兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します! 作:八重歯
三年生にとって待ち望んでいた事の一つは、ホグズミード行きだろう。魔法族しか住んでいない数少ない村は、やはり特別でその村に住むことは魔法族にとって一種のステータスであるとかないとか。
ハロウィンの前の日に3年生にとって初めてとなるホグズミード行きの日がやってきた。俺はしっかりとセブルスから許可証をゲットしていたため問題なくフィルチのチェックを通過し、やや寒くなった空の下、セドリックとフレッドとジョージと共にホグズミードへ向かった。
「どこから行く?」
「おいおいセドリック、決まっているだろ?」
「我々に必要なものは全てゾンコに揃っている!」
「ゾンコかー。ハニーデュークスにも行きたいな」
「勿論、一部はハニーデュークスにも揃っているな、うん」
「じゃあ、ゾンコに行ってからハニーデュークスに行って……その後、三本の箒は?」
セドリックが全員の意見をまとめ、振り返りながら聞いた。異論を唱えるものは誰もいないため、俺たちは沢山のお小遣いを持ちながら和気藹々とゾンコへ向かった。
お小遣いの大部分は、俺との写真の報酬であることは言うまでもない。最早セドリック達は学生が管理するレベルを超えた資金を持っているのだ。
ゾンコでは色とりどりの商品が並び、説明を読むとこんなの誰が使うんだ?と聞きたくなるようなとんでもないものがあったが──フレッドとジョージは喜んでほぼ全ての商品を一種類ずつ購入していた。
カウンターに山のように積まれた商品の数に、店長は「子どもがこんなに買えるのか」と怪訝な目をしていたが、2人が袋の中から出したガリオン金貨の量を見てころりと態度を変えニコニコと揉み手をしながら商品を袋につめ、店の出入り口まで運ぶというVIP待遇を見せた。
「さ、流石に買いすぎたな」
「お、重い」
「──けれど、俺たちには秘密兵器があるからな!」
「ああ、マジで便利だよな、これは」
フレッドとジョージはよろよろしながら数個の袋を抱えていたが、人気のない路地に入るとポケットから折り畳まれた辺獄の鏡を取り出し、ぽいぽいと無造作に買った品物を入れた。
「問題は取りに行く時ちょっと緊張するって事だな」
身軽になったジョージはしみじみと言いながら再びポケットの中に鏡を入れる。確かに、あの真っ白の空間に入るのは少々勇気と気合が必要だな。
「じゃあ、次はハニーデュークスだ!」
「よし、新商品買い漁ろうぜ!」
「新しいヌガーあるかなー」
「うまいよな、ここのヌガー」
俺たちは生徒が集まるハニーデュークスに向かった。店内は暖かく、入ってすぐのところにデカデカと新商品!の文字が輝く看板が掲げられ、水色の箱に入ったヌガーが山積みされていた。
「うわ!ノアだ!」
フレッドがパッケージを見た瞬間驚愕の声を上げる。それもそのはず、その箱には白い服を着た俺がアップで写り、パチリと完璧なウインクをしていた。売り文句は『ノアの瞳ヌガー これを舐めればあなたもノア・ゾグラフの瞳になれます!』である。
「あっ!ノ、ノア様!」「美しい……!」「本物だー!会えるなんて思ってなかった!」「こっち見てー!」などなど、俺に気付いた学生や一般人が黄色い声を上げ騒ぎ立てる。ひらりと手を振れば誰もが胸をときめかせてその場にくらりと倒れてしまった。
生き残った者達は気絶した者を気にする事なく跨ぎ、俺のパッケージの新商品をいくつも手に取っていく。新商品は飛ぶように売れ、店員がまた新たな在庫を山積みするがそれもまたみるみるうちに無くなってしまう。
「ああ、ノアさん!見ての通り最高の売り上げだよ!やはりあなたに頼んでよかった!」
店の奥から在庫を抱えたハニーデュークスの店長が現れ、忙しそうに嬉しい悲鳴を上げながら商品を積もうとしたが、その前に腕の中にある商品は客に取られていった。
「お力添えができて良かったです」
「また、是非よろしく頼むよ。マネージャーに伝えておくからね。──この店の商品はなんでも無料で持って行ってくれ!」
「わぁ、ありがとうございます」
ハニーデュークスの商品は貢物として送られてくることもあるけど、普通に美味しいんだよなぁ。高級店のチョコやクッキーも美味しいけど、それとは違う慣れ親しんだ味はやっぱり安心するというか。
店長はニコニコと笑ったまま俺の耳元に顔を近づけ、声を顰めて囁く。
「商品の良い宣伝を期待してるよ」
「勿論です」
店長はさらに満足げににっこりと笑い、他の客の「ノア様の瞳ヌガー、もう無いんですか!?」の呼び声に慌てて裏に戻って行った。
「すっげぇ」
「ふん!俺がトップモデルだってようやく理解したかな?」
呆気に取られていたフレッド達に悪戯っぽく笑って言えば、彼らはこくこくと頷いた。
俺の美しさは知っているが、彼らにとって俺はただの友人のノア・ゾグラフである。普段の生活では俺がトップモデルだって忘れがちかもしれないが、ホグワーツから一歩出れば否応なしに思い知らされるのだ。ノア・ゾグラフは世界をも動かす力を持つ最強トップモデルだと!
いくつかのヌガーやチョコをありがたく頂戴し、ついでにノアの瞳ヌガーも一箱貰った。
箱を開ければ個別包装された水色のヌガーが10個ほど入っていて、一粒ずつセドリック達に手渡す。
「食べてみようぜ」
「ノアの瞳って、その色になるってことなのかな?」
まじまじとヌガーを見ながらセドリックが聞くが、俺はこのヌガーの効能をよく知らない。まあ、宣伝するわけではなくただのパッケージ起用なのだからそんなもんだろう。
みんなで同時にヌガーを口の中に放り込む。甘い中にちょっと爽快感があって……ミント系のヌガーだなこれ、まあ、嫌いじゃない味だ。
「どう?ノアの瞳になってるか?」
「ぐふっ」
「はははっ!」
「き、きもっ!」
フレッドが顔を上げた途端、セドリックは咽へ、ジョージは爆笑し、俺は思わず引いた。
目の色だけではなく、目の形まで俺と全く同じになっている。つまり──目だけ美少年のフレッドが出来上がり、そのなんとも言えないアンバランスさがおもしろくて俺たちはげらげらと笑い転げた。
「似合ってない!って、これ僕もってことだよね?どうなってる?」
「んーセドリックはまだマシだぜ?あーでも、髪色とまつ毛の色が合ってないな!」
「よくわかるな、パーツだけ完璧にしても不恰好になるんだよ。つまり、俺はどのパーツを見ても完璧ってことだ!」
セドリックは元々イケメンだからそれほど違和感は無いが、しかし似合っているかと言われると微妙だ。まつ毛がバシバシの長いセドリックとフレッドとジョージはどうしてもおかしい。おそらく彼らは男の娘じゃなく、男の子だからだろう。
「なぁ、これスネイプにどうにかして食べさせられないかな?」
「最高だ!今日の夕食──いや、少しおいて、クリスマスプレゼントに混ぜるのはどうだ?呪いがなきゃ一粒くらい食べるだろ」
「いやいや、それだと滑稽な姿が見れない可能性がある!」
「確かにそうだ。じゃあ──」
どうにかしてこのヌガーをセブルスに食べさせる方法はないかと頭を捻らせるフレッドとジョージを見て、セドリックは無理矢理口の中に残っていたヌガーを飲み込み目を元通りに戻したあと、「ブチギレられるよ」と、控えめに呟いていた。
その後行った三本の箒では一般客が多くて俺を一眼見ようと店の中がごった返し、バタービール一杯飲んですぐに店を出る羽目になってしまったが、まあ初めてのホグズミード行きは中々楽しく過ごすことが出来た。
帰ってからハリー達にハニーデュークスで買った新品ではないお菓子を配ればすごく喜んでくれたし──ハリーは俺の新商品が欲しかったようだが──次のホグズミード行きが楽しみだ。