兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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62 三年目終了!

 

 

 

ハリーが目覚めたのは全てが終わった三日後だった。面会できるようになってから見舞いに行き──知ってはいたが──何があったのかを聞いた。

俺が原作の流れを知っていたのはもちろんだが、どこから漏れたのかクィレルとハリーの三日前の戦闘や、数々の侵入者避けをクリアした方法。ハロウィンパーティでトロールを招き入れたのはクィレルだという事は三日間のうちにかなり正確に噂として広まっていた。

ロンとハーマイオニーが言うとも思えないし、どうせダンブルドアがそれとなく流したのだろう。お喋りな肖像画やゴースト達を使って。

しかし、ヴォルデモートが関係していたという事は何故か誰も知らなかった。──余計な不安を煽るよりは、全てクィレル一人の企みだとした方が都合が良いのかもしれない。

 

……だってヴォルデモートが侵入する学校とか、保護者からクレームの荒らしだろ。ダンブルドア責任をとって辞任待ったなしだ。

 

 

「本当はノアにも来て欲しかったんだ、でもハッフルパフ寮に入れなくて……」

「そうか、色々大変だったみたいだしなぁ。まぁ、何にせよ五体満足でよかったよ」

「最後はほんと死ぬかと思ったけどね」

 

 

ハリーは苦笑しながら沢山の貢物の中にあるカエルチョコレートを一口食べた。

よかった、俺が居たことをダンブルドアはちゃんと秘密にしてくれているみたいだ。ハリーには毎年やばすぎる試練が待ち受けていて、それを一つずつ仲間達とクリアしていく事により成長していく。原作の流れを大きく変えないためには、俺はあんま手助けするべきじゃないからなぁ。俺の存在は、チートみたいなもんだし。

 

 

 

面会時間は15分と決められていたため、名残惜しそうにするハリーに別れを告げて医務室を後にする。

廊下を一人で歩いていたら、大広間近くにある各寮の得点を記している砂時計の前で人集りと出会った。その中にはセドリックもいて、何をそんなに一生懸命に見ているのかと首を傾げつつ近づく。

 

 

「こんなところで何してんの?」

「ノア!得点を見て!」

「んー?」

 

 

セドリックは焦燥感を滲ませて砂時計を指差す。周りにいた生徒達も、同じように不穏な空気を出しながらヒソヒソと話し合っていた。

 

 

寮の得点は、ハッフルパフとグリフィンドールが同点で一位である事を示し、赤と黄色の玉がぎっしりと詰められきらきらと輝いている。

ああ、なるほど。ちゃんといきなり加点じゃなくて学年度末パーティ前に加点してくれたのか。

 

 

「昨日までは、150点以上の差があったのに……一気にこんな大量加点なんて……」

「グリフィンドールがズルしたに決まってる!」

「理由を聞かなきゃ納得できないわ!」

 

 

砂時計前に集まっていたのはほぼハッフルパフ生だったようで、口々に不満を叫び誰もが「そうだそうだ」と頷く。

今年も寮杯が取れると思って安心していたハッフルパフ生にとっては、まさに晴天の霹靂、なのかもなぁ。

 

 

「ま、いいじゃん同点なんだし。流石に大量加点だし、説明くらいあるんじゃねーの?明日の学年度末パーティーとかでさ」

「でも……せっかく、ノアさんが頑張ってくれて……」

 

 

まだ不満げなハッフルパフ生の方を振り返り、ニコリと微笑めば微笑みを見た何十人かがびしりと固まり顔を真っ赤に染めた。

 

 

「俺だけの頑張りじゃないけどさ、俺は気にしてない。──君たちは?」

「き──気にしません!」

「無問題です!」

「私たちにとってはノア様の決定が全て!まっったく気にしません!」

「そ?良かった。んじゃ解散。ここで集まってると邪魔になるだろ?」

 

 

パンパンと手を叩けば、皆満面の笑みで頷き従順にぞろぞろと各地へ散った。

残ったのは俺とセドリックだけで、セドリックは呆れたような目で俺を見てため息をこぼす。

 

 

「……みんな、調教されすぎじゃない?」

「いやぁ俺がカリスマ的世界最強に美しいばかりに!」

「それは否定しないけど」

 

 

セドリックは苦笑しつつ、「寮に戻ろうか」と言う。セドリックもなんだかんだ俺の決定には深く反対することは無い。あんまり寮杯に執着していないのかもしれない。

 

 

 

 

次の日の夜は学年度末パーティが行われ、各寮の長机には金色の食器が整然と並べられていた。

二つの寮が同点一位なため、大広間は赤と黄色で飾られ、グリフィンドールの獅子、ハッフルパフの穴熊が描かれた巨大な横断幕がハイテーブルの後ろの壁を覆っている。描かれている2匹の動物は戯れ合うようにして横断幕中を駆け巡り、誰もが目を輝かせ頬を高揚させながらそれを見ていた。

 

 

「また、一年が過ぎた!」

 

 

教師陣の中央に座っていたダンブルドアが立ち上がり、両手を広げながら朗らかに言う。その途端、ガヤガヤとしていた生徒達皆が静まり返りダンブルドアに注目した。

 

 

「一同、ご馳走にかぶりつく前に老ぼれの戯言をお聞き願おう。何という一年だったろう。君たちの頭の中も以前と比べて少し何か詰まっていればいいのじゃが……新学年を迎える前に君たちの頭の中が綺麗さっぱり空っぽになる夏休みがやってくる。

それでは、ここで寮対抗杯の表彰を行うことになっとる。点数は次の通りじゃ。

四位、レイブンクロー385点。三位、スリザリン、433点。そして実に327年ぶりの同点一位、グリフィンドールならびにハッフルパフ、473点」

 

 

その瞬間、ハッフルパフとグリフィンドールから嵐のような歓声と足を踏み鳴らす音が聞こえた。一部ブーイングを出したのはスリザリン生であり、流石に俺が所属するハッフルパフではなくグリフィンドールが急に一位にのし上がったことが不満なのだろう。

 

 

「よしよし、諸君たちは、グリフィンドールが一夜にして160点もの大量加点をした理由を聞きたいのじゃろう。説明しようかの。まず、最初はロナルド・ウィーズリー君──」

 

 

その言葉で一気にロンに注目が向き、ロンは赤毛よりもさらに顔を赤くさせて硬直した。

 

その後続いたのはハーマイオニー、ハリー、そしてハリー達を止めようとしたネビルに加点したのだと説明があり、概ね俺の想定の範囲内の点数だった。

ハリー達の噂は皆耳にしていたが、初めてダンブルドアがそれを事実だと証明し、グリフィンドール生だけでなくレイブンクローやハッフルパフ生がハリー達に「よくやった!」と喝采を送る。

 

スリザリン生は不服そうな顔をして皆しらけきっていたが、その中でドラコだけは胸の前でハリー達を讃え小さく手を叩いていた。ハリーとロンとハーマイオニーもそれに気付き、嬉しそうににっこりと微笑む。

 

 

「平和に終わったなぁ」

「学年度末パーティで不穏なことなんてないでしょ」

 

 

彼らの友情のほのぼのとした雰囲気を見てつい呟けば、セドリックが答える。

いや、本来ならかなり不穏だしハッフルパフ生のメンタルバッキバキにされていた可能性が高いぞ。

 

 

「──それでは、はち切れんばかりに掻っ込むのじゃ」

 

 

ダンブルドアが手を叩いた途端、目の前の金皿に大量のご馳走が並び、皆が待ってましたとばかりに大歓声を上げてフォークとナイフを掴んだ。

 

 

 

ーーー

 

 

ホグワーツ生活三年目も、そこそこ予定通りに終わった。

クィレルを生かしたのは思いつきで想定外だったけど、まあアズカバン行きだしハリーが学生生活送ってる間は多分ぶち込まれているだろうから、大きな流れに影響はない──と思いたい。

 

試験の結果は例年通り実技で通常より難易度が高い魔法も楽々クリアし、満点の5倍ほどの点数を叩き出し、ペーパーテストの残念な結果を補い、総合計でいえば上の下、というところだろう。

 

 

「また夏休み、僕の家に泊まりに来ない?」

「そうだなー、夏休みはモデルの仕事がまあまあ詰まってるけど、オフの日があったら連絡する」

「母さんも父さんもすっかりノアのファンだからね、大歓迎するし無理にでも日を合わせると思うよ。……この写真集、親戚中に配ったって言ってたし……」

 

 

ホグワーツ特急のコンパートメントで、セドリックは新しく発売された俺の写真集を広げ少し恥ずかしそうに笑いながら頬を掻く。

数週間前に発売された写真集は、完全オフショット集でありセドリックとフレッドとジョージが撮った写真で構成され、三人は結構なページで写っている。

 

 

「ノア・ゾグラフと親友なんて、末代まで自慢できるぞ!って手紙で書いてたし、友達だって知られてから……サインが欲しいっていう親戚からのフクロウ便が本当に──すごい事になってるんだ。それこそ会ったことがない遠い親戚までね」

「サインかー。そういや夏休み中、ダイアゴン横丁の書店でサイン会するかもってマネージャーから連絡があったなぁ」

「そうなの?……うわぁ……」

 

 

ダイアゴン横丁でサイン会かあ、と呟いたセドリックは、何やら難しい表情で黙り込んでしまった。

 

 

「何だ?」

「圧死者がでなければいいね」

「あー……なんか、魔法省に通行整理だとか警備を頼むとかなんとか言ってたなぁ……サイン会も抽選だとか」

「うわ。暴動が起きるね、それ」

 

 

セドリックの言葉はあながち当たらずとも遠からず、かもしれない。抽選に外れた人は泣き叫び狂ったように暴れることだろう。

 

 

「その日が決まったらすぐに教えてね」

「お、来るのか?」

 

 

わざわざ来なくても、サインなんていつでも書く──そう言おうとしたが、セドリックは真剣な表情で首を振った。

 

 

「まだ死にたくないから行かない」

「ひでぇな!」

 

 

あんまりな言い分に思わず叫べば、セドリックは楽しそうに笑った。──目が大真面目だったのはきっと見間違いだな!

 

 

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