兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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67 サイン会前

 

 

 

アーサーはハーマイオニーの両親と共に漏れ鍋でお茶することになり、モリーはジニーと制服を買いに行った。パーシーは完成された友人たちの輪に入るのが気まずいのか一人別行動をし、俺とハリーとロンとハーマイオニーとドラコ、それにフレッドとジョージの七人でダイアゴン横丁をぶらぶらと歩く。

 

途中でフレッドとジョージは悪戯専門店に行ってしまい、五人となった俺たちはアイスクリーム店でアイスクリームを購入しウィンドウショッピングしたり、高級クィディッチ用具店で食い入るようにプロチームのユニホームを見るドラコとロンとハリーに呆れたりしつつ、新年度に必要な用品を買い進めていた。

まあ、それなりに穏やかで楽しいショッピングとなっただろう。

 

 

一時間後、ハリーとロンとハーマイオニーはフローリシュ・アンド・ブロッツ書店でアーサーやモリー達と待ち合わせ、ドラコはルシウスと待ち合わせのために自然とダイアゴン横丁の奥の方にある書店へと向かう。俺がメイソンに言ってた時間も一時間だし、少し過ぎちゃったけど書店にハリー達を送り届けてからメイソンのところにいけばいいかな。

 

店へ近づけば近づくほどに人が多くなり、ざわざわと賑やかな声が至る所で聞こえてきた。それもそのはずだろう、書店付近はダイアゴン横丁やノクターン横丁にいるすべての買い物客が集合しているのかと思うほどの人の多さだった。

書店の入り口にも近づけず、ハリーとロンとハーマイオニーは呆気にとられた表情で人集りの群れを見つめる。

 

 

「な……何この人……」

「ノアのサイン会があると言っただろう?それに並んでいる人と、抽選は外れたとしても生のノアを一目見たい野次馬だな」

 

 

書店の上階の窓には大きな横断幕がかかり、『世界的トップモデル 5000年に一人の逸材 ノア・ゾグラフ 写真集No.7発売記念サイン会』と書かれていた。

抽選に見事当選し並んでいる人は並べない人たちに自慢げで余裕綽々な表情を見せ、それ以外の人達は規制線のようなロープに阻まれていてその前にはコートのような分厚いローブを着た屈強な魔法使いが睨みを効かせている。

多分、あの男達がメイソンが言ってた魔法省から派遣された警備員なんだろう。

 

 

「サイン会まで後二時間以上あるのになぁ……当選券持ってたら絶対入れるんだろ?」

「ああ、そのはずだ。……ん?ノアのサイン会の前に別の人のサイン会もあるようだな」

 

 

長蛇の列を見てドラコはやや不安そうにしつつ、人混みの隙間からちらりと見えた看板を見て呟いた。

よく見れば俺のサイン会当選者は入店せず、『ノア・ゾグラフ サイン会先頭』という文字が浮いているその前にきちんと並んでいる。その姿はまるでコミケの大手壁サークルにお行儀よく並ぶ人たちみたいだ。

俺目当ての野次馬も入店しないで店の周りを囲んでいるだけで、近づけないのは警備員が威嚇しているのと、さすがに俺が登場する時間には早すぎるからだろう。

 

書店の入り口はよく見れば普通の客が行き来できるスペースはしっかりと確保されていて、俺が来ることの混乱を見越したメイソンがその辺りの体制をちゃんと整えたんだろうなぁ。流石に何の対応もしていないと大混乱大乱闘そして大炎上待ったなしだ。

 

 

その入り口の近くには看板が建てられていて、『ギルデロイ・ロックハート サイン会 自伝・私はマジックだ──本日午後十二時半から一時半』と書かれていた。

あーそうそう!ロックハートのサイン会!ロックハートも嫌いなキャラじゃないんだよなぁ、なんていうか、憎めないかんじ。ああいう性格のキャラってハリポタでは他にいないし、まじで貴重だよなぁ。ギャグ的な意味で。炎のゴブレットとか不死鳥の騎士団あたりでロックハートが居たらいい感じで暗い雰囲気がマイルドになるのに。

 

 

「書店に行っても、ノアは……その、バレない?」

 

 

ロックハートのことを考えていたら、ハリーが俺の服を引っ張り小声で囁いた。

確かに、あの人たちはアーサーとはまた違うからなぁ。

 

 

「あー……どうだろうな。知り合い以外にはバレにくいとはいえ、あそこにいる人たちは俺が来ると思って待ってるだろ?全く意識しないのと、してるのでは効果が違う気がするんだよな。ここまで大人がいたら透明化魔法使っても問題ないだろうけど。──だけどさ」

 

 

俺はハリー達に向かいニヤリと悪戯っぽく笑い、被っていた帽子を脱ぎ、眼鏡を外した。

 

 

「──この天下のノア様がファンの前でそんな慎ましい事をするとでも思うか?」

 

 

メイソン──いや、事務所はクレームを恐れてしっかりと対策を練っていただろう。

それでも、やっぱりこそこそと買い物をするのは性に合わない!ハリー達とショッピング中は我慢してたけど、もういいだろう。いい加減サングラスつけっぱなしで鼻根らへん痛くなってきたし!

 

 

髪を後ろに流しながらそう言えば、ハリーとドラコは目を輝かせ「それこそノアだ!」と叫び、ロンとハーマイオニーは引き攣った顔をして一歩──いや、十歩ほど後ろに下がった。

 

その瞬間、俺の鈴を転がしたかのような美しい声と、天界から舞い降りた天使を思わず美貌を見た人たちは一度静まり俺を食い入るように見つめた。

 

 

「きゃあああああーー!!」「ノア様ーー!!」などなど。とんでもない音量の叫びがダイアゴン横丁全域に響いただろう。

警備員達も突然現れた俺に──間違いなく想定外だったんだろう──唖然としていたが、プロはプロ。すぐに俺に襲い掛かろうとする人たちを魔法を使って捕縛していた。

 

 

「みんな、来てくれてありがとう!でも時間はまだだよな?書店に迷惑になるし、みんなは静かに待てる──いい子だよな?」

「──っ!!」

 

 

ね?と困った顔でお願いしてみれば、何十人かはその場でくたりと倒れ気絶し、何十人かは必死に口を押さえ壊れたおもちゃのように頷き、何十人かは涙を流して俺を拝み出した。

 

一気にお利口になり統率が取れた俺のファン達を見て、警備員達は安堵しつつも急に暴れ出す可能性を捨てきれずしっかりと警戒を怠らない。

よし、これで静かになったし、強めにお願いしたからある程度の効力はあるはずだ。──俺が本気でお願いすると、マジでインペリオかけたみたいになっちゃうんだよなぁ。

 

 

「よし、今のうちにさっさと必要な本買いに行──」

「ノア!こんなところに居た!」

 

 

店内に進もうとしたところで、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。

統率されたファンの様子に若干顔を引き攣らせつつ俺のそばに駆け寄ってきたのは漏れ鍋で待っているはずのメイソンであり、帽子とサングラスをつけていない俺を見て大きくため息をつく。

 

 

「ものすっっごい叫び声が漏れ鍋まで聞こえてきて何かと思ったら……無事みたいでよかったけど」

 

 

俺の頭からつま先まで見て怪我も服装の乱れもなく、いつも通り美しい事を確認してからメイソンは苦笑した。

 

 

「この人誰?」

 

 

ハリーが俺の腕をぎゅっと掴みながらメイソンを睨む。メイソンは目を瞬きハリーの様子に少し驚いたようだったがそれでも彼は俺の専属マネージャーであり、立派な大人だ。余裕の表情でハリー達に微笑みかけ、胸ポケットから名刺を取り出した。

 

 

「僕はノア・ゾグラフの専属マネージャー、メイソン・キャンベルだよ。君はハリー・ポッター、ノアの幼馴染で孤児院の近くに住んでいる子だね。君はドラコ・マルフォイ、スリザリン生だけどノアとも仲良くしているみたいだね。君はロナルド・ウィーズリー、あのウィーズリー家の子だろう?君たちの兄のフレッドとジョージには弊社もお世話になっていてね。君はハーマイオニー・グレンジャー、両親はマグルでさっきまでアーサー・ウィーズリーとお茶していたね。とっても優秀だとか」

 

 

ハリー達が名乗る前に全員の名前を言いながらメイソンは名刺を一枚ずつ手渡した。魔法族にとって有名なハリーはともかく、それ以外のドラコとロンとハーマイオニーはまさか自分の名前だけではなく簡単なプロフィールまで当てられるとは思わず、ぽかんと口を開いたまま名刺を受け取った。

 

 

「な、なんで知ってるの?」

「そりゃあ。ノアの専属マネージャーとして交友関係を把握するのは当然だからね。それも仕事の内さ」

「メイソン。さてはホグワーツにスパイがいるな?」

「そんな事しないさ!ノア、君は君が思っている以上に噂の的なんだよ。ちょっとホグズミードの三本の箒に行くだけでどんな情報だって手に入るからね」

 

 

メイソンは軽く言うと腹の内を読ませない笑みを浮かべる。まぁ、確かに俺はホグワーツの中で最も有名人であり、様々な噂や目撃情報はたまた今日の朝ごはんのラインナップまで飛び交っている事だろう。

 

 

「ノア、他の人がサイン会してるみたいだ。……うーん、同業者が入るのは良くないんだよなぁ」

「とんだ営業妨害だもんな」

 

 

メイソンは入り口から中の様子を確認して小さく唸る。お忍びスタイルならまだしも、完全にオーラ出しまくりの状態で堂々と入るのは業界のマナー違反、となるのだろう。

 

 

「じゃ、ハリー達は入って買っておいで。もうアーサーさん達も中にいるんじゃないか?」

 

 

ハリーとドラコは残念そうにしたが、約束していた一時間はすでに過ぎている。あまり保護者達を心配させるのも悪いと思ったのか、何度も俺に手を振って書店の中へと入って行った。

 

 

「まだノアのサイン会までは時間があるし、一度事務所に戻るかい?」

「そうするか」

 

 

戻ろうかと思った瞬間、店内からわっと歓声が上がり割れんばかりの拍手が聞こえてきた。ロックハートって、確か原作でもなかなかのイケメン設定だったよなぁ、後数週間もすれば学校で会えるとはいえ……気になる。

店内を覗き見てみれば、ハリーがロックハートと握手をしていてカメラマンが何度もシャッターを切っていた。あー確かにイケメン、ってかおばさま達から人気が出そうな感じ。

 

 

見ていたらと引き攣った表情のハリーとぱちり、と目が合い、ハリーが何かをロックハートに訴え──ロックハートもこちらを見た。

「ノア・ゾグラフ!」と、ロックハートが叫び店内にいた客が一気にこっちを向いた。

ロックハートはハリーを放り出すようにして突き飛ばし真っ白な歯を見せ満面の笑みでこちらに駆け寄り、勢いよく扉が開け放たれる。そのままロックハートの腕が俺に伸びた。

 

 

「ノア・ゾグラ──」

 

 

しかしその腕は見えない透明な壁に弾かれ、ロックハートは衝撃で二歩ほど後ろに下がった。

 

 

「申し訳ありません。ミスター・ロックハート。弊社のモデルにお触りは厳禁でして」

 

 

メイソンは杖を片手に、にこっと営業スマイルを見せながらロックハートと俺の間に立ち、さりげなく牽制した。──おお、その辺の警備員よりも反応が早いし、あのロックハートに何より有無を言わせない威圧感!

ちょっと頼りないかなーって思ってたけど、意外だな。

 

 

「弊社モデルとの共演の依頼ならば、こちらへ連絡お願いします」

 

 

メイソンは素早くポケットから名刺を取るとロックハートの手に押し付け「それでは、失礼致します」と言いながら頭を下げて俺の腕を優しく掴んだ。

 

 

「ちょ、ちょっと待っ──」

「ロックハート先生、またね」

 

 

ぽかんとしていたロックハートだったが俺を逃すわけにはいかないと慌てて手を伸ばしたが、それよりも早く俺は後ろに下がり、ひらりと手を振った。

群集やロックハートの姿が一瞬で消え、遠くへ流れて行く。瞬き一つする間に目の前の光景は見慣れた事務所へと変わった。

 

 

「──さて、後二時間はあるね。紅茶?それともバタービール?」

「うーん、紅茶で!」

 

 

メイソンは何事も無かったかのように言い、休憩室へと俺を案内する。俺も気にせずその後について行った。

 

──ちなみに、二時間後にあったサイン会は何人もが気絶したことを除けば大きな混乱もなく終わった。

ドラコは満面の笑みで俺にサインを貰い、かなり高そうな宝石付きのブローチをプレゼントしてくれた。

その隣にはルシウスもいて、頬に殴られたような痕はなかった。おそらくドラコとハリーとロンが友人だから喧嘩をする事は無く、ルシウスも息子の友達の父親を馬鹿にするのは大人が無さすぎると思ったのか──アーサーと乱闘はしなかったのだろう。

トム・リドルの日記の行方が少し気になるけれど、まぁ学校が始まったらわかるだろう。世界は、ある程度原作通り進むっぽいし。

 

 

 

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