兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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07 9と4分の3番線

 

俺は大きなトランク──これはライカママが買ってくれた──をガラガラと転がしながらキングズ・クロス駅を歩いていた。

駅まではライカママが車で送ってくれて、くれぐれも変質者に注意するように何度も耳にタコが出来るほど言って、最後に俺を強く抱きしめて見送ってくれた。

 

 

俺にとって、1番難関なのは──間違いなく、人目につかずに9と4分の3番線に入る事である。いや、だって俺が人から見られないなんてあり得ないし?

今それとなく9と4分の3番線にいくところの柱に寄りかかってるけどさ、みんな俺を真っ赤な顔で見ているし。

 

 

うーん、どうしたものか。

 

 

 

「──君、君はホグワーツの生徒かな?」

「ん?…うん、そーだよ」

 

 

突然話しかけられてまた変態さんかと少し身構えたけど、ホグワーツの事を知ってるって事は魔法族であり、俺が背中をつけてるこの柱に用があるんだろう。

うん、さっきからホグワーツに行くっぽい家族の集団が何組もちらちら俺を見てるしな。俺が通せんぼしてる形になって邪魔だよな、普通に。

 

話しかけたのは褐色の顎髭を持つ、恰幅のいい身体の中々にイケオジな人だ。その隣には俺よりも背が高いイケメンが、俺を見て頬を真っ赤に染めて「まさか…ノア…?」と呟いている。

 

 

「君は…ノアだね。私は、エイモス・ディゴリー。こっちは息子のセドリックだ」

「セドリック・ディゴリーだよ。…よろしく」

「ノア・ゾグラフだ、よろしく!」

 

 

イケメンだと思ったら、やっぱセドリックか!いやー…イケメンだな、正統派イケメンって感じ。男性アイドルグループにいそうな感じの爽やかイケメン!俺とはまた系統が違うな。

 

 

「ノア、…入らないのかね?」

「あー…俺って目立つから、マグルがずっと見てて…入れないんですよね」

「ああ…成程。…ふむ──では、私が少し離れたところで荷物を盛大に落としてマグルの注意を引くから、その間にセドと行ってしまいなさい」

「わぁ!助かります!」

 

 

荷物を落として注意を引くなんて原始的な行動だけど、まぁ、マグルの前であんまり魔法使いすぎると法に触れるのかな?ややこしいよなぁあの法律。

 

にっこりと笑ってセドリックの手を掴めば、セドリックはあわあわとしたが俺の手を振り払う事はなかった。

エイモスはなんか嬉しそうに笑みを深めて「じゃあな、セド。後で私は行くから」と告げてすぐにその場を離れた。

 

 

「いいお父さんだなぁ」

「あ、ありがとう」

 

 

そのすぐ後にドンガラッシャーン!とけたたましい音が響き、俺を見ていたマグル達が何事かと視線を逸らした隙に、俺とセドリックは柱を走り抜けた。

 

 

その先には、真っ赤な汽車がもくもくと煙を上げていた。

ユニバで見たホグワーツ特急と同じだ──すごい。俺、本当にホグワーツに行くんだな…!

 

 

「なあセドリック。お前も一年生?」

「そうだよ、ノア…君も?」

「ああ、仲良くしようぜ!」

「勿論!」

 

 

セドリックは嬉しそうに笑って、繋いでいた俺の手に力を込めた。

 

 

「ちなみに、俺は男だから」

「……えっ……嘘でしょ?」

「マジ」

 

 

セドリックは目を見開いて俺をまじまじと見つめ「嘘だよね?」とまた呟く。

そんなに信じられないか?まぁ、どうみても見た目女の子だからな!美しさって罪!

 

 

「マジだって──ほら」

 

 

繋いだままだったセドリックの手を、俺のブツがあるズボンの上に当てる。

セドリックは「ひぇ」みたいな小さな悲鳴を上げ、顔から煙が出るんじゃ無いかというぐらい顔を真っ赤に染めて手を振り払いものすごい勢いで飛び退いた。

 

 

「なっなななな…!」

「ちんこついてただろ?」

「ちっ……そ、そうだけど…そうだけどさぁ…」

 

 

セドリックは顔を赤くしたまま触った右手をぎこちなく動かしていて、チラリと自分の手のひらを見て──首元まで真っ赤に染めた。

…なんだよ。男同士なんだから別に恥ずかしがることないだろ?

 

 

「──おや、どうしたんだね?」

「なんでもないよ!」

 

 

現れたエイモスが顔を真っ赤にしてるセドリックを見て不思議そうに首を傾げたが、セドリックは勢いよく食い気味に答えると気を取り直すかのように頬を何度もぱちぱちと叩いた。

 

 

「セド、ホグワーツでの生活を大いに楽しむように。──可愛いガールフレンドが出来るのを期待しているからね」

 

 

エイモスはセドリックの頭を撫でながら、俺に意味ありげなウインクをした。

あー確かにセドリックにはチョウ・チャンっていうガールフレンドが出来るんだっけ?いやー…チョウは可愛いけど、すぐハリーに鞍替えするからなぁ…まぁ、モテる学生ならありがちな恋愛観って感じなのか?

前世でモテたことのない俺はわからない!だが、今の俺は違う!可愛い女子を取っ替え引っ替えやる予定だ!……でも、穴兄弟になるのは嫌だし、チョウには──原作キャラと恋人関係になる子には手を出さないでおこう。うん。

 

 

「もう!何言ってるの…」

 

 

セドリックは恥ずかしそうにもじもじとしながらも、頭を撫でられて嫌ではないのだろう、振り払う事はない。

 

 

 

ホグワーツ特急の汽笛が大きく響き、間もなく発車するのだと知ったセドリックはエイモスにぎゅっと抱きついた。

 

 

「いってきます、父さん」

「ああ──行ってらっしゃい」

 

 

そうか、普通の子どもからすれば初めて長い間親元を離れることになるもんなぁ。

暫くの別れだ、邪魔しないようにちょっと離れてようかな。

 

 

俺はトランクを浮かせてホグワーツ特急に乗せ、車内に乗り込んだ先でセドリックを待つことにした。

すぐにセドリックは重そうなトランクをエイモスに手伝ってもらいながら押し上げ、俺の隣に並ぶ。

すぐ後に汽車がゆっくりと動き出し、セドリックは身を乗り出してエイモスが見えなくなるまで大きく手を振っていた。

 

 

「空いてる席、探しに行こうぜ?」

「…うん、そうだね」

 

 

セドリックの声は涙声で少し震えていたが、俺は気がつかないフリをして先に進み、後方になんとか無人のコンパートメントを見つけ、その扉を開いた。

 

 

 

 

すぐに上にある棚に軽くしているトランクを詰め込む。

セドリックは顔を真っ赤にして重そうにトランクを持ち上げていたから、そのトランクを撫でて軽くし──いきなり軽くなったため、セドリックは勢いよく棚にトランクを押し付けることとなった。

 

 

「い、今のは?」

「重かったんだろ?ちょっと軽くしただけさ」

「…凄いね」

「そうか?」

 

 

こんなの、多分誰でもできるようになるさ。と伝えてあまり柔らかくない椅子に座る。窓の外を見れば景色が速いスピードで過ぎ去って行く。ついにホグワーツか!いや、この前遊びに行ったけど、早く授業受けたいなぁ。

 

 

「…そういえば、ノア…その…あの記事は…本当?ホグワーツの教師と恋人同士っていう…」

 

 

セドリックは俺の前に座り、なんとも微妙な顔で俺に聞いた。…もしかして、これからホグワーツに行くたびにこれ聞かれるのか?ちょっと面倒だなぁ。

 

 

「いや、恋人同士じゃない。俺はマグルの孤児院で暮らしてるからさ、なんか担当する教師がつくらしくて…セブルス先生は俺の担当なんだよ。んで、入学に必要なものを買うためについてきてくれたんだ。そこを撮られたんだな」

「えっ…孤児院?そうなんだ…。…ごめん」

「別に気にしてねーよ」

 

 

セドリックはすぐに顔色を変えて申し訳なさそうに眉を下げた。

いやいや、別に孤児院出身だからって気にしなくてもいいと思う。ヴォルデモートが開戦した馬鹿でかい魔法戦争があったらしいし?そんな時代だったんだから、孤児だってある程度居そうなもんだけどなぁ。…そういや、ハリポタキャラで孤児って…リドル以外に居ないな?

 

しんみりした空気を変えるために、俺は冗談のつもりで明るく言った。

 

 

「ま、セブルス先生の事は一方的に好きだけどな!」

「えっ」

「かっこよくね?」

「うーん…写真で見た限りでは、…その、ちょっと厳しそうな人だなぁって…」

「確かに、それは言えてる」

「…ノアは、ああいう人がタイプなんだ」

 

 

 

タイプかタイプじゃないかと言われればめちゃくちゃタイプです。

いや、だがなんかセドリックの言い方は恋愛的な意味で聞いてる気がするぞ。

人間的にセブルスの事は大好きだが、恋愛的な意味は無い!俺は同性愛者じゃない。普通に巨乳の女の子が大好きだ!ちょっときつめの見た目で、リードしてくれるお姉さんみたいな感じの。

 

 

「言っておくが、俺は普通に巨乳の女の子が好きだからな!リードしてくれる歳上のおねーさんがタイプ!」

 

 

胸を張って言えば、セドリックはぽっと頬を赤らめて苦笑した。

 

 

「なんだか…ノアは、見た目とのギャップがすごいね。…きょ…巨乳、とか…」

「あん?健全な男子なら当たり前だろ?セドリックはちっぱい派か?」

「えっ、そ、そんなの考えた事無いよ!」

「嘘つけ!11歳だろお前!正直に言えよ、どんな子がタイプなんだ?ん?」

 

 

純情ぶらなくとも、ここは男しかいない!健全な11歳の男子ならエロ本の一つや二つ、親の目を盗んでこっそり読んでるだろ?魔法界のエロ本ってめちゃくちゃ興味あるな…動くのかな…。

 

 

戸惑い真っ赤な顔で首を振るセドリックに、にやりと笑いかけ隣に移動して肩を組めば、セドリックは息を飲んで俺の目を見つめた。

 

 

「──ノ、ノア…」

「ん?」

「…っ…君がタイプだ!」

「……は?」

 

 

え、セドリックって()()()

偏見は無いけどさ。俺だってオタクだったからな、薔薇も百合も勿論知ってる…だが俺はかわいい男の娘が好きなノーマルである。前世のネッ友には可愛い男の娘が好きならBLもいけるいける!と言われ嗜んだこともあるが、それはあくまで二次元での話だ!

いや、ぶっちゃけ男の娘で抜いたこともあるから、素質あるって何度も言われたが。

 

 

思わずセドリックの肩に回していた手を外せば、セドリックは慌てて首を振った。

 

 

「そのっ!誤解だ!──いや、誤解じゃない、けど」

「どっちだよ」

「──女の子だと思ったんだ。一目惚れで……その、日刊預言者新聞の写真を見て…──まさか、男の子だったなんて…思わなくて」

 

 

セドリックは真っ赤な顔で俯き、しどろもどろに呟く。

まぁ、俺の事を初見で男だと断言できる人は多分存在しない。

ある程度髪の毛が短ければよかったのかもしれないが、この美しくて可愛くて愛らしい美貌には、肩下辺りの髪がとても似合うから切るつもりなんて毛頭も無い!むしろこれから伸ばそうかなって思ってるくらいだ、ルシウスみたいに1つで結ってみたいし。

 

俺に一目惚れかぁ。それは仕方がないかな?ハリーもそんな感じだったし、俺の美貌は罪深い…!

 

 

「あー…。…ご愁傷様?」

「…初恋で、失恋だよ…。…本当に、女の子じゃないんだよね?」

「もう一回触──」

「触らない!!」

 

 

食い気味にセドリックは叫んだ。

その必死な声と、真っ赤な顔が面白くてけらけらと笑えば、セドリックはムッとしたもののすぐに同じように笑った。

 

 

「僕の事は、セド、でいいよ。親しい人はそう呼ぶから…君にもそう呼んで欲しいんだ」

「初恋相手だしな?…改めて──よろしく、セド」

「もう!……よろしくね、ノア」

 

 

茶化して言えばセドリックは頬を膨らませたが、俺の手をしっかりと握ってくれた。

 

 

 

暫くセドリックから魔法界の事や、寮の特徴、はたまた組分け方法などを聞いて──知ってたけど、まぁ楽しそうに話すからいいか──時間を潰していた。

セドリックは時たまコンパートメントの扉にある窓をちらちらと見て、肩をすくめる。

 

 

「…すごいね、もう何百人も…この扉の前を通ってる」

「ん?」

 

 

セドリックが顎で扉を指し、俺もそちらを見る。

丁度背の高い男子生徒がこの中を覗き込んでいて、俺と目が合うと頬を赤らめて慌てて退散した。──その後にすぐ別の女生徒が見に来てまた、頬を赤くして消える。

 

 

「セドリックはイケメンだし、俺は世界一の美貌だからだな」

「…いや、僕よりも、ノアを見に来てるんだと思うけど…」

 

 

セドリックは苦笑しながら謙遜するが、なかなかイケメンだと思うぞ?爽やかだし、めちゃくちゃ女ウケ良さそう。

 

次は誰がここを覗き見するかな?と思い扉を見ていたら、チラッと赤毛が見えた途端、大きな音を立てて扉が開いた。

 

 

「こんなところにいたんだ!」

「僕らの天使!」

 

 

真っ赤な赤毛と、特徴的なソバカスと悪戯っぽい笑顔×2。

全く同じ顔の2人はすぐにコンパートメント内に入ってくると、俺の前に立ち、頬を赤らめ目をキラキラと輝かせた。

 

 

「おお!近くで見るとさらに美しい!まさに天使だ!」

「ここが桃源郷だ!」

「天国だ!」

「まてよ?天国ってことは僕らは死んだのか?」

「こんな天使がいるならそれでも構わないさ!」

「違いない!」

「「さあ、天使様?あなたのお名前は?」」

 

 

漫才のようにテンポ良く掛け合っていた2人は、それぞれ右腕と左腕を広げ俺に向けた。

 

 

「俺はノア・ゾグラフ。君たちは?」

「俺はフレッド・ウィーズリー!」

「俺はジョージ・ウィーズリー!」

「「よろしく!」」

 

 

知ってたけど。どう見てもフレジョだよな。

手を差し出されたから、とりあえず両手を使って2人と握手すれば「この手、もう洗えない!」と2人は歓声を上げて飛び跳ねた。

 

興奮した2人は踊るように互いの腕を組んでくるくる回っていたが、暫くして落ち着くと、胸を抑えながらなんの躊躇いもなく空いている席に座り──ようやく、セドリックの存在に気がついたようで目を見開いた。まじで気がついてなかったのか。

 

 

「おや、もう1人いたんだ?君は?」

「あー…セドリック・ディゴリー」

「よろしくセドリック!俺はジョージ!」

「俺はフレッド!」

「よろしく…」

 

 

セドリックは曖昧に笑いながら、にやりと悪戯っぽく笑うフレッドとジョージと握手した。

 

 

「さっきと言ってる名前が違うじゃねーか」

 

 

さっきはフレッドと名乗っていた方が今はジョージと名乗ったぞ。どっちが本当なんだと首を傾げれば、2人はぱっと俺を見て満面の笑みを見せた。

 

 

「よくわかったね!?」

「母さんでも間違うのに!」

「そうか?さっき俺に言ったのが正解なんだな?」

「そうとも!」

 

 

フレッドとジョージは嬉しそうに笑うが、単に2人の性格を原作で読んで知ってたから、悪戯っぽく企むように笑ったあの顔を見てきっと別の名前を言ったのだと思っただけだ。

多分、普通に言われたら間違える自信がある。──あ、でもよく見たら魔力の雰囲気?っていうのか?ちょっと違うな。

 

 

2人はそのままこのコンパートメントに居座り、漫才のようにぺらぺらと沢山喋った。

 

 

暫くして車内販売員が現れ、カートに入った沢山の菓子や軽食の説明をする。

フレッドとジョージは──家が裕福ではないんだろうな、物欲しそうに見ながらも何も買わなかった。

セドリックは蛙チョコとサンドイッチを購入した。

 

 

「うーん、俺、お金ないんだよなぁ…美味しそうだなぁ…」

 

 

ちらり、と販売員の魔女を上目遣いに見る。

途端にいつものように顔を赤らめて「サービスよ!他の子にはナイショだからね?」と言って沢山のお菓子を俺の腕の中に落としてくれた。

 

 

「ありがとう、おねーさん!」

 

 

にこっと笑えば、おねーさん…よりはおばさんだったけど、魔女は「あらまぁ!」と嬉しそうに頬を赤らめて追加のお菓子を俺の腕の中に落として、何度も俺に手を振り熱い視線を向けたまま名残惜しそうに次のコンパートメントへ向かった。

 

 

「よーし、みんなで食べようぜ!」

 

 

流石に1人じゃ食べきれないし。

俺と隣に座るセドリックの間にどさどさと沢山のお菓子を山のように積み上げて言えば、フレッドとジョージは歓声を上げて大きな魔女鍋ケーキを掴み、大きな口で頬張った。

 

 

「ありがとう!天使様じゃなくてノアは女神だ!」

 

 

ジョージが口の周りにクリームをつけながら目を輝かせる。なんだか餌付けしてるみたいだな?

俺はどぎつい蛍光色のカップケーキを食べながらニヤリと笑った。

 

 

「残念、俺は女神じゃない。──男だからな」

「「ええっ!?」」

 

 

フレッドとジョージは手に持っていたケーキをぽろりと落とし、ぽかんと口を開いて驚愕の目で俺を見つめる。

隣にいたセドリックは肩をすくめて「やっぱりそう思うよね?」と呟いた。

 

 

「…本当?今まで見た誰よりも可愛いのに…」

「ヴィーラだと思ったのに…」

「男だ。証拠を見せようか?」

 

 

カップケーキを口の中に押し込んで立ち上がり、ズボンのファスナーに手をかければ2人から「ストップ!!」と大声で制された。

 

 

「見せなくていいから!」

「まだ夢を見させてくれ!」

「…変なフレッドとジョージだなぁ」

 

 

夢を見させるって言っても。

残念ながらその夢はすぐに醒めるぞ。

 

 

フレッドとジョージの2人は俺が女の子では無いという衝撃から立ち直れないのか、暫く沈んだ顔をしてケーキを無言で食べていた。

 

 

 

 

 

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