兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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06 メリーさん?

 

 

セブルスはコンコン、と窓をノックする音に読んでいた本から顔を上げ、怪訝な目で窓を見る。

フクロウ便が届く時間は既にすぎている。こんな時間に手紙が届くということは私的な手紙である可能性が高い。定期購読している日刊預言者新聞はすでに届いている。

 

1週間程前に書かれた虚偽ばかりの記事は流石に日刊預言者新聞を出す出版社にクレームを入れたがその返答は「一年分サービスするのであの美しい少女について教えてください」というさらに神経を逆撫でするもので、セブルスは返答の手紙をすぐに暖炉に投げ入れた。

 

あんな記事を自分の事を知ってる生徒が見れば何を思うだろうか。

 

セブルスは自分が今まで築き上げてきたものがガラガラと崩れていく感覚に、ここ数日ふとしたときに苛立ちが沸き起こり、何度も手に持っていた本を破ってしまっていた。その度に自己嫌悪し、ノアに対して八つ当たり──いや、正常な怒りだと言うべきか──にも似た感情を燃やしていた。

 

まさか、また日刊預言者新聞の出版社がノアについて聞きたいと言う手紙を寄越したのか、そうならば中を読まずに捨ててやる。

 

そう思いながらセブルスは苦い表情で窓に近づき、窓枠に止まる白くて大きな鷲を見て──開けるのをやめた。

 

 

「…何故、ここに」

「…クー」

 

 

どう見ても、それはノアが飼った鷲であった。

鷲は首を傾げ早く開けろとばかりに窓を開けて強く突き、足に括り付けられている手紙をアピールするように片足を器用に上げた。

 

 

だが、セブルスは無言で杖を振り窓のカーテンを閉じた。

 

 

開けない方がいい。

そう直感が告げていた。

 

 

だが窓の外にいる鷲はギャンギャンと高い声で鳴くと何度も激しく体をぶつける。その度に窓はガタガタと揺れ、今にも割れそうな程に軋んだ。

 

暫く無視していたセブルスだが──大きな舌打ちをこぼすと、さっとカーテンと窓を開けた。

ここはマグル界にあるスピナーズ・エンド。つまり、あまり白い鳥が窓の前で騒いでいるのを見られるのは──良くない、マグルに不審がられてしまう。

 

 

鷹はすう、と部屋の中に入ると恨めしそうな目をしたまま古い肘掛け椅子にとまり、足を差し出す。

セブルスは苦い表情のままその足につけられていた手紙を受け取り、開いた。

 

 

『暇なんで、遊びに行っていいですか?』

 

 

眉間の皺を深めたセブルスは、机の上にある羽ペンをむんずと掴み、荒々しく『NO』と書いてすぐに鷲の足にくくりつけた。

 

 

「さっさと帰れ」

「…クー」

 

 

鷲はすぐに飛び立ったが、大きな羽でセブルスの頭を──なかなか入れてもらえなかった恨みを込めて──ばしりと叩いて窓から外へ飛び出した。

 

 

セブルスは乱れた髪を抑え、大きく舌打ちを零す。

 

 

 

──だが、これはセブルスの悪夢にとって始まりにすぎなかった。

 

 

 

次の日、再び白い鷲はやってきた。

 

 

『そう言わずにー』

 

 

セブルスの返事は勿論『NO』だ。

 

 

 

次の日、懲りずに白い鷲はやってきた。

 

 

『今、コークワーク州にいるの』

 

 

セブルスはそこに書かれていた文字を読み、背筋が凍った。

何故居場所がバレているんだ。セブルスは『来るな』と書いた。

 

 

次の日、やはり白い鷲はやってきた。

 

セブルスは流石にそこに書かれた文字を見る勇気がなかなか出なかった。

だが、このまま放置するのも怖く──なんとなく、負けた気になるのも嫌で、目を細めてその文字を読んだ。

 

 

『今、スピナーズ・エンドにいるの』

 

 

近づいている。間違いなく。

何故家を知っているのかはわからないが、セブルスはすぐにカバンをつかみ杖を振るい貴重品やなにやらを詰めるとその場から姿くらましをした。

 

 

セブルスはホグズミード村に現れると辺りを見渡し、ノアがいない事を確認し──勿論、いるはずが無いと思っていたが──ホッグズ・ヘッドへ向かう。

今晩はここに泊まり、明日はホグワーツへ向かおう。少々戻るのがいつもより数日早いが、寮監は準備する事も多く、特に拒絶はされないだろう。

 

ホグワーツには、流石に来れないはずだ。居場所がわかったとしてもホグワーツ特急は9月1日にしか発車しない。

セブルスは店主であるアバーフォースに客室へ案内されながら、重いため息を吐いた。

 

 

だが──勿論、これも、セブルスの悪夢にとって始まりにすぎない。

 

 

ホグワーツに着いたセブルスは、ようやく安堵の息を漏らす。

また手紙が来るだろう、だがここには来れないし、きっと苦情くらいは書かれているだろうが、それを受け取る事を考えても──自分の平穏と比べればそんなの他愛もない。

 

 

既に寮監達はホグワーツに来て新年度の準備をしていた為、セブルスも同じように準備に取り掛かる。そして夕食時──生徒の居ない大広間は閑散としていたが、静かな食事を好むセブルスにとってはとてもありがたかった。

 

 

「…ところでセブルス。あなた…あの記事は本当ですか?」

 

 

食事を食べ終わり食後の紅茶を飲んでいたセブルスに、マクゴナガルが突然聞いた。

顔を顰め嫌そうな顔をするセブルスに、マグゴナガルだけではなくフリットウィックやスプラウト、さらにはダンブルドアも目を輝かせ同僚のゴシップ記事が本当なのか気になり目をキラキラと輝かせていた。

 

 

「…教材を買っていただけだ。ノア・ゾグラフは…我輩の担当生徒なのでね」

「まぁ!そうだったのね、ああー凄く可愛らしい子よね?私の寮にはいってくれないかしら…」

 

 

スプラウトは頬を染め、喜びの声を上げた。

勿論、マクゴナガル達はあの記事のひとつたりとも信じてはいない。

今までこの同僚の男に色恋の影など少しもなかったし、何よりあんな美しい少女と──まだ彼らはノアが少女だと疑っていない──恋愛関係になるわけがないと、やや失礼な事を思っていた。

 

スプラウトは内ポケットからその記事の切り抜きを取り出し、「はあ…」と感嘆のため息を吐いた。目はとろんとしていて、どう見ても虜になっているその眼差しに、セブルスは嫌そうに眉を顰める。

 

 

 

いや、たしかにノアは考えられないほど美しい。長く教師をしているが、あれ程の美貌を持つ子どもなど見たことが無い。おそらくホグワーツで最も美しい少年だろう。

 

 

「9月1日が楽しみですねぇ、魔力の方はどうですか?優秀そうですか?知力は?」

「…優秀、かもしれんな。…明確な意志を持ち魔法を使っていた。…杖を使わずに、椅子を出現させた」

 

 

フリットウィックの言葉に、セブルスは初めて会った日のノアを思い出し呟いた。

大人であれば自在に魔法を使うことは勿論可能だ。だが、マグル界で生活し魔法の事を教わっていないにも関わらず──ノアは当然のように魔法を使っていた。

 

 

「杖も使わず…?それは──」

「それが本当ならば、鬼才ですね」

 

 

マクゴナガルは怪訝な顔をして少し黙り込み、フリットウィックは冗談ととったのかからかうように笑った。

それは優秀──という域を超えているのでは無いか。まさに、鬼才という言葉がしっくりとくる。

11歳になる前の、魔法について何も学んで無い子どもはせいぜい感情の昂りで無意識に魔法を発現させる程度だ。

魔法族の子どもなら、親からある程度の魔法を教わり使える者も居るのだが。

 

 

「──本当に、椅子を出したのかのう?」

「…はい」

 

 

ダンブルドアは白い髭を撫でながら静かに呟く。その目はいつもの輝きは無く、どこか鋭くセブルスを見つめていた。

 

 

「他には…何か?」

「…ああ、そういえば──動物と話せると、言っていましたな。…パーセルタングも扱えるとか」

「パーセルタング!?…まぁ、まさか…スリザリンの子孫ですか?」

 

 

パーセルタング、という言葉にマクゴナガル達の間で動揺が走る。

魔法族にとってそれは特別な言語だ。教わる事なく蛇の言葉を理解して話せる者は──スリザリンの子孫である可能性が高い。

しかし、動物全てと話せるのならば、違うのだろうか?動物と話せる者など、聞いた事が無い。

 

 

「ふむ──セブルス、担当教師として、しっかりとノアを見るように」

「……」

 

 

 

ダンブルドアの言葉にセブルスは渋々小さく頷いた。

その時、コンコン、と大広間の窓が小さく音を立てる。

 

 

「あら?こんな時間にフクロウ便だなんて…珍しいわね」

 

 

窓際に近かったスプラウトが立ち上がり、窓を開ける。

セブルスは、その時間内に配達された手紙がどう考えても──嫌なものだと理解していた。

 

 

「大きな鷲ねぇ…」

 

 

大広間に音もなく入った鷲は当然のようにセブルスの前の机に降りると、足を差し出した。

 

どうせ、ノアからの諦めの言葉か逃げ出した自分への小言だろう。

そう思いながらセブルスは鷲の足から手紙を外し、ゆっくりと開いた。

 

 

『今、ホグズミード村にいるの』

燃えよ!(インセンディオ!)

 

 

反射的にセブルスは手紙を投げ捨て、燃やした。

マクゴナガル達は驚き目を見張り、あまりの強さに一瞬で消し炭になった手紙とセブルスを見つめる。

 

 

「の、呪いの手紙だったのですか?」

「…その方が幾分も、マシだ」

 

 

セブルスは憎々しげに、机の上に残った焼け焦げの跡を見ながら呻くように呟いた。

 

 

 

しかし、翌日になればセブルスの機嫌はかなり戻っていた。

ホグズミード村までどうやって来れたのかわからないが、きっと持ち前の美貌を駆使しヒッチハイクでもしたのだろう。しかし、そこからホグワーツに来る事は出来ない筈だ。

もし、万が一小船をチャーターし城前まで来ることができたとしても、今ホグワーツの門は固く閉ざされている。入ることなど出来るはずがない。

 

 

そう思い、朝食を取るために大広間へ向かった。既に上座には同僚達が座り朝食を食べていて──どうやらノア・ゾグラフという生徒について話し合っているらしいが、セブルスは一切その話題に加わろうとはしなかった。

 

 

──コンコン

 

 

ぴたり、とマクゴナガル達は会話を止めて音がした窓を見る。

窓枠に止まっているのは、昨夜に見た大きな白い鷲であり──またもスプラウトがさっと窓を開けた。

 

鷲はふたたびセブルスの前に降りると、その足を突き出す。

 

セブルスがゆっくり手紙を解いたのを確認した鷲は、セブルスの皿にあった大きなソーセージを美味しそうに啄んだ。

 

 

「また、手紙ですか。一体誰からの手紙なのです?」

 

 

マクゴナガルは興味深そうに開かれない手紙をじろじろと見る。

昨日のセブルスの様子からあまり良い手紙では無さそうだが──セブルスに手紙など、自分が知る限り殆ど見たことが無い。数年に一度くらいだろう。

 

セブルスは意をけっしたように、勢いよく手紙を開いた。

 

 

『今、あなたの後ろにいるの』

「──は?」

 

 

その文字の意味が理解出来ず、怪訝な声を出したセブルスだったが──。

 

 

 

「──来ちゃった」

 

 

聞き慣れた姿現しの音と共に、自分の耳元で囁かれたやたら耳触りの良いソプラノボイスに、セブルスはぞくりと首元に鳥肌を立て、胸ポケットにある杖を抜きながら振り向き叫んだ。

 

 

縛れ!(インカーセラス!)

「うわっ!」

 

 

セブルスの後ろにいたノアは驚いたような声を上げ、身体を縛る細い縄を見下ろした。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

縄で縛られた!

ちょっと、緊縛プレイはまだ早く無いか?

 

 

「もー俺の綺麗な身体に痕がついたらどう責任取ってくれるんですか?」

 

 

すぐに解呪して縄を解き、くるくると丸めて炎で燃やす。

手のひらの上に残った灰をぱんぱんとはたき落として批難的な目でセブルスを見たけれど。…なんか凄い目で睨まれている。

セブルスだけじゃなく、他の先生達にも、ダンブルドアでさえ俺を睨んで杖を向けている!

 

 

「なんですか…」

「…君は、ノア・ゾグラフじゃな?…どうやってここに入り込んだんじゃ?」

 

 

ダンブルドアが静かに俺に言う。

青い綺麗な目は鋭く俺を射抜いてるし、ちっとも笑ってない。

あれー?この人なら俺の茶目っ気たっぷりの悪戯を笑って許してくれるかと思ったんだけどなぁ。原作ではいつも「ふぉっふぉっ」って言ってなかった?

 

 

「どうやってって、普通に──」

 

 

あ、ホグワーツに姿現し出来ないんだっけ。何年も姿現しで移動する癖がついてたからなぁ。…魔力の暴走ってことにしとくか、ハリーも俺の前に姿現しで来たし。うん。

 

 

「──セブルス先生に会いたい!って強く願ったらここに来てました!ここはセブルス先生の家ですか?みんなはファミリーですか?めちゃくちゃ広い家ですねぇ!」

 

 

にっこりと笑って言えば、ダンブルドア達は無言で俺を見下ろした。

うーん、疑いMAXである!

 

 

「…ここは、ホグワーツ魔法学校じゃ。…本来ならば──魔力の暴走だとしても、姿現しは出来ない」

「それは…──俺が特別だからですかね?」

 

 

緊張感が張り詰める。マクゴナガル達はどうしたものかと俺とダンブルドアを見比べているが、ダンブルドアは油断ならない目で俺を見据えたまま動かない。

 

 

そんな中──。

 

 

ぐうう──。

 

 

小さな腹の音が響いた。

俺は腹を押さえて、肩をすくめて恥ずかしさからへにゃりと笑った。流石に静かなところで俺の腹の音が響くのは恥ずかしい!

 

 

「あのー俺、お腹空いてて…食べてもいいですか?あー、食べたら帰るので」

「………」

 

 

流石に無理かな?

と思ったが、ダンブルドアは俺に向けていた杖先の向きを変え、自分の隣に向かって振るう。するとダンブルドアの隣に一つ椅子が現れる。

 

 

「…いいじゃろう。…さ、食べなさい」

「やったー!ありがとう!」

 

 

俺はすぐにダンブルドアの隣に座って──その隣はセブルスだった──目の前にあるサンドイッチを食べた。

ダンブルドアは暫く見ていたが、静かに座ると食事を再開させる。セブルス達もまた、ダンブルドアが許可したのならと思ったのか、椅子に座り直してとまりかけていた食事を再開させた。

 

 

「ノア、君はどの寮に入りたいのかね?」

「んー?どこでもいいですけど、うーん…ハッフルパフかなぁ」

 

 

もぐもぐとサンドイッチを食べながらダンブルドアを見上げる。俺の言葉が意外だったのか、ダンブルドアは目を瞬かせ「ハッフルパフ?」と呟いた。

近くにいるスプラウトは驚愕の顔でぽかんと口を開いている。

…あれ?あんまりハッフルパフに行きたいってやついないのかな?

 

 

「何故じゃ?」

「んー?ホグワーツの歴史読んだんですけど、グリフィンドールとスリザリンって険悪なんでしょ?」

「まぁ…嘆かわしい事に、お互いをライバル視してる、とも言えるかのう」

「俺、色んな人と仲良くなりたいから!それならハッフルパフかなって。レイブンクローに入れるほど俺勉強熱心じゃないですしね」

「……ふむ」

 

 

俺の答えを聞いて何を考えたのか、ダンブルドアは鋭くしていた目元を少し緩めた。

ここでスリザリン!とか言ってたらトム・リドルの二の舞になって疑われてたか?

 

 

「目指せ!友達100人!」

「…友が増える事は、いい事じゃ」

 

 

ダンブルドアは噛み締めるように呟く。うん、そうだよなぁ、やっぱ友達は少ないより多い方がいいに決まってる!

 

果物を食べ、パンプキンジュースを飲み干した俺はぺろりと唇を舐めて立ち上がった。

 

 

「今度は9月1日に来ますね!」

 

 

本当は名前を知ってるから呼びたいけど急に名前を呼んだらおかしいから我慢だ!

あー先生達とも写真撮りたいな!カメラ持って来ればよかった。新年度始まってから写真撮らせてもらおうっと。

 

 

机の前に周り、にっこりと笑えば、マクゴナガルとスプラウトとフリットウィックはぽっと頬を染めた。

 

 

「それじゃあ、また!」

 

 

あんまりここにいると嫌がられるみたいだし。

本当はもうちょっとホグワーツ観光したかったけども!それは9月1日からの楽しみにしておこう。早くハリポタ兄世代キャラに会いたいな。

 

 

そんな事を思いながら、俺は指を鳴らし──すぐに孤児院に姿現しをした。

 

次に会うのは9月1日かーあと数週間だな、めくるめくキャンパスライフを楽しむ!この美貌を駆使してハーレムを作ってやる!童貞ともおさらばだ!

 

 

 

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