兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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71 禁忌の言葉

 

 

 

ホグワーツ四年目が始まって初めての週末。

四年生ともなれば来年のめんどくさい試験に備えて大量の宿題を出されてしまう。

このままだとちょっとまずい。という事で土曜日の昼から俺とセドリックとフレッドとジョージは隠し部屋に集合していた。勿論、宿題をしようだなんて言い出したのはセドリックである。

 

そんなめんどくさい宿題中、まだ開始から一時間も経っていないが難解な魔法薬学のレポートに嫌気がさしたフレッドが「そういえば」と切り出した。

 

 

「こんな噂を知ってるかい?」

「噂?」

 

 

俺も宿題に飽き飽きしていたため呪文学のレポートをしていた手を止めて顔を上げる。

フレッドは頬杖をつき、ニヤニヤ笑いながら羽ペンを指先で回しつつ続きを話した。

 

 

「このホグワーツ1の美少年ノア様の想い人は、ギルデロイ・ロックハートである!」

「は?」

「え」

 

 

その言葉にセドリックは顔を上げ、ポカンと口を開けたまま俺を見る。

俺がロックハートを好き?まぁ好きなキャラではあるけど。別にロックハートに限った事じゃないしなぁ。

 

 

「ちなみに噂の発信源はロックハート本人さ。もちろん明言はしないで匂わせ程度だけどな」

 

 

ジョージも宿題の手を止め楽しげに言う。

ロックハート本人……めちゃくちゃ想像できる。俺の知名度と注目度に相乗りしたいだけだろ絶対。

閉鎖的なホグワーツではこの手の噂やゴシップは物凄いスピードが駆け回る上に、こういう話好きな人が多いからなぁ。

 

 

「セブルス先生にロックハート先生。俺ってそんなに年上好きのイメージでもあるのか?」

「年下よりはありそうだよな」

「おっと、可憐なる乙女トレローニー女史を忘れるなよ」

 

 

ジョージは深々と頷き、フレッドはニヤつきながら余計な一言を付け加えた。

まあ確かに、どっちかと言うと年上が好きではある。トレローニーはあの紅茶の匂いと分かりやすすぎる媚びがなぁ。トンボみたいな眼鏡がなければそこそこ美人な人だし。

 

 

「ぶっちゃけ、ノアの好みって何だい?」

「うわー!気になる気になる!」

「好み?あー。胸がでかい雰囲気キツめのおねーさん」

「ああー……リードしてくれそうな?」

「お姉さんに任せなさいボウヤ……的な?」

 

 

羽ペンの羽の部分で口元を隠しながらニタニタと笑うフレッドとジョージ。ここは隠し部屋で周りには誰もいないと知りつつも、こういう下世話な話をするときはついつい声量抑え目になりがちだ。

もうすぐ俺達は15歳。性に多感な時期であり勿論興味ありありで──あ、そういえば魔法界のエロ本見せてもらってない──顔を突き合わせてニタリと笑いあった。

 

 

「そうそう!柔らかくて手から溢れるくらいの胸がいいよな」

「腰が細くて割としっかりしてる方が──」

「いや、ぷにっとしてる方が──」

「ストーーーップ!!」

 

 

微笑ましい猥談に火がつきそうだったが、それを止めたのはセドリックだった。

「なんだよ」と言わんばかりの俺とフレッドとジョージの視線を受けたセドリックは「う」とたじろぎながらも顔を真っ赤にして眉を寄せる。

 

 

「そんな話してたらいつまでたっても宿題が終わらないよ!」

「ちぇーセドはノリ悪いなぁ」

「そうだよ。セドリックの好みは?」

「どうせ昔のノアみたいなきゅるんきゅるんの守ってあげたくなるような小さい女の子なんでしょ?」

「うっ……うるさいなぁ……」

「ま、ノアが男だって知るまではみんなの初恋だったしな」

「天使だったからなぁ、本当に」

 

 

昔の男の娘だった俺を思い出しフレッドとジョージはうっとりとしながら遠い目で何も無いところを見る。

今でも髪の長さは肩より下だし、その辺の女子よりもキューティクルありまくりの美髪であるが、細身とはいえやっぱ男性的な骨格が目立ってきた。成長期なのか、身長も伸びてきたし。

中性的ではあるが、成長すれば男寄りであり、俺は美少年とも美青年とも言えるような見た目に変化してきている。

流石に女の子に間違われる事は……骨格隠して化粧しない限りはないだろう。

 

 

「何人もの性癖曲げちゃったからなー」

 

 

へらり、と笑いながら冗談混じりに言えば、セドリック達は神妙な顔で「本当にね」と呟いた。

 

このまま猥談に花を咲かせたいところだが、セドリックの機嫌を損ねると宿題のヒントを教えてくれなくなる、と俺たちは百も承知のため顔を見合わせ肩をすくめ──黙って宿題を再開させた。

 

しばらくは羽ペンのカリカリと言う音と、フレッドとジョージと俺の唸り声、本のページを捲る音が続いていたが──このメンバーで大人しく宿題が続けられるはずもなく、一時間も経たないうちにジョージが再び「そういえば」と切り出した。

 

 

「スリザリンのクィディッチチーム、もう見たか?」

「え?──見てないなぁ」

 

 

ただの猥談や雑談ならばセドリックは俺たちを黙らせていただろう。しかし、内容はセドリックも興味があるクィディッチの事であり、ついついセドリックも宿題の手を止め顔を上げた。

 

 

「俺たち、午前中に競技場で練習だったんだ。でもスリザリンと時間被っててさ」

「あの親愛なる蝙蝠野郎殿のせいさ」

「ま、すぐ知ることになると思うけど──スリザリンチームは全員の箒がニンバス2001だったんだ」

「えぇ!?全員がニンバス2001!?」

 

 

セドリックは驚き勢い余って立ち上がる。

強く握った羽ペンはふるふると震え、口と目は驚愕で見開かれている。

ま、ニンバス2001は今売り出されている競技用箒の中でかなり性能が良くてそこそこ値段が高い。高いって言っても確か20ガリオンそこそこ……数万円だったはずだが、選手の七人全員分ってなるとまあまあの値段にはなる。

 

 

「新生シーカーのドラコ・マルフォイ様の施しだってさ」

「ノア、知らなかったのかい?マルフォイはノアにベッタリだろ?」

「あー。そういや明日の午前中、競技場に来てくれって言われてる。その時にお披露目するつもりだったんだろうな」

 

 

今日の午前中にあったらしい練習はいわば急に決まった物なのだろう。本当ならば明日が今年初めての練習で、その時に俺に見せてドヤ顔したかったんだろうなぁ。チームメイト全員の箒を買った事でクィディッチチームに入れた──としても、ドラコはそこそこクィディッチうまかったはずだし。

あーなんかそんな流れあった気がする。学校始まって最初の土曜だっけ?

 

 

「ど──どうだった?やっぱり最高の性能だった?」

 

 

セドリックは前のめりになり、真剣な顔でフレッドとジョージを見る。ハッフルパフの選手が持っている箒は俺が持っているニンバス2001が一番高性能だろう。買ったわけじゃなくてファンから数日前に送られてきたものだ。

魔法族が熱狂しているクィディッチとはいえ、箒は実費で用意しなくちゃいけないから学校の部活でするクィディッチに高い金を払って最高級の箒を与える親は多く無い。

良い機能を持ってても乗ってる人が扱えなきゃ宝の持ち腐れだしなぁ。

セドリックとしては、今シーズンからのスリザリンチームとの対戦を考え気が気ではないのだろう。

 

 

「それがさ」

「全くもってわからないんだ」

 

 

しかし、フレッドとジョージは楽しげに笑いつつ、演技かかった動作で肩をすくめ首を振った。

 

 

「え?……ああ、グリフィンドールの選手達が追い出されたとか?」

「いいや、追い出されたのはスリザリンチームさ」

「追い出されたっていうか、暴動が起きたと言うか」

「むしろ、革命だった」

「……何があったの?」

 

 

わざとらしく真剣な顔をして当時を思い出したように深く頷くフレッドとジョージに、セドリックは若干焦ったそうに先を促す。

確か、ドラコがハーマイオニーに穢れた血って言うんだよな。──いや、今のドラコは言いそうにはないけど。

俺も何があったのかは気になり、「早く言えよ」と催促する。フレッドとジョージはチラリと顔を見合わせた後、演技をやめた真剣な目で俺を見た。

 

 

「……何だ?」

「今から言うことは、ただの過去の事実だ」

「言うのも憚れる、とはまさにこの事。俺たちもノアに言いたくて言うわけじゃない。オーケー?」

「?……オーケー」

「──よし。では何があったのか話そうではないか」

「あれはそう、ウッドの長い演説が終わりようやくピッチに出て今から練習をやっと始める、そんな時──」

 

 

そう、前置きをした後フレッドとジョージは何があったのかを話し始めた。

 

 

 

 

 

 

グリフィンドールの選手達はまだ太陽が出てもいない早朝から競技場の更衣室でウッドの新しい練習方法を聞いていた。それは想像以上に長く、彼らがピッチに立てたのは太陽がしっかりと登った後だった。

ウッドの熱のこもった説明も、半分寝かけながら聞いていた選手がほとんどであり、ただの時間の無駄となってしまっただろう。

選手達を目覚めさせるためにはウッドの演説ではなく、朝の冷たい空気が頬を打つ感覚が確実で何人もが楽しそうに空を飛んだ。

 

 

フレッドとジョージはハリーと競争しながら競技場の周りを全速力で飛び回っていたが、ふと耳に入った異音に眉を寄せブレーキをかけた。

 

 

「変な音がするけど、なんだろ?」

「カメラ?──なんであの一年坊主は我々の写真を撮ってるんだ?今はグリフィンドールの時間だぜ?ノアがいるわけでも無いのに」

「全然知らない」

 

 

ハッフルパフチームの練習の時は本番さながらのような観客が集まり、誰もがカメラを手に黄色い声をあげるのだが、今この場所にノアはいない。──そう、彼の目的はノアではないのだ。

 

スタンドにいた少年はハリーが空を飛んでいる様子を必死にカメラで追っていた。ハリーはそれが──とんでもないことに──自分のファンだと言うコリンだと気付いていたが、恥ずかしさから知らないふりをした。

 

ハリー達が練習せず止まっている様子に異変を感じたウッドはすぐに風に乗って飛んできてハリー達のそばで停止し、カメラを構えるコリンに気付き顰めっ面をしながら睨む。

 

 

「気に入らないなぁ。我々の新しい練習方法を盗みにきたスリザリンのスパイかもしれないぞ」

「あの子、グリフィンドールだよ!」

 

 

ウッドの低い怒り声にハリーは慌てて言った。

 

 

「それに、スリザリンにスパイなんて必要ないぜ。──ご本人達がお出ましだ」

 

 

ジョージが指差した方をハリー達はすぐに見る。その先には緑色のローブを着込み、箒を手に数人がピッチに現れたところだった。

 

 

「そんなはずはない。このピッチを今日予約しているのは僕だ。話をつけてくる!」

 

 

ウッドは怒りで歯軋りしながら一直線にスリザリン生の元へ向かい、フレッドとジョージ、ハリーもその後に続いた。

 

 

「フリント!我々の練習時間だ。そのために特別に早起きしたんだ!今すぐ立ち去ってもらおう!」

 

 

ウッドはグラウンドに着地するとスリザリンのキャプテンであるマーカス・フリントに向かって怒鳴った。

身長が高く恰幅の良いフリントはウッドに睨み上げられても微塵も屈することなく、むしろ嫌な顔で嘲笑う。

 

 

「ウッド、俺たち全員が使えるくらい広いだろ?」

「いや、ここは僕が予約したんだ!」

 

 

両キャプテン同士の争いに、空を飛んでいた他の選手たちも一体何事かと側に舞い降りた。

現れたケイティ、アンジェリーナ、アリシアはウッドの後ろからスリザリンの選手たちを睨みつけるが──スリザリンの選手は皆屈強な男であり、彼らはグリフィンドールの選手の前に肩と肩をくっつけて威圧するように立ちはだかった。

 

 

「こっちはスネイプ先生が特別にサインしてくれたメモがあるぞ。『私、スネイプ教授は、本日クィディッチ・ピッチにおいて、新人シーカーを教育する必要があるため、スリザリン・チームが練習することを許可する』」

「新しいシーカーだって?どこに?」

 

 

スリザリンがシーカーを変更したという情報は入ってきていない。もし本当ならば戦略を立て直さなければならない──ウッドの意識が逸れた時、大きな六人の後ろからひょこり、と小さな一人が顔を出した。

 

 

「ドラコ!?」

「やあ、ハリー」

 

 

驚愕の声を上げたのはウッドではなく、その後ろで見守っていたハリーであり。ハリーは得意げな顔をしているドラコを見て目を大きく見開くと、ドラコに駆け寄った。

 

 

「シーカーになったんだ?言ってくれよ!」

「言うべきタイミングを見計らっていたのさ」

 

 

ドラコは青白い頬を薄い桃色に染め、自慢げに胸を張りながら綺麗な箒の柄を撫でる。

今日の朝練習は急に決まったもので、スリザリンチームが正式にピッチの予約しているのは明日である。

ドラコはノアとハリー、そしてロンに明日にピッチに来て欲しいと伝えていて、明日にこの緑色の新しい選手用ローブをはためかせ披露しようと思っていたのだ。

ここにノアがいない事は途轍もなく残念だが──それでもハリーを驚かせることができたのは嬉しい。

 

両チームのシーカーが仲良さげに話し込んでいるのを見て、ウッドとフリントはやや出鼻を挫かれたような思いだったが、フリントはわざとらしく咳払いをすると、ドラコの肩に手を置き「そうとも、ドラコ・マルフォイが新シーカーだ」と切り出した。

 

 

「そうだ。ドラコのお父上がスリザリン・チームにくださった、ありがたい贈り物を見せてやろうじゃないか」

 

 

フリントの言葉に合わせ、スリザリンの選手達は自分の箒を前に突き出す。

ドラコが持つ箒と同じく艶やかに磨き上げられた新品の柄に、綺麗に揃った穂先。柄には美しい金文字で銘が書かれ、それは朝の光を浴びて輝いていた。

 

 

「ニ──ニンバス2001……」

 

 

鼻先に柄を突きつけられたウッドは呆然とその文字を読む。

 

 

「最新型だ。先月出たばかりさ。旧型2000シリーズに対して相当良い性能のはずさ。旧型のクリーンスイープに対しては……2001が圧勝だな」

 

 

フリントはクリーンスイープ11号を握りしめているフレッドとジョージを嘲笑う。

グリフィンドールの選手達は一瞬誰も言葉が出なかった。それほど、七本のニンバス2001が放つ存在感は圧倒的だったのだ。

フレッドとジョージは──実はといえばノアと映った写真の分け前により、ニンバス2001を購入することができる金額を持ってはいる。ただ、ニンバスシリーズよりもクリーンスイープシリーズの方が5号の時から愛用してきたため、癖を知り尽くしていて単に乗りやすいのだ。

そもそもクリーンスイープ11号もシリーズの中では最新機種ではある。──それでも、ニンバス2001の方が機能的には優れているだろうが。

 

 

「──おい、見ろよ。ピッチ乱入だ」

 

 

嘲笑っていたフリントが呟く。

ピッチ上の混乱を目にし、心配したロンとハーマイオニーが何事かと様子を見に芝生を横切り選手達の元へ駆け寄って来たのだ。

 

 

「どうしたんだい?どうして練習しないんだよ。それに──ドラコ?どうして──え?まさかきみ、選手になったのか?」

「そうとも。僕はスリザリンの新しいシーカーだ」

 

 

ロンは選手のローブを着ているドラコを見て、ハリーと同じく目を見開く。ドラコはもう一度胸を張り、自慢げに箒を軽く掲げた。

 

 

「シーカー記念に僕の父上が箒を買ってくれてね。ついでに他の選手達の分も買ってあげたんだ。まあ……大したことじゃないけれど」

 

 

いつものように自慢したドラコだったが、ふとロンの家庭は裕福ではないことを思い出し──咄嗟に大したことではない。と付け足したが、残念ながらそれは嫌味にしか聞こえない。

ロンは一瞬傷付いたような目をして拳を握り、それを隣で見たハーマイオニーはすぐにロンの前に立ち、衝動的に嫌味を返した。

 

 

「少なくとも、グリフィンドールの選手は誰一人としてお金で選ばれたりしてないわ。みんな純粋に才能で選手になったのよ!」

「僕も──うわっ!」

 

 

ハーマイオニーの反撃にドラコは羞恥から耳まで赤く染め「僕も才能で選ばれたんだ!」と言おうとしたが、その言葉を最後まで言う前にフリントに強く押し退けられよろめいた。

 

 

「穢れた血の分際で俺たちに意見するな!」

 

 

フリントが吐き捨てるように言い返した、その言葉。

その言葉を放った途端あたりが静まりかえり、痛いほどの沈黙と鋭い視線がフリントを突き刺した。

ハリーだけが怪訝な顔をして誰かに言葉の説明をして欲しかったが、誰もが──言われたハーマイオニー本人も軽蔑と強い嫌悪感を抱きフリントを睨みつけていた。

 

その唯ならぬ雰囲気に、ハリーはとんでもない言葉をフリントが放ったらしい、とわかったが、なぜその言葉を放ったフリント自身が蒼白な顔をして脂汗をダラダラ流しながら固まっているのか理解できなかった。

 

 

「なんて言った?」

「ち、違う!この女に対して──」

「その言葉は禁忌だ」

「聞いてくれ!」

「お前は今眠れるドラゴンをくすぐったんだ」

「違うんだ!」

「人生で1番の失態ね。いえ、罪だわ。よくもそんな言葉を私たちの前で言えるわね」

 

 

フリントは後退り、助けを乞うような目でスリザリンの選手たちを見たが、彼らもまた冷ややかな顔で「その言葉は禁忌だ」「我らはあの方に誓ってその言葉を禁忌と決めた」と呟くだけで、だれもフリントの言葉を聞こうとはしない。

緑と赤のローブがフリントを取り囲み、誰かが箒の穂でフリントの尻を叩いた途端、群集は轟轟とした声を上げフリントの包囲を狭める。

 

 

「退会だ!」

「い──嫌だ!!」

「評議だ!今すぐ会長に報告を!」

 

 

フリントの次に屈強な男がフリントの右腕を掴み、「許してくれ!退会なんて嫌だ!」と叫ぶフリントを引きずって出口へと向かう。ドラコや他のスリザリンの選手達も怒りの表情でその後に続き、ハリーは何が起こったのかわからず、怒りに満ちた表情をしているロン達を見た。

 

 

「何だったんだ?」

「……ふーっ……」

 

 

残ったグリフィンドールの選手達は怒りを発散させるべく長く息を吐く。苛つき神経質そうに足を動かす者も居たが、何人かはこの後の練習に意識を切り替えて箒に跨り空へ向かった。

 

 

「ハリー、後で話すよ。今教えたら君は怒り狂って練習にならないだろうから」

「うん……わかった」

「ええそうね、その方がいいわ。ハリー、頑張ってね」

 

 

ハリーは釈然としない思いだったが、ロンとハーマイオニーの低い声と今にも誰かを呪い殺しそうな目に頷く他なく、それぞれ空と観客席へと戻った。

 

 

 

 

 

「──というわけさ」

「その後は想像に難くない。フリントは脱会させられたらしい。泣き喚いて嫌だと駄々を捏ねていたみたいだけど」

「そんなことが……まあ、それは仕方がないね」

 

 

フレッドとジョージの言葉にセドリックは納得したように頷いた。その目に軽蔑の色が写っているのは、間違いなくフリントの事を考えているのだろう。

え?そんなに穢れた血って魔法界でタブーだった?──いや、タブーだけど、スリザリンの連中は割と許容していた気がするけど。

……ってか、ドラコが言ってなくても世界はある程度元の形に進むんだな、なんかちょっと怖い。

 

 

「穢れた血って、マグル生まれを指してるんだろ?純血のやつらは自分の血が優れてるって思い込んで……そういう蔑称があるとは知ってるけどさ。スリザリンのやつらもフリントを責めるのは意外だな。言わないだけでそう思ってる純血の奴ら多いと思ってた」

「おや、流行に乗り遅れている人がここに一人」

「ノア。世界は四年前に改革されたのだ」

「奇跡がお現れになられ、魔法界に魔法がかかったのさ!」

 

 

フレッドとジョージは演技かかった口調で言い、夢見る乙女のように両手で頬杖をつき、身を乗り出してわざとらしく上目遣いをして俺を見る。それも瞬き多めに。

 

 

「……俺か!」

 

 

ハッとして手を叩けば、三人は正解と言うように頷いた。

マグル生まれって、ぶっちゃけそんなに多くはない。一年で一人入学するかなっていう程度だ。両親の片方がマグルとかは結構いるけれど。

そんな魔法界で一番有名なマグル生まれは間違いなく俺であり。俺に魅了されている今の魔法界では穢れた血の言葉はよりタブーになったのか。タブーってか……ファン達が許さないんだろうな。

 

 

「フリントは勿論ノアのファンクラブ会員だから──いや、だったからね」

「ノアはマグル生まれだろ?ノアのことじゃなくても、マグル生まれのことをあの蔑称で呼ぶってことはノアを下に見てるって事になる」

「だから、ノアファンクラブではその言葉は禁忌なのさ!」

「なるほど。……え、お前らってファンクラブ会員なのか?」

 

 

三人は顔を見合わせ、「秘密」と言って笑った。

 

 

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