兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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55 友達とドラゴン

 

 

クィディッチの決勝戦が終われば、あとに待ち受けているのは試験だけだ。

イースター休暇前から教師達は大量の宿題を出し自習勉強の大切さをこんこんと説明した。

もう三年生にもなればそろそろ真面目にテスト勉強しなきゃまずいとわかっている生徒が殆どで、イースター休暇中はクリスマス休暇ほどのんびりと過ごす事なく俺達も図書館や談話室、隠し部屋で宿題をして過ごした。

 

 

「なあ、『闇の魔術といえば闇』の本持ってる?」

「あー…ない」

「僕もだ」

「あるけど臭うぜ。この前クソ爆弾でちょっとな」

 

 

必要な参考書が見つからず、セドリック達が持っているかと思ったが──フレッドは持っているらしいが、汚いものを摘むようにして持っている本は借りたくないし。

 

 

「はー……図書館行くか。他になんか必要な本とかあるか?」

「えーと。『木と草と土、そして水』が必要かも」

「何が必要なのかてんでわからないな」

「必要なのはこれだ。『最高悪戯グッズ一覧表、その使用例と共に』」

 

 

セドリックは俺たちの宿題の進み具合を確認しながら答える。この中で誰よりも成績が良いのはセドリックであり、宿題に苦労する俺たちにいつもヒントを与えてくれるのだ。何だか詩の題名のような本だなあ、と思いながら手を振り図書館へ向かった。

 

 

 

 

「ノア!──何だか久しぶりだな」

「そうか?」

 

 

傍に控えさせていたクラッブとゴイルに寮に戻るように伝え、ドラコが俺の隣に並ぶ。クラッブとゴイルは俺と話したそうにしていたが、にっこりと笑って手を振れば素直に回れ右をしてぎくしゃくとしながらスリザリン寮へと向かった。

 

 

ドラコは俺を見つけてわざわざ走ってきてくれたのか、少し乱れた呼吸を整えてから「そうだとも」と頷く。

 

 

「休暇が始まってからは、今日が初めてだ。──ハリー達からスネイプ先生のこと、聞いたか?」

「ああ──決勝戦終わった後の話だろ?聞いたよ」

 

 

クィディッチの決勝戦があった日。

ハリーが禁じられた森で密会するクィレルとセブルスを見つけ、その時の会話の一部を聞いたのだという。その会話を聞いてさらにセブルスがニコラス・フラメルが作ったという賢者の石を狙っているのだと疑惑を深めたらしい。

いつのまにか俺の知らないところで話がどんどん進んでいっている。賢者の石や、ケルベロスの名前がフラッフィーだってことももうハリー達は知ってしまった。

やっぱり、学年が──いや、寮が違うとあまりハリー達に関わるのが難しいな。

 

 

「スネイプ先生は、賢者の石なんて求めない。僕はそう思うのに……ハリー達は、スネイプ先生が犯人だと決めつけて。僕にスネイプ先生をスパイしろって言うんだ」

「スパイ?」

「ああ……僕は、スネイプ先生に気に入られてるだろう?それで、僕にならスネイプ先生は何か重要なことを教えてくれるんじゃないかってハリー達は思っていて……」

 

 

ドラコは不安げに目を揺らし、その後は黙り込んでしまった。

なるほど。確かにセブルスがスリザリン生だけを贔屓し優しいのは事実であり、全ての犯人がセブルスだと思っているハリーは、友人であるドラコにスパイするよう頼むのか。確かにスリザリン生に友人がいるのならば、彼らしか知り得ない内部事情を知りたくなるのは当然だろう。

 

しかしなぁ、ドラコはなんだかんだ真面目だし、皮肉屋でもなくなったから割と思いやりがあって優しいし。それにドラコはセブルスを信頼し、尊敬している。そんな人を核たる証拠がないのにスパイするなんて出来ないんだろうなぁ。

 

 

「いや、ドラコにはセブルス先生も言わないだろ。だってハリーと仲良いのバレてるし」

「そうか……?」

「俺なら、偽の情報与えて撹乱するね」

「確かに……その可能性はあるな」

「まあ、ドラコがやりたいならやればいいし。やりたくないならやらなければいい。ハリー達もその辺のドラコの気持ちは汲んでくれるさ、友人なんだろ?」

 

 

背中をぽん、と叩けば、ドラコは小さく頷いた。

友人の力にはなりたいが、尊敬する人を裏切りたくはない。

 

……ハリーと仲良くなったのは良かった。ドラコも喜んでいるんだろうけど、今後のこと考えたら胃を痛めそうだな……いや、むしろかなりメンタル強くならないと病みそう。

 

特にドラコは、取り巻きはいてもハリー達以外に友人と呼べる人はいないし、頼れる存在がいない。ハリー達よりも注意してみておかないとすぐにストレスとプレッシャーで潰れてしまいそうだな。……特に二年生の時と五年目から七年目まで。

 

 

「俺は図書館に行くけど、どうする?」

「……行く」

 

 

いつもより顔色が悪く、少し元気のないドラコと共に図書館へ行けば、宿題に追われている生徒達が必死の形相で羊皮紙に書き込み、教科書をめくっていた。特に鬼気迫っているのは5年生と7年生だろう。将来に関わる大きなテストを控えている生徒達は図書館だけでなく、いつでもピリピリとした雰囲気を醸し出していた。

 

 

「えーと。……あれ、なんていう本だったかな……マジカルバナナみたいな題名だったような……」

「は?」

 

 

ダメだ。せっかくここまで来たのにドラコと話しているうちに忘れてしまった。

 

題名を見れば思い出すかと考え、高い本棚の間をうろうろとしているとハグリッドと言い合うハリー達を見つけた。

何やらフラメルがどうの、賢者の石がどうのと話しているようだったが、その声の大きさにハグリッドが慌ててハリー達を「しーっ」と黙らせている。

 

ドラコはハリー達と会うことが少し気まずいのか、いつもなら自分からハリー達のところに行って「やあ、何してるんだ?」と聞いているが、今回ばかりは大人しかった。

 

 

「行かないでいいのか?」

「……ああ。それより、本を探すんだろう?どんな内容の本だったんだ?」

「えーと。闇の魔術に対する防衛術と、薬草学でー……取り敢えずそれに関わる書棚に行こうかな」

 

 

ドラコと共に教科書を探し、なんとか思い出した2冊の本を借りて寮へと戻ろうと図書館を出た時、俺がいる事に気付いたハリーとロンとハーマイオニーが駆け寄ってきた。

 

 

「ノア、ドラコ!」

「やあ」

 

 

ハリーの呼びかけにドラコは少し微妙な顔をしながら振り返る。ハリーは「いたんなら声かけてくれたらいいのに」とつまらなさそうにしながら俺とドラコの腕を取って廊下の端まで引っ張った。

 

 

「さっきハグリッドと出会ったんだけどさ、どうやらドラゴンの卵を手に入れたらしいんだ」

「何?ドラゴン?禁止されているのに……」

「そうだよな。バレたらやばいぜ?めちゃくちゃデカくなるし」

 

 

怪訝な顔をするドラコに、ロンは深く同意しながら頷く。ドラゴンは巨大であり凶暴な個体が多く、魔法界では飼育を禁じられている。個体数が少ないため、魔法族でも滅多にその姿を見ることは出来ない。ドラコとロンはドラゴンの危険性を知っているが、やはり少年らしく興味はあるようで興奮しながらコソコソと話し合っていた。

 

 

「今からハグリッドの小屋に行くんだけど、一緒にどう?」

「ハグリッドの小屋か……いや、やめておく。いい顔はされないだろうからな」

 

 

ドラコは元々巨大なハグリッドに対し良いイメージを持っていない。それはドラコだけでなく、おそらくハグリッドもスリザリン生に対し良いイメージは無いだろう。行ったところで邪険に扱われるだろうことがわかっている場所にわざわざ出向きたくはないんだろうな。

ハリーは肩をすくめたドラコを見て目を瞬かせ、首を傾げた。

 

 

「なんで?」

「なんでって、ほら──僕はスリザリン生だ」

「でも、僕の友達じゃないか!」

 

 

ハリーの言葉にドラコは目を見開き、ぐっと息を呑む──照れたのか頬を少しだけ赤らめた後、いつものように胸を逸らし「たしかに、気にする事はないか」と嬉しそうに言った。

 

 

「そうだよ。それに、ハグリッドと会えばハグリッドが野蛮だって考えを改めるさ」

「それは──どうだかな」

 

 

ハグリッドが野蛮か常識人かと問われると、恐らく野蛮寄りではある事は確かである。何より常識人はドラゴンを飼おうとは思わない。……いや、ドラゴンだけじゃなくってもっとやばいのが森にはいるわけだけど。

ハリーの言葉にドラコはニヒルに笑い、それを見たロンとハーマイオニーは神妙な顔でドラコに同意するというように小さく頷いていた。

 

 

「ノアもいくよね?」

 

 

当然のようにハリーは期待を込めて俺を見たが、ドラゴンが生まれた後なら見にいきたいけど今はまだ卵の状態だしなぁ。

 

 

「俺はパス。これから宿題だから。生まれたら教えてくれ」

 

 

手に持っていた2冊の本を軽く上げながら言えば、ハリー達は残念そうな顔をした後4人で仲良く校庭へと向かった。

ハリーとロンとドラコは、寮は違えど友達と言っていいだろう。しかし、ハーマイオニーとドラコは……まだ知人レベルっぽいな。なんとなくよそよそしいし、何よりドラコがハーマイオニーと話している場面はほとんどない。やっぱり他の人の目があるところではマグル生まれであるハーマイオニーと友好的に接することは出来ないんだろうな。

 

 

 

 

それから2週間後、セドリックと薬草学の授業を受けるために温室へ向かっていると丘の向こうからハグリッドが急ぎ足で俺に駆け寄ってきた。

 

 

「ノア!今日の授業が終わった後、ちぃっと小屋に来てくれんか?」

 

 

ハグリッドは見るからに焦っていて、そわそわと落ち着きがない。ピンと来るものがあり「ドラゴンか?」と聞けば、ハグリッドは慌てて人差し指を立て唇に当てた。

 

 

「しーっ!言っちゃいかん!」

「え、ドラゴン……?飼うのは禁止されてるけど……」

 

 

ばっちり聞こえてしまったセドリックは信じ難いのか怪訝な顔をしながらハグリッドを見上げる。ハグリッドは罰が悪そうにもそもそとしながらも、否定はせず唸り声をあげていた。

 

 

「まあ、その、少し力を貸して欲しいんだが……」

「オッケー。終わったら向かうよ」

「本当か!ありがとう、待っちょるからな!」

 

 

ハグリッドは他の生徒達が集まってきたのを見ると慌てて小屋へ引き返した。

走り去っていくハグリッドをぽかんと見つめていたセドリックは、そのままの表情で俺を見て「本当に?」と呟く。

 

 

「一緒に見に行くか?」

「本当なんだ……ドラゴンかぁ……うーん、興味はあるけど、なんかやばそうだから関わりたくないな」

「賢明な判断だな」

 

 

セドリックはドラゴンに惹かれる気持ちよりも、ドラゴンに関わった後に起こりうる事の方がデメリットが大きいと判断し苦笑した。

 

 

 

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