兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します! 作:八重歯
グリフィンドール対スリザリンの試合が始まった。
得点を取ったり、取られたり。スリザリンが反則行為をして、グリフィンドールがペナルティーシュートを行う事はあったが、スリザリンはだいたいこんな感じだ。
試合が始まり20分はすぎた頃、ハリーの箒の動きが怪しくなっていた。乗り手の言うことを聞かず、振り落とさんばかりにめちゃくちゃに飛び狂っている。
「ノア!ハリーの箒──」
「ああ、気付いてる」
隣で観戦していたセドリックが慌てて俺に言ったが、勿論気付いている。そういえば、こんな流れがあった気がする。これでハリーを助けようと反対呪文を唱えていたセブルスがハーマイオニーに誤解されて、疑われるんだったような。
セドリックだけではなく観客も次々とハリーの箒の挙動に気づき、ハリーを指差した。今やハリーは辛うじてしがみついているだけで、いつ振り落とされてもおかしくない。ついに片手を離したハリーに、何人もの生徒が悲鳴を上げ顔を覆った。
すぐにフレッドとジョージが助けようと近づいたが、2人が近づけばハリーの箒は一層高く上がり、めちゃくちゃに動き回ってしまう。自分の箒に乗せる事は諦めた2人は地上付近でぐるぐると旋回し始めた。もし落下しても、キャッチするつもりなのだろう。
「あの箒、最新のニンバス2000でしょ?ぶつかっただけであんな壊れ方しないはずなのに」
セドリックが心配そうに呟いた。
教師達が集まっているスタンドでは誰もが不安そうな顔をしてハリーを見上げ「どうしたのか」と近くにいる者と話し合っている。そんな中、一心にハリーを見つめるのは、セブルスだけだった。
「……あれ?」
クィレルがいない。
本当ならば、セブルスの近くにいて、セブルスのもとへ疾走するハーマイオニーにぶつかり、薙ぎ倒されて──それでハリーの箒にかかっている呪いが解けるはずだ。
しかし、どれだけ探しても教師の中にクィレルの姿はない。ほぼ全校生徒が集まるこの中で、生徒達に紛れているのならば見つけ出すのは少々難しそうだ。
偶然を装い、クィレルに衝突する事はもう時間的に不可能だろう。魔法を使いクィレルを探すのは容易だが──俺が世界最強の魔法使いだと思われるのは構わないが、真犯人をクィレルだと疑っている、と思われるのは困る。動きにくくなりそうだし、俺の近くにいる奴らに被害が出るかもしれないし。
どうしたもんかなぁ。と思いセブルスを見ているとちょうどセブルスの背後にちらりと何かが動いているのが見えた。それは青い光であり、少しずつ大きくなり、濃い灰色の煙が上がる。
瞬きもせず反対魔法を唱えていたセブルスは自分のローブから火が出ているという予想もしない事実に気がつくのが遅れ、その炎が視界に入った途端反射的にハリーから目を逸らした。
その瞬間、ハリーはより箒にぶんぶん振り回される。そりゃそうだ、セブルスが反対魔法を唱えてなんとかハリーは箒から落ちずにすんでいたんだし、その反対魔法がきれてしまてば、クィレルの呪いが箒をさらに蝕む。
うーん。箒の暴走を止める反対呪文なんて知らないんだけど。
「あっ──」
客席から悲鳴が上がる。ついに、ハリーは何故そうなったのか──穂先ギリギリを掴んでいた。後1分も持たないだろう。クィレルはまじで見つからないし、ダンブルドアは手出ししないし、フーチはただの箒の不調だと思っているのか助けようしない。クィディッチは余程のことがないと試合が中断する事はないのだ。
「……やってみるか」
反対呪文を使い、箒の呪いを解く事はできない。多分触って終了呪文を唱えれば俺なら解呪出来そうだが、箒は届かない程遠いし。
ならば、今クィレルがかけている呪いよりも、より強大な力で箒をコントロールするのはどうだろうか。クィレル如きの呪いに負ける気はしない!
右手を伸ばし、ハリーの箒の事を強く考え、そのままぐっと虚空を掴む。
すると、ぴたりと箒は動きを止めた。時々穂先が痙攣するように動いているのはきっとクィレルも必死に争っているのだろう。
ハリーは箒がおとなしくなったすきになんとかよじ登る。しかし、箒は前に動くことも後ろに動くこともなく──ハリーは焦ったように身を低くし、箒の柄を強く押し付けた。……下?
子どもが飛行機のおもちゃで遊ぶように、ハリーと箒を持ってる気になりつつそのままぐいっと下に向ければ、ハリーは姿勢を低くし箒と一体になったまま急降下する。え、あれ。まじであってるよな?
地上付近にキラキラ光ってるのあるし、ハリーはあれを捕まえたいんだよな?
視界の端をちらついている金色目掛けてハリーを突っ込ませれば、観客は「ぶつかる!」と悲鳴を上げ顔を手で覆った。
ハリーは地面スレスレでパチンと口を押さえながら四つん這いになり着地し──そして、口の中からスニッチを吐き出した。
「げほっ──スニッチを取ったぞ!」
ハリーは頭上高くスニッチを振りかざし、叫ぶ。大混乱していた観客達は、いつのにか試合が終了していたことに驚愕し、叫び、興奮したようにハリーを褒め称えた。
地面の上をころころと箒が転がる。ハリーはツンツンと足先で軽く蹴り、もう勝手に動くことがないとわかるとほっと胸を撫で下ろして相棒を肩にかけた。
「レイブンクロー戦の後、僕たちが勝ったらグリフィンドールとか……ハリー、途中変だったけど……最後の動きはすごかった」
「そうだな」
「……あんな急降下、僕には……」
セドリックはぶるりと震え、恐々と呟く。どれだけ自分の箒使いに自信があろうとも、流石にほぼ直角の落下、そして地上数十センチで体制を整えるだなんて──僕には、できない。本当にあの動きは生まれついての才能なのだろう。と、セドリックは考えているようだ。
試合が終わり、観客がぞろぞろと校舎へ帰る中、俺とセドリックは競技場を見下ろし更衣室へ向かうフレッドとジョージを見た。2人は俺たちの視線に気付くとこそこそと話し合い、ニヤリと笑って拳を突き上げる。
「次は君たちを倒す!」
「
「うわ、煽られた」
「おうおう、喧嘩なら買うぜぇ?3倍返しにしてやるよ」
スタンドにもたれかかりながら言えばフレッドとジョージは「覚えとけよ!」と負けてもないのに、負けた時の捨て台詞を吐く。すぐにオリバーが2人の頭を軽く叩き、更衣室に引っ張っていった。