

「マグル学、とらないでよかったの?」

「あー、だってクィレル先生は防衛術の方になっただろ?クィレル先生だったらマグルのゲームさせてくれるけど、今の新しい先生がさせてくれるかはわからないからさ」

「…知ってたの?クィレル先生が防衛術の教師になるって」

「俺、実は預言者なんだ」

 

 

ニヤリと笑って言えば、セドリックは目を瞬かせ、肩をすくめた。

 

 

「……今更、ノアに何が出来ても全然驚かないよ」

「俺は最強の魔法使いだからな?──んじゃ、三年生初めの授業行こうぜ」

「うん、行こうか」

 

 

残っていた紅茶を飲み、俺とセドリックは呪文学の教室へ向かった。

 

 

 

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